著者
長谷川 眞紀 大友 守 三田 晴久 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.478-484, 2005
被引用文献数
3

【背景】"シックハウス症候群"は室内環境要因-アレルゲン, 病原菌, 揮発性化学物質など-によって惹起される健康被害と考えられているが, その病態, 病因についてはまだ確立していない. また"シックハウス症候群"は微量の揮発性化学物質によって起こる化学物質過敏症と重なる部分が大きいと考えられる. 【方法】我々の施設を訪れた患者の中から, 4つの仮のクライテリア((1)化学物質への曝露歴, (2)多臓器の症状, (3)症状を説明するような他の疾患の除外, (4)慢性の症状)によって, 化学物質過敏症の可能性例を選び出し, その臨床像を調べた. 【結果】130名余りの患者のうち, 50名が可能性例と判定された. 女性が38名, 男性が12名, 年齢は15歳から71歳であった. そのうち42名(84%)の患者がなんらかのアレルギー性疾患の既往, または合併を持っていた. これは本邦一般人口中のアレルギー疾患の有病率よりずっと大きい. アレルギー疾患の中ではアレルギー性鼻炎が最も多かった. 総IgE値は比較的低値で32名(64%)が200IU/ml未満であった. 抗ホルムアルデヒドIgE抗体が陽性の患者はいなかった. 化学物質負荷試験後の末梢血ヒスタミン遊離反応では, reactivityもsensitivityも低下していた. 【結論】化学物質過敏症がアレルギー的機序によって惹起されるとは考えられないが, 化学物質過敏症がアレルギー疾患を持っている患者に起こりやすい, またはアレルギー疾患を顕在化させる可能性が考えられた.
著者
中山 直樹 山口 真悟 葛 崎偉 田中 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.416, pp.41-47, 1999-11-09
被引用文献数
2

ワークフローは業務にかかわる人や物などの流れを表したものである。業務の効率を図るために、現行の業務の実態を把握して、評価する必要がある。一般的に、業務の流れは人や物などが複雑に絡み合っているため、ワークフローは作業間の順序関係や、作業の実行に必要な制約条件などの業務の特徴が分かりやすく表されなければならない。本論文では、複雑な流れを持った飲食店の業務を対象とし、カラーペトリネットを用いて飲食店の業務の複雑な人や物の流れおよび流れに伴う時間などを統合的に表すモデルを提案する。そして実際の飲食店を取り上げ、提案したモデルによるモデリングを行ったうえ、その業務の流れを評価する。その結果、実例の業務のボトルネックを発見し、業務の改善の箇所を発見することができた。
著者
原 健太 塚原 荘一 狩野 均 曽田 敏弘 黒河 久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.22, pp.31-38, 2006-03-06
被引用文献数
3

本論文では カーナビゲーションシステム(カーナビ)の経路探索を多目的最適化問題としてとらえ 多目的遺伝的アルゴリズム(MOGA)で探索を行う手法を提案する. 本手法では経路長 推定旅行時間 運転の快適性をそれぞれ独立した目的関数とし MOGAを用いて性質の異なる経路を同時に探索して求める. また交通量を予測した場合にも対応した経路の評価方法を提案する. 実際のカーナビで用いられているナビ研S規格地図と過去の交通量データ(VICSデータ) ファジイc-means法による交通量補間を用いて 実世界に近い実験環境を再現した. 本手法と従来のGAによる経路探索手法ならびにDijkstra法との比較を行い その有効性を確認した.This paper describes a new route planning method for car navigation systems using a multi-objective genetic algorithm (MOGA). The proposed method has three independent objective functions (length of route, travel time, the amenity of driving) and can provide distinct pareto optimal routes using the MOGA. Also, the proposed method can use predicted traffic. Experiments using the S standard map of the Navigation Systems Researchers' Association, which is the map used in actual car navigation systems, historical traffic data (VICS data) and traffic data interpolated by fuzzy c-means shows that the proposed method is more effective than conventional methods.
著者
植田 武 松井 紀久男 島田 英樹
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.121, no.9, pp.438-445, 2005 (Released:2007-02-24)
参考文献数
9

Increased opposition from environmental groups is severely restricting the operation and planning of large-scale surface mines in the world. Some projects of surface mining will have to be cancelled and downsized due to environmental issues. Under this social situation, the mining industry has started the campaign and the public relations for the importance of extracting and using coal resources in order to mitigate the protection. It has been recognized throughout the industry that planning is essential to minimize the effects of mining on the environment. Environmental management and rehabilitation are now integral parts of planning for mining.Mines have a finite life that ceases when the mineral has been fully extracted. During the life of mine, mining, especially surface mining, has the potential to have environmental effects that extend beyond the confines of the mine boundary. These include erosion with increases in sedimentation and turbidity in surrounding water courses and leaching of salts that also result in the reduction of water quality. These effects may range from minimal to quite severe and widespread, depending upon the physical and chemical properties of the overburden and reject materials, the climate and location of the mine, and its relationships with surrounding land uses. Rehabilitation of mines is aimed towards the projected future land-use of the area.This paper describes surface mining systems in Australia and then discusses the factors that should be considered in order to avoid potential environmental issues resulting from surface mining when developing a new surface mine.
著者
福田 良輔
出版者
福岡女子大学
雑誌
文芸と思想 (ISSN:05217873)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.81-86, 1959-11-25
著者
長沢 嘉子 小松原 紀子 後藤 純子
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.43-48, 1980-03-31

電子レンジを用いて加熱したじゃがいもの調理性や食味について調べ従来の加熱法と比較検討し,二次的調理操作とのつながりをもとに電子レンジの効果的使用法についても考察を加えた。(1)じゃがいもを電子レンジで加熱する場合の形状は加熱時間および食味に関係し,丸のままの加熱が食味良く,形状が細分化されるにつれ加熱時間は短縮されるが食味の低下をまねく。(2)電子レンジ加熱では水煮形式(B)において従来法(A)と同程度の粉ふき状態のものが得られた。しかし塩化ビニリデンフィルム被覆(C)は水分蒸発現象が表面を硬化させ粉ふき状態は著しく劣った。官能検査ではA-C, B-C間に有意差を認めA-B間には差は認められず,(C)は粉ふきいもの前処理としては不適であった。(3)マッシュ操作の難易度をその仕事量(W)で比較すると従来法(A)1に対し,電子レンジ加熱の(B)は1.72,(C)は2.97を要した。(C")の過剰加熱となるとマッシュ操作は更に困難となり残査量も多い。マッシュ時に大きな力が加わると細胞膜の破壊も進み粘性も増大する。(4)マッシュポテトの粘性を懸濁液の沈降体積から推測するとA<B<Cの順に高く,塩化ビニリデンフィルム被覆の電子レンジ加熱が最も高い粘性を示した。(5)マッシュポテトの官能検査では,水っぽさ,色の項目についてA-C, B-C間に有意差が認められ,いずれも水煮形式のものが低い評価となった。総合評価では塩化ビニリデンフィルムで被覆した電子レンジ加熱(C)が最も高く評価された。前記の粘性が食味の上に影響を与えていない結果となったが今回は漉されたままのマッシュポテトを試料としたためと考えられる。マッシュポテトの場合は更につぎの段階で混ぜる,練る,液状にのばす等の調理操作が加わることが多いが,加熱法別のマッシュポテトの調理性を知りこれらの調理条件にあった前処理加熱法を行うことが望まれる。
著者
宮崎 純 横田 治夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.461-462, 1997-09-24
被引用文献数
1

我々は, 並列論理型言語KLICによるアクティブデータベースシステムのプロトタイプParadeを提案している。 KLICの論理変数によるプロセス間のメッセージ通信は, 無共有並列計算機上でデータベース処理を実現する際に非常に適合性が良い。これまでの研究により, データベース処理をKLICのプロセス間のメッセージ通信を利用することにより実現し, 汎用ワークステーションならびに超並列計算機nCUBE2上で動作させ, その記述能力と移植性の高さを実証してきた。しかしながら, データベース処理において非常に大きな鍵を握る二次記憶およびPE間のデータ転送などのI/O処理が, システムの性能のボトルネックとなっていることが分かってきた。これは, KLIC標準のI/Oが性能を重視して設計されたものではないことに起因する。本稿では, KLICによる並列データベース処理を実用的な速度で動作させるために, KLICのジェネリックオブジェクトを用いて低レベルのI/O性能の向上を目指し, その初期評価を並列計算機nCUBE2を用いて行なった。
著者
根岸 紀
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.25-31, 2007 (Released:2007-08-03)
参考文献数
25

This paper describes the physiological functions of ku-ding-cha, a traditional bitter tea beverage that has been consumed in South China for a long time. Ku-ding-cha made from species in the genus Ilex, Aquifoliaceae and the genus Ligustrum, Oleaceae have been used in China as a diuretic and remedy for sore throat, weight loss and hypertension. Recent studies have demonstrated that triterpenes and triterpenoid glycosides in ku-ding-cha from the genus Ilex exhibit anti-arteriosclerosis, anti-obesity, anti-allergy and anti-cancer effects, and that phenylpropanoid glycosyl esters of phenylethanoid glycosides in ku-ding-cha from the genus Ligustrum exhibit anti-oxidative, anti-inflammatory, hepato-protective and anti-proliferative activities. Similar effects to those described above of the phenylethanoid glycosides and tea catechins are expected from ku-ding-cha of the genus Ilex, which contains a large amount of chlorogenic acids. We also demonstrated that ku-ding-cha has the ability to capture allyl mercaptan and allyl methyl sulfide in vivo. In conclusion, further investigations are necessary to more effectively use ku-ding-cha for maintaining our health.