著者
Kazumi Hirano Shoko Nishihara
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.26, no.152, pp.149-157, 2014-11-25 (Released:2014-11-25)
参考文献数
53

ヘパラン硫酸はグリコサミノグライカンの一つであり、GlcA–GlcNAcの二糖繰り返しユニットから構成され、複数の硫酸転移酵素により硫酸化される。ヘパラン硫酸の硫酸化構造にはさまざまなパターンがあり、骨形成タンパク質(BMP)、Wnt、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)などのモルフォゲンや成長因子と結合してシグナル経路を調節している。以前、われわれや他の研究グループは、ヘパラン硫酸とその硫酸化がFGF4、BMP4、Wntシグナルを介してマウス胚性幹細胞(ES細胞)の維持と分化を制御していることを明らかにした。しかし、ヘパラン硫酸の硫酸化パターンが持つ機能の多くはいまだに不明である。本稿では、多能性幹細胞におけるヘパラン硫酸とその硫酸化パターンの機能を紹介する。
著者
神邊 篤史 松原 行宏 岩根 典之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.314-323, 2008-02-01
被引用文献数
5

リハビリテーションにおいては,力覚フィードバックを提示することで,関節可動域の拡大などに対し効果的に寄与すると考えられている.そこで,我々は力覚フィードバック機能を用いた上肢運動リハビリテーション支援システムの開発を目指している.反力デバイスを用い仮想訓練環境でボールを投げることで,重さ感覚を知覚しながら腕の動きを訓練することができるようにする.投げる動作は上肢運動の中でも数多くの種類を必要とすることから比較的難しいため,四つのステップに分け,障害当事者にとって難易度に応じた訓練の選択が可能な環境を構築した.また,目的動作の達成を支援するために,腕の動きの表示などを行った.本研究では特にシステムの基本的な機能である,力覚フィードバック機能を導入することで,より効果的な訓練が実施できるかどうかの検討を行った.また,仮想訓練環境内に表示される腕の動きの表示機能の有効性についても考察した.その結果,表示を見て腕を動かすこと,反力を感じながら動作をすることで,より正確に動作をすることができた.
著者
神邊 篤史 永井 久美 松原 行宏 岩根 典之 岡本 勝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.143-150, 2009

運動学習による動作訓練は,新たな身体技能の獲得や日常生活における身体機能の再獲得において重要である.本報告では上肢の大きな動作の学習のための仮想環境について提案する.本システムにおいて,学習者は環境内に提示されるポインタの位置を視覚や触覚を通して確認することで,動作を修正しながら目標位置に向かって上肢を動かしていく.具体的には,cube型環塊と三次元迷路環境の2つの環境での訓練により,上肢の大きな動作を行う際の運動の計画,運動の実行と修正や,問題のある筋の特定が可能である.健常大学生を対象とした実験では,本システムを用いた動作習熟の可能性を確認できた.
著者
Yoshihiro Hasegawa
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.26, no.152, pp.159-165, 2014-11-25 (Released:2014-11-25)
参考文献数
22

肺サーファクタントタンパク質D(SP-D)はC型レクチンのコレクチン・サブグループに属し、自然免疫において重要な役割を担っている。本研究ではSP-Dが上皮増殖因子(EGF)シグナルを制御することで肺がん細胞の進展を抑制する可能性について着目した。SP-Dはヒト肺腺がん細胞株(A549細胞、H441細胞)において、EGFによる上皮増殖因子受容体(EGFR)、Erk、Aktのリン酸化を抑制した。またSP-DはA549細胞の増殖・遊走・浸潤を抑制した。リガンド結合の解析では、SP-DはA549細胞のEGFRとEGFとの結合を阻害した。リガンドブロッティングでは、SP-DはA549細胞由来のEGFRに直接結合した。また表面プラズモン共鳴センサーを用いて、SP-DとリコンビナントヒトEGFRの細胞外ドメイン(soluble EGFR; sEGFR)との相互作用を検討したところ、SP-Dはカルシウム依存性にsEGFRと結合した。その結合はEDTAやマンノースによって阻害され、N型糖鎖を切断したsEGFRにはSP-Dは結合しなかった。sEGFRのN型糖鎖を質量分析で解析したところ、ドメインIIIに高マンノース型のN型糖鎖が存在した。以上より、SP-Dは糖鎖認識領域を介してEGFRの高マンノース型糖鎖に結合し、EGFRへのリガンド結合を阻害することで、EGFシグナルを抑制すると考えられた。
著者
山下 航正
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.62-65, 2008-10-10
著者
Hideki WAKUI Ikuko TADA Yasunori KIMURA Kosaku YOSHIDA Yasuyuki ENDO Akira B MIURA
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Japanese Journal of Medicine (ISSN:00215120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.736-739, 1989 (Released:2006-03-27)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

We report an Rh(D)-negative man with myelodysplastic syndrome who produced six anti-erythrocyte alloantibodies (anti-D, -C, -E, -Dia, -Jka and -S) in succession. Three of these antibodies (anti-E, -Jka and -S) were not noted until delayed hemolytic transfusion reactions occurred. Treatment with cortico-steroids was effective in preventing both further formations of antibodies and other transfusion reactions. It was very difficult to find blood compatible with the patient, but repetitive blood transfusions were required for his progressive anemia and thrombocytopenia. Several problems concerning the transfusion of blood in such a case are discussed.
著者
中田 愛理 平山 拓 大菅 直人 宮本 真理子 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.1177-1185, 2003-04-15
被引用文献数
5

コンピュータの低価格化,小型化,無線通信技術の発達により,モバイルコンピューティングやユビキタスコンピューティングに注目が集まっている.会議室など人が集まる場にはコンピュータやコンピュータ以外の様々なモノが存在しており,複数の端末や情報処理能力を持つモノでネットワークを構成し,情報の交換や共有を行うような協同作業支援システムの必要性が高まってきている.しかし,現状では数人でグループを作り,その場でネットワークを構築するためには,既存のネットワーク設備との接続に構造上/運用上の制約があったり,グループ加入のためのコンピュータ操作を行わなければならないといった手間が生じたりする.また,コンピュータ以外のモノとの情報交換はシームレスに行われていないという現状がある.そこで本稿では,近づくことにより自動的に集まったことを認識し,その距離に基づいてグループを構築し,情報共有を支援するシステムDistance Aware Collaboration System(DACS)を提案する.そして,DACS上で動作するプロトタイプのアプリケーションを実装し,評価を行った.ユーザはDACSを通じて,持ちよった様々な情報や機器を協同作業の場で利用することが可能となる.Along with the development of wireless communication technologies andthe miniaturization/low cost of computers, the mobile and ubiquitouscomputing have now become the focus of public attention.However, in the present condition, in order to make a group from severalpersons and to build a network on that spot, the time and effort thatconnection with the existing network equipment must have therestrictions on employment on structure, or computer operation for groupsubscription must be performed arises.Therefore, in this paper, we proposed DACS (Distance Aware CollaborationSystem) which makes it possible to automatically create a collaborationenvironment between users, or between a user and object, based onphysical distance between them, and implemented a prototype of someapplications. We also carrid out some experiments to evaluate DACS. Asa result, users can share information and objects, and get or use themseamlessly.
著者
中村 満紀男
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.49-65, 2001-03

障害者の教育と生活は、諸科学の知見により規定される側面がある。歴史上、諸科学によりその生活と教育が最も翻弄されたのは精神薄弱の範疇に位置づけられた人々であった。本研究では、1910年代のアメリカ合衆国における優生学運動を発展させた諸科学のうち、自然科学的知見に依拠した新興諸科学であり、精神薄弱者の生活の在り方に関係した領域である社会学・社会事業、心理学、精神医学が提起した社会的不適論およびその典型としての精神薄弱の範疇化と優生学との関係について、その理由と動機、精神薄弱と対極にあった理想的人間像、社会的認識を中心に検討した。1910年代のアメリカの精神薄弱学説は基本的には家系説と社会的脅威論から構成されたが、生活実態としてはそれに反する事実が明示され始める時期であった。新興諸科学は、20世紀初頭には精神薄弱問題の社会的重要性を高めることに貢献したが、同時に、相互には共存・拮抗関係をもちつつ、科学としての自律性の確立と社会的認知を緊要な課題としてもいた。それゆえ、新しい技術を開発し、それを実地化して、各領域の社会的存在意義をアピールした。また、諸科学は、アメリカの国家としての国際的競争という社会的現実を意識して、それに勝利するためのアメリカ民主制社会の理想的市民像とそれを阻害する対極として精神薄弱を設定したのである。かくして精神薄弱は発生を防止されるべき存在となった。この時期に展開しはじめた新しい人間観や専門技術は普遍化されず、社会的効用の違いによって二元的に利用され、精神薄弱はその適用から除外されることになった。
著者
進藤 雄三
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.401-412, 2004-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
43

本稿の課題は, 現代社会における「個人化」現象が「医療」領域においてどのように顕現しているのか, そしてそれがいかなる社会学的含意を持っているのかを暫定的に素描するところにある.この目的にそって, (1) まず「個人化」概念の意味を確認し, (2) 次に「医療」領域においてそれが具体的にどのように現れてきているのかを, インフォームド・コンセントと自己決定医療, 遺伝学のインパクトという2つのトピックを素材に例証した上で, (3) それを「個人化」の2つの側面-選択と強制-と関連づけて整理し, (4) 最後に医療における「個人化」がいかなる社会学的含意を持つのかを検討する.「個人化」概念は「近代化」概念と切り離しがたく結びついて理解されてきた.現代において再度「個人化」が「問題」としてクローズァップされてきた背景はどこにあり, 古典的近代と現代における「個人化」はいかなる意味において質的に異なるといいうるのか, その問いに対する回答の一端を現代の「医療」状況において浮き彫りにすること, それが本稿のねらいである.
著者
奥平浪太郎 著
出版者
開新堂
巻号頁・発行日
1893
著者
トドハンター 著
出版者
東京数理書院
巻号頁・発行日
1881