著者
宮崎 有紀子 芝山 江美子 大野 絢子 佐藤 久美子
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-37, 2008-03

【目的】室内の環境を清潔に保つことは、アレルギー疾患予防との関連はもとより、心身の健康を保つためにも重要である。我々は、人々が生活環境の清潔保持にどのように関心を寄せ、行動しているかを明らかにする目的で、群馬県内一般家庭の家事担当者を対象に、室内環境整備に関する関心度や清掃方法の知識習得、室内清掃や寝具管理の実状、アレルギーの有無などを調査し、その実態を明らかにした。【方法】家事担当者1,576人を対象として、清掃に関する意識や行動、居間、寝室、浴室、トイレなどの整備状況、寝具の種類と管理状況、室内塵埃中のダニに対する知識及びアレルギーの有無などに関する質問票を作成し、無記名自己記入式により調査した。調査結果は、SPSSによって統計処理した。【結果】調査結果は若年層(39歳以下)、中年層(40〜59歳)、高年層(60歳以上)の3グループに分けて分析した。自分を「きれい好き」と思う者は高年層に多く、清掃を行う理由は、各年齢層とも「清潔は気持ちかよいから」が多かった。掃除方法は「母から教わった」が各層とも過半数を占めたが、若年層では、「教わったことがない」が34.2%に上った。居間や寝室の整備状況では、項目によって高低の差がみられたものの各層ともかなりよく行われており、布団の目先乾燥、シーツの洗濯など寝具管理でも各層ともよく行われていた。大掃除は「年1回」が最も多く、「ほとんどしない」も10%以上みられた。ダニやダニカット製品に関する調査では、若年層が中、高年層と比較してより多くの知識を持っていた。【まとめ】本調査の結果から、ほとんどの対象者は室内環境整備への関心が高く、環境整備はかなりよく行われていることがわかった。若、中、高年層間に大きな差はみられなかったが、「専門的な指導を受けたことがない」との回答が多かったことから、整備行動の質を保つためには、今後室内環境整備の具体的方法を教育することが必要と思われる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1471, pp.82-84, 2008-12-22

まもなく大晦日。日本人の師走の恒例行事と言えば、クリスマス、ではなく大掃除だろう。しかし今年、掃除機の世界で「静かな戦争」が起きていたことをご存じだろうか。 ここ数年、家電各社は掃除機の技術革新を続けてきた。最新機種では、以前から指摘されていた「吸引力の低下」や「排気の臭い」といった不満点の多くが克服されている。
著者
高原 光 伊藤 孝美 竹岡 政治
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.143-150, 1988-04-01
被引用文献数
3

福井県三方郡三方町黒田の水田下から掘り出された食痕のある2本の埋没木について, ^<14>C年代測定および材組織による樹種の同定を行った。また, 材に残されていた食痕および幼虫の頭殻についてスギカミキリのものと形態の比較を行った。さらに, これらの材が埋没していた泥炭層の花粉分析を行い当時の森林構成を調べた。その結果, 過湿な立地上に形成されたハンノキ属の樹木をともなうスギの天然林において, 少なくとも約3,000年前にスギカミキリが生息し, スギに加害していたことを認めることができた。このスギカミキリ被害材はこれまでに発見されたもののなかで最も古い年代のものであった。さらに, スギカミキリは少なくとも完新世後期には, すでに日本に生息していた昆虫であると考えられた。
著者
中西 裕二
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.221-242, 2006-09-30

本論は、桑山敬巳による「人類学の世界システム」論を、日本人による日本国内の文化人類学的調査研究、及びその日本語での記述に応用する可能性を探るものである。その一つの例として、歴史学者黒田俊雄の顕密体制論、その背景にある神仏習合思想、及びフィールドにおけるそれらの記述から導かれる諸問題を取り上げる。桑山は、「人類学の世界システム」という概念を設定することにより、文化の記述をめぐるヘゲモニーを明らかにしたと同時に、ネイティヴ、そしてネイティヴの人類学者の位置づけを明確化した。この、世界システムの中心と周縁の関係性は、日本の文化言説を創造するローカルシステムと日本人文化人類学者の関係性と類似している。日本の文化人類学は、日本を研究対象地域から除いたことにより、このローカルシステムの外部者となったからである。従って、世界システムの周縁から中心を相対化しようとする桑山の試みは、日本国内のローカルシステムに対しても有効であると考えられる。本論では上記の具体例として、中世史家黒田俊雄の文化史モデル、具体的には黒田が「顕密仏教」と呼んだ中世的宗教体系、及びその背景となる神仏習合に基づく民俗文化論を取り上げる。神仏習合はフィールドで観察可能であるのに対し、それを軸とする民族誌的記述は数が少ない。その原因がローカルシステムの文化言説におけるイデオロギー性と近代性に帰せられる点を指摘し、フィールドからの新たな日本研究のあり方を提示する。
著者
永野 元 秦 志新 賈 岸偉 加藤 嘉則 小林 正和 吉川 明彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.100, pp.37-42, 1997-06-17

六方晶構造が安定であるGaN(h-GaN)をGaAs(001)や3C-SiC(001)等の立方晶構造の基板上に成長することで, 立方晶構造のGaN (c-GaN)を作製できる. c-GaNはLDデバイス化に際し共振器や電極の形成がh-GaNに比べて容易であると考えられている. しかし基板表面や成長表面に凹凸が存在すると, c-GaN中には元々安定であるh-GaNが混在しやすく高品質なc-GaNを得るのが難しい. そこで, 本研究では原子状水素(H^*)を用いて清浄化及び平坦化を行ったGaAs基板上に, rf-MBE法によりGaNの成長を行った. その結果, GaN(002)X線ロッキングカープにおいてFWHMが90arcsecであるような, 高品質のc-GaNを得ることができた. これは, H^*により処理したGaAs基板表面が, 分子層オーダーで平坦でありそのステップ端に多数のキンクを持つため, 成長初期において成長核が一様, 高密度に生成し, GaNが一様に成長したためと考えられる.
著者
黒田 吉益 黒川 勝己 宇留野 勝敏 衣川 友康 加納 博 山田 哲雄
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.331-335, 1976-11-20
被引用文献数
3

舞鶴帯の北側に分布する大江山超塩基性岩体は主としてダンかんらん岩からなるが,その北部にかなり大きな単斜輝石岩の岩体がある(Fig. 1).それは一部,角閃石にとんだ,緑れん石一角閃石岩(部分的に斜長石をもち,角閃岩状になる)になっている.以前,川砂の研究から,この単斜輝岩岩体中より十字石,藍晶石が発見される可能性を指摘したが(宇留野・黒田, 1972), 1975年,黒川が藍晶石を発見し(黒川, 1975),つづいて衣川・黒田が十字石を発見した(衣川, 1975).それらは緑れん石角閃岩中に残晶として産するものである(Fig. 2).そのEPMAによる化学分析を行なった(Table 2).このようなことから,われわれはこの岩石が特殊な岩石であったことを確認し,今後共同して研究をすすめる予定にしたが,今のところ次のような作業仮説を考えているので報告した.かつて,藍晶石+十字石+単斜輝石という組合わせにあったものが,大江山岩体北方の宮津花崗岩体の接触変成作用により,緑れん石一角閃岩相程度の再結晶作用をうけ,緑れん石+角閃石(±緑泥石)のに組み合わせになった.
著者
越智 百枝 酒井 由紀子 高尾 良子
出版者
香川大学
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.57-64, 2007-03

研究目的は,断酒会に参加しているアルコール依存症者のどん底体験とそれに至るプロセスを明らかにすることである.方法は質的帰納的研究である.対象は断酒会員10名で,倫理的配慮に基づき研究趣旨を説明し同意を得た.データ収集はどん底体験をテーマにグループインタビユーを行い,収集時間は135分であった.分析は逐語録を意味のある文脈で区切り,類似する意味内容を分類しカテゴリ化した.また得られたカテゴリを対象ごとに時系列に並べ,どん底体験とそれに至るプロセスについて分析した.対象は男性9名と女性1名で,年齢は40〜60歳代,断酒期間は平均5.2年であった.分析の結果,192コード,80サブカテゴリ,40カテゴリ,8コアカテゴリを形成した.対象はどん底体験を出来事として語った.その出来事は,断酒以前は[飲酒の継続による社会生活上の関係性の断絶]と[飲酒の継続による自己概念の揺らぎ]であった.断酒後は,[再飲酒による自分の末路の確信]であった.またどん底体験に至るプロセスは2つのプロセスであった.ひとつは,断酒前に,再飲酒と一時的断酒を繰り返しエスカレートする飲酒の末に,「社会生活上の関係性の断絶」あるいは「自己概念の揺らぎ」によって底をついていた.その体験がどん底体験になる場合は負の感情体験と内省が伴い,それが重要な役割を果たしていると考えられた.もうひとつは,断酒後に,他者の体験に自分の体験を重ね,「再飲酒による自分の末路の確信」をすることで底をついていた.また本研究では新たにどん底体験が断酒後にも見られることが明らかになり,この体験が断酒の継続の維持につながっていた.アルコール依存症者の支援として,治療導入のタイミングを図ることや自己の内省化の促進,断酒会への導入,家族への教育と支援の必要性が示唆された.
著者
井原西鶴 著
出版者
山海堂出版部
巻号頁・発行日
vol.巻2, 1937