著者
野呂 康
出版者
岡山大学国際センター, 岡山大学教育開発センター, 岡山大学言語教育センター, 岡山大学キャリア開発センター
雑誌
大学教育研究紀要 (ISSN:18815952)
巻号頁・発行日
no.8, pp.163-178, 2012-12

「モデル小説」と呼ばれる文学概念の効用と限界を、19世紀末にフランスで出版された小説『チュチュ』(プランセス・サッフォー著)の分析を通して明らかにする。『チュチュ』なる小説は未邦訳であることもあり、その出版経緯と内容紹介も合わせて記す。
著者
江口 正
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.34-50, 2018-04-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
17

九州各地の方言は動詞活用の組織に特徴があり,二段活用(特に下二段)が残存して古い特徴を保つ一方,一段動詞がラ行五段化するという新しい変化の方向を併せ持つ。このふたつの特徴は方向性が逆であるため,別個の説明が与えられることが多かった。本稿では,大分方言に見られる動詞終止形の撥音化現象を手掛かりに,それらの特徴はいずれも「同音衝突の回避」が関係するという仮説を提出する。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1921年11月08日, 1921-11-08
著者
大谷 伸治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Hirosaki University (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.120, pp.31-41, 2018-10

"「終戦」の日はいつか?"―この問いに、多くの日本人は8月15日と答えるだろう。昭和天皇がラジオ放送(玉音放送)でポツダム宣言受諾の旨を国民に伝えた日であり、現在「終戦記念日」とされているからだ。しかし、玉音放送をもって終戦と捉える見方(「8・15 終戦」史観)は正確ではない。第一に、ソ連参戦により、8月15 日後にも戦闘があった地域の存在を忘却している。第二に、8月15 日は国際法的に終戦といえない。ポツダム宣言受諾の旨を連合国に通告したのは8月14 日。正式に降伏文書に調印したのは9月2 日である。高校日本史教科書はおおむねその点を正確に記述しているものの、小中学校教科書は学び舎を除き「8・15 終戦」を採用しており、小中学校の段階で「8・15 終戦」史観を再生産してしまう現状がある。そのため、小学校から「8・15 終戦」史観を相対化する授業が必要だと考え、樺太・千島戦など北海道の事例を教材化し実践を試みた。
著者
米地 文夫
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.133-147, 2013-05-01

宮沢賢治は石川啄木の短歌に強い影響を受けたが、啄木の北へ走る電柱列の歌も、賢治の童話「月夜のでんしんばしら」に影響を与えた。「月夜のでんしんばしら」は停車場近くの線路で電信柱の列が兵隊になり歩き出す話で、電気総長が号令をかけていた。汽車が来ると電信柱に戻る。従来は電気と鉄道の童話とされていたが、シベリア出兵の日本軍、特に花巻で演習をした盛岡駐屯の工兵隊などの出動を素材にしたことがわかった。賢治作曲の彼らの軍歌はオペラ「カルメン」の「アルカラの竜騎兵」の曲と日本陸軍のラッパの曲とを基にしている。作品に工兵のほか竜騎兵や擲弾兵など19 世紀の欧州の古風な兵種名が登場するのは、ロシアに攻め込んだナポレオン軍の敗退をシベリア出兵に重ねたからで、トルストイの小説「戦争と平和」やハイネの詩「二人の擲弾兵」などを念頭に置いている。電気総長は当時の日本陸軍の実質上の最高指揮官である上原勇作参謀総長をモデルにしている。この作品が書かれた1921 年には上原の指揮の下で日本陸軍はシベリア出兵を行っていた。既に出兵の大義は消失し、革命勢力の優勢が決定的になるにつれて撤退は必至となっていた。「月夜のでんしんばしら」は一見、幻想的な童話にみえるが、実はシベリア出兵を継続する日本軍部への批判の込められた作品だったのである。
著者
Susumu Okada Yoshiharu Ohaki Kohei Inoue Takashi Kawamura Toshihiko Hayashi Tomoyasu Kato Tatsuo Kumazaki
出版者
The Medical Association of Nippon Medical School
雑誌
Journal of Nippon Medical School (ISSN:13454676)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.29-33, 2005 (Released:2005-04-15)
参考文献数
7
被引用文献数
20 30

Mucinous cystic ovarian tumors sometimes contain calcifications, but the frequency and significance of such calcifications in diagnostic radiology are not well understood. We therefore retrospectively investigated the radiological and histopathological evidence of calcifications in 44 cases of ovarian mucinous cystic tumors (22 benign, 13 borderline, and 9 malignant) and 21 cases of ovarian serous cystic tumors (6 benign and 15 malignant) in which a non-contrast CT scan was performed. The shape and distribution of the calcifications in the mass lesion were assessed both radiologically and histopathologically. Calcifications were noted in 34.1% of mucinous cystic tumors on CT scans and 56.8% in histopathological studies, and they were found in two locations, intramural and intra-cystic, according to the histopathological findings. Intramural calcifications were frequent in benign tumors, and intra-cystic calcifications were frequent in proliferating tumors. Calcifications (psammoma bodies) were noted in 4.7% of serous cystic tumors on CT scans and 14.3% in histopathological studies. CT was not sufficiently sensitive in the detection of intra-cystic calcification in mucinous tumors and psammoma bodies in serous tumors. However, the presence of intramural calcifications may be a good indicator of mucinous tumors. Understanding the frequency and morphology of the calcifications in these neoplasms is one of the keys to making a correct diagnosis.
著者
松津 賢一 杉野 公則 伊藤 公一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.253-258, 2015 (Released:2016-03-04)
参考文献数
18

甲状腺乳頭癌の初期治療方針は,諸外国とわが国では従来大きく異なっていた。甲状腺切除範囲は,わが国では亜全摘以下の甲状腺温存手術が中心であったが,欧米では広く全摘が推奨されていた。しかしATAは今回のガイドライン改訂で個々の症例のリスクに基づいて切除範囲を決定するRisk-adapted managementを採用した。4cmより大きな腫瘍,肉眼的腺外浸潤,臨床的リンパ節転移,遠隔転移のいずれかを有する症例は高リスクとして全摘を,1cmより小さく腺外浸潤やリンパ節転移がなければ低リスクとして葉切除を推奨し,どちらにも該当しない症例では個々の症例ごとにいずれの術式も選択可能とした。未だ甲状腺切除範囲と予後に関するエビデンスが十分とは言えず,残された課題も多いが,今回のATAガイドライン改訂に伴って,NCCN,BTAを含む欧米のガイドラインは,わが国と類似した治療戦略を取ることになった。
著者
小陳 左和子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.117, 2021

東北大学附属図書館における2011年の東日本大震災,2019年の令和元年台風第19号,2020年の新型コロナウイルス感染症といった,性質の異なる災害への対応についてそれぞれ報告するとともに,その経験から得られた知見や課題について言及する。
著者
小陳 左和子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.1-11, 2012

<p>2011年3月11日に発生した東日本大震災により,東北大学附属図書館において地震当日に職員や利用者がとった行動,施設や書架,蔵書等に受けた被害,その後のボランティアとの協働による復旧作業や図書館サービス再開の経過及び今後の復興に向けた取り組みについて,10か月が経過した時点での状況を報告する。</p>
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.400, pp.65-72, 2008-07

マサ◎全国を旅して歩く、伝説の料理人。かつては和食や洋食の繁盛店を経営していたこともあるが、とあるきっかけから流しの料理人となった。