著者
小清水 貴子 大石 智里 藤木 卓 寺嶋 浩介 室田 真男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.69-72, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
5
被引用文献数
7

教員のICT活用指導力の向上が求められ,将来,教員を志望する学生のICT活用指導力の育成も課題の一つである.そこで,中・高等学校を対象とした家庭科教育法の授業で,授業改善の観点からICT機器を活用した模擬授業を実践し,学生のICT活用に対する意識の変容を探った.その結果,ICT活用に関する講義や実物投影機の操作の実習により,授業におけるICT活用に対する意識が向上し,模擬授業後も維持されていた.また,ICT活用に対して,機器操作から指導に応じた活用に視点が変化した.ICT機器を活用した模擬授業を通して,機器を使えばよいのではなく,教師が教材や学習活動を工夫する必要があることに気づいた.
著者
御厨 貴
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.244-245, 2021-10-01 (Released:2021-11-15)

オーラル・ヒストリーは、「敵性型」から「共生型」へと変わり、話し手と聞き手との相互理解が進んだ。かつての後藤田正晴、渡辺恒雄、鈴木俊一のように、オーラル・ヒストリーの現場の主導権を握ろうとする猛者(もさ)は少なくなった。「逃げの名人」「人たらしの達人」たる堤清二=辻井喬の如き、専門を異にする話し手三人で攻める強者も、今は昔だ。文化人オーラルのように作品として「成熟化」するオーラル・ヒストリーが出てくると同時に、人間誰でも一人は聞きたい人がいるという。「おひとり様オーラル・ヒストリー」は、広くオーラル・ヒストリーを「大衆化」する方向にある。
著者
岡野 八代
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社会科学研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.161-182, 2007

本稿では, 「希望格差」社会の弊害が危惧される現代の日本社会における「希望」の在処を考えるために, 西洋の政治思想史の知見を援用する.第1章では, リベラリズムの歴史を「希望の党派」と「記憶の党派」という二つの系譜の中で読み返し, 「記憶の党派」の中に民主的な変革の可能性を見いだしたジュディス・シュクラーの議論を参照する.彼女の議論を詳しく紹介することによって, 希望は明るい未来にこそ宿り, 記憶は過去に関わるといった単純な議論を批判する.第2章, 第3章では, 上述のシュクラーの思想にも多大な影響を与えたハンナ・アーレントの政治思想を再読することによって, 現代の危機の在処を明らかにしたうえで, 過去の「想起」と物語る能力のなかに, その危機を克服する契機が宿っていることを明らかにする.第4章では, 筆者が実際に出会った日本軍従軍<慰安婦>にされた女性たちの証言について考察することによって, アーレントの物語論の現代的意味を「証言の政治」という観点から考える.そして, 未来を展望するための希望の力は, 現在において閉ざされている過去を新たに拓き, そのことによって現在を変革することから生まれてくることを指摘する.
著者
陳 琮湜
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.171-181, 2012 (Released:2012-08-11)
参考文献数
90

多くの細菌がヒトの腸内に棲息し,健康へ影響を及ぼしている.ヒト腸内細菌は摂取した食物や薬の成分を代謝する役割をもち,その例として植物リグナンが挙げられる.リグナンはジフェノールプロパノイド化合物で,自然界に幅広く分布し,穀物,種子,果実,野菜などにも含まれる.植物リグナンは女性ホルモン様作用を示し,イソフラボンと同様,フィトエストロゲンに分類されている.しかし,多くの植物リグナンはそのままではエストロゲン作用を示さず,ヒト腸内細菌によって代謝され,マンマリアン・リグナンと呼ばれるエンテロラクトンとエンテロジオールになってからフィトエストロゲンとしての役割を果す.長い研究を通じてマンマリアン・リグナンへの代謝反応に関与する腸内細菌も単離され,その代謝特性が明らかになってきた.本稿ではヒト腸内細菌によって代謝されたマンマリアン・リグナンの生理活性とマンマリアン・リグナンへの代謝反応に関与するヒト腸内細菌とその代謝特性について概説する.
著者
植田 康孝
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.29, 2019-03-15

物事が変化する時には,予想を超えて急速に非連続的に変化することがある。物理学で言う「相転移」に相当する時代転換である。アイドルの世界における「相転移」は,メディアの変化をきっかけとして生じた。人工知能(AI),情報通信などが急速に発展する中で,アイドル・エンタテインメントも予想を大きく上回る速さで進展している。 経済,社会が移り変わる中で,アイドル業界はメディアの劇的な変化に適応しながら,あの手この手でマーケットを切り拓いて来た。人口減少により,国内でアイドルのファンになる人の数は確実に減って行く。アイドル分野は幸いにも不況を抜け出し,新しい技術やモデルが生み出された「多面的な確変モデル」に入っている。21 世紀に入り,昭和のマスメディア型思考から捉えて「音楽番組がまた一つなくなった」「CD が売れない」「音楽は斜陽産業である」という論調が支配的であったが,ライブ,握手会,サイン会などの「直接コミュニケーション」,SNS,動画配信,音楽配信などの「ヴァーチャルコミュニケーション」の高まりにより,アイドルを取り巻く状況はドラスティックに変わっている。インターネットを使ったライブ配信の発達・普及に伴い,最近数年でアイドルファンは質的に変化した。かつて女性アイドルのファンは男性が中心であったが,アイドルが発信するメイクやファッションの情報に興味を持つ女性ファンが急増するようになっている。楽しみ方が多様化した中で,生まれたのが現在のアイドルブームである。ブームをリードする存在が,乃木坂46,欅坂46,けやき坂46 の「坂道シリーズ」とTWICE,BLACKPINK などの「KPOP」である。かつてのアイドルはテレビや雑誌を通して,歌や踊り,かわいさを見せることが第一であったが,現在は,個々のメンバーがインターネットを通して表情豊かにキャラクターを見せることにより,ファンの裾野を拡大している。ライブ中継を通して自然体で振る舞うことは,デジタル時代のアイドルのあり方を象徴する。かつてのアイドルは手の届かないセレブが中心であった。AKB48 は素人が成長していく姿を男性ファンに訴求するアイドルグループであった。一方,現在,アイドル・エンタテインメントの頂点に立つ坂道シリーズは,そのどちらでもない,男性ファンだけでなく,同性ファンにも憧れと親しみの両方の感情を抱かせる絶妙な距離感を保つ独自の強みを打ち出すことに成功した。 本稿は通常,定性的にしか議論されないアイドルとファンのコミュニケーションについて数理モデルを援用して科学的アプローチを試みたことに,新規性と独自性を伴う。

5 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1949年06月30日, 1949-06-30
著者
金目 哲郎
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.45-56, 2021-03-24

本稿の課題は、新型コロナウイルス感染症がもたらす日本経済および地域経済へのダメージに対して、地方自治体がどのように対応していくのかを検討し、ポスト・コロナ時代における地方自治体の政策課題を提示することにある。本稿の構成は次のとおりである。第1節では、新型コロナウイルス感染拡大がもたらしている日本経済や地域経済の悪化の現状を、いくつかの指標で捉える。第2節では、近年に経験した経済的危機と、新型コロナウイルス感染症とでは、危機の性質が異なり、ゆえに地域経済の活性化に向けた、地方自治体の対応のしかたも異なることを指摘する。そのうえで、コロナ禍にあって、まずは地域経済の崩壊を防ぐための初期対応として緊急的に打ち出された地方自治体の政策の事例を紹介する。第3節では、現在のコロナ禍で、人びとや企業が大都市圏に集中する「東京一極集中」に変化の兆しがあることに言及する。ポスト・コロナ時代では、人びとや企業が地方圏に分散する、「地方分散型社会」に向かっていく可能性を指摘し、これを後押しするための地域経済活性化政策のあり方や、国と地方自治体との財政関係をめぐる課題を展望する。

5 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1934年11月28日, 1934-11-28

5 0 0 0 OA 節用集 : 2巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[1], 1496
著者
片岡 泰彦
雑誌
経済論集 (ISSN:02874237)
巻号頁・発行日
no.110, pp.57-91, 2018-09-30

複式簿記の起源は、古代ローマ起源説と中世イタリア起源説の2つの説がある。古代ローマ起源説は、古代ローマ時代の代理人簿記を複式簿記の起源とする説である。中世イタリア起源説は、中世イタリア都市国家の商人の会計帳簿の分析から、トスカーナ説、ジェノヴァ説、ロンバルディーア説、ヴェネツィア説に分かれる。同時期説は、起源を一都市及び特定の会計帳簿に限定せず、各都市で、ほぼ同時期に複式簿記が生成したと考える説である。
著者
藤田 節子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.492-503, 2010 (Released:2010-12-01)
参考文献数
13

近年,学術論文の参照文献に,インターネット情報の利用が増加している。Webページは更新や削除が頻繁に行われるため,インターネットからの参照文献は読者が後になって入手できるとは限らない。本調査は,2007年と2005年に刊行された図書館情報学関係学術誌4誌に掲載された論文の参照文献のうち,インターネット情報を参照した858件の入手可能性を調べた。その結果,2007年では参照されたインターネット文献のうち28%,2005年では41%が,論文の著者が記述したURLのもとでは見つからなかった。見つからなかったインターネット文献を,そのサイト内で検索したり,検索エンジンを使うと,2007年は89%,2005年では82%が入手可能になった。参照されたインターネット文献の保存,サイト運営者の適切な管理運営,著者の正確な引用と,必要十分な書誌記述が入手可能性を高める。
著者
木本 玲一
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.88-88,176, 2002-10-31 (Released:2016-05-25)

This article explores local practices of Japanese rap, a musical genre originated in devastated U.S. inner-city communities. For a long time, globalization has been understood as processes of invasion, as posited by the "cultural imperialism" thesis. In recent years, however, many scholars have begun to argue that globalization and localization are not so much as opposed as interrelated. Their argument suggests that mutual interaction can be found not only in the political or economic fields, but also in the cultural fields, including that of popular music. Rap music spreads throughout the world as it is distributed by the record industries and has gradually been localized into various parts of the globe, including Japan. As this occurs, localization has aroused the desire to construct "Japanese" rap, -not an "imitation" of U.S. rap but an "original" form. In this article, I will explore and examine the desire through a discussion of the practices that constitute the main dimensions of rap: "sound", "language" and "ideology". In doing so, I shall also focus on the desire to localize rap, and pay particular attention to rap's global / local context.