著者
三宅 晋司 神代 雅晴
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.391-404, 1986-12-01

本研究では, 交通機関内などの騒音状況下でのヘッドホンによる音楽聴取が聴覚に及ぼす影響について検討した. 札幌市内の4つの交通機関内(国鉄, 地下鉄, 路面電車, バス)および街頭と地下街を歩行中の騒音を録音し, これらを防音室内にて再生した. その中で聴力正常な女子大学生に音楽をヘッドホンにて聴取させ, その際の聴取音圧(Most Comfortable Loudness)を測定した. 被験者は7名であり, そのうち2名(A群)は, あらかじめ用意した3種類の音楽(ロック, ポピュラー, ニューミュージック)を各2曲ずつ, 他の5名(B群)は各自が自由に選んだ2曲を聴取した. また, A群については, 各音楽種類毎に, 最も大きい聴取音圧の得られた騒音条件を選び, 同一条件で30分の音楽聴取を行い, 2分後の一過性難聴(TTS2)を測定した. さらに, 騒音および音楽の1/3オクターブバンドでの周波数特性, 音圧変動(変異係数)およびうるささ(noy)を求め, 聴取音圧との関連について検討した. 聴取音圧は街頭騒音下で最も大きいことが示された. 音楽種類間では, 聴取音圧に有意差は認められなかったが, 最も大きい聴取音圧はロックに対して見られた. TTSでは20dB近い値が一耳に認められ,騒音状況下でのヘッドホンの使用の危険性が示唆された.
著者
山崎 信也 栗田 佳江
出版者
足利短期大学
雑誌
足利短期大学研究紀要 (ISSN:03893278)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.83-87, 1995-04-01

聴力が正常か否かを論議する時,聴力の正常な加齢低下の定義が必要になる。正常な加齢低下の条件を満たした日本人を代表できるだけの十分に大きな集団の年齢別平均値が日本人の聴力標準値と言えよう。正常な加齢低下の条件を吟味し,また,これまでに報告された中の5つの聴力検査値群がどの程度標準値として耐えうるかを論議し,それらを比較検討した。
著者
神原 誠之 横矢 直和 竹村 治雄
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.367-373, 2002
被引用文献数
3

This paper describes a method to extend the registration range ofa visionbased augmented reality (AR) system. We propose to use natural feature points contained in images captured by a pair of stereo cameras in conjunction with pre-defined fixed fiducial markers. The system also incorporates an inertial sensor to achieve a robust registration method which can handle user's fast head rotation and movement. The system first uses pre-defined fiducial markers to estimate a projection matrix between real and virtual world coordinate systems. At the same time, the system picks up and tracks a set of natural feature points from the initial image. As a user moves around in an AR environment, the initial markers fall out from the camera frame and natural features are then used to recover the projection matrix. Experiments for evaluating the feasibility of the proposed method are carried out and show the potential benefits of the method.
著者
横井 尚子 石川 正治 加納 章子 芳川 洋 市川 銀一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.185-193, 2003-07-31

目的:音響外傷による急性感音難聴の薬物治療には,ビタミン剤・循環改善剤等とともに,ステロイドホルモンの投与が多く行われており,特にステロイドホルモンで高い臨床効果が得られている.ステロイドホルモンは鼓室内投与によって内耳障害に治療効果を示すと報告されている.そこでわれわれは急性音響外傷モデルを作成し,デキサメタゾンの鼓室内投与の効果を聴性脳幹反応(以下ABR)および蝸牛神経複合電位(以下CAP)を指標に検討した.対象:鼓膜正常,プライエル反射正常のハートレー系モルモット(体重約400g) 方法:全身麻酔の後,局所麻酔下に気管切開し,筋弛緩剤を投与し人工呼吸管理下においた.両側の中耳骨胞を開放し,鼓室内に銀ボール電極を設置した.音響負荷としては,耳介側方3cmの位置より105dBSPL,4kHz純音を30分間与えた.音響負荷後同一個体の一側の鼓室内にデキサメタゾンを,対照として反対側の鼓室内に生理食塩水を鼓室内に充満するよう投与した.10分後薬液を除去した.音響負荷前,負荷直後,薬剤投与直後,音響負荷1時間後・2時間後のABRのI波潜時,蝸牛神経複合電位(CAP)のN1の潜時・振幅・閾値について検討した.結果:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.しかし各個体毎に検討するとABRのI波・CAP潜時の改善がより多く認められ,ステロイドの効果が示唆された.結論:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.

1 0 0 0 OA 難聴の治療

著者
小田 恂
出版者
東邦大学
雑誌
東邦醫學會雜誌 (ISSN:00408670)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.69-73, 2004-03-01

耳疾患の病態生理に関して20世紀の初頭までにはかなり解明されていたが,難聴の治療には結びつかなかった。20世紀の前半,ペニシリンの発見により感染症の治療ができるようになってから急性化膿性中耳炎の治療ができるようになり,1950年代以降は手術法の改良によって慢性中耳炎による難聴の聴力改善が可能になった。1970年ごろから突発性難聴など急性感音難聴の薬物治療ができるようになり,1980年代以降には人工内耳の手術によって高度感音難聴の治療も可能となった。また,補聴器は技術の改良によって小型・軽量化され伝音難聴,感音難聴のどちらにも適応するようになってきた。このように,20世紀はそれまで顧みられなかった難聴の治療が可能になった時代である。
著者
安田 真悟 中川 晋一 井上 潤 三井 実 石川 智治 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.615, pp.51-56, 2005-01-21
被引用文献数
1

感音性難聴等の聴覚障害者へ超低音の波面を忠実に伝送して, 音楽試聴における音質向上の研究を行っている. 96kHzサンプリング, 16bit量子化, による新たな計測法を示す. 本計測系での位相回転の検出感度は, 50Hz時に0.2°(1/1920波長, 10.4μs)であることが実験的に確かめられた. 本計測系を用い, 回路形式が明らかで低音域の音質に関してDC遮断回路の時定数の影響が支配的な回路形式の異なる各種市販オーディオアンプの入力波形と出力波形の位相周波数特性を測定した結果, ほぼ設計通りの時定数と位相回転との関係を実証できた. 具体的にはサーボアンプのNFB回路の, 低域カットオフ時定数コンデンサの容量を変化させて測定した. 各種アンプの低音域位相周波数特性を検討したところ, 25Hz時で0.01°(1.3μs)から31°(3460μs)の差があり, 250Hz付近で収束することが観測された. この, 低音域の位相周波数特性測定はBruel&Kjaer Type 2012のSteady State Responseモードによる測定に比較して, 簡便に同程度の精度で測定できる利点を有する.
著者
中山 彰 陸 金林 中村 哲 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.262, pp.57-62, 1998-09-11
被引用文献数
3

近年、ディジタル著作物の著作権を守る手段として電子透かし技術が開発されてきている。電子透かしは聴覚的には聴こえないということが重要であり、それを考慮した透かしアルゴリズムのひとつとしてLaurenceらの提案するMPEG心理音響モデルを用いた電子透かし法がある。ただこの方法は同時マスキングのみを考慮したものである。そこで本稿では心理音響実験の知見を用いて継時マスキングの定式化を行ない、それをLaurenceらの方法に導入し、もともとの方法との比較を行なった。その結果、両手法とも透かしの入った音楽でも高い品質を保っていることが明らかになった。また継時マスキングを組み込んだ場合の透かしの強度では、MPEGの符号化に対してLaurenceらの提案手法より、若干の改善が見られた。
著者
吉川 昭吉郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.263-264, 2001-04-01
被引用文献数
2