著者
津田 敏秀 三野 善央 山本 英二 松岡 宏明 馬場園 明 茂見 潤 宮井 正彌
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.511-526, 1997-07-15
被引用文献数
2 1

Kondo's "Incidence of Minamata Disease in Communities along the Agano River, Niigata, Japan (Jap. J. Hyg. 51: 599-611; 1996)" is critically reviewed. The data of the article were obtained from most of the residents living in the Agano river villages where Minamata disease was discovered in June, 1965. However, sampling proportions were much different between in the population base and in the cases. The method of identification of cases from the data and the reason for the difference were not clearly demonstrated. The citations of reference articles are insufficient despite the fact that other epidemiologic studies on methyl-mercury poisoning have been reported not only in Japan, but also around the world. His"analysis of the recognized patients" is erroneous. Both the sampling scheme of information of hair mercury and the modeling of the analysis are based on Kondo's arbitrary interpretation, not on epidemiologic theory. His "analysis of the rejected applicants" is also erroneous. His calculations of the attributable proportion are incorrect and self-induced in both the assignments of data and analysis of data. Kondo has failed to study the epidemiologic theories in light of changes in the field. Therefore, his article is lacking in epidemiologic theory, a logical base and scientific inference.<BR>In Japan, epidemiologic methodology has rarely been used in studies on Minamata Disease in either Kumamoto and Niigata. The government has used neurologically specific diagnosis besed on combinations of symptoms to judge the causality between each of symptoms and methyl-mercury poisoning. Epidemiologic data obtained in Minamata, Kumamoto in 1971 indicate that the criteria set by the government in 1977 have produced much more false-negative patients than false-positive patients. As a result, a huge number of symptomatic patients, including those with peripheral neuropathy or with constriction of the visual field, did not receive any help or compensation until 1995. The authors emphasize that the causal relationship between each symptom and methyl-mercury exposure should be reevaluated epidemiologically in Japan.
著者
津田 敏秀 馬場園 明 三野 善央 松岡 宏明 山本 英二
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.558-568, 1996-07-15
被引用文献数
3 2 3

Changes of causal inference concepts in medicine, especially those having to do with chronic diseases, were reviewed. The review is divided into five sections. First, several articles on the increased academic acceptance of observational research are cited. Second, the definitions of confounder and effect modifier concepts are explained. Third, the debate over the so-called "criteria for causal inference" was discussed. Many articles have pointed out various problems related to the lack of logical bases for standard criteria, however, such criteria continue to be misapplied in Japan. Fourth, the Popperian and verificationist concepts of causal inference are summarized. Lastly, a recent controversy on meta-analysis is explained. Causal inference plays an important role in epidemiologic theory and medicine. However, because this concept has not been well-introduced in Japan, there has been much misuse of the concept, especially when used for conventional criteria.
著者
津田敏秀
雑誌
日衛誌
巻号頁・発行日
vol.51, pp.558-568, 1996
被引用文献数
3 3
著者
井手尾 俊宏 岩根 陵 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.126-127, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
1

計算化学の発展に伴い、様々な化学物質の電子状態情報を容易に得られるように なった。しかし、それらのデータを効率的に活用するためには、多くの計算結果を集積・整理し、必要なデータに焦点を当てて探索できる必要 がある。そこで本研究では、計算結果を集積・整理する機能を備えたデータベースを構築し、さらに分子に関する概念情報を集積するためのシ ステムを実装した。また、登録された分子のうち、抗ガン剤や発ガン性物質などの「ガン」に関連するものについて、UV/visスペクトルやIRスペクトル、バンドギャップなどの8種類の数値から算出した量子化学的類似度を使用してクラスター解析を行い、分子 の性質による分類を試みた。クラスタリングの結果、8種全ての指標を使用するよりも、IRスペクトルと振動数スペクトル、励起エネルギースペクトル、軌道エネルギースペクトルの4つの指標を使用した場合の方が、抗ガン剤と発ガン性物質を含んだ分子群から発ガン性物質を抽出する精度が高い という結果が得られた。
著者
谷田 義明 松浦 東
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.80-82, 2015 (Released:2015-09-30)
参考文献数
3

We have applied alchemical free energy calculation of theophylline with an RNA aptamer with one or more ligand docking poses. We find that the predicted binding affinity strongly depends on the anchor's position at the receptor using only distance restraints; it means that a ligand is trapped at the other metastable states during the decoupling process. We also demonstrate that the binding affinity of a fragment-like molecule such as theophylline to the receptor is obtained by phase space decomposition with orientational restraints.
著者
中村 秀
出版者
夙川学院短期大学
雑誌
夙川学院短期大学研究紀要 (ISSN:02853744)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-17, 1987-12-25

本稿では,わが国においては今まで殆ど述べられていなかったゲシタルト心理学の創唱者Max Wertheimerの生涯につき,詳しく述べた。1)彼は1880年のプラーグのユダヤ系の家庭に生れた。母方の祖父が大きな影響を与え,10才のときこと祖父はすでにSpinozaの書物を与えている。幼時から彼はピアノに優れた才能を示し,母もバイオリンに巧みであった。父は独学で実学的な研究を積み,商業学校を経営して大いに成功をおさめ,その蓄えた財力が後に彼が永年にわたる各地への遊学を支えたと思われる。2)彼は学業にすぐれ,ギナジゥムでも,はじめ4年間はすばらしい成績を示したが,その後複雑な社会情勢の影響もあって学業が急に悪化し,家庭でも宗教的なしきたりに反撥して両親を怒らせ悲しませたこともある。この間,急進的なグループとも交ったらしい。3)大学はプラーグ大学,ベルリン大学,そしてヴュルツブルグ大学へと転々とした。この間,心理学,哲学,論理学,認識論のほか,広く音楽,数学などの研鑽を積んでおり,その範囲の広いことは驚くばかりである。その中でも彼にとってベルリンでの生活は最良のものであった。4)彼は父の要望もあって,早くPh.D.を取ろうとしてヴュルツブルグ大学に移り,直ちに1904年最優等の成績でPh.D.を得たが,その論文は,言語連想法を含んだ「事実診断学について」であり,その後もこの方面の研究を続行したがついに公刊を見なかった。彼はPh.D.取得後,就職するまでの間,各地の大学,研究所で生理学,精神病学の分野も含めて広く研究していたことは,何れもその結果が在来の理論への不満や批判となり,やがて新しいゲシタルト理論を醸成するのに与って力あったと思われる。5)早くから彼は音楽に関心があって,ベルリンの原始民族の音楽集録に関心をもっていた。またEhrenfelsやMarty教授の言及するところに影響をうけて,インドの哲学,論理学にも関心を抱いていたらしい。セイロンのVedda族の音楽や原始民族の数概念についての研究は早くからまとめていたらしいが,それらにはゲシタルトの考想が十分に認められる。しかし彼はこれをHabilitationのために用いなかった。大学教授資格認定の論文には適当でないと考えたからである。6)それよりも彼は科学的手法を用いて,誰もが納得せざるを得ない決定的な現象として運動視の実験的研究を行い,ゲシタルト説の根本理念を確立した。これによって彼はゲシタルト心理学の創唱者と呼ばれるに至った。7)彼はその初期の画期的研究があるにも拘らず,ベルリン大学の正教授には,彼より年少のKohlerが就任し,自分はその年1922年,員外教授に昇進しただけである。これは彼の寡作の故にということのほかに,反セミ主義その他が影響したといわれる。彼はフランクフルト大学で,おそらく1929年,教授となった。8)彼は1933年,ナチスの圧迫を逃れてアメリカに渡り,ニューヨークの新社会調査学校に迎えられ,1943年死去するまでそこで教え,生産的,鼓吹的な講義を行った。
著者
黒木 孝行 飯田 瑞貴 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.34-35, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
1

電子状態計算で得られる数値情報を活用すると、化学現象に潜む規則性、法則を発見できると考えられる。これを実現するために、我々の研究室では電子状態計算に基づく数値データに関する機械学習の手法(電子状態データマイニング手法)を開発している。この手法は、電子状態計算によって得られた電子的因子を用いて、単回帰分析や多変量解析を行うことで、化学現象の規則性を探索するものである。解析に使用する電子的因子は、軌道エネルギー、励起エネルギー、振動子強度、遷移双極子モーメント、双極子モーメント、イオン化エネルギー、電子親和力である。この電子状態データマイニング手法を用いて、結核の治療薬として研究されているPyrazinamide誘導体に関する解析を行ったところ、ベンゼン部位に局在化した空軌 道のエネルギーが薬理活性に影響を与えている可能性を発見した。
著者
上原 彰太
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.32-33, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
3

構造ベース創薬(SBDD)において,ターゲットタンパク質に対するリガンド(薬剤候補化合物)の結合構造およびその結合の強度を分子シミュレーションによって正確に予測すること(Docking)は困難な問題である.Dockingはタンパク質−リガンド間の相互作用エネルギーを目的関数とした数値最適化問題を解くことによってリガンドの最も安定な結合構造を予測する.しかし一般に,Dockingのスコア関数は非常に複雑であり,正確な結合構造の予測には高精度かつ高効率な最適化アルゴリズムが必須となる.本研究ではミツバチの採餌行動に基づいた最適化アルゴリズムである人工蜂コロニーアルゴリズムを応用することによってDockingの精度向上に成功した.
著者
内藤 智 西村 寿彦 大鐘 武雄 小川 恭孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.262, pp.19-24, 2007-10-11

MIMO通信は,送受信機双方に複数のアンテナを設置して空間的に信号を多重化させることで,高速な通信を実現するシステムである.このMIMO通信において,チャネルの状態に応じて通信速度を変化させる適応変調制御を行うE-SDM方式を,TDD下り回線に適用する.この際,パケット通信を想定して,スループット最大基準で送信リソース制御を行う.本研究の目的は,適応変調制御を行うE-SDM方式について,室内テストベッドを構築して検証実験を行うことである.従来の適応変調制御では実装する際に計算負荷が問題となるが,簡略化手法を導入して負荷を軽減することで実装を可能とした.また,動的フェージング環境下におけるチャネル変動誤差を補償するために一次外挿によるチャネル予測を用い,特性の改善効果について確認した.本稿では,フェージングシミュレータを用いた室内テストベッドを構築し,適応変調制御E-SDM通信の動的フェージング環境下における検証実験を行った結果について報告する.
著者
池田 幹男 竹田 一哉 板倉 文忠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.238, pp.23-30, 1996-09-12
被引用文献数
3

本研究では直交フィルタを導入し, 多チャネル化した櫛形フィルタによる雑音抑圧法を提案する. 雑音は直交フィルタのいくつものチャネルにまたがって均等に分布するのに対して, 音声は特定の成分に集中するので, 各チャネルの出力に雑音の振幅の推定値を用いて重みをつけて再構成することによって, 雑音抑圧が可能となる. 本方法は定常白色雑音か加わった音声に対しては信号対雑音比か最大6.5dB改善され, より一般的な駅構内の雑音が加わった音声に関しては, 最大5.0dB改善された.
著者
大渡 裕介 小川 恭孝 西村 寿彦 大鐘 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.477, pp.73-78, 2007-01-19

MIMO-OFDM空間分割多重において,送信側でチャネル情報(CSI)が既知,もしくは,受信側から用いるべき送信ウェイトが報知される場合,固有ビーム空間分割多重(E-SDM)方式を用いることができ,MIMOチャネル最大の容量が得られる.筆者らはこれまで時間領域で最小二乗法を適用し,推定したCSIの内,主要な成分のみをフィードバックすることにより,情報量が削減できることを報告してきた.本稿では,筆者らが提案しているCSIフィードバック手法及びコードブックを用いた送信ウェイトフィードバック手法について比較検討を行う.
著者
大渡 裕介 小川 恭孝 西村 寿彦 大鐘 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.885-895, 2007-09-01
被引用文献数
2

MIMO-OFDM空間分割多重において,送信側でチャネル情報(CSI)が既知,若しくは,受信側から用いるべき送信ウェートが報知される場合,固有ビーム空間分割多重(E-SDM)方式を用いることができ,MIMOチャネル最大の容量が得られる.筆者らはこれまで時間領域で最小二乗法を適用し,推定したCSIのうち,主要な成分のみをフィードバックすることにより,情報量が削減できることを報告してきた.本論文では,筆者らが提案しているCSIフィードバック手法及びコードブックを用いた送信ウェートフィードバック手法について比較検討を行った.その結果,各手法におけるフィードバック情報量をほぼ等しくした場合,情報量が少ない4×2MIMOにおいては送信ウェート行列をフィードバックする手法の特性が,情報量が多い4×2MIMO,及び4×4MIMOにおいてはCSIフィードバック手法の特性が良好であることが確認された.
著者
大渡 裕介 小川 恭孝 西村 寿彦 大鐘 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.1765-1775, 2006-09-01
被引用文献数
9 4

送受信側に複数のアンテナを設置し,各送信アンテナごとに独立したOFDM信号を送信するMIMO-OFDM空間分割多重では,マルチパス環境においても符号問干渉なしに伝送速度の向上が期待できる.更に,送信側でチャネル情報(CSI)が既知の場合,MIMOチャネルにおける最大スループットを得る固有ビーム空間分割多重(E-SDM)方式を用いることができる.しかしながら,OFDMでは各サブキャリヤごとにCSIをフィードバックする必要があり,通信容量を圧迫してしまう.本論文では,筆者らが以前より提案している時間領域で最小二乗法を適用し,推定したCSIをフィードバックすることで情報量を削減でき,更に良好な特性が得られることを示している.
著者
大渡 裕介 西本 浩 小川 恭孝 西村 寿彦 大鐘 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.168, pp.31-36, 2006-07-12
被引用文献数
4

送受信機の双方に複数のアンテナを設置したMIMOシステムを用いてOFDM信号を送信するMIMO-OFDM空間分割多重において,送信側でチャネル情報(CSI)が既知の場合,固有ビーム空間分割多重(E-SDM)方式を用いることができ,MIMOチャネル最大の容量が得られる.筆者らは時間領域で最小二乗法を適用し,推定したCSIをフィードバックすることにより,情報量が削減でき,かつ良好な特性が得られることを報告してきた.本研究では,時間領域で推定したCSIの内,先頭から主要な成分だけをフィードバックする手法を提案し,更なる情報量削減を図った.
著者
大渡 裕介 小川 恭孝 西村 寿彦 大鐘 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.25, pp.37-42, 2006-04-14
被引用文献数
4

送受信側に複数のアンテナを設置し,各送信アンテナごとに独立したOFDM信号を送信するMIMO-OFDM空間分割多重では,マルチパス環境においても符号間干渉なしに伝送速度の向上が期待できる.さらに,送信側でチャネル情報(CSI)が既知の場合,MIMOチャネルにおける最大スループットを得る固有ビーム空間分割多重(E-SDM)方式を用いることができる.しかしながら,FDD方式のOFDMでは各サブキャリア毎にCSIをフィードバックする必要があり,通信容量を圧迫してしまう.本論文では,筆者らが以前より提案している時間領域で最小二乗法を適用し,推定したCSIをフィードバックすることで情報量を削減でき,さらに良好な特性が得られることを示している.