著者
佐藤 寛 今城 知子 戸ヶ崎 泰子 石川 信一 佐藤 容子 佐藤 正二
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.111-123, 2009-03-30
被引用文献数
1 11

本研究の目的は,学級単位で担任教師が実施することのできる,児童の抑うつに対する認知行動療法プログラムの有効性について検討を行うことであった。小学5〜6年生の児童310名を対象とし,150名が介入群に,160名が統制群に割り付けられた。介入群の児童に対して,心理教育,社会的スキル訓練,および認知再構成法を中心的な構成要素とする,9セッション(1セッション45分)からなる学級規模の集団認知行動療法プログラムが実施された。その結果,介入群の児童は統制群の児童に比べて抑うつ症状が大きく低減していた。さらに,介入群の児童は抑うつ尺度のカットポイントを超える割合が低くなっていたが,統制群ではカットポイントを超える児童の割合に変化は認められなかった。介入群の児童は,介入目標とされた社会的スキルと認知の誤りにも介入前後で改善が見られ,全般的な主観的学校不適応感も軽減され,抑うつや認知行動的対処に関する一般的な理解度が高まるといった効果が認められた。最後に,子どもの抑うつに対する心理学的介入プログラムの有効性や実用性を向上させるために必要とされる点について議論された。

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著者
福島順棊 著
出版者
三木書楼
巻号頁・発行日
vol.上, 1883
著者
米本 倉基
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.109-125, 2012-03

研究ノート(Note)本研究の目的は、医療分野において注目されている女性医師の増加に関して、その現状を国内外の統計データ、および先行論文をレビューすることで明らかにし、女性医師の就業支援が、今後のわが国の医療政策の重要な視点の一つとなることを論じることである。レビューの統計データは、主に厚生労働省、およびOECDヘルスデータを、論文は国内をCiNiiに、海外はPub Med Centralを中心として収集した。その結果、わが国において、女性医師の占める割合は、諸外国に比べていまだ低いことが確認されたが、その割合は近年急激に増加しており、その対応策の遅れが、わが国の医療現場の疲弊にいっそう拍車をかけることになる懸念が示された。現状における政策の問題点をあげれば、女性医師は、眼科や皮膚科などの特定の専門診療科へ集中する傾向や、結婚や出産後における離職と復職へのハードル、特にパート勤務や診療所開業医への転出する割合は男性医師よりも高く、病院経営に大きく影響している。にもかかわらず、その対策としての女性医師のキャリア支援や柔軟な勤務スタイルの整備など、勤務医のワーク・ライフ・バランス支援策が遅れ、これによって、わが国全体の勤務医不足に影響を与えている現状が明らかとなった。一方、すでに女性医師の割合が、わが国よりはるかに高く、その対策も進んでいる諸外国においても、前述した女性医師の特徴的な傾向を認めることができるが、その政策には見習うべき点が多く、今後の「研究上の視点」とした。The purpose of this work makes the present condition an obvious about the rise in a female physician which attracts attention in the medical field in reviewing statistical data in and outside the country and precede thesis, and is arguing that a female physician's employment support is set to one of the important viewpoints of the health care policies of future our country. I mainly collected the statistical data of the review with the Ministry of Health, Labour and Welfare and the OECD health datum. Moreover, the thesis collected domestic and overseas collected Pub Med Central as a meditullium to CiNii. The result checked that the percentage of the female physicians of a Japanese was low compared with foreign countries. However, the ratio is increasing in recent years to the sudden. And the apprehension of the time-lag of the measure having affected the shortness of the numbers of physicians of our country was shown. A female physician is a tropesis which I concentrate to specific special specialties, such as an ophthalmology and a dermatology. And the hurdle of reappointement after a marry or a tokos is high for a female physician. Especially the percentage to part employment or clinic general practitioners that moves out has a female physician higher than a virile physician, and he has influenced the hospital management greatly. Nevertheless, a carrier support of the female physician of a Japanese, maintenance of a flexible employment style, and the work-life balance support system of a medical doctor in hospital are insufficient. On the other hand, the policy over the rise in a female physician of foreign countries has many points to study. I would like to research about it from now on.
著者
鍛代 敏雄
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館年報 (ISSN:21862699)
巻号頁・発行日
no.10, pp.43-52, 2019-06-23

本研究資料は、世界遺産「平泉」関連資産の柳之御所遺跡から出土した折敷墨書について、原本調査の実施を踏まえた報告である。平成2年(1990)年度の第28次発掘調査において発見された当該の折敷は、年輪年代測定法によって、1158年+x年と推定された。陶器の様式編年にもとづく年代比定では、12世紀第3四半期との指摘が有力である。奥州藤原3台秀衡の盛期にあたり、柳之御所遺跡を平泉館と考える根拠の一つともなる重要な文字史料である。 このような貴重な出土遺物である折敷墨書に関し、あらためて実際に原資料を調査・分析し、これまでの読み方を修正し、なお墨書の内容を検討した結果、新しい事実を再発見することができた。そこで、ここに私見をもって報告する次第である。 すなわち、従来「人々給絹日記」とされてきた表題を、「下賜給絹日記」と改訂し、この日記の成立経緯とその意味、とくに下賜された装束の儀礼的な意義について、秀衡の嫡男・泰衡の身分上の位置づけに着目しながら論述した。 なお、本学において筆者が担当する授業「文化財概論」および「古文書学概論」「古文書学各論」「古文書学実習」は、学芸員取得のための単位履修にかかわる専門科目である。本報告は、柳之御所遺跡出土の折敷墨書を読み直した資料紹介だが、文化財や古文書の重要性を語る上で、実践研究の成果として参看されるべきものと考える。 This research material introduction is a report based on implementation of the original investigation about the tray table writing in ink unearthed from Yanaginogosyo court remains of the world's cultural and natural heritage "Hiraizumi" related legacy. A drawing tray table where the degree of 1990 was found in research excavation the 28th was estimated by an annual ring dating way at +x year in 1158. Comment with the third quarter in the 12th century is strong by comparative identification the age based on the annual style volume of the pottery. Oshu Fujiwara is the valuable character historical sources all one of the bases which regard 3 generations of Yanaginogosyo court remains as Hiraizumi house in case of Hidehira's active period will be. It was possible to find new fact investigating and analyzing field historical sources actually once more about the tray table writing in ink which are such valuable unearthing relics, and correcting the former way to read, and as a result of further considering the contents of writing in ink. So the order which will be reported with a private view here. Or the title made "the people salary silk diary" in the past was revised with "the bestowal salary silk diary", and it was stated while aiming at placing on the status of Hidehira's legitimete son and Yasuhira about the formation longitude and latitude of this diary, its meaning and the ceremonious signification of the attire bestowed in particular. Further, the class "cultural asset outline" and "paleography outline" "paleography itemized discussion" of which a writer takes charge in the science "paleography training" are the special subject concerned with unit taking for curator qualification acquisition. This report is the material introduction which reread tray table writing in ink of Yanaginogosyo court remains unearting, but when telling the importance of the cultural asset and the ancient document, I think it should be referred to as an outcome of action-training-research.
著者
横山 詔一 真田 治子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.31-45, 2010-04-01

山形県鶴岡市で進行中の共通語化について,将来の動向を予測する統計モデルとして言語の「生涯習得モデル」を作成し,その妥当性を論じた。このモデルは,「ある地域の言語変化の動態は,地域住民の脳内に生涯にわたって蓄積される言語記憶や言語運用能力の経年変化を反映している」という仮説のもと,「臨界期記憶+調査年効果→共通語化」という図式にしたがって共通語化を説明・予測する。鶴岡市において経年的に約20年間隔で過去3回実施された調査のデータをこのモデルで解析した結果,アクセント共通語化などにおいて予測値と観測値が精度よく一致することが示され,アクセント共通語化の進行速度が次第に加速していった状況などが統計学的に実証された。このモデルの提唱は,言語変化の経年調査データを新たな視座から検討する契機になるものと考えられる。
巻号頁・発行日
vol.第206號 (昭和22年4月29日), 1947
著者
Hiroe Sato Yoko Wada Eriko Hasegawa Yukiko Nozawa Takeshi Nakatsue Tomoyuki Ito Takeshi Kuroda Takako Saeki Hajime Umezu Yoshiki Suzuki Masaaki Nakano Ichiei Narita
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.8473-16, (Released:2017-08-10)
参考文献数
27
被引用文献数
25

Chronic recurrent multifocal osteomyelitis (CRMO) is an autoinflammatory bone disorder that generally occurs in children and predominantly affects the long bones with marginal sclerosis. We herein report two cases of adult-onset CRMO involving the tibial diaphysis bilaterally, accompanied by polyarthritis. Magnetic resonance imaging (MRI) showed both tibial osteomyelitis and high intensity of the extensive lower leg muscles. Anti-interleukin-6 therapy with tocilizumab (TCZ) effectively controlled symptoms and inflammatory markers in both patients. High intensity of the lower leg muscles detected by MRI also improved. These cases demonstrate that CRMO should be included in the differential diagnosis of adult patients with bone pain, inflammation, and high intensity of the muscles detected by MRI. TCZ may therefore be an effective therapy for muscle inflammation of CRMO.
著者
跡部 治
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.41-45, 1975-02-28 (Released:2009-11-12)
著者
米谷裕之
雑誌
日歯教誌
巻号頁・発行日
vol.7, pp.69-73, 1991
被引用文献数
6
著者
東条 佳奈
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.16-32, 2014-10-01

本稿では、現代語の助数詞のうち、「1世帯」の「世帯」のように、数詞と切り離して単独の名詞として用いられるものを「名詞型助数詞」と呼び、新聞より抽出した語例を先行研究と異なる観点で分類し、以下の類型があることを示す。名詞型助数詞はまず、容器となる名詞を基準に量を測る「容器型助数詞」と名詞の性質を残す「非容器型助数詞」に区分でき、後者は、前接する数の制限に関する「可付番性」の有無により「準助数詞」と「擬似助数詞」という二つの下位類にさらに分けられる。準助数詞は、数を積み上げて数えることができ、意味的にも抽象的関係を示す語が多く、従来の助数詞に準ずる存在として体系を補うものである。これに対し、擬似助数詞は、文章の中で臨時的に数詞と結びつく見かけ上の(数え上げられない)助数詞であり、具体性の高い名詞として文脈照応の機能をもつ傾向がある。可付番性の有無という分類基準は、先行研究の分類をも適切に解釈する観点となる。
著者
清水 誠治
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.46-60, 2006-04-01

先行研究の調査報告内容が一致していない愛媛県宇和島市の九島方言アクセントについて、新たに行なった調査結果に基づき報告し考察する。まず、この方言では、弁別の決め手となる下降が遅れて実現する場合があり、また、句頭の音調にも様々なものが出現可能で、そうしたゆれが個人差を生じさせ、結局調査結果のズレをもたらしたらしいことを報告する。続いて、音韻体系としては宇和島方言アクセントと同じく「中輪式」に解釈される点と、新たに見つかった、頭高型以外の語が無核型文節に続く時低接する現象の存在から、この方言アクセントは、従来言われていたような現在の宇和島方言の体系から変化して成立したものではなく、宇和島方言と同じ体系から宇和島方言とは式の合流に関して異なる経路の変化を遂げながらも一度宇和島方言と同じ音韻体系に至った後、新たな変化が起こっているものだとする説を述べる。
著者
カイザー シュテファン
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.31-47, 2008-01-01

後世の評価がかんばしくないシーボルトの日本語記述書Epitome Linguae Japonicaeをとりあげ、先行史上の位置付けを試みる。シーボルトが自らリストしている参照文献との関連を検討すると、シーボルトの記述に影響を及ぼしたものとして確認できるのはツンベルグの旅行記の仏訳本のみであることが判明した。ただ、日本語のローマ字転写法ではケンペルの著作物の影響が見られることも両者の比較により判明する。シーボルトはケンペルの方法を踏襲しながらも改善・整理し、より体系的なシステムにした。ツンベルグの日本語記述と比較すると、シーボルトはツンベルグを引用しながらも誤りや誤植などを修正し、記述内容をデータにもとづき修正しているだけでなく、ツンベルグより体系的に日本語を記述している。くわえて、ツンベルグにはみられない、言語学的なとらえ方も見られ、「先人の研究より進んでいない」という後世の評価は不当であることを示した。
著者
松本 浩実 大坂 裕 井上 和興 朴 大昊 萩野 浩
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11657, (Released:2019-11-29)
参考文献数
22

【目的】地域高齢者におけるフレイルの進行度と運動および運動自己効力感の関連性を調査すること。【方法】地域の集団健診に参加した239 名中,1)65 歳以上,2)日常生活が自立しているもので,要介護認定者を除外した男性85 名,女性127 名,平均年齢76 歳を対象とした。自己記入式アンケートにて運動および運動自己効力感を評価し,日本版Cardiovascular Health Study Index 基準を用いたフレイル判別にてロバスト,プレフレイル,フレイルに群分けした。【結果】多項ロジスティック回帰分析を実施した結果,プレフレイルと散歩やウォーキングなし(Odds:11.521),筋力トレーニングなし(Odds:6.526),集団体操なし(Odds:10.089)が,フレイルと運動自己効力感(Odds:0.826)が関連した。【結論】フレイル予防には運動習慣とともに運動自己効力感を高める心理的,教育的なサポートが重要である。
著者
山田 文雄 杉村 乾 阿部 慎太郎 半田 ゆかり
出版者
日本熱帯生態学会
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.87-92, 2000
被引用文献数
21

アマミノクロウサギPentalaglls fllrnessi は琉球列島の中部の奄美大島と徳之島だけに生息する固有種である。本種の保護を目的に,現存個体数の推定,活動性の時間的・空間的パターンの解明,及び本種の生存を脅かす移入種(とくに移入マングース)の影響の解明について研究を行った。アマミノクロウサギの生息域は縮小化と断片化が進み,生息数も減少傾向にあり, 1995 年現在の生息数は両島で2700~6500 頭と推定された。本種の行動圏面積は比較的狭く(雄1.3 ha ,雌1. 0 ha) ,夜間,森林に覆われた谷などにある巣穴から出て100-200 m 移動し,林縁部で採食と脱糞を行っていた。奄美大島では,移入捕食者であるマングースがアマミノクロウサギや生態系に及ぼす影響の大きいことが明らかになり,その対策が緊急に求めらている。
著者
白石俊夫 著
出版者
誠山堂
巻号頁・発行日
1929
著者
増田 和央 原 太智 茅野 昭 稲葉 敦
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第5回日本LCA学会研究発表会(会場:東京都市大学)
巻号頁・発行日
pp.200, 2009 (Released:2010-02-15)

近年、地域の自然や文化に触れることを目的としたエコツーリズムが盛んになって来ている。エコツーリズムはまた、地域の活性化にも役立つことが期待されている。一方で、運輸部門のCO2排出量が年々増加していることが指摘されており、旅行の際に使われる自動車や飛行機などの二酸化炭素排出量の削減が求められている。したがって、エコツーリズムと運輸部門のCO2排出量削減が調和する方策が必要である。