著者
濱崎 俊光 後藤 昌司
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.147-163, 1999-03-10 (Released:2009-06-12)
参考文献数
34

事象数の変換または「再表現」は,データ解析者が最も頻繁に行っていることである.例えば,変換後に誤差分散の均一性を狙うのであれば,Poisson分布に従う変数の場合に平方根変換,2項分布に従う変数の場合には逆正弦変換あるいは角変換を使用することが多い.本稿では,一般的に用いられている既知の離散分布または事象数に対する変換の妥当性を, Box and Cox (1964)が提案したべキ変換の枠組みの中で評価し直した.とくに,Poisson分布に対する分散安定化のための正規化変換に注目し,変換として対数変換と平方根変換をとりあげ,それらの性能を検討した.その結果,変数がPoisson分布に従うときに分散を安定化させるための変換として,Bartlett (1949)の分散安定化公式による平方根変換が, Box and Cox (1964)のべキ変換からも支持された.そして,Poisson分布に従う変数に対数変換を施したとしても変換後の変数の分散は一定でなく,分散の安定性と分布の正規性の両方の意味で,Poisson分布に従う変換には平方根変換が対数変換に比べて適していることが示唆された.

3 0 0 0 OA 近藤正斎全集

出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第2, 1905
著者
伊藤 錬磨 金子 佳史 中西 宏佳 辻 国広 吉田 尚弘 冨永 桂 辻 重継 竹村 健一 山田 真也 土山 寿志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1457-1463, 2012 (Released:2012-05-28)
参考文献数
14

症例は60歳男性.ニガクリタケを摂取した30分後に嘔吐,腹痛が出現し来院.第2病日に症状は一旦軽快したが,第3病日に嘔吐,腹痛,黒色便を認めた.第4病日の上部消化管内視鏡検査にて上十二指腸角から十二指腸下行部にかけ連続性,全周性に発赤,浮腫,びらん,出血を認めた.保存的加療にて症状は経時的に軽快した.第9病日の内視鏡検査では十二指腸下行部に出血はみられず,顆粒状粘膜や線状潰瘍を認めた.第18病日に症状軽快し退院.退院後の内視鏡検査では線状潰瘍瘢痕を残すのみであった.キノコ中毒における消化管病変の報告は少なく,またその経時的変化を内視鏡的に追えた自験例は貴重であると考えられた.
出版者
J&Jコーポレーション
巻号頁・発行日
vol.10(4), no.1396, 1959-06
著者
小林 祐介 大槻 明
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.186-193, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
23

2018年現在,日本ではコメ(米)を食べない人が増加しており,実質的なコメ離れが起きている.そこで,本研究では,特に若者世代がコメを食べない理由について明らかにすることを目的に,独自にアンケート調査を行い,得られたアンケート結果データを元に,クラメール連携相関及び対応分析を用いた計量アプローチにより分析を行った.この結果,主食にコメを食べない人の特徴や原因が明らかとなった.
著者
Ehimen C Aneni Chukwuemeka U Osondu Javier De La Cruz Seth S Martin Michael J Blaha Adnan Younus Theodore Feldman Arthur S Agatston Emir Veledar Khurram Nasir
出版者
Japan Atherosclerosis Society
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
pp.40741, (Released:2018-09-14)
参考文献数
27
被引用文献数
16

Aims: There is limited knowledge about the association of lipoprotein particles and markers of coronary atherosclerosis such as coronary artery calcification (CAC) in relatively young high-risk persons. This study examines the association of lipoprotein subfractions and CAC in high cardiometabolic risk individuals.Methods: The study presents analysis from baseline data of a randomized trial targeted at high-risk workers. Employees of Baptist Health South Florida with metabolic syndrome or diabetes were recruited. At baseline, all 182 participants had lipoprotein subfraction analysis using the ion mobility technique and participants above 35 years (N=170) had CAC test done. Principal components (PC) were computed for the combination of lipoprotein subclasses. Multiple bootstrapped regression analyses (BSA) were conducted to assess the relationship between lipoprotein subfractions and CAC.Results: The study population (N=170) was largely female (84%) with a mean age of 58 years. Three PCs accounted for 88% variation in the sample. PC2, with main contributions from VLDL particles in the positive direction and large LDL particles in the negative direction was associated with a 22% increase in CAC odds (P value <0.05 in 100% of BSA). PC3, with main contributions from HDL lipoprotein particles in the positive direction and small/medium LDL and large IDL particles in the negative direction, was associated with a 9% reduction in CAC odds (P<0.05 in 88% of BSA). PC1, which had approximately even contributions from HDL, LDL, IDL and VLDL lipoprotein subfractions in the positive direction, was not associated with CAC.Conclusion: In a relatively young but high-risk population, a lipoprotein profile predominated by triglyceride-rich lipoproteins was associated with increased risk of CAC, while one predominated by HDL lipoproteins offered modest protection. Lipoprotein sub-fraction analysis may help to further discriminate patients who require more intensive cardiovascular work-up and treatment.
著者
野崎 洋之
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.633, pp.633_33-633_60, 2016-06-30 (Released:2017-05-13)
参考文献数
43

保険には一定の経済波及効果が期待され,特に損害保険分野における財物保険は,その補償が,毀損した財物の復旧を目的にしていることから,大きな経済波及効果を生む可能性がある。本研究では,損害保険の経済波及効果に関する実証研究として「地震保険」,殊に「東日本大震災で支払われた地震保険金」に着目し,その保険金の使途等に関する調査を実施した。その結果,地震保険金の6割近くが建築修繕費に充てられており,地域間産業連関表(2005)を用いて地震保険金の経済波及効果の推計を行ったところ,東日本大震災で支払われた地震保険金は3兆円を超える経済波及効果を有し,災害復興に大きく貢献していることが明らかになった。一方で,本研究が地震保険の価値を相対的に評価できていないことを認識した上で,保険金の使途に関する知見が十分に蓄積されていない現状を踏まえ,更なる実証研究の実施と比較研究の必要性を今後の課題として纏めた。
著者
村井 俊哉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.18-25, 2009-03-31 (Released:2010-06-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

脳損傷後には,依存性,感情コントロール低下,対人技能拙劣,固執性,引きこもり,など,社会的場面・対人場面での行動にさまざまな問題が生じてくる。これらの問題は,脳損傷に伴う身体障害や社会的困難に対する心理的反応などとして理解できる場合もあるが,脳損傷の直接の結果として理解するほうが妥当と考えられる場合もある。前頭葉は社会的行動と関連する重要な脳領域であるが,その損傷によって生じる行動障害は,アパシー,脱抑制,遂行機能障害という3 つの軸で大別することも可能である。この 3 症候群が内側前頭前皮質,眼窩前頭皮質,背外側前頭前皮質の損傷とそれぞれ特異的に関連しているとの主張もみられるが,病変と症候の対応関係はそれほど明解ではない。社会的行動障害の基盤となる情報処理の障害が何であるのかは十分には明らかにされていないが,たとえばアパシーについては,目標へと方向づけられた行動(goal-directed behavior)の量的減少として理解できるのではないかとの考えが提案されている。

3 0 0 0 車両技術

出版者
日本鉄道車輌工業会
巻号頁・発行日
no.195, 1991-10
著者
森信 茂樹
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2001
被引用文献数
3

14401乙第08201号
著者
畑野 快
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Suppl., pp.81-84, 2013-12-20 (Released:2016-08-10)
被引用文献数
10

本研究の目的は,内発的動機づけと主体的な学習態度を媒介する変数として自己調整学習方略(Self-Regulated Learning Strategy: SRLS)に着目し,主体的な学習態度に対する内発的動機づけ,SRLSの影響を明らかにし,大学生に主体的な学習態度を獲得させる方策を検討することであった.大学1年生266名を対象とした質問紙調査から,内発的動機づけがSRLSを媒介し,主体的な学習態度に影響を与えるモデルを仮定した上でSRLSの間接効果の検証を行ったところ,SRLSの下位尺度である「認知調整方略」,「動機づけ調整方略」の間接効果が有意であった.以上の結果を受け,大学教員が大学生に主体的な学習態度を身につけさせる方策について内発的動機づけ,SRLSの視点から考察した.
著者
部谷 知佐恵
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.47-48, 2018 (Released:2020-06-01)

子どもの疾患に関する治療の決断は、親にゆだねられることが多く、特に、子どもに障害がある親はその決断を迫られる場面に遭遇する機会が多数ある。子どもは成長発達をしているため、治療や手術には適切な時期が必要でその時期を逃すと、治療や手術の意味がなくなることもあるため、親はすぐに答えを出さなければいけない状況に立たされるのである。 私は家族として、医療者として甥航大の股関節の手術を決断する妹を支えてきた。その体験より感じたことを以下に述べる。 5人家族の長男で、特別支援学校に通う航大は低酸素性虚血性脳症で産まれ、脳性麻痺でてんかんの発作がある。1歳ごろより誤嚥性肺炎で入院することが年に何度かあった。下のきょうだいが生まれたころより食事がうまく取れず体重減少がみられ、検査で胃食道逆流症と診断されたため、4歳のときに腹腔鏡下噴門形成術、胃瘻造設術を受けている。小学校に上がるのを機に家族は、名古屋市から両親の実家のある岐阜県の山間部に引っ越した。自宅から、40分ほどかけて学校に通う新しい生活が始まり、主治医も変わった。前医よりいただいた紹介状を持って、初めて整形外科を受診したその日、医師より今すぐに股関節の手術をしなければいけないと言われた。股関節の状態や手術についての母親が理解できるような詳しい説明はなく、術後10歳ぐらいまで外転装具が必要であることが話された。そして、早急に手術の日程を決めて予約を入れるよう言われた。初めて受診をした日に急に手術のことを告げられて、母である妹は苦悩した。今までかかっていた整形外科では亜脱臼はしているが、定期的に状態を見ていけばいいと言われていた。初めて会う医師の診察、本人も母親も緊張する。そこで告げられた手術の宣告。脳性麻痺で、ひとりで座ることも寝返りもできないのに股関節の手術が必要なのだろうか。きょうだい3人、岐阜という新しい環境での生活が始まったばかりなのに今すぐ手術を受けないといけないのだろうか。手術をすれば治るのだろうか。様々な思いを抱えながら、時間だけが過ぎていき、家族は決断を迫られた。特別支援学校で看護講師として勤務していた私は、相談を受け、すぐに職場の教員や看護講師など障害のある子どもたちをたくさん見てきている人たちに相談した。また、看護学生時代の恩師や知り合いの看護師にも相談した。妹も、以前通っていた施設のスタッフ、現在通っている施設のスタッフ、動作法や静的弛緩誘導法といった学習会や患者会で出会う先輩ママさんたちに相談した。手術に関する意見は分かれ、なかなか決断することはできなかったが、様々な立場の人々に意見が聞けたことは有益であった。股関節の手術や入院生活、術後や将来のことについては小児専門看護師が丁寧に説明してくれた。説明を聞くことで、手術や入院生活がイメージでき、漠然とした不安が減少した。 手術や入院生活がイメージできるようになった私たち家族はセカンドオピニオンを受けることにした。セカンドオピニオンを受けるために受診した病院の医師からは、今の状態や今後起こりうる可能性のある股関節の痛みのことなど、なぜ今手術をしたほうが良いのかについて丁寧でわかりやすい説明があった。看護師など病院のスタッフも診察に同席し、診察後には温かい言葉をかけてくれた。そんな、医師や看護師、施設のスタッフに出会えたことで、私たち家族は手術を決断することができた。手術は無事に終了し、術後の経過も良好である。 私たち家族は、周りに相談できる環境があった。同じ思いを経験し悩みを聞いてくれる障害児をもつ母親たちや親身になってくれる専門職に出会えた。その結果、多くの情報や知識の中で自分たちが最良と思える方法として股関節の手術を受けるという決断をすることができた。 現在、子どもをもつ家族の中には、手術や治療の決断を迫られてもその意味や必要性が理解できず、手術や治療の選択ができない、結論が出せない家族がたくさんいると思う。また、専門的知識のある相談相手を探し出すことは家族だけでは難しい現状がある。そこで、治療や手術の決断の際、不安や心配を打ちあけることができる場として、看護師を含め受診に関わる多くの職種の方に相談できる体制があると家族は救われると思う。家族だけでは病気や障害について正しい知識を持ち合わせた支援者や理解者を見つけるのが難しい。子どもと家族が手術や治療を決断し、大変な時期を乗り越えていける力を持てるような支援の輪が広がってほしいものである。
著者
Emi Yumoto Naohisa Yanagihara Masashi Asahina
出版者
Japanese Society for Plant Biotechnology
雑誌
Plant Biotechnology (ISSN:13424580)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.199-204, 2022-06-25 (Released:2022-06-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

L-3,4-dihydroxyphenylalanine (L-DOPA) is one of the important secondary metabolites of plants and has been used for various purposes, such as in clinical treatment for Parkinson’s disease and dopamine-responsive dystonia. In plants, L-DOPA is a precursor of many alkaloids, catecholamines, and melanin; the L-DOPA synthesis pathway is similar to that in mammals. L-DOPA acts as an allelochemical, has an important role in several biological processes, such as stress response and metabolism, in plants. L-DOPA is widely used in the clinical treatment as well as a dietary supplement or psychotropic drug, understanding of biosynthesis of L-DOPA in plant could lead to a stable supply of L-DOPA. This paper describes an improved method for simple and rapid quantification of L-DOPA content using liquid chromatography-tandem mass spectrometry. The standard quantitative methods for L-DOPA require multiple purification steps or relatively large amounts of plant material. In our improved method, quantification of L-DOPA was possible with extract of one–two pieces of cotyledon without any partitioning or column for purification. The endogenous L-DOPA (approximately 4,000 µg g−1 FW (fresh weight)) could be detected from the one pieces of cotyledon of the faba bean sprout using this method. This method was also effective for samples with low endogenous amounts of L-DOPA such as broccoli, Japanese white radish, pea, and red cabbage sprouts. Therefore, this improved method will allow to measurement of L-DOPA content easily and accurately from a small amount of plant tissue and contribute to understanding biosynthesis, catabolism, and transport of L-DOPA.