著者
青木 陽二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.469-474, 2001-03-30
参考文献数
94
被引用文献数
1 3

風景や景観を表題にする著作が近年になって多くなった。これは風景というものに対する興味が人々に現れた結果であると考えられる。明治以降に出版された風景や景観を表題などに含む本について, 風景という現象に対する理解がどのように変遷して来たかについて調べた。その結果最初は人間の外界にある現象だと思われていたが, 次第に人間の心に生ずる特別な現象であることが理解されるようになった。人間の五感を通した大脳の機能による現象であることが指摘されるようになり, これをもたらしている景観体験について, 時間の長さを変えて, また気候や文化などによる影響について明らかにする必要が分かった。
著者
志田 さや香 柴田 裕一郎 小栗 清
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.2, pp.25-30, 2008-01-16

リコンフイギヤラプルマシンでは,CPUとFPGA間のデータ転送がボトルネックになることが多く,転送時間の短縮が求められている.このためSRC-6のDMA転送は複数のオンボードメモリにインタリーブしながらストリーミング処理することが可能となっている.しかし,FPGAの資源制約が大きなアプリケーションでは,インタリーブの前処理としてCPU上でのデータ並べ換えを行う必要がある.本稿では,そのオーバーヘッドを評価し,トレードオフポイントを明らかにした.その結果,1データ列あたり150KB以下の演算を扱う場合,CPU上で並べ換えをした後インタリーブしながらストリーミング処理を行うことで速度向上が実現できることを示した.DMA transfer between a CPU and an FPGA often becomes a bottleneck of current reconfigurable machines. To mitigate this problem, the DMA transfer of SRC-6 supports streaming processing with a on-board memory interleave. However, as a preprocessing of the interleave, the CPU must reorder the data for applications with severe FPGA resource constraints. This paper empirically evaluates this overhead to reveal the trade-off point. The results show that the speedup is achieved by interleaved streaming DMA when FPGAs treat 150 KB or lower of data per stream.

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巻号頁・発行日
vol.籠太鼓,
著者
山岸 俊男 渡部 幹 林 直保子 高橋 伸幸 山岸 みどり
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.206-216, 1996
被引用文献数
2

An experiment was conducted to test three hypotheses concerning effects of social uncertainty and general trust on commitment formation, hypotheses derived from Yamagishi & Yamagishi's (1994) theory of trust. First two hypotheses were supported, while the last one was not. First, increasing social uncertainty facilitated commitment formation. Second, low general trusters formed mutually committed relations more often than did high trusters. Finally, the prediction that the effect of general trust on commitment formation would be stronger in the high uncertainty condition than in the low uncertainty condition was not supported. Theoretical implications of these findings for the theory of trust advanced by Yamagishi and his associates are discussed.
著者
吉開 範章 山岸 俊男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CSEC, [コンピュータセキュリティ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.79-86, 2007-07-19
参考文献数
20

グローバル化とネットワーキングの流れの中で、余り知らない相手に対する信頼判断により、自身の得る利益あるいは損益が大きく左右されることが多くなった。このような社会的不確実性を低減させ、ネットワーク社会上で安定した活動を実現するためには、相手との間に存在する情報の非対称性を無くし、情報共有する環境を実現することが必須である。最近、マスコラボレーション、マルチメディア情報検索、SNSなどの情報共有のためのICTツールが実現され、情報開示による「情報の透明性」が極度に向上してきたが、人の信頼評価、あるいは、グループ内における人の機能や相互関係に関する考察が十分とはいえない。本稿では、Webにおける情報の透明性を実現する仕組みについて、まづ概要を説明し、さらに、主要課題として信頼評価のための評判システムとソーシャルネットワーク分析を取り上げ、それらについての実験を踏まえた検討結果の報告と、今後の検討課題を述べるものである。
著者
福岡 義之
出版者
熊本県立大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、50歳代の中年11名を対象に、運動トレーニング(スタンダード・トレーニング)を90日間実施し、そのトレーニング効果についてエネルギー代謝系の応答動態(kinetics)から検討した。以下が本研究で得られた新たな所見である。1.スタンダード・トレーニングによって最大下運動での酸素摂取量(VO_2)kineticsの改善は、トレーニング初期(7日目)に出現し、トレーニング30日以降ほとんど変化しなかった。VO_2kineticsは若年者のそれとほぼ一致し、50歳代の中年者のエネルギー代謝能力はトレーニングによって若年者のレベルまで回復することが明らかとなった。2.スタンダード・トレーニングに伴うVO_2の応答速度の変化は、最大運動時の最大酸素摂取量(VO_2peak)のそれよりも先行して出現した。しかし、最大運動でもトレーニング後期にはトレーニング前よりも有意な改善が、運動強度、換気量、酸素摂取量、および乳酸の最大値でみられた。3.心拍応答(HR kinetics)はトレーニングに伴って短縮し、中心循環機能の改善はみられ、トレーニング初期にはHR kineticsがVO_2kineticsに反映されたと考えら得る。しかし、トレーニング終了時のT90においてHR kineticsは若年者のレベルまで回復するには至らなかった。以上のことから、中高年者の運動トレーニングによってトレーニング初期にエネルギー代謝能はすでに変化がみられ、この変化は最大運動時の最高値あるいは最大下運動での定常値よりもむしろエネルギー代謝系等の非定常状態の動特性によって鮮明に定量化できた。動的な生理学的な応答は非常に感度のよい指標であることが明らかとなった。
著者
中村 哲也 丸山 敦史
出版者
共栄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では、わが国における生鮮果実・果実加工品の海外販路拡大に関して、計量的かつ実証的に分析した。分析の結果、下記の諸点が明らかにされた。第1章では、栃木産にっこりととちおとめが、香港やバンコクの如何なる購買層に評価されるのか、プロビットモデルを推計し、考察した。まず、香港・バンコクにおける国産ナシ品種と国産イチゴ品種の認知度は非常に低かった。今後、栃木産にっこりととちおとめ輸田する際は、輸田専用パッケージ等による品種のイメージアップを図る必要があるだろう。そして、とちおとめは香港では大きさが、バンコクでは香りが評価された。そして、にっこりは中高年層に、とちおとめは女性に評価が高かった。最後に、香港でのにっこりの価格は中国産ナシの4倍、バンコクでのとちおとめの価格はタイ産イチゴの7倍の価格差があった。そして、香港ではにっこりは8割弱が、とちおとめも7割弱が、調査当日の小売価格または若干高くても購入するという回答が得られた。ただし、バンコクでは8割弱が、調査当日の店頭小売価格ならば購入しないという結果となった。そして、プロビットモデルの推計結果から判断するならば、今後の香港でのとちおとめ輸田は、中高年層をターゲットとし、食味評価の高い女性を如何に購買層に取り入れるかが輸出拡大のカギとなるだろう。第2章では、伊勢丹スコッツ店における栃木産巨峰の輸出動向とその来客の消費意識について考察した。同店において、日本産ブドウの評価自体は非常に高いが、栃木産巨峰の低価格性が求められた。ただし、日本人客の多い同店のようなケースでは、高価な日本産巨峰は安価なオーストラリア産と棲み分けられていた。シンガポール人の味覚や安全性の拘りも日本人とは異なっているのだが、シンガポール人による日本産巨峰の評価は非常に高い。そのため、今後の輸出は、早急に価格改定するというよりは、脱粒(巨峰の粒が茎から落ちること)・茎枯れ(鮮度が落ちて茎が枯れる)しないといった鮮度の向上や種なし巨峰販売といった手法で、ターゲットとする販売層(消費者層)を明確に意識したマーケティング活動が不可欠となるだろう。そして、同店の栃木産巨峰の販売拡大のカギとなるのは、日本人以外の巨峰購入のリピーターを如何にして拡大するかにかかっている。同店は、日本人客も比較的に多いのであるが、実際に購入回数が多い客は日本人が圧倒的に多く、大
著者
飯島 幸人 浜田 悦之 鈴木 裕 荒井 郁男 鈴木 務 林 尚吾 大津 皓平
出版者
東京商船大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

船舶の知能化に関連する分野は極めて広く, ただ単に船舶自身が知能を持つだけでは安全なる運航はできず, 陸上からの支援や, 海図データ, 海気象データなど数多くのデータの収集と伝送などが必要となる. 本研究ではまず船舶自身の知能化に関する基本的問題を研究し, 大よその指針を得ることができた. 本研究は1988年オーストラリアで開催されて国際航法学会で発表され, 世界中から注目されるところとなった. また航海, 特に知能化無人航行に必要であるディジタル海図, いわゆる電子海図については, 海岸線や等深線までの距離計算の高速処理のためには海図データのフォーマットを緯度経度表示ではなくラジアン表示の方が良い. また, レーダ映像との比較には大圏図法で行うべきだが高速処理には特に高精度を必要としないなら漸長緯度図法の方が良い. 高度知能化船では, 海象気象情報は正確で高精度であることが要求されるが, 海洋観測衛星(MOS-1)の現状の性能では不充分である. MSRアンテナパターンと偏波回転によるひずみ補正の基礎的研究を行った. その結果偏波回転の影響を補正した上で逆フィルタをかければ, 沿岸部や島などにおいてメインローブのみの画像を上回る分解能が得られ, しかも海域の輝度温度もメインローブのみの画像に近いものとなった. これらを総合した実験は, 実験規模の制約から一部の実験にとどめたが初期の目的は達成できた. 今後, 海運界と造船界では現状の改革の面から知能化少人数船の建造要求は強くなり, 研究が盛んになると思われるが, その際本研究がその基礎をなすものとして大いに参照されることと思われる. しかし研究は完成したものではないので, かえって残された問題や今後鋭意研究しなければならない事項が数多く浮上してきているので, さらに一層の研究を続けていく予定でいる.
著者
小島 康夫 安井 洋介 折橋 健 寺沢 実 鴨田 重裕 笠原 久臣 高橋 康夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.337-341, 2006-10-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
38
被引用文献数
3 4

東京大学北海道演習林では, 積雪期にエゾシカによる激しい樹皮剥ぎが発生し, おもに小径の樹幹が剥皮される。この演習林では, イタヤカエデ, イチイ, イヌエンジュ, ウダイカンバ, エゾマツ, オヒョウ, シウリザクラ, シラカンバ, ハリギリ, ハルニレ, ミズナラ, ヤチダモが森林施業や保全の上で重要である。われわれは, これら12樹種小径樹幹の内樹皮成分を分析し, 各成分とエゾシカの樹皮嗜好性との関連を検討した。エゾシカはイヌエンジュに対して低嗜好性を示したが, この樹種はアルカロイドを含む唯一の種であった。他の11樹種に関しては, エゾシカの樹皮嗜好性に対して灰分含有割合が正の, 酸性ディタージェントリグニン含有割合が負の関係をそれぞれ示した。