著者
田名部 康範
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.67-78, 2011-03-20 (Released:2018-02-01)

本稿の課題は,1950年代の保守勢力における福祉国家論の諸潮流を析出することによって,日本の福祉国家形成に影響を与えた理念やアプローチを明らかにすることである。1955年に結成された自由民主党は綱領に「福祉国家」を掲げたが,この理念の担い手は改進党や自由党岸信介派の議員たちである。彼らは欧米の福祉国家をモデルとして社会保障を重視しており,その制度的帰結が国民皆保険・皆年金である。これに対し,石橋湛山や池田勇人は,イギリスを反面教師として,社会保障を消極的政策生産の拡大を積極的政策と位置づけた。これが高度経済成長政策の背景にあるアプローチである。本稿では,後者をエスピン-アンデルセンの三つのアプローチ(自由主義,保守主義,社会民主主義)のいずれとも異なる生産主義アプローチとする。
著者
根岸 秀行
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.221-234, 2016-03-30

The black market in Gifu city was constructed in 1946 by the miserable repatriates who were led by able but too characteristic leader. Growing up their apparel transaction, they became confident. Then after expelling their leader who forced them to the disgusted housing business, they started pursuing their apparel business and turned to business persons. Through this process, they were reintegrated to their mother country.
著者
外務省編
出版者
大蔵省印刷局
巻号頁・発行日
1987
著者
三宅 弘一 島田 隆
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.150-156, 2012 (Released:2012-05-30)
参考文献数
10

Viral vectors are powerful tools for gene delivery and expression both in vitro and in vivo. Recently, many types of viral vectors have become commercially available and are easily used. It is important to choose appropriate viral vectors according to target cells and organs. In this technical note, we describe the characteristics of viral vectors and how to choose the appropriate viral vector to transduce target cells in vitro.
著者
岡田 あゆみ
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.217-226, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
17

発熱は小児科領域で頻度が高い症状で, さまざまな身体疾患が原因となるが, 心理社会的ストレスもその一因となることがある. 一般に, 発熱以外に随伴症状や炎症所見がなく, 特定の状況や誘因で発熱を認める場合や, 慢性の心理社会的ストレスの影響が推定される場合に 「心因性発熱」 と診断され, 10代や若年成人に多いといわれている. 小児では, 本人が心理社会的ストレス因に自覚のない場合やうまく言語化できない場合, 心因が明らかにならず診断に苦慮することもある. また, 親子が身体疾患を危惧している場合や診断を受け入れられない場合, ドクターショッピングに陥ることもあるので注意を要する. 治療は, 生活指導や心理療法, 薬物療法などが行われるが, 小児の場合は環境調整が重要となる. 学校などの集団生活では, 有熱時の対応の目安が求められるなど, 小児期特有の課題もある. また, 併存症への配慮も必要で, 神経発達症特に自閉スペクトラム症には注意する. 本稿では, 小児の心因性発熱の診療と対応上の注意点を述べる.
著者
梶田 学 真野 徹 佐藤 文男
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.148-167, 2002-03-20 (Released:2008-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
5 8

南西諸島の中部に位置する沖縄島には亜種リュウキュウウグイスC.d.riukiuensis(Kuroda1925)のみが留鳥として繁殖分布すると考えられてきた。しかし,我々の調査により沖縄島に生息するウグイスには上面が褐色の褐色型と灰オリーブ褐色の灰緑色型の二型が含まれていることが判明した。これら二型間の生息時期及び形態の違いを明らかにし,分類学的扱いを検討するたあに沖縄島で捕獲調査を行った。その結果,褐色型が留鳥,灰緑色型が渡り性の越冬鳥であること,褐色型の方が灰緑色型よりも翼差が短く,鼻孔前端嘴峰長が長いなど13の形態形質中9形質に有意差が認められること,翼式にも型間で明確な違いがあること,多変量を用いた解析でも形態的な差が明確に認あられることなどが明らかになった。両型の測定値から作成した線形判別関数式(正判定率雄100.0%,雌96.9%)を用いてリュウキュウウグイスのタイプシリーズ(14標本)の判別を行った結果,全て灰緑色型に判別されたことに加え,測定値と羽色の類似性から灰緑色型はリュウキュウウグイスと同定され,越冬期のみに沖縄島に生息する渡り性の亜種であること,分類学上異名(synonym)の問題を持っていることが示された。一方,羽色の類似性から褐色型は絶滅したと考えられている南大東島の固有亜種ダイトウウグイスC.d.restrictaと推測され,線形判別関数式を用いてダイトウウグイスのタイプシリーズ(2標本)の判別を行った結果,いずれも褐色型に判別された。測定値や羽色の比較でも両者は良く一致した。以上のことから,褐色型はダイトウウグイスと同定され,南大東島のみでなく沖縄島にも留鳥として分布し,沖縄島では絶滅を免れていることなどが明らかとなった。

4 0 0 0 OA 復軒雑纂

著者
大槻文彦 著
出版者
慶文堂書店
巻号頁・発行日
1902
著者
中岡 裕章
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.146-161, 2018 (Released:2022-09-28)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本稿は,埼玉県飯能市を事例に,エコツアー実施者の参画意識の差異を,その属性や地域特性の観点から分析し,地域づくりを目的としたエコツーリズムの意義と問題点を明らかにした.東京大都市圏郊外に位置するベッドタウンとしての性格が強い市の東部に居住する実施者は,参画理由に生きがいや楽しみを挙げる者が多く,ツアーに経済的利益を求めない傾向がある.一方,人口減少と高齢化が急速に進行する市の中・西部に居住する実施者は,ツアーの経済的な利益によって若者の定着などを期待する傾向がある.このように,実施者の参画意識には地域差が認められる.特筆すべき観光資源のない里地里山地域において,生きがいや楽しみを求める実施者の意向が大きく反映されたツアーが多く行われ,地域内外の交流が促進されたことは意義が大きいと考えられるが,他方でツアーに経済的利益を期待する実施者の意向にはそぐわないものとなっていることも明らかとなった.

4 0 0 0 放送教育

出版者
日本放送教育協会
巻号頁・発行日
vol.23(1), no.229, 1968-04
著者
財津 亘 金 明哲
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.87-95, 2019 (Released:2020-03-31)
参考文献数
25

This study examined the difference between authors and the consistency in each author's writing styles, both were the basis of authorship verification. We analyzed 88 academic papers on psychology written by 22 authors and focused on the rates of “non-content words”, “bigram of parts-of-speech”, “bigram of postpositional particles”, “positioning of commas”, ”words before period”, and “Kanji, Hiragana, and Katakana” in the papers. Next, symmetric Kullback-Leibler divergence distances between the papers were calculated. To examine the author differences in writing styles, using hierarchical Bayesian modeling, we compared the distances between papers written by the same author with those by different authors. Furthermore, to examine author consistency in writing styles, we compared the distances of short durations (under five years) between papers written by the same author with the longer durations (over five years). These results supported the hypothesis that there exist author differences and consistency in writing styles.