著者
福島 昭治 鰐渕 英機 魏 民 森村 圭一朗
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.451-455, 2006-06

膀胱発癌物質であるBBNによる実験的につくったマウスBBN膀胱癌,砒素膀胱癌の本態,チェルノブイリの原子力発電所事故による放射能汚染地区住民に発生した膀胱病変について概説し,ハイリスクな膀胱癌の自然史を鳥瞰的に解説した.マウスBBN膀胱癌ではp53は癌のプロモーション,プログレッション過程に重要な役割を担い,浸潤性膀胱癌は多中心的に発生する.有機砒素のDMAはラットに膀胱癌を発生させるが,ラット膀胱癌におけるp53変異は発癌物質によって異なる.チェルノブイリ膀胱病変は持続的な放射能曝露によるもので,p53異常や酸化的ステレスの関与,ユビキチンシステムの亢進がみられる
著者
岡部 晋典 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.1105120030-1105120030, (Released:2011-05-20)
参考文献数
43
被引用文献数
1 2

本稿ではオープンアクセス運動の契機となったBudapest Open Access Initiative(BOAI)について分析し,これがどのような意図のもとで公開されたか調査した.まず,BOAIを提唱し,オープンアクセス運動を支援している財団であるOpen Society Institute(OSI)と,その設立者であるGeorge Sorosについて紹介し,彼らの思想的根拠であるKarl R. Popperの提唱した「開かれた社会」概念について概観した.また,BOAI中にその思想が影響していることを明らかにした.次に,オープンアクセス運動に関連する文献群中でのPopperおよび「開かれた社会」への言及状況とBOAIの受容状況の定量的計測から,オープンアクセス関係者の間での「開かれた社会」関連思想の認知状況を検討した.その結果,OSIは「開かれた社会」という政治思想の実現を目的にオープンアクセス運動に関与しているにもかかわらず,他のオープンアクセス運動関係者はこの思想の存在には言及していないことがあきらかになった。
著者
竹久 達也 野川 裕記 森井 昌克
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.337-342, 2011-10-12

仮想化技術は,仮想マシン(VM)を管理するソフトウエアとその関連ソフトウエアにより実現される.仮想化技術の利用者が,仮想マシン(VM)を利用する際,利用している仮想マシンモニタ(VMM)が信頼できるかどうかを検証する手段はない.仮に,悪意のあるサービス提供者が改ざんしたVMMを提供し,そのVMMの上で利用者がVMを動作させた場合,ユーザの意図しない情報流出が発生する可能性がある.本論文では,VMMにおいてVMのAESの暗号鍵を盗むことが可能であることを示し,さらに,暗号鍵盗難の対処法について述べる.
著者
越山 健治 室崎 益輝
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.89-96, 1995-11

【研究の背景】 平成7年1月17日未明に阪神・淡路地区を襲った大地震は、死者5千人以上、全壊家屋約10万という戦後最大の大惨事となった。地震動・火災により多くの家屋が使用不可能になり、直後には避難所がパンク状態になった。ライフラインは大きな被害を受け、交通網も遮断され情報が入らず、被災地の状況は混乱を極めた。近年にない都市直下型地震であったため、様々な対策が後手後手を踏むこととなり、結果的に被災者の人たちに厳しい長期間にわたる避難生活を余儀なくすることになった。今回特に避難空間の供給方法が問題化した。避難所・応急仮設住宅という従来の供給システムも、あまりにも大きな規模のため限界が顕在化した。市街地内に空地が不足し郊外や臨海部に何千という超巨大な仮設住宅団地を建設することとなり、周辺環境をも一変させてしまった。都市部においても公園や学校のグラウンドなど公共空間が仮設住宅用地となった。このような大きな被害において、住宅復旧システムをいかに体系化していくかが今後の課題であるが、今回の地震における問題点を改めて確認し、被災者の生活救済のための応急対策の迅速かつ的確な対応を確立することが急がれる。 【研究の方法】 本調査は神戸市を中心に、1次・2次発注で建設された応急仮設住宅がある周辺7市において、アンケート調査を実施した。調査項目は、主に被害程度・避難移動形態・仮設住宅の住居環境・今後の住宅再建への希望等である。このアンケートにより今回の応急仮設住宅の供給方法を過去の事例と比較しながら、今後の震災復旧対策のあり方を検討するものである。 【研究の概要】 本研究で明らかになった主要なことは以下の点である。1. 住宅被害の中で長屋建てや集合住宅の被害が大きく、自力による早期住宅復旧が困難な状態にある人が多い。どうしても応急仮設住宅に頼らざる負えない。2. 仮設住宅団地の立地場所が郊外や臨海部になると生活上不便になり、大規模化・画一化が顕著になり、各戸の孤立性が高くなり特に高齢者には厳しい環境となる。3. 仮設住宅の性能上の問題では、今回特にユニットバスを備え付けたが、使用上の問題点が多く聞かれ特に高齢者・障害者の人には不評であった。4. 今後の住宅希望では、公営住宅への期待が大きい。旧住所との関係やコミュニティーの形成などを考慮して計画していかなければならない。
著者
堂寺 知成
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.16-23, 2009
参考文献数
68

ソフト準結晶が近年話題になっている.この小論では,まずソフト準結晶創成には多元系,複雑分子を用いるなど5回対称クラスターや新たな長さスケールの導入が必要であることを計算機実験の立場から論じた.また,高次元結晶学を解説し,準結晶探索には近似結晶探索が鍵となっていることを記した.準結晶の起源論には2つあり,エネルギーとエントロピーの2つの立場があるが,エントロピー説に関連して準結晶特有のフェイゾン乱れを解説した.さらに,ABC星型高分子系のタイリング構造を説明し,格子高分子の計算機実験の予測を経た高分子準結晶発見への道筋を解説した.最後に,フェイゾン動力学の考慮も準結晶探索には重要な要素になっていることも論じた.
著者
島田 貴史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.316-324, 2011 (Released:2011-09-01)
被引用文献数
3 1

慶應義塾大学で平成22年度から行われている電子学術書利用実験プロジェクトに関する,図書館の実務担当者による私的な中間報告。同実験は,学術出版社や協力企業と共同で,電子化した学術書(和書)を学内に提供する実証実験を行い,大学図書館に対して学術書を中心とする電子書籍を提供するモデルの可能性についての検討を行っている。同実験プロジェクトの意義や目的,特徴などについて,実験を通してわかってきたことを報告する。特に,学生モニターに対するアンケート調査から見えてきた学生が感じる電子化された学術書のイメージ,大学図書館が電子化を進める必要のある書籍,実験システムを動かしてみてわかった日本語における電子書籍に関する技術的な現状と課題の3点が中心となる。
著者
林 正夫 日比野 敏 本島 睦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, 1982-03-15

原子力発電所の立地拡大策の一つとして, その有効性の評価が行われている。本報告はこれら地下立地における大規模な地下空洞の安定性について, 岩盤力学上の研究成果をとりまとめている。すなわち, (1)空洞の安定性解析手法の適用性と実証性ならびに信頼性(2)空洞形状の最適化による空洞の安定性の向上と今後の設計(3)双設空洞掘削時の周辺岩盤の緩み相互干渉(4)三つの並列した空洞の周辺岩盤の相互干渉(5)岩盤のかぶり深さが空洞の安定性に及ぼす影響(6)軟岩における空洞の安定性(7)三次元解析によるロックストラットの効果の検討(8)想定事故時の内圧による空洞の安定性(9)水平震度による空洞周辺の応力状態である。既往の揚水式地下発電所で得られた岩盤の物性値, 地圧と想定される空洞の大きさを組み合わせて検討した結果, 原子力発電所地下立地における空洞は, 安定に建設が可能であること, およびそのための技術指針となるべき事項がかなり明らかとなったこと, 今後はサイトに応じた詳細検討を行うことになろうことなどを指摘している。
著者
河野 孝央
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

自然の放射性同位元素を含む材料をもとに製作した自然放射能線源を用いて「30 分測定実 習」法を開発した。この方法を円滑に進めるため、線源スタンドやデータシートを作成し、放 射線業務従事者の新規教育や、家庭教育に適用して、有効性を確認した。さらに高校生を対象 にした放射線教育では、分担測定法を併用して「30 分測定実習」法を適用した結果、分担測定 法には受講生の積極的な参加を促すなど、有用な教育効果のあることが分かった。
著者
Ohkuwa Yoshiaki
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
Progress of theoretical physics (ISSN:0033068X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.1058-1067, 1981-03-25
被引用文献数
20

We calculate neutrino velocity in a background gravitational field on the basis of the Weinberg-Salam model and the general theory of relativity. We get an unexpected result which apparently contradicts with the equivalence principle. The neutrino velocity is greater than the ordinary light velocity C for some background metrics. The origin of this effect is that the neutrino, being virtually a pair of e^--W^+ or ν-Z, gets a quantum field theoretical space-time extension and feels tidal force. We discuss the relation between our result and the macrocausality.
著者
MASAHITO OHUE YURI MATSUZAKI YUTAKA AKIYAMA
出版者
Japanese Society for Bioinformatics
雑誌
Genome Informatics (ISSN:09199454)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.25-39, 2011 (Released:2011-08-03)
参考文献数
22

Elucidating protein-RNA interactions (PRIs) is important for understanding many cellular systems. We developed a PRI prediction method by using a rigid-body protein-RNA docking calculation with tertiary structure data. We evaluated this method by using 78 protein-RNA complex structures from the Protein Data Bank. We predicted the interactions for pairs in 78×78 combinations. Of these, 78 original complexes were defined as positive pairs, and the other 6,006 complexes were defined as negative pairs; then an F-measure value of 0.465 was obtained with our prediction system.
著者
東海林 克彦
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 = Genes and environment : the official journal of the Japanese Environmental Mutagen Society (ISSN:18807046)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.121-124, 2005-07-31
参考文献数
7

This article aims to introduce the outline of issue and phenomena of welfare of laboratory animals which is enacted in Law for Welfare and Proper Management of Animals, and to clarify the difference of conception and method between welfare of laboratory animals and experiment using laboratory animals, in anticipation of contributing to its improvement in practice.