著者
岡 瑞起 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-8, 2010 (Released:2010-01-06)
参考文献数
17
被引用文献数
2

Measuring the weight of the relation between a pair of entities is necessary to use social networks for various purposes. Intuitively, a pair of entities has a stronger relation than another. It should therefore be weighted higher. We propose a method, using a Web search engine, to compute the weight of the relation existing between a pair of entities. Our method receives a pair of entities and various relations that exist between entities as input. It then outputs the weighted value for the pair of entities. The method explores how search engine results can be used as evidence for how strongly the two entities pertain to the relation.
著者
正木 基文
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13466380)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-9, 2005

栄養疫学の歴史的展開、今日のトピックス、今後の課題について文献をもとにレビューした。さらに管理栄養士を養成するためないし栄養科学の研究者を育てる教育として、栄養疫学をどう捉えまた何に重点を置くべきかを指摘した。歴史的展開として、個人の栄養素摂取と疾病との関連から集団の健康状態を規定する食事因子へと概念と対象および調査・解析手法の変遷について述べた。今日のトピックスとしては、がんと虚血性心疾患の予防における栄養素および食事因子の役割について、最新情報をもとに概説した。がんと食事との関連についての研究結果が時代により異なっている現状を指摘し、その背景と思われる事項および混乱を避ける方策について概説した。学部および大学院における栄養疫学の教育については、学生に生物統計の基礎知識が不足している現状から今後のカリキュラムのありかたについて言及した。
著者
上林 正巳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.137-154, 1996
被引用文献数
3 1

連載講座第2回として,インターネットの現状について説明する。インターネットは特定の機関が運用しているものではないという説明はよく聞かれるが,その運用体制について,接続や通信の保証はどうなっているのかを述べた。またインターネットの問題点として,ネットワークのセキュリティー問題,情報の暗号化問題,検閲問題を取り上げた。インターネットの情報発信手段としての様々な利用についても紹介する。
著者
草野 源次郎 芝野 真喜雄 渡辺 斉 尾崎 和男
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.619-631, 2003-08-01
参考文献数
37
被引用文献数
4 9

重要薬用資源のウラルカンゾウとスペインカンゾウ(マメ科)について,その優良品種候補を選抜し,国産甘草を実現することを目標にこの研究を開始した.現在研究は進行中であり,目標達成には困難な問題が山積している.しかし,優良品種の候補は選抜できたと結論するに至ったので,現在まで蓄積した知見をまとめて報告する.日本薬局方第14局では,生薬カンゾウ(甘草)Glycyrrhizae RadixはGlycyrrhiza uralensis FisherまたはG.glabra Linneの根及びストロン(走出茎)で,ときには周皮を除いたもの(皮去り甘草)で,グリチルリチン(グリチルリチン酸)2.5%以上を含むと規定されている.前者は中国東北部,中北部,西北部,あるいはモンゴルに自生し,後者は中国西北部,中東,ヨーロッパ諸国,旧ソ連の一部に自生している.甘草の大部分は自生種を採集して調製しているが,乱獲による砂漠化が大きな社会問題になっている.そこで,一部には自生種を計画的に管理する方式の栽培,あるいは種苗からの栽培が試みられている.4)また,わが国の製薬企業によるオーストラリアでの本格的な栽培も行われている.中国政府は2年半前に甘草の輸出禁止令を布告するとともに,甘草の取り扱いを許可制にした.中国ではわが国及び諸外国の数社が参画する形で,付加価値を高めるための製品化も進み,中国から生薬としての甘草輸出は激減している.甘草輸出における最低価格制も噂されている.このことは周辺諸国にも影響を与え,モンゴルにおける乱獲など甘草を取り巻く事情は予断を許さない状況にある.以上の考察から国内で消費する甘草のうち,数%を目標に国産甘草の生産を現実のものにするのが重要であると考えた.国産甘草の生産を試みるために,わが国の環境下で検討することにした.国内生産を目的とする研究では,種苗を外国に依存することは新たな問題を起こす心配がある.そこで,この研究では国内薬用植物園から長年植栽された種苗の分与を受けた.すなわち,これらの中からわが国の環境に適応した種の選抜が期待できると考えたからである.
著者
山内 昌斗
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究学会年報 (ISSN:13480464)
巻号頁・発行日
no.14, pp.85-97, 2008-09-30
参考文献数
24

本研究の目的は、外国資本企業の対日投資と現地経営の実態を明らかにすることにある。本稿では特に、ダンロップ社の事例を取り上げ、経営史的な視点からの分析を試みている。同社の現地経営の実態をより鮮明にするために、本国本社との関係をはじめ、被進出市場における競合企業との関係、現地の政財界との関係も視野に入れ、分析を試みている。本稿ではまず、ダンロップ社の成立と発展を概観し、同社のもつ所有優位や海外展開の特徴を確認した。そのなかで、同社の初期の海外進出が、輸出にはじまり、次にライセンシング、そして現地市場の成長をみながら徐々に直接投資へと移行したことが明らかになった。参入様式を転換した理由は各国ごとに様々であるが、一貫してこのプロセスをたどっていた。次に、日本市場におけるライセンシングの開始と、その後の対日投資に至るまでのプロセスを概観した。同社による日本市場でのライセンシングに、現地の政財界からの要請があったことが明らかになった。初期にはダンロップ社は技術的な優位性を保つことで、出資を伴わないコントロールを実現していた。ダンロップ社の対日投資は1921年以降本格化することになる。また、1920年代には輸入タイヤとの熾烈な競争が繰り広げられるが、ダンロップ社はこれを制し、独占的な地位を築くことに成功している。しかし、1930年代になると、国内における競合企業の出現により、市場を奪われ始めた。このようななか、同社の現地経営にとって大きな痛手となったものがカントリーリスクへの対応のミスであった。日本国内においてナショナリズムが台頭すると、外国資本企業は不利な立場へ置かれた。各社とも様々な対策をとるが、ダンロップ社はその対応に失敗した。結局、ダンロップ社は戦時中に他社の追随を許し、主導的な立場を失ってしまう。戦後、ダンロップ社は経営の現地化を進め、日本子会社の立て直しを図るが、本国本社の経営低迷などにより、上手くはいかなかった。最終的にダンロップ社は住友ゴムに経営権を譲り、日本市場から撤退している。本研究では以上のような点を明らかにし、ダンロップ社の現地経営の実態に迫った。今後、さらにこのようなケーススタディを蓄積し、一般化を志向した国際関係史の構築を進めていくことにする。
著者
竹久 達也 廣友 雅徳 伊沢 亮一 森井 昌克 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.206, pp.119-124, 2009-09-17
参考文献数
9

近年,インターネット上での各種サイバー攻撃の数が増加しており,サービス提供者および利用者にとって大きな脅威となっている.インターネット上でリモートアクセスVPNサービスを提供する場合,サービス提供サーバはDoS攻撃を初めとするサイバー攻撃に晒されることになる.このような攻撃への対策としてサービス提供サーバの着信ポート番号を特定不能にすることが有効である.筆者らはサービスの着信ポート番号を動的に変更するリモートVPNについて検討し具体的な実装方式を提案した.本稿では筆者らが提案したポートランダマイズドVPN方式の性能を評価することにより有効性および実現可能性を示す.
著者
岩崎 俊介 池上 大介 中里 秀則 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.14, pp.61-64, 2006-04-13
参考文献数
5

近年,大規模ワームや分散型サービス拒否(DDoS: Distributed Denial of Service)攻撃といったサイバー攻撃が深刻な社会問題となっている.これらの攻撃パケットの送信元IPアドレスは偽装されていることが多く,攻撃発信元を特定することが困難である現状がある.そこで本研究では,AS間のルーチングに利用されているBGP(Boarder Gateway Protocol)の特性を利用した,送信元IPアドレス偽装パケット検知手法を提案する.
著者
坊農 豊彦 長井 壽満 橋本 信彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.76, pp.15-21, 2005-07-29
参考文献数
6

万能薬はないが、セキュリティの必要性はこれまで以上に重要である。一定の一貫したセキュリティへの取り組みだけが、幅広い種類のサイバー攻撃でもたらされた損害を、減少させる手助けとなり得る。この論文では、安全保障リスク管理について、その人的側面に焦点を合わせる。危険は、技術的な対策だけでは危険を回避することはできないからである。また能動的でも、その検出システムを設置するだけでは安全保障問題の解決にはならない。私たちは、システムを担当しているすべての人々を教育する必要がある。それら該当者は、システムセキュリティの重要性を理解しているあらゆる層からエンドューザのレベルまで含む。
著者
西原 博之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
vol.28, pp.97-109, 1998-03-30
被引用文献数
1

慶應義塾大学産業研究所行動科学研究モノグラフ ; No. 42. 日本企業の国際取引における交渉の研究 : アジア、アメリカ企業との技術取引、企業買収(2)1.はじめに1978年に中国共産党が対外開放政策を打ち出して20年が経とうとしている。対外開放以降,外国企業の中国への投資動向には目を見張るものがある1)。一方,90年後半は, 海外からの対中投資の増加率は減少する傾向が見られ, 近年は日系企業の中国からの撤退ブーム到来の兆しともいわれている。
著者
庄子 康
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.685-690, 2001-03-30
参考文献数
23
被引用文献数
3 3

近年,自然公園の様々な問題を考える上で,環境の持つ価値を経済的に評価する環境価値評価が利用され始めている。これら手法にはトラベルコスト法(TCM)や仮想評価法(CVM)等があるが,信頼性の点からTCMとCVMの評価額を比較することは有用である。本研究で北海道雨竜沼湿原における野外レクリエーションの価値をゾーントラベルコスト法(ZTCM),個人トラベルコスト法(ITCM), CVMによって評価を行った。ZTCMの評価額は訪問あたりの平均値で1214.9円,ITCMの評価額は1552.6円,同じくCVMの評価額は1687.7円と推定された。これらの推定値を直接比較することはできないが,真の評価額はこれらの値と近い値であると推測できる。
著者
本山 秀明 森本 真司 渡辺 興亜
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.101-110, 2003-07

水試料中の水素同位体比を,800度に加熱したクロムによって水試料を水素に還元する方法で測定した.測定精度は1.0‰以内であった.南極氷床上で採取された沿岸から内陸部にかけての表面積雪を測定した.測定範囲は-200‰から-400‰であった.沿岸から内陸へ気温が下がるとともにδDは小さな値となり,この変動はδ^<18>Oと一致した.また過剰重水素が沿岸では10‰以下の小さな値を示すことから,海が近いほど湿潤なところで生成した水蒸気が凝結して降り積もっている雪であると考えられる.地球環境を探るのに有効な水素同位体比の測定法を確立した.