著者
齋藤 道彦
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.551-565, 2015-09-30

琉球と台湾で秘密組織として結成された琉球青年同志会は,中華民国軍のために沖縄に駐留する日本軍の情報を収集するスパイ機関だった。日本の敗戦後は,「琉球」(沖縄)を中国に吸収することを目的として活動し,琉球革命同志会と改名,中国国民党中央委員会,外交部などとも直接連絡を取りあっていた。琉球革命同志会などの中心人物は蔡璋であり,同会は中国国民党/中華民国政府の意を受けた「琉球」吸収工作機関だった。
著者
日比野 光敏
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.162, pp.271-295, 2011-01-31

ドジョウは人間にとってたいへん身近な存在である。ドジョウというと子どもたちは,丸い頭と口のまわりのヒゲ,そして丸い尻尾を描くことであろう。大人にとっても,ドジョウすくいなどで親しみ深く扱われてきた。ドジョウ鍋やドジョウ汁,あるいは蒲焼きなどとしてドジョウを食べることも,全国各地で見られた。また,めずらしいと思われるかもしれないが,ドジョウをすしにすることもあった。そのいくつかは,まだ健在である。ところが,その多くは,じゅうぶんな記録もされぬままに,消えてなくなろうとしている。本稿はドジョウずしを取り上げ,これらの正確なレシピを書きとどめることを第一目標とする。筆者はこれまでに,ドジョウ(マドジョウ)のすしを長野県佐久市,愛知県豊山町,滋賀県栗東市,大阪府豊中市,兵庫県篠山市で調査した。また,シマドジョウやホトケドジョウのすしを栃木県宇都宮市で,アジメドジョウのすしを福井県大野市,岐阜県下呂市で調査した。その結果言えることは,ひと口に「ドジョウのすし」といっても,その作り方は一様ではない。それはすしの種類からみても,実に多くの形態に及んでいることがわかった。その上で,ドジョウずしが消えてゆく理由,さらにはドジョウが語るものを考えてみる。ドジョウはほかの淡水魚に比べ,特殊な存在である。体型は,われわれが食べ慣れているフナやモロコとは違って細長い。多くの大人たちが「魚は食べるもの」という情報は知っていても,その姿かたちはフナやモロコのように「魚の形」をしているものであって,ドジョウのように細長いものではない。それゆえ,食べることには,よくも悪くも,抵抗感がある。加えて,子どもたちはドジョウを可愛らしく描く。保育園や学校では,日記をつけて観察させることもある。そんな「可愛い動物」を,なぜ食べなければならないか。ドジョウを食べることは,罪悪感まで生み出してしまう。かつては,自然に存在するものすべてが,われわれの「餌」であった。ドジョウだって同じである。ゆえに,自然に対して感謝したり恐れおののいたりする崇拝まで生まれた。だが,現在はどうか。自然に対する畏敬の念が,子どものみならず大人でさえも,なくなってしまった。結果,ドジョウは「可愛いもの」,もしくは逆に「普通の魚とは違う,異様な魚」となり,少なくとも「食べる存在」ではなくなってしまったのではあるまいか。ドジョウずしが消えてしまった原因は,あくまでも人間が作り出したものである。ドジョウは,静かにこのことを物語っているのではないだろうか。
著者
飯野 智子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:21896364)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.45-62, 2016-03-20

オタク文化とカフェが融合したメイド喫茶は、若い女性の商品化という意味で、従来のジェンダー役割を逸脱するものではない。しかし、執事に扮した男性がサービスするカフェでは、女性客が男性を鑑賞する。さらに男装の女性がサービスするカフェは、男女ともに利用する。メイド喫茶のような女性性を商品としたものに対して、市場規模は小さくとも、多様な需要に応えるべく、様々なコンセプトカフェが存在するのである。本論では、ジェンダー役割を超えるものとしての「異装」に着目し、「異装」を取り入れたカフェにおいて、ジェンダーやセクシュアリティがどのように受容されているのかを分析した。男性向けセクシュアリティ産業において圧倒的に買われる側であり、男性の期待する女性像を提示されてきた女性が、ジェンダーを超える「異装」とその物語世界を楽しむ現象は何を意味するのか。女性が「異装」をどのように捉えているのかを見る事で、セクシュアリティにおける男女の非対称性という問題を考える。
著者
田中 洋一 山川 修
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE) (ISSN:21888620)
巻号頁・発行日
vol.2018-CLE-25, no.1, pp.1-5, 2018-06-08

SECI モデル及び e ポートフォリオ ・ リテラシースキルを用いた授業設計について報告する.
著者
糸井 江美
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 = Bulletin of Institute of Educational Research (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.41-46, 2005-12-01

少子高齢化社会を迎え、高齢になって英語を再び学びたいと願う人たちが増えてきた。加齢にともない短期記憶力の衰え、聴力、視力の衰えを感じる人も多いが、高齢学習者は豊かな人生経験、優れた他者との関係作りなど英語学習に有利な点を生かすことができる。今後、大学や専門学校をはじめ、自治体の生涯学習課等では高齢者の特質、ニーズににあった学習環境を整える必要がある。
著者
小林 武
出版者
愛知大学法学会
雑誌
愛知大学法学部法經論集 (ISSN:09165673)
巻号頁・発行日
no.213, pp.187-218, 2017-12-08