著者
松島 常 本間 之夫 阿曽 佳郎 西村 洋司 高梨 利一郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.47-51, 1991-01-20

1107例の胃癌のうち乳頭型,類肉腫型等の特殊型を除外した主として胞巣型と診断された92例の腎細胞癌の組織構築像を分析し,構造異型度に基づき,主として管腔形成の程度,細胞巣の大きさから3群に分類し,予後規定因子としての可能性について検討した。I群は,明らかな管腔形成を認めるか,嚢胞状変化の目立つ組織像が主体をしめる場合とし,III群は,管腔形成を認めず,細胞の充実性の増生像が主である場合とし,II群は,この中問の組織像で,小胞巣 もしくは索状の増生を呈する場合とした。各群の生存曲線を,Kaplan-Meier法により検討すると,I,II,III群の順に予後が不良となり,各群の10年生存率は,I群88±7.8%,II群39±8.8%,III群0%となった。また,各群の核異型度構成は,III群でG3症例の比率が高い傾向が見られたが,I,II群問に有意差はなく,T stage,V浸潤の有無に関してはI〜III群問に有意差が認められなかった。以上より,本研究で提示した組織構築型に基づいた胞巣型腎癌の構造異型度分類は,予後予測因子として,臨床的に有用なパラメーターとなると判断された。
著者
細見 輝政 荒木 俊郎 萩原 兼一 本田 直人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.974-981, 1975-11-15

AS-11 (Associative System-11) has been developed, which is a general purpose data structure processing system with the associative function, the accessing of data through a partial specification of its content. AS-11 has two data types; "associative pair" and "associative triple" introduced by J.A. Feldman et al, which provide the user not only a strong and efficient retrieval ability but also a ability for expressing n-ary relations. The remarkable features of this system are as follows; (1) the asymmetric entry is possible; (2) the user can introduce the ordered relation into the set of associative triples or pairs; (3) the table is able to be made handy in size. This system runs on a mini-computer PDP-11/20 equipped with 24K core memory, 1.2 M disk-pack, teletypewriter, and etc. This paper gives the outline of AS-11.
著者
近藤 弘一 笹田 昇平 小幡 雅彦 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.216-225, 2007-05-15
参考文献数
13

本論文では非可逆画像圧縮におけるKakarala-Oeunbona (KO)の画像分解アルゴリズムを考える.KO分解では行列の特異値分解(SVD)を利用した主成分分析が行われ,2次元解散ウェーブレット変換と同様な多重解像度解析が可能である.左特異ベクトルをフィルタとして利用することが特徴である.一般に特異値の近接度が高いとき,SVD数値計算アルゴリズムによって特異ベクトルが高精度に求められるとは限らない.本論文ではKO分解における特異値の近接度を低減させるアルゴリズムを提案する.元画像に対してランダム模様のふちどりを追加することで特異値分布を変化させる.数値実験によりその効果を示し,圧縮画像の誤差評価を行う.さらには,フィルタ行列の量子化について議論する.
著者
Sezawa Katsutada Kanai Kiyoshi
出版者
東京帝国大学地震研究所
雑誌
東京帝国大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.675-684, 1939-12-30

地球の生成時代にあり得るかも知れぬ狀態即ち液狀核を包む瓦斯の中の溫度分布及び沸點の分布をn=1といふ特別の場合について計算したものはこの前の報告に示した通りである.今囘はn=∞の場合,即ち等溫狀態に相當する場合の計算を試みた.この狀態は具體的には殆ど考へ難い場合であるが後に試みるnの一般の場合の推移を知り得るといふ意味があるのである.計算の結果によれば,前囘のn=1の場合には瓦斯のある非常に高い所から金屬の雨が降るけれども,n=∞の場合には寧ろ低い所から降る傾向のある事がわかる.
著者
高岡 将臣 木内 徹 佐藤 正弘
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.125, no.6, pp.585-594, 2005 (Released:2005-09-01)
参考文献数
13

A severe fault may cause loss of synchronism of a small number of generators. And it may make many generators out of service resulting in wide area blackout. When two groups of generators lose synchronism, the magnitudes of voltage on some lines becomes zero. Therefore an approach that lines with zero voltage are opened has been employed actually in order to prevent loss of synchronism from extension. This paper presents a new method using voltage and current measured on a line during disturbance to detect the line with zero voltage at the instant when loss of synchronism takes place. A method to detect loss of synchronism using voltage and current measured on a line was already proposed. This paper presents results of the tests performed by using power system simulator which is composed of a DC-motor, a synchronous generator, artificial transmission line, circuit breaker equipments and so on. The validity of proposed methods was verified by finding loss of synchronism correctly.
著者
池竹 英人 山田 明文
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1123-1127, 1999-12-05
参考文献数
7
被引用文献数
5 10

フローインジェクション分析用の固体電極セルを試作し, 残留塩素を電気化学的に測定する方法の検討を行った. 固体電極セルは, 交換可能な作用極, 対極 (白金線) 及び参照極 (飽和カロメル電極) からなるものを作製した. セルの評価はヘキサシアノ鉄(II) 酸カリウムで行った. 作用極に金電極を用いたとき, ヘキサシアノ鉄(II) 酸カリウム2×10^<-7>〜2×10^<-4>Mで検量線が直線となり, 各濃度での相対標準偏差 (n=10) はいずれも 1%以下であった. 次亜塩素酸の電気化学的挙動は, サイクリックポルタンメトリーで測定した. 種々の固体電極の中で金電極が最も単純な波を示し, 作用極として適当であった. フローインジェクション分析における次亜塩素酸の検量線は, 0.05〜2.5 mg l^<-1>で直線性を示し, 1mg l^<-1>での相対標準偏差 (n=10) は2.1%であった. 本法を水道水中の残留塩素の定量に適用したところ, オルトトリジン吸光光度法と良い一致を示した.
著者
夏目 誠 太田 義隆 古我 貴史 南野 寿重 浅尾 博一 藤井 久和
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.160-169, 1986-05-20
被引用文献数
7

職場不適応症の対応として,私たちが考案した治療的対応システム(後述)の効果や産業医の役割を知るために,直接関与した96名の職場不適応症者を対象に調査を行った.対象は,最近19年間に精神科外来診療を行っている大阪府立公衆衛生研究所精神衛生部外来(以下,当所診療所)を受診した54名と,私たちが精神衛生面の産業医をしている,社員数15,000名を擁する,ある企業の職場内診療所を過去14年間に受診した42名である.タイプ別内訳は,中核群が34名と最も多く,ついで脱落群26名,その他群15名,一過性反応群は13名で,専門職不適応群は8名に認められた.治療的対応システムの内容を中心にして,代表的な2症例を呈示した.1.私たちは,職場不適応症の治療的対応システムを考案した.その内容は,I.診療と諸検査,II.本人や家族へのカウンセリング,III.復職へのリハビリテーション,IV.職場関係者への治療的助言からなっている.2.治療的対応システムにより,96名中81名の職場不適応症者は,就業するようになった.3. 96名のうち,職場関係者への治療的助言が必要であった者は59名で,そのうち助言が受容された者(受容群)は,49名であった.拒否された10名(拒否群)は,いずれも当所診療所受診者であった.受容群のほうが,拒否群よりも職場によく適応していた.治療的助言として,治療的配置転換が27名と最も多く,ついで職務の軽減,指導が18名で,治療的仮出勤が13名であった.4.上記の治療的対応システムを活用するためには,精神衛生面を担当する産業医の役割が大であると考えた.
著者
Fukuda Kazuya KUCHII MASATO HANO TAKUZO MOHARA OSAMU MIYAMOTO YASUMASA NISHIO ICHIRO MASUYAMA YOSHIAKI
出版者
社団法人日本循環器学会
雑誌
Japanese circulation journal (ISSN:00471828)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.1221-1226, 1983-10-20

α_2-Adrenoceptors were studied in renal membrane fractions from spontaneously hypertensive (SHR), two-kidney, one clip hypertensive (2K, 1C HT) and DOCA-salt hypertensive (DOCA-salt HT) rats, using radioligand binding method. α_2-Adrenoceptor concentration in the kidney measured by [^3H] yohimbine binding was significantly increased in SHR at 4 weeks old (41.5±2.8 fmol/mg protein, mean ±SEM, p<0.01), 12 weeks old (54.9±2.5 fmol/mg protein, p<0.01) and 35 weeks old (59.8±3.4 fmol/mg protein, p<0.01) as compared with age-matched Wistar-Kyoto rats (WKY, 31.5±2.5, 40.9±1.8, 47.8±2.0 fmol/mg protein, respectively). There were no significant differences in binding affinity and 5'-nucleotidase activity (plasma membrane marker enzyme) between SHR and WKY at any age. In 2K, 1C HT rats, α_2-Adrenoceptor concentration in the clipped kidney was higher than that of control rats, but α_2-Adrenoceptor concentration in the unclipped kidney was unchanged. binding affinity and 5'-nucleotidase activity showed no significant changes in renal hypertensive rats. In DOCA-salt HT rats, no significant change was found in concentration and affinity of renal α_2-Adrenoceptor. The observed increase in renal α_2-Adrenoceptor concentration in SHR may contribute to the pathogenesis and maintenance of hypertension through increased sodium and water reabsorption in the kidney.
著者
栗田 秀實 植田 洋匡
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.45-64, 2006-03-10
参考文献数
46
被引用文献数
6

中部山岳地域における酸性雨の陸水への影響を検討するため,長野県下の公共用水域水質モニタリング地点(79地点)のうち,人為的な汚濁の影響が小さい上流域の河川,湖沼の27地点(17河川22地点,4湖沼5地点)について,1972〜2003年度の32年間の水質モニタリングデータを用いてpHの経年変化等を解析し,降水のpHとの関係について検討した。酸性雨調査データおよび降下ばいじん調査データによると,1972〜2003年度の32年間における長野県下の降水のpHは5.0前後で,ほぼ横ばいであったと推定された。降水のpHの年平均値は,アジア大陸や首都圏地域からの酸性物質の輸送の影響を受けやすい長野県北部および東部で低く,一方,これらの影響を受けにくい長野県中部,南部で高い傾向を示した。河川・湖沼のpHは27地点のうち15地点で有意な経年的な低下を示した(危険率1%:12地点,5%:3地点)。酸性岩が集水域に広く分布する姫川,中綱湖,青木湖,高瀬川,田川,木崎湖,小渋川,中津川,梓川,松川の他,酸性岩の分布が見られない奈良井川,夜間瀬川および裾花川においてもpHは有意な低下傾向を示し,過去30年間のpHの低下量は0.3〜0.8と推定された。pHの経年的な低下が見られた河川のなかには,アルカリ度(HCO_3^-濃度)の低い河川があり酸性雨の影響が示唆された。pHが有意な経年的な低下を示した15地点のうちで2003年度のpH(回帰式による推定値)が最も低いのは夜間瀬川の6.3,これについで低いのは,木崎湖底層,中津川,中綱湖,青木湖,高瀬川の6.4〜6.8であった。低アルカリ度の温泉水の流人によりアルカリ度が低く,酸性雨の緩衝能が低い夜間瀬川の場合には,融雪初期に顕著なpHの低下がみられた。これらのことから,中部山岳地域上流域の河川・湖沼の一部において,酸性雨の影響によりpHが経年的に低下しつつあり,pHが有意な低下を示す地域は,酸性岩を基盤とする地域以外にも次第に拡大していることが示唆された。
著者
谷井 琢也 高松 邦義 国分 康行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.96, no.43, pp.7-12, 1996-05-17
参考文献数
4

かつて電電公社において障害を生じた通話路接点に硫酸アンモニウムが発見され, これは汚染された大気中のSO_2ガスと継電器のフェノール樹脂より発するNH_3ガスにより生ずるものと説明された. そこで擬似的に作り出した硫酸アンモニウムを含む汚染雰囲気中に様々な種類の金属材料を晒すことにより, 材料表面の経時変化及び材質による影響の違いを求めようと試みた.
著者
島内 裕子
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.156(11)-138(29), 2007

東京藝術大学大学美術館蔵「徒然草画巻」は、三巻・計五十三図の徒然絵を収める画巻である。狩野派や英派の絵師たちだけでなく、谷文晁や鳥居清長など著名な絵師も含む。本稿は、この画巻の各々の場面が徒然草のどの章段を描いているかを特定し、従来知られている他の徒然絵と比較検討しながら描き方の特徴や配列、制作意図などを考察した。本画巻には俳画風の簡略な絵が多いが、これらの絵は徒然草の文学的な雰囲気をよく捉えており、徒然絵の一つの到達点として評価できる。
著者
徐 光哲 金子 正秀 榑松 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1279-1288, 2001-07-01
参考文献数
6
被引用文献数
25

似顔絵は個人の顔の特徴を端的に表現したものであり, 新聞, 雑誌での利用のほか, ホームページへの掲載, エージェントとしての利用など多くの用途が考えられる. 本論文では, 各顔部品の形状特徴, 配置に関する特徴, 及び傾きに関する特徴を個別に制御可能な, より柔軟性の高い似顔絵生成方法について述べる. まず, 眉, 目, 口などの顔部品の各々について輪郭形状に対する固有空間を求める. これとは別に, 各顔部品の配置情報に関する固有空間を求める. 次に似顔絵を生成しようとする対象顔画像について, 各顔部品の形状, 配置の各々について平均顔との差を求め, 固有空間の基底(固有ベクトル)への直交展開を行う. 直交展開により求められた係数に従って強調倍率を決め, 固有ベクトルに対する強調処理を施す. 顔部品の傾きに対しては, 平均顔における顔部品の傾きとの差を2次関数を用いて強調する. これらの結果に平均形状, 平均配置, 及び平均の傾きを加えることにより, 似顔絵の形状を得る. 生成した似顔絵に対して主観評価実験を行い, 似顔絵の生成方法としての有効性を明らかにする.