著者
蔭山 正子 横山 恵子 坂本 拓 小林 鮎奈 平間 安喜子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-036, (Released:2020-12-26)
参考文献数
18

目的 精神疾患のある親をもつ人を対象とし,小・中・高校時代の体験および学校での相談状況を把握することを目的とした。方法 精神疾患のある親をもつ人の会に参加したことのある240人を対象とし,ウェブ上のアンケート調査を実施した。小・中・高校時代の体験,学校での相談状況,子どもの頃に認識した教師の反応,学校以外での援助などを質問した。分析は単純集計を行い,学校内外の相談歴について回答者の年代で比較した。自由記載は内容の抽象度をあげて分類した。結果 120人から回答を得た。年齢は20歳代から50歳以上まで幅広く,女性が85.8%だった。精神疾患をもつ親は,母親のみが多く67.5%であり,親の精神疾患推定発症年齢は,回答者が小学校に入るまでが73.1%だった。 ヤングケアラーとしての役割は,小・中・高校時代で親の情緒的ケアが最も多く57.8~61.5%が経験し,手伝い以上の家事は29.7~32.1%が経験していた。小学生の頃は62.4%が大人同士の喧嘩を,51.4%が親からの攻撃を経験していた。周囲が問題に気づけると思うサインには,親が授業参観や保護者面談に来ない,いじめ,忘れ物が多い,遅刻欠席が多い,学業の停滞があった。しかし,サインは出していなかったとした人は小・中・高校時代で43.2~55.0%であった。回答者が認識した教師の反応では,精神疾患に関する偏見や差別的な言動,プライバシーへの配慮不足などで嫌な思いをしていた。家庭の事情や悩みを気にかけ,話を聞いて欲しかったという意見が多かった。 学校への相談歴のなかった人は小学生の頃91.7%,中学生の頃84.5%,高校生の頃で78.6%だった。相談しなかった理由としては,問題に気づかない,発信することに抵抗がある,相談する準備性がない,相談環境が不十分というものがあった。相談しやすかった人は,すべての時期で担任の先生が最も多かった。30歳代以下の人は,40歳代以上の人に比べて小学生や高校生の頃に学校への相談歴がある人が有意に多かった。結論 精神疾患のある親をもつ子どもは,支援が必要な状況にありながら,支援につながりにくい子どもたちであった。学校では,子ども自身が家庭の問題に気づけるような働きかけが必要である。教師はまず子どものことを気にかけ,話をよく聞くことが求められる。

4 0 0 0 OA 南狩遺文

著者
山中信古 編
出版者
天香堂
巻号頁・発行日
vol.1,2, 1870
著者
Takashi SHIBATA Kazunori SATO Ryohei IKEJIRI
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Electronics (ISSN:09168524)
巻号頁・発行日
vol.E100.C, no.11, pp.1012-1020, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

We conducted experimental classes in an elementary school to examine how the advantages of using stereoscopic 3D images could be applied in education. More specifically, we selected a unit of the Tumulus period in Japan for sixth-graders as the source of our 3D educational materials. This unit represents part of the coursework for the topic of Japanese history. The educational materials used in our study included stereoscopic 3D images for examining the stone chambers and Haniwa (i.e., terracotta clay figures) of the Tumulus period. The results of our experimental class showed that 3D educational materials helped students focus on specific parts in images such as attached objects of the Haniwa and also understand 3D spaces and concavo-convex shapes. The experimental class revealed that 3D educational materials also helped students come up with novel questions regarding attached objects of the Haniwa, and Haniwa's spatial balance and spatial alignment. The results suggest that the educational use of stereoscopic 3D images is worthwhile in that they lead to question and hypothesis generation and an inquiry-based learning approach to history.
著者
高橋 秀樹
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.431-439, 1998-05

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4 0 0 0 OA ぼくらの交通

著者
新城常三 著
出版者
東京堂
巻号頁・発行日
1949
著者
夏秋 優 高田 伸弘 川端 寛樹 佐藤 梢 高野 愛
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.47-49, 2013-03-15 (Released:2013-07-06)
参考文献数
12
被引用文献数
5 8

We report a case of tick bite caused by Amblyomma testudinarium with a clinical feature of erythema migrans. The patient, a 60-year-old female, went hiking in the Rokko mountains in Hyogo prefecture on June 30. An erythematous macule with mild itching and a biting tick was found on the right side of her abdomen on July 2. On the first visit (July 4), an annular erythema of 10 cm in size was recognized on the abdomen. She had no systemic symptoms and laboratory data were within normal limits. The tick was identified as a nymph of Amblyomma testudinarium. The skin rash was successfully treated with topical corticosteroids and had almost disappeared 2 weeks later without antibiotics. Serum antibody titers against Borrelia afzelii , B. burgdorferi, and B. garinii on the first visit and 1 month later were negative. These results indicate that the skin rash in this case, erythema migrans, was not associated with Lyme disease but an allergic reaction to salivary gland substances of the tick. Similarities between southern tick-associated rash illness and our case (tick-associated rash illness) are also discussed in this report.
著者
曽我 とも子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.92, 2009

福原は12世紀末に平清盛が造成した都で,安徳天皇の行幸から半年で平安京に還都した上,後に建造物は全て焼き払われた。このため,都市としての福原の姿を詳細に再現することは難しい。本研究は,福原に造営された安徳天皇新内裏の位置を陰陽五行思想の考え方をもとに推測した。<BR> 清盛は福原の鎮護のために多くの神社を勧請した。そのうち新内裏造営にあたり注目すべき2つの神社がある。比叡山になぞり,日吉山王権現(大山咋神)を祀った丹生山の丹生神社と,都の鬼門よけに京都の北野天満宮を勧請した北野天満神社である。新内裏の位置と推定する荒田町から,丹生山は陰陽五行思想で天を表し,最も神聖視される西北方位にある。荒田町から東北に位置する北野天満神社の神使は牛,神紋は松である。松と牛を合わせると,「松=八白」「牛=土星」で「八白土星」となり,八白土星の方角は丑寅である。<BR>丹生山から南東方向に直線を引くと,線上に菊水山,大山咋神社,荒田八幡神社,および大輪田泊にあった七宮神社が位置する。北野天満神社から南西に引いた線上には宇治野山(熊野神社),大倉山が位置する。この2線の交点が新内裏であった可能性が高い。<BR>道教思想において北極星に次いで重視されたのが北斗七星で,北極星を中心とした北斗と南斗の角度が約67度である。<BR>丹生山と,北野天満神社から引かれた線の交点は約67度となり,この67度の地点を新内裏(北極星)とし,丹生山にある丹生神社を南斗六星,北野天満神社を北斗七星とみなして配置したと考えられる。
著者
島田 誠
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.4, pp.105-130, 2005

本稿の目的は、『神アウグストゥスの業績録』の性格と目的を再評価することである。この『業績録』は、ローマ帝政を樹立した初代皇帝アウグストゥス自ら書き残し、現在のトルコ共和国のアンカラの「ローマと神アウグストゥスの神殿」の壁面で発見された金石文である。この金石文は、古代ローマ史研究者の間では、よく知られた史料であるが、多くの場合、そのテキストの一部がアウグストゥス自身の発言として引用されるに過ぎない。本稿では、この『業績録』を総体として捉えて、さらにローマ市のアウグストゥス墓廟の銘文として構想され、実際にはアンカラの神殿において発見されたことの意義を再考する。まず、この『業績録』の主要な資料である『アンキューラ記念碑』の発見と公刊の経過を確認した上で、『業績録』の内容を再検討し、この文章の種別(ジャンル)と想定されていた読者、さらにローマ市から遠く離れたアンカラにおいて、この『業績録』が発見された理由について論じる。 本稿での検討の結果、次の結論が得られた。この『業績録』は、ローマにおける金石文の伝統の中では、顕彰碑文の一種であるelogium にもっとも近く、前30 年から後14 年にいたる40 年間以上にわたって、ローマ政治を支配し、事実上、新しい支配体制を築き上げたローマ史上比類なき政治家の執務報告でもあった。『業績録』の読者としてアウグストゥスが念頭に置いていたのは、ローマ市大衆(plebs urnbana)を含む、ローマ市民に限定されていたと考えられる。ところが、同じ『神アウグストゥスの業績録』が、ローマ帝国の別々の場所においてそれぞれ異なった役割を果たしていたのである。アウグストゥスの『業績録』は、ローマ市をはじめ、ローマ市民の住む都市においては、市民たちにとって稀有の功績をあげた第一市民の執務報告であり、その功績に対して元老院やローマの市民たち(民会)が献じた顕彰碑文であったが、属州の小アジア(アナトリア地方)のガラティア人都市おいては、世界を征服した支配者の神格化を示す宗教的な文書と見做すことができる。
著者
髙木 まどか
出版者
成城大学
巻号頁・発行日
2020

主査 成城大学教授 外池 昇副査 成城大学教授 篠川 賢副査 成城大学教授 宮﨑 修多審査研究科 文学研究科
著者
河村 善也
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-12, 1992-02-29 (Released:2009-08-21)
参考文献数
34
被引用文献数
2 5

帝釈峡遺跡群に属する観音堂, 堂面, 穴神, 馬渡の4遺跡から産出した哺乳動物化石の層序学的な分布を, 現在までに得られた資料をもとにまとめた. これらの遺跡から産出した哺乳類の約69%は現在もこの地域に生息する種類で, その大部分は後期更新世の後半から連続してこの地域に生息していたものと考えられる. 一方, 全体の約19%は現在この地域には分布しないが, 他の地域には生息している種類で, これらは後期更新世から完新世にかけてのいろいろな時期に, この地域から絶滅したと考えられる. 残りの12%は絶滅種で, それらはすべて後期更新世末までに絶滅したと考えられる. 現在この地域に分布しない種類や絶滅種のこの遺跡群における消滅層準の年代は, 32,000から21,000年BPの間 (ヒョウ), 21,000から16,000年BPの間 (ニホンモグラジネズミ, ヒグマ属, ゾウ科の動物), 16,000から12,000年BPの間 (ニホンムカシハタネズミ, ブランティオイデスハタネズミ), 10,000年BP頃 (ヤベオオツノシカ), 6,000から5,000年BP頃 (オオヤマネコ) で, これらの年代は各種類の本州におけるおおよその絶滅時期と対応する可能性が高い.
著者
清水 聰
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.7-17, 2020-09-29 (Released:2020-09-29)
参考文献数
25

動線調査研究は,RFIDなどの位置情報技術により,新たな研究段階に入ってきている。本稿では,新しい位置情報システムであるQuuppaを用い,ある店舗での消費者の動線を70日間集めた。そしてその動線データと当該店舗のFSPデータと結び付け,消費者の当該店舗との関係性が動線長に与える影響と,動線長そのものを説明する要因を探った。その結果,店舗のロイヤルユーザーは,それ以外の来店者と比べて,1回の買物の動線長が短く,購買金額も高くないことが示された。また動線長を説明する要因には,週末や年末年始,各売場や通路の滞在時間,そしてロイヤルユーザーフラグが影響することが示された。動線調査を行う際に,消費者の視点を入れることの重要性が明らかになった。
著者
加藤 重広
出版者
北海道大学
雑誌
北海道大学文学研究院紀要 (ISSN:24349771)
巻号頁・発行日
vol.161, pp.35-49, 2020-12-18

本論は,広義の言語研究の一環として収集されたデータや関連資料がどのような危機にあるか,また,それらのデータや資料(以下,言語データ)を継承・保存する上でどんな課題があるか,また利活用に際して遵守すべき研究上の倫理とはどのようなものなのか,について論じるものである。