著者
西原 陽子 砂山 渡
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.1478-1486, 2010-08-15

研究会や国際会議などの研究発表の場を通じて,研究者は聴講者をはじめとする多くの研究者と議論を交わす.発表の場においては数多くの研究発表があり,各聴講者はプログラムに書かれた多くの研究発表の中から,自分の専門分野を中心とした聴講の計画を立てる.しかし研究の発表者にとっては,自分の専門分野に限らないより多くの聴講者を集めることができれば,より多様な意見を得ることが期待できる.このことから,異なる専門分野の聴講者を引きつけられる研究発表のタイトルを作成することが望まれるが,そのような研究発表タイトルの特徴は明らかになっていない.そこで本稿では,専門分野の素人(専門分野が異なる人)に選択されやすい研究発表タイトルを推定する選好タイトル推定システムを提案する.本システムは,研究発表タイトルをその分かりやすさと面白さをもとに,素人による選択のされやすさを評価する.実験の結果,本システムは多くの人に選ばれやすいタイトル中のキーワードを重視する比較システムよりも,高い精度で素人に選ばれやすいタイトルを推定した.
著者
柏木貴紀 澤本潤 杉野栄二 瀬川典久
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.387-389, 2011-03-02

近年,YouTubeやニコニコ動画といったサイトを筆頭に,情報をやりとりする媒体として動画(映像)を使用する例が増えている.これに伴い,サーバへの負荷やネットワークトラフィックの増加といった問題が増々深刻になってくると考えられる.この問題を解決するため,昨今のエンド端末の高性能化に伴い注目されているPeer to Peerネットワーク技術を用いて,ネットワークの負荷分散・全体の利用効率を向上させる事を目的とした動画配信システムを提案する.
著者
木綿麻実路 岩切 宗利
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1258-1265, 2006-04-15

テキストベースの情報メディアの一種に,文字の形状や濃度を利用して絵や自然画像を表現するアスキーアートがある.一般的なアスキーアート作成手法では,作者や作成日時などの属性情報を別に記録する必要がある.しかし,流通の過程でそれらの属性情報は失われる可能性がある.そこで本研究では,1 対1 であった文字と輝度の交換テーブルを1 対多とすることにより,アスキーアートに情報を埋め込む手法を考案した.本論文ではその考えに基づき,埋め込み可能容量を増大しながら出力画質を向上させる手法について示す.また,階調数を高く設定したうえで入力画像の特性を考慮した文字数選定を行うことにより,出力画質と埋め込み情報量をともに向上させることができることを実験により示した.本研究の結果,出力データサイズに対して最大21%程度の情報埋め込みに成功した.
著者
田中康仁
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.8(1977-NL-010), pp.1-7, 1977-06-24
著者
深見 嘉明 小林 巌生 嘉村 哲郎 加藤 文彦 大向 一輝 武田 英明 高橋 徹 上田 洋
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-79, no.1, pp.1-8, 2011-01-14

Web of Data というコンセプトのもと,ウェブ上で計算機処理可能なデータを分散的に生成し,それを互いにリンクさせることにより,共有財としてのデータベース資源を確立するという試み,それが Linked Open Data である.その特質を活用し,これまで行政が単独で担ってきた情報収集,分析とそれを生かした政策実現,住民サービス実施を分担するという試みが始まっている.本論文では,住民コミュニティと行政の連携を通じたボトムアップ型オープンガバメントの試みについて紹介し,ウェブ標準技術が共有財の創出と受益者の拡大にどのように貢献できるかについて検討する.
著者
松本 直人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1021-1027, 2013-03-15

災害時において情報システム障害の社会にあたえる影響は,年々増大している.本稿では,東日本大震災における情報発信の事例を分析し,システム障害の影響を最小限に保つ手法について提言する.
著者
平田 光司 Kohji HIRATA
出版者
総合研究大学院大学教育研究交流センター
雑誌
科学における社会リテラシー3;総合研究大学院大学湘南レクチャー(2005)講義録
巻号頁・発行日
pp.3-21, 2006-02-28

第Ⅰ部 科学原論 第1章 科学における社会リテラシーの将来平田 光司[総合研究大学院大学葉山高等研究センター教授]
著者
池谷 知子 久津木 文
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.21-36, 2013-03-05

日本語を学ぶ外国人が苦労するものとして「日本語の中のカタカナ」が挙げられる。スーパーで同じ魚が「サーモン」「鮭」という二つの名前で売られているのに対して感じる日本語学習者の素朴な疑問、つまり、いつ「サーモン」と呼び、いつ「鮭」を使うのか、ということに対して明確に答えられる日本人は少ない。そこで本研究は以下の2点を明らかにすることを目的とし、英語母語話者の日本語学習者18 人に対して調査を行った。検討課題は以下の2点である。 検討するべき点I・・・英語の原語とカタカナ語の意味のマッピング 検討するべき点II・・・カタカナ語と非カタカナ語(和語・漢語)の意味のマッピング結果、日本語学習者はカタカナ語は日本語の語彙の一種であり、カタカナ語と英語は異なるものであることを認識していることがわかった。しかし、語彙によって習得が簡単なものと、難しいものの差があることが明らかになった。
著者
大内 英範 山田 太造 高橋 典幸 綱川 歩美 林 譲 保谷 徹 山家 浩樹 横山 伊徳
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.105-110, 2011-12-03

Hi-CAT Plus は,採訪マイクロフィルムをデジタル化した画像の検索・閲覧システムとして開発され,史料編纂所閲覧室内の端末でサービスをはじめた.本システムの仕組みや既存システムとの連携,上記用途にとどまらない今後の展望などについて述べる.
著者
田中雄一郎 笹河良介 佐藤真平 吉瀬謙二
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.26, pp.1-6, 2013-03-06

近年では,ソフトプロセッサがFPGAを使用するシステムにおいて一般的なコンポーネントとなっており,制御やデータ処理などの幅広い機能を実現するために使用されている.小型デバイスにおいてハードウェア容量は限られており,多機能・高性能化においてその容量制限が障害となる.ゆえに,小さいソフトプロセッサの開発が重要である.このようなソフトプロセッサの既存研究に,Supersmall Soft Processorが存在する.本研究ではSupersmall Soft Processorを元に使用面積の削減,並びに性能向上を目指すUltrasmall Soft Processorを提案する.Supersmall Soft Processorに対し,主要データパスの2ビット化,状態遷移の最適化,マルチプレクサの入力ロジックを含む最適化を施す.その結果,Virtex-7においてハードウェア量の削減を達成し,1.88倍のIPCを実現した.また,Ultrasmall Soft Processorの応用としてメニーコア化を検討する.
著者
大塚 敏史 石郷岡 祐
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.6, pp.1-5, 2013-03-06

近年の自動車では,制御の電子化と情報機器連携によりネットワークの重要性が高まる一方で,接続機器増加によりセキュリティリスクも高まっている.特に不正データを侵入させシステムを異常動作させるなりすまし攻撃は,論文等で実車での攻撃が実証されており対策が急務である.一方で,車載LANはすでに広く普及しており,既存ECU(Electronic Control Unit)の変更はコストおよびシステム信頼性に影響を及ぼす.本研究では,既存ECUに変更を行わずになりすまし攻撃の検知および防止が可能な侵入検知手法の実現を目的としており,本報告では,車載LANデータの周期性を活用して高い検知精度と侵入防止機能を実現する周期検知方式を提案する.
著者
中西恒夫 久住憲嗣 福田晃
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.9, pp.1-6, 2013-03-06

XDDP4SPLは,派生開発の中で現有ソフトウェア資産に関する理解を深め,コア資産の新規開発や現有ソフトウェアからの発掘を進め,コア資産の蓄積を進め,プロダクトライン開発に漸次的に移行するべく提唱された開発プロセスである。その過程においては,ソフトウェアプロダクトラインのパラダイムに基づく開発と派生開発による開発が併走し,現有ソフトウェア資産については,プロダクトライン全体の中での位置づけが定まっている部分とそうでない部分,コア資産として管理される部分とそうでない部分とが併存するため,プロダクトライン開発への移行,コア資産の蓄積の現況の把握が欠かせない。この目的のため,現有ソフトウェア資産の理解の深化にあわせて,徐々にトレーサビリティ管理の詳細度を向上できる,階層化トレーサビリティマトリックスの記法,ならびにフィーチャモデルの変化に伴う更新の方法を述べる。
著者
イェユンウェン 中小路久美代
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.117-124, 2011-04-15

組織やグループで現在開発中の,あるいは既に開発したシステムやオープンソースといった大量のソースコードを,その組織の知財として活用が望まれてている。そのようなソースコードに特化して検索するのが,エンタープライズ検索エンジンCodeDepotである.CodeDepotは,ソースコードを構造化された自然言語の文書とみなし,プログラムの構造情報と意味情報を同時に考慮しながら,正規化処理と重複インデキシングを行なう.これにより,ウェブインタフェースを介して数億行以上の大規模ソースコードを瞬時に検索でき,現場での実用に耐えるシステムとなっている.検索クエリ文字列のバリエーションや複雑な条件検索,さらには文字列をトークンに置換することで,コードクローンと呼ばれる構造的に類似するプログラム断片を,インタラクティブに検索できる.現時点で数十のソフトウェア開発組織で,コーディング作法の学習や保守のような開発作業の様々な局面で利用されている.利用した開発者からは,システムの高速性と簡便性が高く評価されている.
著者
小松 智希 成澤 和志 篠原 歩
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2012-GI-28, no.8, pp.1-8, 2012-07-06

探索空間が非常に広く,評価関数が作りにくいゲームにおいて行動決定を行う手法にモンテカルロ法があり,囲碁や大貧民などのゲームに対して有効な手法であることがわかってきた.しかし,麻雀のように探索空間全体に対して得点が得られる組み合わせが少ないゲームでは,モンテカルロ法は報酬を得ることができるプレイアウトの回数が少ないため,十分な効果を発揮することができない.本論文では,麻雀におけるモンテカルロ法の非効率性を実験的に検証する.また,プレイアウトにおいて効率的に報酬を得ることができる手法を提案し,モンテカルロ法と比較することで実験的に有効性を示す.
著者
五味 弘 高橋 順一 新谷 義弘 伊藤丹二 長坂 篤
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.24(1991-PRO-064), pp.17-24, 1992-03-16

COMMON LISP THE LANGUAGE SECOND EDITION 準拠の高速かつ高い移植性を持つCommon Lisp処理系であるTachyon Common Lispの実現方式について述べる。本処理系は現在i860^<TM> RISC CPUを搭載したUNIXワークステーションOKIstation 7300上で動作する。Tachyon Common Lispは実行速度を重視するため、i860^<TM> CPU特有の最適化を含む各種の高速化を行った。また、高い移植性を保証するためにその核言語のみをLispに似た構文を持つマクロアセンブラで記述し、その他の大部分をS式で記述している。さらに大きなメモリ空間を使用でき、またそのカスタマイズが容易にできるメモリマネジャと、GC時間の短縮のために圧縮領域を制御するGCを実現した。
著者
山本 和英
巻号頁・発行日
1996-03-22

豊橋技術科学大学
著者
小池 恵介 太田 淳 大島浩太 藤波 香織 郡 信幸 竹本 正志 中條拓伯
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.2740-2751, 2012-12-15

Android端末におけるJava実行の高速化とともに,さまざまなネットワークプロトコルへの対応や,種々のセンサへの柔軟な接続が求められている.そのために,FPGAを活用したReconfigurable Androidを提案し,その有効性,可能性を検証することを目指す.本稿では,Reconfigurable Androidの概念について述べ,FPGAボードにプロセッサカードを搭載したシステムにAndroidを移植し,FPGAによるアクセラレータを実装し,ハードウェア実行可能なJavaのソース部分をFPGA上で実行することにより全体の性能向上を実現する.Dalvik VMが稼働するIntel AtomプロセッサとFPGAとの間において,PCI Expressインタフェースの実装を完了し,DMA転送により150 MByte/secの通信性能を確認した.さらに,FPGAアクセラレータによるAndroidの高速化手法について述べ,実験環境および,プロセッサとFPGA間の通信性能について報告し,アクセラレーションによる性能評価を示す.