著者
Ogawa Tadashi Tsuji Hideaki Bando Noriko Kitamura Keisuke Zhu Yue-Lin Hirano Hisashi Nishikawa Kiyoshi
出版者
社団法人日本農芸化学会
雑誌
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (ISSN:09168451)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.1030-1033, 1993-06-23
被引用文献数
28 151

The soybean allergenic protein, Gly m Bd 30K [Ogawa et al., J. Nutr. Sci. Vitamihol., 37, 555-565(1991)] which is most strongly and frequently recognized by the IgE antibodies in sera of soybean-sensitive patients with atopic dermatitis, has been characterized. The allergen was isolated from the crude 7S-globulin fraction as an oligomeric form with a molecular weight of more than 3000,000 by gel-filtration chromatography. On two-dimensional gel electrophoresis, the native oligomeric allergen had an isoelectric point of about pH 4.5 and was dissociated into a monomeric form with a molecular weight of about 32,000 by the treatment with sodium dodecyl sulfate and 2-mercaptoethanol. The monomeric allergen had an N-terminal amino acid sequence and amino acid composition identical with those of the soybean seed 34-kDa oil-body-associated protein or the soybean vacuolar protein P34 with close homology to papain-like thiol proteinases [Kalinski et al., J. Biol. Chem., 267, 12068 (1992)]. The identity was further confirmed by the immunological cross-reactivity to the antibodies produced against each of the purified allargen and the 34-kDa oil-body-associated protein. By this observation, Gly m Bd 30K was shown to have about 30% sequence homology with Der pI, a house dust mite allergen that is a thiol proteinase from Dermatophagoides pteronyssius.
著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.384, pp.93-111, 2004-03

ドイツ・アメリカ映画の歴史に偉大な足跡を残したエルンスト・ルーピチュは、1892年1月29日、ジーモン(ジムヒャ)およびアンナ・ルーピチュというユダヤ人夫妻の次男としてベルリンに生まれた。まだドイツに皇帝が君臨していた時代のことで、その皇帝、ヴィルヘルム二世が33歳の誕生日を迎えた二日後にエルンストはこの世に生を受けたのだった。当時のルーピチュ一家はロートリンガー・シュトラーセ82a番地に居を構えていたが、一年後にはシェーンハウザー・アレー183番地へに引っ越した。同じ年にベルリンに生まれた<ユダヤ系ドイツ人>として私たちが思い出さずにはいられないのは、ヴァルター・ベンヤミンであろう。ゴージャスな雰囲気のなかで展開される<洗練された喜劇>の監督としてハリウッドで成功を収めるルーピチュと、孤高の思想家として知られ、悲劇的な最期を迎えるペンヤミンとがまったくの同時代人であり、同じ都市で幼年期を過ごしているという事実には、多くの人々にとってむしろ意外に感じられる部分があるかもしれない。
著者
谷本 潤 相良 博喜
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.70, no.595, pp.135-140, 2005
被引用文献数
5 1

We deduced that it is possible to define the Dilemma substance in the so-called dilemma games by the fact, a cooperative strategy cannot be dominant. This simple but clear definition can provide a firm way to a quantitative evaluation for the dilemma intensity in order to compare other types of dilemma games, for example, between Chicken and Leader Game. On the pathway of our deductive discussion, two important concepts concerning the Pareto Least and a parameterized expression procedure for the game structure were presented. In particular, the latter concept seems to be quite breakthrough to overview holistic 2×2 game world including Prisoners Dilemma, Chicken, Stag Hunt, Leader and Hero Game. And a practical explanation going through 2×2 game was presented about what we defined as the dilemma substance seems to be plausible from the viewpoint of the Replicator Dynamics.
著者
井上 昌次郎
出版者
日本評論社
雑誌
からだの科学 (ISSN:04533038)
巻号頁・発行日
no.165, pp.p8-12, 1992-07
被引用文献数
1
著者
松村 季三代 森嶋 登貴子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.39-47, 1960-06-01

着てらくなきものを作る要点を二,三あげてみると 一.肩線が体に合っているか否か,肩線が身頃を吊しているのであるから重要なポイントとなる。一.アーム・ホールは深すぎないよう。浅すぎてつかえているのは論外だが,洋服を着なれない人に限つて深い袖ぐりを望むけれども,深い袖ぐりは袖がついた時,手の上げ下げが窮屈になる。一.アーム・ホールのゆとりは,深さよりも,わたり(巾)に求められる。又背巾に適当なゆるみを入れることは,らくなきものを作る原因となる。一.婦人服の特徴といえるバストのふくらみが,体に合っていなければ着易いきものは生れない。その他細かい点が重なり合い,着易いきものも着難いものも生じる訳で,要するにこれは単なる実験結果の報告であって,決して確定的なことは言えないのであるが,着心地の欄に於けるA^1^1/_<15>, B^9/_<15>, C^8/_<15>, D^1^5/_<15>が示すように,何れも半数以上は,着易い又は普通と答えているのであるから,一つの方法に徹底し,その長短をわきまえたら,何れを可,何れを否とも言い難いのではないかと思う。せめてこのモデル数を2倍から3倍位にして比較すれば,或は又新しくはっきりした数字が現われるかも知れない。実験結果が似たりよったりであったとすると,この研究は徒労に終ったものとも思われるけれど,型紙の違いと同様,出来上ったシルウェットが非常に違うということは,やはり発見であった。これにデザインの個性が入れば,自ずと異った雰囲気のきものが出来上ると考えられる。終りに実験の当初,一緒に着手しながら病気のため中断された中西麗子氏,60着の型紙の作製や,その他労力の多かった,下方妙子,長谷川歌子,民谷セツ子の諸嬢,又快よくモデルを引き受けて下さった方々に感謝いたします。
著者
津川 龍三 江原 孝 池田 龍介 下 在和 鈴木 孝治
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.1111-1117, 1991-07-20
被引用文献数
2

1978年,透析歴7年の24歳男子に両腎に多発した嚢胞と,さらに右側に腎癌を発生した例を経験し,調査の結果Dunnillの報告したacquired cystic diseaseと判明した。以後現在までに計8例を経験した。平均年齢は1例を除き32歳と若く,透析歴は8年,男女比は7:1である。うち2例は両腎摘除後に腎移植を行い,1例は生着生存中であり,1例は拒絶反応により再透析となり,子宮体癌+卵巣癌による癌性腹膜炎で死亡した。また1例は腎移植後良好な機能を有しつつ8年後に固有腎に腎癌が発見され摘除した。これらの症例を病理学的にみると,病変は1〜3cmの球形で腎内に限局し,Robson-I(わが国の腎癌取扱い規約T-1)に相当し,組織学的に多くは淡明細胞癌であった。興味深い所見は,癌病変以外の同側,さらには他側の嚢胞壁上皮に多層化,乳頭状増殖をみることである。治療としては,腎摘除を行った。2例を除いて6例は腰部斜切開とした。副腎は含めず,いわゆる単純摘除とした。全例再発転移はない。acquired cystic diseaseと腎癌の合併の原因は不明であるが,1) ある種の代謝物の蓄積による発癌性,2) 免疫監視能の低下が考えられ,いずれも透析例に該当する考え方であり,免疫抑制剤が使用される移植は,2)が該当しよう。慢性腎不全患者については透析,移植を問わず,固有腎にも常に注目し,定期的にCT,超音波検査を実施し,早期発見,早期摘除が重要である。
著者
陶浪 貞彦 三浦 康夫 井手 齊
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1974-09-15

直径2 m, 先端深さGL-31 mのベノトグイの先端スライム処理に有機高分子凝集剤を用いたF-P工法の実例について紹介する。施工の要点はつぎのとおりである。掘削完了と同時にハンマーグラブを引き上げ, ホースを孔の底から引き上げながら凝集剤(アニオン系コーナンフロックSKH 5)を孔内水量に対し18 ppm散布し, ハンマーグラブでカクハンする。水中に浮遊する微粒子は10〜20分の間にフロック状となり沈殿するので孔底に水中ポンプを投入してフロックを排出する。ついでハンマーグラブにより底の粗粒分をさらい, 鉄筋をそう入してトレミー管でコンクリートを打設する。この方法ではフロックの生成および排出が完全に行なわれる必要があり, 泥水採取器で孔底の泥水を採取するほかポンプから吐出される泥水の状態をチェックする必要がある。直径2 mでは10 cm径の水中ポンプを10個所以上移動させてフロックを排出する必要があり, 今後大口径グイに適したポンプの開発が望まれる。直径2 m, 深さ10 mの試験施工の結果孔底に幾分かのフロックが残存したが実用上は支障のない成果が得られた。
著者
橘 弘志 高橋 鷹志
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.496, pp.89-95, 1997
被引用文献数
38 10

The purpose of this paper is to clarify meaning of regional environments for elderly people by means of comparison of behavioral environments in housing complex area and those in town area. The method of this study is an interview with elderly residents in these areas about places to use, routes to pass, and communications they have in the area in everyday life. The findings are as follows. 1) Behavioral environments of elderly residents in two areas are quite different. 2) Opportunities of diverse communications and accessibility to places influence the quality of regional environments. 3) Two models of behavioral environment are found, those are intention-determinant model and action-inductive model. 4) Especially for the elderly, their behavioral environments are strictly regulated by the regional environment they live in.
著者
平野 哲
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.268-275, 2005 (Released:2005-08-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1

地球シミュレータが稼動して4年目に入っている。国際的な地球環境変動の研究に寄与するのが地球シミュレータ計画の目的のひとつであったが,2004年8月末までに国内の3グループ(1グループは米国との共同研究)がIPCC(気候変動に関する政府間パネル)に,地球シミュレータを駆使した100年以上の期間にわたるシミュレーション結果を提出した。産業界との連携も行われ,自動車産業や航空機産業との共同研究も始まった。地球シミュレータのこの3年間の利用状況を報告する。スーパーコンピュータの世界ランキングは,LINPACKベンチマークを参考にしているが,実アプリケーションでの性能を必ずしも反映していないとの議論が米国にある。地球シミュレータセンターと米国の研究グループが共同で実アプリケーションによる性能比較をしているので併せて報告する。
著者
古川 智恵子 豊田 幸子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.11-20, 1982-03-31

北設楽地方における女の仕事着の戦後から現代までの着衣形態の変遷について,当地を調査した範囲から次の結果を得た.明治以前からひきつがれてきた北設楽地方の仕事着は,仕事の種類によって着丈を自由に調節し得る長着と腰巻に半幅帯をしめ,畑作,山仕事には,はばきをつける着衣形態が6ケ町村の共通パターンであった.地域により,水田作業の時には股引を,畑作,山仕事には,はばきのかわりに,たつけやもんぺを着用する着装形態であった.この主流形態は昭和20年頃まで続いたが,その後長着物,腰巻のワンピース形態から,上は腰までの丈の和服式上半衣,すなわち標準服又は活動衣とよよ半じゅばん形態と,下半衣はたつけがもんぺを組合わせる上下二部式の着衣形態への変遷が徐々にみられ始めた.昭和20〜30年の間はこの作業衣形態が主流をしめ,余り大きな変化はみられなかった.昭和23年の農家生活改善普及事業による農作業衣改善運動の影響により,少数の農村の婦人達は改良作業衣,洋服式作業衣の講習を受け導入を試みたが,大半の婦人達はそれを受け入れる経済的基盤がなく,従来の仕事着に強い愛着を示していた.昭和30〜40年にかけては,高度経済成長政策によって農家の経済生活は上昇し,生活様式も次第に洋風化してきた.仕事着も今までの和服様式から,和洋併用,又は折衷の形態がふえ,ズボン式もんぺ等ズボンの長所を採用した下半衣が着用された.昭和40年以後はアパレル産業の台頭とともに北設楽郡にも,地域によって遅速はあるが洋服化が進行し,既製の作業衣へと年次的に変化している.現在の仕事着は,水田,畑作,山仕事いずれの作業時においても,上半衣,下半衣の二部式着衣型式である.その組合わせは,腰切と既製もんぺ,ブラウスにズボン式もんぺ,ブラウスや綿シャツにジーンズ,あるいは既製作業衣上下,色とりどりのトレーニングウエアの上衣など,いずれの年代も既製で作られた仕事着を,色彩,形にこだわらず自由自在に和洋組合わせて着装している状態がみられた.そしていずれの地域においても,ほとんどの人がかっぽう着やエブロンを仕事着の上に着ている共通性がみられた.以上のことから現代では,地域性はほとんど消滅し,代わって既製作業衣という画一化が進みつつあるのが現状であるといえよう.第1,2報とも次の方々には調査に対し御協力を賜わり,ここに深く感謝申し上げます.稲武町……今泉常四郎氏 79歳,鈴木清敏氏 85歳.設楽町……熊谷好恵氏 86歳,沢田みよ氏100歳.東栄町……佐々本亀鶴氏 77歳,一の瀬しげの氏 81歳.津具村……村松まつの氏 97歳,村松しき氏 53歳.豊根村……青山鉄二郎氏 75歳,清川さだ氏 74歳.富山村……田辺正一氏 80歳,鈴木より子氏 67歳.
著者
柴村 恵子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.113-118, 1974-03-15

1.縞幅1:1,8:8,1:6,1:14.5,1:21の割合で,照度10, 100, 300, 500,1000,2000〔lx〕の場合では縦縞が一番見やすく,次に横縞,斜縞の順であった。2.同じ白:黒=1:1の割合でも0.1cmと0.8cm幅では0.8cmの広い縞の方が見え方段階はよくなる。3.距離と照度の関係を分散分析した所距離による影響は大であるが,照度による影響はあまり見られなかった。しかし,比率が大きくなれば距離による影響もあまりなくなる。4. 3m地点のあたりかち明るさが生地に光沢を与え,そのため白線がグレー,又は黄味がかったり,見え方において縞幅が違って見えたりする。これが派手,地味に見えるのに影響するものと思われる。以上の実験結果から横,縦,斜縞方向のワンピース・ドレスの表わすシルエットの感じはおよそ知る事ができた。この後は,動作にともなった実験を重ね,よりよい縞のデザインを究明したいと思う。終りに本研究を行うにあたり終始御指導いただきました岐阜大学教育学部の中野刀子教授,試料の測定に御協力いただいた愛知県三河繊維技術センターの志満津発司氏に厚く御礼申し上げます。
著者
安養寺 信俊
巻号頁・発行日
2009-09-30
著者
阿部 邦子 宇津巻 幸子
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.16-22, 1973-03-28

地直しは被服構成の中で無視することの出来ない重要な工程の一つである。能率的で効果の高い地直しの究明を目的としこの研究を行った。婦人用ジャケットの表地として多く用いられる10種の表地を試料とし,無処理布と縮絨店処理,霧吹処理,水浸6時間処理の地直しをした布がドライクリーニング,湿式洗濯,水浸30分操作により如何なる収縮性を現わすか,又この3つの処理が如何なる効果があるかを実験し,2,3の考察を得たので報告する。各地直し後のたての収縮率はフラノ,ギャバジンは,4.5%〜7%で最大,ツィード,ヘリンボーン,オットマン,ジャージが3%前後,アムンゼン2%前後,よこは殆どの物が1.5%以内である。タータンチェック,ハイニット,デニムは0.5%前後で,たてよこ同程度の収縮率である。湿式洗濯に対してはフラノ,ギャバジン,ヘリンボーン,ジャージは処理布でもたて1回目で平均2%〜5%の収縮率を示すので,その服は着用不能になると思われる。たゞしオットマン,アムゼンの処理布及びタータンチェック,ハイニット,デニムでは1〜2回の湿式洗濯ではたてでも収縮率1%以下に止るので,薄色の服でドライクーニングでは汚れが落ちにくい物等は湿式洗濯をしてもそう悪影響はないものと思われる。ドライクリーニングに対して処理布は5回目でも大部分の試料が1.2%以下であるが,無処理布は回を重ねるごとに上昇し2%〜3%にもなるのでやはり何れかの地直しをすることが必要である。同一試料においては3種の地直し後の収縮率とその後の洗濯操作による収縮率との関係は見られないが,各試料間の収縮率は,前者と後者は大体同傾向を示す。問題の多い湿式洗濯のたて地について3種の地直しを比べて見ると霧吹処理は比較的効果は少なく,平均して良いのは縮絨店処理である。今回の水浸処理は6時間にしたが,水縮30分浸せき実験の収縮進行状態を見ると殆どの試験布が1〜2回の操作で急激に収縮し,それ以後は横ばいか極くわずか上昇するだけなので水浸時間は2〜5時間で充分だと思われる。今後の課題として他の地直しの方法や,芯地,裏地の収縮性も合せて研究し,ワンピース,ジャケット等裏付の物を製作する場合の地直しと縫製方法の関係を究明してゆきたいと思っている。この研究にあたり文化女子大学成瀬信子先生の御親切な御指導御助言に深く感謝致します。