著者
権丈 善一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.75-106, 2000-04-25

多くの社会科学研究には,問題設定をした瞬間に,ある程度結論が決まっているような側面があり,結論をどの方向に持っていくかということは,問題設定というスタート地点に強く依存している。社会保障研究は,少子・高齢化社会危機論という問題設定からスタートすることが多く,この立場から,社会保障の研究をスタートすれば,分析を待たずとも,結論は自ずと見えてくる。しかしながら,少子・高齢化社会危機論には,いくつかの事実誤認に基づくものがある。ここでは,その事実誤認を指摘する。とともに,少子・高齢化社会の社会経済問題は,資源の量が絶対的に不足して,日本国民の生活水準を低下させるというようなマイナス・サム社会の分配問題ではなく,わずか1%未満の経済成長を持続することができれば,プラス・サム社会のなかでの分配問題となることを論じる。ただし,この分配問題を解決するさいに,どうしても制度改革が必要となるし,租税・社会保障負担率は高くなる。日本の統治者たちは,この変化を国民に受け入れさせるために,危機論のキャンペーンをはるという政治手法をとってきたようである。だが,その手法は行き詰まりをみせている。そこで結論として,この政治手法の他の手法,すなわち,国民の制度不信を払拭する努力を行い,制度への信頼を高めながら,制度改革,租税・社会保障負担率の引上げを実現していく方法もあることを論じる。そして,所得保障,医療保障などについて,その具体的な方法に若干触れる。なお,ここでは結論を導き出すために,次のような議論を展開している。それは,経済学者・人口学者の予測能力を過信してはならないこと,"公平"というような多義的な価値規準に,絶対的でユニバーサルなものは存在せず,これはそれぞれの社会の成りたちと不可分な形で考えるべきであること,さらに,経済学に登場する利己的な合理的個人のモデルを鵜呑みにした公共政策を実行すれば,政治家をはじめとした日本の統治者たちは,国民からの支持を失う可能性があること,などである。
著者
大塚 益比古
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1212-1213, 2000-10-20
被引用文献数
2 1
著者
宇津 徳治
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.613-614, 1988-12-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
原田 直樹 本島 彩香 五十嵐 和輝 野中 昌法
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.613-619, 2015-10-15 (Released:2015-10-29)
参考文献数
17

2012年に桑の葉茶から100Bq kg-1を超過する放射性セシウムが検出された。これを受け,本研究では二本松市内の桑園でクワにおける137Csの濃度分布を調査した。その結果,食用となる先端から30cmまでの上位葉において下位葉より137Cs濃度が高いこと,樹幹の表面に放射性核種が偏在していることなどが明らかとなった。また,樹幹へのカリ液肥の散布は,食用とされている上位葉(0~30cm)の137Cs濃度を有意に低下させたが,実用技術とするには不十分と判断された。
著者
大堀 淳
出版者
FIT(電子情報通信学会・情報処理学会)運営委員会
雑誌
情報科学技術フォーラム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.319-320, 2009-08-20

本発表では,コンパイラを系統的に構築することを可能にする証明論的な枠組みを提案する.本枠組みでは,ソース言語,ターゲットの機械語言語,さらにコンパイル段階に現れる中間言語は,すべて,論理学の証明システムとして表現され,コンパイルの各段階は,それら証明システム間の証明変換として表現される.さらに,それら証明システム間の証明変換は,証明システムのカット除関係を保存することを示すことができる.この表明論的枠組みは構成的であり,証明システム間の変換が可能であると言う性質の証明から,対応するコンパイル段階を実現するアルゴリズムが抽出できる.このアルゴリズムは,その構成方法から,型と操作的意味を保存することが帰結する.
著者
青木 望美
出版者
関西法政治研究会
雑誌
法政治研究 (ISSN:21894124)
巻号頁・発行日
pp.45-78, 2015

Great East Japan Earthquake (March 11, 2011) resulted in the serious accident of Fukushima I Nuclear Power Plant. Since this gave rise to the influential possibilities of radiation exposure, Japanese government ordered a series of evacuation instructions. This article aims to examine the significance of all the reaction related to the spatial establishment, made allowance for the fact that the radioactivity in evacuation zone entails necessarily the influence on human being as well as environment itself. Concretely first the establishment and reorganization of evacuation zone will be arranged in chronological order, thereafter argument regarding a criterion of the low level radiation will be outlined. Second comparing to so-called Chernobyl Law as a similar case in Fukushima Pref., Japanese state-practice will be relativized to the recommendation of the UN special rapporteur. Finally the individual reaction in the outer areas of evacuation zone in terms of the low level radiation will be examined.
著者
澤辺 智雄
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本年度に得られた成果は以下の通りである。I.ウニ・アワビ消化管由来アルギン酸分解菌の種構成と分解特異性エゾバフンウニ消化管から分離したアルギン酸分解菌はその一般性状からVibrio属と同定されたものが大半を占めていたが、代表株についてDNA-DNA相同性を測定した結果、少なくとも2菌種以上が混在していることが明らかとなった。一方、エゾアワビ消化管から分離したアルギン酸分解菌は非運動性のVibrio属類似細菌が主体をなしていた。これらの菌群は16SrDNA塩基配列による分子系統解析およびアルギン酸分解性Vibrio属標準株とのDNA-DNA相同性を測定した結果、Vivrio属の新種であることが明らかとなった。また、ウニ消化管由来アルギン酸分解菌のアルギン酸分解特異性はアルギン酸を構成するpolyMおよびpolyGいずれのホモポリマーとも分解する菌株が30%以上を占めているのに対し、アワビ分離株ではpolyGブロックに対する分解性の強い菌株が30-70%占めていた。ウニ自体はアルギン酸分解酵素を分泌しないことから、消化管内細菌がアルギン酸分解の大部分を担っていると考えられた。一方、アワビはpolyM特異的な分解酵素を分泌することから、アワビ消化酵素で分解されにくい部分を分解する消化管内細菌が定住していることが示唆された。II.アルギン酸分解酵素の特性ウニ由来アルギン酸分解菌代表株Ud10株は基質特異性を示さないNaCl要求性の強い酵素を誘導的に産生していた。一方、アワビ由来アルギン酸分解菌A431株はpolyG特異的分解酵素以外にも、基質特異性の異なる6種類以上の酵素を産生しており、その中でpolyMに強い特異性を示す分解活性画分およびpolyGに強い特異性を示す分解活性画分の部分精製物について酵素化学的性状を調べた。それぞれの画分の至適反応温度は40℃および30℃と異なっていたが、至適反応温度(pH7.5)および塩類の要求性(100mM NaCl)は同様の性質を示した。
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.1347-1382, 1965-07-01 (Released:2010-10-12)
被引用文献数
1
著者
生瀬 克己
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.325-342, 1997-03-15
被引用文献数
1
著者
澤 宣成 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2011-GI-26, no.3, pp.1-8, 2011-06-24

将棋における棋風を形成する要素に関する統計的分析
著者
高橋 亜希子
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.293-303, 2003-03-10

In the revised version of the course of the study, "the student's capability to set up their own tasks" has become the central subject of discussion, This study examines the student's theme setting and discusses its educational implications for thematic learning. The purpose of this study is on how students seek their own interests at the initial stage of their thematic learning. The data was collected in a high school, using questionnaire distributed among 110 students, the observation of the teacher-student discussions, and the interviews with students.
著者
谷 聖一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.606-615, 2015-11-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
16

中等教育課程にある生徒を対象とした国際科学オリンピックの1つである国際情報オリンピックが,2018年に日本で開催されることが決まった。日本国内では,情報オリンピック日本委員会が国内大会の運営や日本代表選手選抜などを行っている。情報オリンピックの概要および情報オリンピック日本委員会の活動を紹介する。