著者
磯山 恭子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,市民のための法教育のあり方を考える基礎的研究である。本研究は,市民の紛争解決の意識・能力の育成を目指した法教育の理論と実践を多面的に分析し,小・中学校の法教育のカリキュラムを構想するために必要な視点の提出を試みた。その際,アメリカの「法教育」(Law-Related Education)を先行モデルとして取り上げた。さらに,小・中学校における紛争解決の意識・能力の育成を目指した法教育の授業を開発し,考察を行った。
著者
滝澤 修 山村 明弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.320-323, 2004-01-15

視覚復号型秘密分散法の考え方を自然言語テキストに適用した新しい秘密分散法を提案する.提案手法は,日本語テキストを対象とし,複数枚の分散テキスト(share text)を重ね合わせて,上層から下層に読んでいくと,その文字列の中に秘密テキスト(secret text)が現れるようにするものである.重ね合わせて得られた文字列の中から秘密テキストを抽出する際には,意味を持たないフレーズが1文字の形態素の連鎖になる割合が多い性質を利用して,形態素解析器を使用する.Modifying the idea of the visual cryptography, we propose a method of sharing a secret key using natural language texts. When a certain number of participants retrieve the secret key, they supply their shares and pile up these natural language texts. The sequence of the first, second (and so on) letters occurred in the pile shows the secret text. We aim to construct a natural language text secret sharing scheme employing a morphological analyzer because a meaningless phrase is a chain of morphemes consisting of one word with a high probability.
著者
北村 浩康 安倍 秀明 亀岡 浩幸 中山 敏 山下 幹弘 岩尾 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.149, pp.101-105, 2007-07-12
参考文献数
2

非接触充電回路で使用していた自励式1石電圧共振型インバータ回路を, DC5V, 5Wを入力とした誘導加熱システムに適用した。しかし入力電圧が低いため,回路損失が大きく加熱電力が不足した。対策としてスイッチング素子のターンオフ制御用トランジスタの入力にバイアス電圧をかける方法を考案し,簡素な回路構成を維持したまま加熱効率の向上ができた。
著者
田中 孝也
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的はin vitro,in vivoの実験系を用いて,TNF-a,TNF-a+actinomycin D,LPSなどにて誘導されるapoptosisがFAS/CD95系を介さないで発生する可能性、apoptosis発生にNOがどの程度関与しているのか、その際、poly(ADP-ribose)polymeraseはいかなる動態を示すのか、などである。本研究のin vitroにおいて、TNF-a+actinomycin Dにより誘導されるapoptosis発生はNO誘導物質であるSNAPにより、mitochondria呼吸鎖で産生されるROI発生の抑制を介して抑制された。このapoptosis抑制はNOによる直接的なROIのscavenge作用ではなく、cytochrome oxidase 活性の抑制によると考えられた。TNF-a+actinomycin D投与後のdihydrorhodamine123やhydroethidineの酸化がNOにより抑制される機序に関してはNOが直接的にTNF-a+actinomycin Dにより産生されたROIと結合してROIを中和する、NOが酸素と競合することによりcytochrome oxidaseによる呼吸を抑制するなどが考えられた。しかも、ONOO^-の障害作用が何らかの形で抑制されたことが考えられるが、その作用機序に関しては不明である。いずれにしても、NOがmitochondriaにおける呼吸鎖のcomplexI,II,IIIの抑制を制御したことから、NOによるapoptosis発生の抑制がmitochondriaにおける呼吸鎖でのROI抑制によると推察できる。In vivoにおいても、LPS誘発apoptosisを確認した。DNA fragmentationは肝細胞死の数時間前にALTの上昇と同じように出現したことから、LPSによる肝障害の初期はapoptosisが主体である可能性が考えられる。Fas/CD95は正常の肝細胞でも誘導され、apoptosis発生の必要性に応じてapoptosisを誘導することが知られている。しかし本研究において、Fas/CD95の誘導とは無関係にapoptosisが発生した。本研究においてTNF-a,LPSにてmitochondria内膜障害、NAD^1の減少、ATP減少などに続くpoly(ADP-ribose)polymerase活性の賦活などを認めた。NOの障害性に関して、peroxynitriteはDNAの断片化、poly(ADP-ribose)polymerase活性化を促進し、細胞内エネルギー量の低下をもたらすが、NO自体にはその作用が極めて低いと考えられている。DNAはあらゆる障害物質にてたやすく傷害され、poly(ADP-ribose)polymeraseが活性化される。poly(AP-ribose)polymeraseの活性化は細胞内エネルギーを消費し、NAD^+の低下などが発生するため、その程度が高じると細胞障害を増長すると考えれる。
著者
池田 証寿
出版者
北海道大学国語国文学会
雑誌
国語国文研究 (ISSN:02890488)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.1-16, 1986-03

奈良時代末期に成立した音義書である小川本新訳華厳経音義私記について、華厳経本文との比較を踏まえて、先行音義である慧苑の華厳経音義と邦人撰述の大治本新華厳経音義の掲出語句と比較し、この資料の性格を、注釈書的性格、音義的性格、辞書的性格の3点から分析した。
著者
永井 彰 吉田 麗生 諸橋 玄武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.114, pp.147-152, 2010-06-24

本稿では, 部分一致検索可能暗号の実装方法を検討し,実装を行った結果を報告する.部分一致検索可能暗号は内積述語暗号から構成するため,内積述語暗号の実装評価からその評価が可能である.しかし,内積述語暗号ではベクトルの次元が演算時間に大きく影響を与えてしまい,演算時間の評価はケースごとになってしまう.そこで内積述語暗号の下位演算と演算回数から計算時間を見積もり,その結果と,実測値と比較を行った.これにより,曲線によっては演算回数からおおよその検索時間を見積もれることがわかった.
著者
東 美幸 松本 羊子 亀井 勇統
出版者
佐賀大学
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.21-28, 2003-07-31

紫外線照射により引き起こされる肌の色素沈着(シミ・ソバカス)を予防、改善する美白化粧品の開発を目的とし、マウスB16メラノーマ細胞を用いたメラニン合成阻害試験において、強いメラニン合成阻害活性を示した紅藻カイメンソウ(Ceratodictyo spongiosum)の水溶性画分について、各種クロマトグラフィーによる活性物質の分離・精製を試みた。活性物質の抽出法の検討の結果、カイメンソウは、オートクレーブ熱水抽出において、最も高い活性を示した。また、カイメンソウの水溶性画分は、既知のメラニン合成阻害物質であるアルブチン、アスコルビン酸並びにコウジ酸よりも明らかに高いメラニン合成阻害活性を示した。さらに、限外ろ過の結果から、既知のメラニン合成阻害物質が比較的低分子であるのに対し、紅藻カイメンソウ由来のメラニン合成阻害物質は、高分子であることが示唆された。分離した部門精製メラニン合成阻害物質もまた、比較に用いた既知物質アルブチン以上のメラニン合成阻害活性を示した。以上のことより、紅藻カイメンソウ由来の水溶性活性物質は、新規美白剤としての応用に有望であることが示唆された。
著者
板舛 尚樹 本多 透 岡 夏樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

人間は過去の経験を利用して未来の状態を予測し、現在取るべき行動を決定していると考えられる。また、近い未来だけでなく、遠い未来を考慮して行動決定を行う場合が多々ある。本研究では近い未来の予測を繰り返すことによって、遠い未来の予測を行い、その予測情報を行動生成に利用する手法を提案する。提案手法を小型ロボットが物体を押して運ぶという実機実験に適用し、予測情報が行動生成に与える影響について考察する。
著者
末松 芳法 OROZCOSUAREZ DAVID OROZCO SUAREZ David OROZCO SUAREZ David
出版者
国立天文台
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

太陽表面で見られる活動現象の大部分は太陽に存在する磁場に関係して起こっている。黒点は強い磁場が存在する場所として良く知られており(活動領域)、フレアなどの爆発現象が起こる場所に対応している。一方、黒点以外の場所(静穏領域)にも強い磁場は存在し、機械的エネルギーがこの磁場を介して外部のコロナに輸送されコロナが一般に100万度以上の高温になる原因と考えられている。但し、どのような機構でエネルギーが外部に運ばれているかは未解明の大問題である。また、対流と磁場の相互作用としての未解明のダイナモ機構に関連する極めて重要な電磁流体現象を提供している。本研究は太陽磁場、特に地上では観測の難しい静穏領域の磁場の性質を詳細に調べることでこの謎解明に迫るものである。太陽静穏領域の磁場はネットワーク構造をしており、超粒状斑と呼ばれる直径約3万kmの対流セルの境界に集中して存在することが知られている。個々の磁気要素は激しく変化しており、数時間の時間スケールで入れ替わっていることが予想される。超粒状斑内の浮上磁場、その対流運動による超粒状斑境界への輸送、境界磁場との融合消滅過程を経て、更新が行われていると考えられる。これらの静穏領域の磁場の性質の研究が進んできたが、まだ統一的な見解は得られていない。このため、太陽観測衛星「ひので」の高精度磁場観測を実施し、静穏領域で太陽中心角の異なる4つのフォトンノイズの小さいデータを用いて磁場の傾きを調べた。視線方向磁場に対応する円偏光成分と、視線に直角方向の成分に対応する直線偏光成分には、太陽中心角の大きな依存性があり、水平成分が卓越していることを示した。この結果は、磁場は等方的ではなく、小さなループ構造で多く存在していることを示唆している。太陽中心角に依らず、磁場強度は平均で180ガウスとなり、以前のハンレ効果を用いた結果と同様の強い磁場が得られた。更に、積算により非常にフォトンノイズを小さくした「ひので」の偏光データを解析した結果、直線偏光のみからなる磁場が70%近くを占めることが示され、磁場の傾きが水平方向に卓越していることを強く支持する結果を得た。
著者
李圭建 小西 達裕 高木 朗 白井 克彦 小原 啓義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.1223-1234, 1994-07-15
被引用文献数
11

本論文では、日本語を母国語としていて、韓国語を学習しようとする学習者が作文演習を行うことを支援する日韓作文演習用知的CAIにおける誤文解析および指導戦略について論じる。日本語と韓国語は語順、文構造が同じであるなど文法的類似性が高い。そのため墓本的な作文の指導法として、日本語の単語を韓国語の単語で直接置き換えさせることによって作文させることから始めることにした。この方法には作文において繁雑な文法説明を行わなくても、ただちに学習者が能動的に学習を行うことができるという利点がある。しかし、この指導法だけでは正確な文にならない場合もあり、学習者にとって学習が困難な部分となる。誤りは両国語の文法の相違点に多く生じるため、それらの部分にきめ細かい教育を行うようなシステム設計を考えるぺきである。本論文では、この指導法における学習者の作文過程と文法の柏違点に巻目し、誤り原因の同定に必要な知識を3つに分類した。(1)表層文字列変形知識。(2)構文構造変形知識。(3)日韓意味対応関係知識。それに基づき、これらの知識を用いる誤文解析手法、誤りに対する指導戦略等を提案した。また試作システムを構築し、その有効性を評価した。
著者
樋口 貴広
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,視覚情報が利用できない条件でも,より正確に空間を移動できる歩行方略を検討するため,視覚情報を一時的に遮断した状況下での歩行中の空間認識,および歩行動作特性について検討した.歩行中に視覚情報が利用できず,記憶を頼りに障害物をまたぐ課題(回避課題),および障害物があると思う位置で立ち止まる課題(到達課題)の2つの課題において,障害物位置の認識の正確性を比較検討した.その結果,その結果,課題間で僅かな違いが見られたものの,いずれの課題においても実際よりも手前の位置に障害物があると認識していることがわかった.
著者
西川 雅章 岡部 朋永 武田 展雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.75, no.751, pp.287-295, 2009-03-25

A numerical simulation was presented to discuss the microscopic damage and its influence on the strength and energy-absorbing capability of short-fiber reinforced plastic composites. The dominant damage includes matrix cracking and/or interfacial debonding, when the fibers are shorter than the critical length for fiber breakage. The simulation addressed the matrix cracking with a continuum damage mechanics model and the interfacial debonding with an embedded process zone (EPZ) model. The fictitious free-edge effects on the fracture modes were successfully eliminated with the periodiccell simulation. The advantage of our simulation was pointed out by demonstrating that the simulation with edge effects significantly overestimates the dissipative energy of the composites. We then investigated the effect of the material microstructure on the fracture modes in the composites. The simulated results clarified that the inter-fiber distance affects the breaking strain of the composites and the fiber orientation angle affects the positions of the damage initiation. These factors influence the strength and energy-absorbing capability of short fiber-reinforced composites.