著者
田中 卓也
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.145-170, 2014-03-31

1925(大正 14)年に集英社は、老舗出版社であった小学館の「娯楽雑誌部門」として分離独立した。翌年に正式独立し、「明るく楽しい少年少女雑誌」をキャッチフレーズとして、これまでに多くの雑誌を発刊した 1)。戦後になり同誌は、おもに就学前の児童から小学校児童の男子・女子に購読されていた。誌面は戦前から存在した「小説」、「物語」のほかに、マンガ、スポーツ記事や読者投稿欄なども設けられ、読者等の多くに‶娯楽"の雰囲気を提供した。読者らが集った投稿欄は "文ちゃんクラブ" とよばれ、愛読者にも人気を博した。そこに集うことで読者らは、(編集)記者と交流を図ることや、愛読者仲間を見つけ出す機会となった。またマンガの主人公や、スポーツ選手等に憧憬し、読者等のなかには次第に"ヒーロー像"が確立されることになった。 かくして『おもしろブック』は、集英社より戦後の児童雑誌の転換期に登場し、児童読者の興味・関心が分化する流れの中で、対応することに迫られた。しかしながらテレビの放映開始、マンガの流行等大きな波が押し寄せる中で、幾度か誌面構成を変更することも余儀なくされた。しかしながら編集部は読者のことを最後まで忘れなかった。同誌は発刊後 10 数年間にわたり役割を果たし、次世代雑誌『少年ブック』にバトンを渡すことになる 2)。
著者
川添 郁夫
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.4_63-4_71, 2007-12-20 (Released:2011-09-09)
被引用文献数
4

統合失調症を発症した子どもをもつ母親9名への対処過程に関して半構造化的インタビューを実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)に準拠して分析した.その結果,母親は子どもの異常行動に対して緊張感を維持しながらケアを継続していた.ケアを継続できた要因は,仲間との出会い,仲間との共感,仲間に支持されたことの自信であった.母親にとって,子どもの統合失調症発症を受容することは困難を伴うことであり,回復の兆しに治癒を期待し,症状が再燃するたびに落ち込みを体験していた.受容は,母親のケアに対する積極的意思への変化により深まる傾向がみられた.また,母親は統合失調症に関して混乱と恐怖を強く記憶に留めていた.母親がもつ恐怖体験に対して,早期に心理的ケア行うなど,支援が必要であると示唆された.
著者
松尾 圭三 中山 樹一郎 七隈ロラタジン研究会
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.616-623, 2009-12-01
被引用文献数
1 1

小児の皮膚そう痒性疾患患児(15歳以下)91例に対し, 第二世代抗ヒスタミン薬であるロラタジンドライシロップ1%による臨床効果および薬剤の使用感等の検討を行った。主要評価項目であるそう痒・皮疹の程度は, ロラタジン投与開始1週後から有意な改善がみられ, 投与2週後もその改善効果は維持された。また, VASによるそう痒のスコアも同様の臨床効果を示した。全般改善度(改善以上)は91.3%であった。また, 安全性の面においては, 1例に鼻出血が認められたのみであり, 良好な忍容性を示した。さらに, 薬剤投与後の使用感等に関する調査では, 回答が得られた患児の90%以上が嫌がらずに飲み, 飲み忘れが全くなかったかほとんどなかった割合は94%であった。服用後, 数時間以内に効果が現れたと回答した割合は81%であり, 72%の患児または保護者が, 今後もこの薬剤を希望すると回答し, 希望しないと回答したのは5%であった。これらの結果により, 本剤は小児の皮膚そう痒性疾患に対する治療において, 極めて有用な薬剤であることが示唆された。
著者
Wita Yulianti Saeko Katoh Norimasa Sugita Goro Kokubugata Hidetoshi Kato Noriaki Murakami
出版者
The Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica (ISSN:13467565)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1-18, 2022-02-28 (Released:2022-03-25)

Invasive alien species are serious threats to the biota of the Ogasawara Islands, and Morus australis is one of them. To clarify the invasion routes and the genetic composition of the founding populations, plant samples were collected from 32 populations of M. australis from Japan, including 12 from the Ogas- awara Islands, for population genetic analyses using 14 microsatellite markers. The UPGMA dendro- gram based on Nei’s genetic distance, Principal Coordinate Analysis based on pairwise F ST values, and Bayesian Clustering using STRUCTURE software indicated that the populations of M. australis in the Ogasawara Islands are genetically similar to those in the Ryukyu Islands, but clearly differentiated from those in the Izu Islands and mainland of Japan. The level of genetic diversity in the Ogasawara Islands (A R = 4.24; H E = 0.60) was similar to that in the Ryukyu Islands (A R = 4.70; H E = 0.66). The findings from this study strongly suggested that M. australis plants now in the Ogasawara Islands are descendants of those introduced from the Ryukyu Islands; the numbers of transplanted individuals from the Ryukyu Islands were large. Such high genetic diversity may have enhanced the invasiveness of M. australis in the Ogasawara Islands.
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.10, pp.159-178, 2017-03

本稿は、日本のレズビアンたちによる集合的な活動が発信したテクストを分析し、その主要な言説を跡づけようとするものである。1970年代から1980年代前半までのミニコミ誌が、1960年代に一般に流通した「レズビアンには男役(タチ)と女役(ネコ)がある」という言説へどのように介入したのかを中心に記述する。なお、本稿は、近代日本形成期(1910年代から1960年代まで)の「女性同性愛」の言説史を整理した拙稿(杉浦2015)の続編に位置づけられるものであり、レズビアン解放運動がさらなる盛り上がりを見せる1985年以降の言説分析へと橋渡しされるものである。

3 0 0 0 OA 哲学一夕話

著者
井上円了 著
出版者
哲学書院
巻号頁・発行日
vol.第1-3編, 1887
著者
渡橋 靖
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Special_Issue_1, pp.S61-S68, 2008-07-01 (Released:2011-12-02)
参考文献数
20

The ICH E14 guideline provides recommendation to assess QT interval prolongation and proarrhythmic potential of non-antiarrhythmic drugs in clinical studies. As there exist many statistical issues in the clinical evaluation of QT prolongation, electrocardiograms, background information of the guideline and QT interval correction methods are described for introduction. Because of the inverse relationship to heart rates, QT intervals are corrected for heart rates in order to obtain a variable which is independent of heart rate. Population-derived correction, subject-specific correction, and other correction methods are introduced. Assumptions of each correction method and its properties are discussed. Study design should be considered to collect appropriate data and estimate accurate heart rate correction formulae.
著者
ザグダホロル ツェンベルドラム 平松 庸一
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-108, 2022 (Released:2022-03-26)
参考文献数
23

ネット社会は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現可能にし、モンゴルにおいてもITを中心にアントレプレナーシップ(Entrepreneurship)への関心が強まり、国家的な取り組みを進行させている。本研究は、高速に変化する不確実性の極めて高い状況の中に置かれるベンチャー企業が、環境変化に迅速に対応し市場で生き残るためには、どのようなマネジメントが要求されるのかを探求する。特に、アントレプレナーシップ研究で注目されているエフェクチュエーション概念を取り上げ、P2M理論への適用可能性を議論し、企業の成果と連結して研究することを課題にする。そのため、プログラムマネジメントとエフェクチュエーションの概念の親近性の検証、またモンゴルのベンチャー企業AND Global社の事業急拡大期における事業の統合マネジメントを3Sモデルとエフェクチュエーションを適用した事例分析を通じて探求する。分析の結果、当社が、P2Mのアプローチを適用していることと3Sモデルのスキームモデルの段階でエフェクチュエーションのアプローチを有効に活用していることが示唆された。また、プログラムマネジメントにエフェクチュエーション概念との親近性から、P2M理論のアントレプレナーシップ研究への適用可能性が示唆された。