著者
邊 姫京
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.79-94, 2010-10-01

秋田,東京,大阪,兵庫,熊本の5地域を対象に,10歳代から80歳代の話者を含む音声資料(2006-2007年収録)を用い,無声化の生起要因及び無声化生起率の年齢的変化についての考察を行った。分析の結果から無声化生起率はどの地域も音環境の影響を強く受けていること,無声化生起率と音調との関係については兵庫,大阪でもアクセントよりも音環境の影響が大きいことが確認された。無声化生起率にはほぼ全国的に世代差があることをすでに報告したが(邊姫京2007),本稿では,世代間の断層が秋田では60代と50代の間,熊本と大阪では40代と30代の間にあり,兵庫も40代と30代の間に断層がある可能性があること,しかし東京では明確な年齢的違いはないことが確認できた。また,20年前の資料との比較から同一コーホート(同年出生集団)の無声化生起率は,ほぼ同じであることが明らかになった。
著者
山元 孝広
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3-4, pp.117-132, 2007-08-31 (Released:2014-05-22)
参考文献数
34
被引用文献数
2 4

火山フロントから60 kmの背弧域にある新潟県飯士火山の層序を見直し,海洋酸素同位体ステージ 7 (MIS7)に噴出した爆発的噴火産物を新たに見いだした.この堆積物はカミングトン閃石含有斜方輝石普通角閃石デイサイトを本質物に含む残留角礫相・塊状軽石流相・成層火砕サージ相からなり,越後湯沢火砕流堆積物と命名した.本堆積物のフィッション・トラック年代の測定結果は 0.21 ± 0.07 Ma であった.また,構成物の特徴と層序的位置から,この堆積物が関東北部で記載されていたプリニー式降下堆積物,真岡軽石の給源相と判断され,これを飯士真岡テフラと再定義した.飯士真岡テフラの上位の溶岩及び下位のテフラからの既報放射年代値も考慮すると,飯士真岡テフラの噴火年代は 0.22 ~ 0.23 Ma に絞り込める.更に,真岡軽石を含むとされた茨城県大洗の見和層中部の堆積相と構成物組成を検討した結果,見和層中部は従来考えられていたような MIS6 の低海面期の堆積物ではなく,MIS7.3 ~ 7.1 の潮流口‐河川堆積物からなることを明らかにした.
著者
宮永 孝
出版者
法政大学社会学部学会
雑誌
社会志林 (ISSN:13445952)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.226-141, 2012-07
著者
木海 晋一
出版者
横浜国立大学国語国文学会
雑誌
横浜国大国語研究 (ISSN:02881489)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.11-23, 1998-03-15
著者
宮澤 隆義
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.145, pp.97-107, 2005-03-15
著者
田中 尚夫
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.177-192, 1971-07-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
50
著者
木戸 功
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.100, pp.63-81, 2016-10-01

この論文では地方への移住を経験した人々のライフコースを構築主義の立場から検討する。インタビューを通じて得られた語りを移住動機に着目して分析する。インタビューという相互行為場面において,かれらの移住をめぐる語りはいくつかの文脈を参照することによって文字通り動機として提示されていることを論じる。「職業キャリア」「個人時間」「歴史時間」「家族キャリア」という4つの文脈に着目することで,動機を語るという実践が,それを通じてかれらのライフコースを言説的に構築する実践でもあることを例証する。さらに移住後のライフコースをめぐる予備的考察として,かれらの経験が地域の人々によって共有されている「ローカルな文化」を参照しながら語られていることを示す。
著者
吉田 雅昭
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.45-60, 2008-04-01

東北諸方言の基本的時間表現形式の考察を行った。過去継続相としてテアッタ・テデアッタ形が秋田市,タッタ形が青森市,テラッタ・テダッタ形が平鹿町・八戸市・盛岡市,テタッタ形が福島市方言で使用される。過去・現在継続相としてテタ形が見られるが,平鹿・八戸・盛岡ではテラ形も使用される。完成相ではタッタ形が平鹿・八戸・盛岡・福島で使用される。東根市では文末詞のケとタが共起することが多い。元々存在した過去継続相のテアッタ形が音変化によりタッタ形へ変化していった。変化当初は継続相として機能しながらも,継続相表示の「テ」の消失のため,やがて完成相(タの連続)として意識される。そして完成相と継続相の2項対立を実現させるためにテタッタ形を生じる,というプロセスを主張した。時間表現を通して,安定した体系を成立させるために言語変化が生じていく様を,各方言を対照させ論じた。
著者
藤井 公一 宮武 諭 石山 正也 大木 基通 冨岡 秀人 加瀬 建一 小林 健二
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.478-480, 2014-06-30 (Released:2015-01-23)
参考文献数
10

2011年1月から2013年1月の2年間に,肺塞栓症と診断され失神を伴った5例について,その特徴を診療録より後方視的に検討した。平均年齢73.6歳。2例は随伴症状を認めなかった。来院時のvital signsは,収縮期血圧低値1例,頻脈2例,SpO2低値1例であった。D-dimer 値は全例で上昇していた。心電図異常4例,心エコー検査による右心負荷所見は全例で認めた。治療は全例で抗凝固療法が施行され,うち1例に血栓溶解療法が施行された。失神を伴わなかった肺塞栓症患者12例との比較では,平均年齢が高く(p=0.045),右心負荷所見を認める割合が高かった(p=0.049)。心エコー検査とCTを施行するまでの時間は,失神を伴っていた患者で長くなる傾向がみられた。失神を伴う肺塞栓症患者は典型的症状に乏しく,心エコー検査やD-dimer測定は失神患者の原因検索としても有用である。
著者
小島 唯 阿部 彩音 安部 景奈 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
榮養學雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-93, 2013-04-01
参考文献数
13
被引用文献数
4

【目的】学校給食の食べ残しと児童の栄養摂取状況との関連を検討すること。<br>【方法】2009年5~6月,東京都公立小学校に通う5・6年生の児童112名を対象に,給食の食べ残しに関する自記式質問紙調査と残菜調査を実施した。残菜調査は,対象者一人につき2回ずつ行い,延べ人数のデータを用いた。残菜調査の結果から,食べ残しの有無により,残菜率0%の児童を完食群,それ以外の児童を残菜群とした。この2群の栄養摂取量の中央値の差について,一般化推定方程式(generalized estimating equation: GEE)を用いて検討した。解析対象の栄養素等は,エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,ミネラル5種,ビタミン4種,食物繊維とした。<br>【結果】延べ人数で,218名分の残菜データを得た。そのうち,男子104名(47.7%),女子114名(52.3%)であった。全体で,残菜群が80名(36.7%),完食群が138名(63.3%)であった。残菜率は0.2%~84.3%の間に分布していた。残菜群と完食群のエネルギーの中央値(25,75パーセンタイル値)は,各々 562(435,658)kcal,715(699,715)kcalであった(<i>p</i><0.001)。また,ビタミンCの中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 26(16,35)mg,完食群で 41(41,47)mgであった。同様に,その他すべての栄養素等で差がみられた(すべて<i>p</i><0.001)。<br>【結論】残菜群のビタミンCを除く栄養摂取量は,完食群に比べて2~3割少なかった。残菜群のビタミンC摂取量は,完食群に対して4割程度少なかった。
著者
平島 敏幸
出版者
流通経済大学
雑誌
流通經濟大學論集 (ISSN:03850854)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.A1-A12, 2006-01
著者
平島 敏幸
出版者
流通経済大学
雑誌
流通經濟大學論集 (ISSN:03850854)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.227-240, 2007-10
著者
深澤 倫子
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.89-94, 2006-03-22

氷や雪のもつ "滑りやすさ" は,スキーやスケート等のウインタースポーツには欠かせない性質である.この "滑りやすさ" の原因は,氷表面に存在する液体状の層(擬似液体層)にあると考えられている.氷結晶は,その表面に擬似液体層を持つことにより,成層圏におけるオゾン破壊や雷雲の帯電等,様々な自然現象を引き起こす.本稿では,最近の分子動力学計算による研究を中心に,氷表面の構造とダイナミクスについて解説する.