著者
石川 祐輔 大矢 勝
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究学会
雑誌
技術マネジメント研究 = Yokohama journal of technology management studies (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-7, 2007-03-28

安全性に関する消費者情報の分析手法開発のための基礎的研究として、身近に存在する化学物質である洗剤と食品添加物の安全性に関する日本語、中国語、英語のWeb ページを調査した。調査対象Web ページは、検索エンジンGoogle で「LAS 界面活性剤」「合成洗剤」「石けん」(洗剤関連キーワード)及び「安息香酸」「ソルビン酸」「パラベン」(食品添加物関連キーワード)を検索し出力された上位200 件とした。それぞれのキーワードについて、対象物質の安全性に関する情報の割合、肯定・否定・中立情報の割合などを調査し言語間で比較した。その結果、①英語の洗剤関連の化学物質否定情報は農薬等を対象としたものが多い、②中国語情報では3 種の食品添加物の優劣を明確に打ち出しているが日本語と英語では添加物の種類による評価の差は少ない、③日本語は中国語・英語と比較して合成化学物質の安全性関連情報の割合が高く化学物質否定情報の割合も高い、などの結果を得た。
著者
高島 明子
出版者
滋賀医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、月経不順、卵巣の多嚢胞化、男性化の症状または血清中の男性ホルモンの増加などが認められる症候群である。近年になりPCOSにインスリン抵抗性が深く関わっているとの報告がなされて来ている。また、食酢には、インスリン抵抗性を改善効果が認められるとの報告がなされて来ている。そこで7人の患者を対象に600㎎酢酸含有りんご酢飲料の内服を一日一回3か月間行った。HOMA-Rは全例改善し、LH/FSH比も5人に改善が認められ、4人に月経周期の回復が認められた。現在、脂質マーカーなどの変化を調査中である。
著者
田中 結子
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.374-381, 2015-11-25 (Released:2019-02-20)
参考文献数
8

近年の柔軟剤や衣料用洗剤などのファブリックケア製品には,香りの品揃えが多く見られ,これらが生活者の購買意欲を高める一因になっている.ファブリックケア製品において香りは重要な役割を占めるようになり,製品のイメージやコンセプトを伝えること,様々な使用場面での使い心地のよさを与えることやターゲット層の高い嗜好性に応えること等,付加価値を向上させる手段として進化してきた.本稿では,日本の柔軟剤と衣料用洗剤にフォーカスし,その香りの変遷と香りに対する生活者意識の変化について紹介する.
著者
岩切 龍一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.1575-1581, 2009 (Released:2009-11-05)
参考文献数
40

本邦では,H.Pyloriによる潰瘍は将来減少していくと考えられているが,高齢人口の増加とともにNSAIDs起因性消化管障害は今後も増加すると考えられる.低用量アスピリンは血栓予防に効果があり,近年処方数が増加している.しかしアスピリンは低用量であっても消化管粘膜障害作用をきたす.本邦での研究でもNSAIDsおよび低用量アスピリンが消化管障害の危険因子であり増加傾向にあることが明らかとなってきた.COXの選択性や併存するH.Pylori感染,他の抗血栓薬·抗凝固薬の併用なども考慮し,日本人に適した予防·治療法を構築する必要がある.NSAIDs·低用量アスピリンによる下部消化管障害について病態の解明が待たれる.
著者
坂野 徹 Sakano Toru
出版者
神奈川大学 国際常民文化研究機構
雑誌
国際常民文化研究叢書4 -第二次大戦中および占領期の民族学・文化人類学-=International Center for Folk Culture Studies Monographs 4 ―Ethnology and Cultural Anthropology during World War II and the Occupation―
巻号頁・発行日
pp.141-154, 2013-03-01

本稿では、戦前日本における縄文土器をめぐる研究をリードした研究者の一人である甲野勇の戦時中の活動を検討し、太平洋戦争と考古学の関係について考える。 東京帝国大学理学部人類学科選科で学んだ甲野は、1920 年代中盤以降、同窓である山内清男や八幡一郎らと協力しながら、縄文土器の編年に関する詳細な研究を推し進め、彼らはいつしか「編年学派」と呼ばれるようになった。「編年学派」は縄文土器の編年を確立することで、明治期以来、土器を残した「人種」の問題と関わっていた考古学研究を人類学研究から切り離すことを目指したが、一方、彼らの研究は、1910 年代後半に始まる「日本人種論」の新たな動きを前提にしたものでもあった。 甲野は、太平洋戦争期になると、厚生省研究所人口民族部で嘱託として勤務を始めるが(1942 年)、そこで彼が実施したのが、有名な『大和民族を中核とした世界政策の検討』と題する膨大な秘密文書中における考古学的解説の執筆である。そこでは、甲野自身が1935 年に発表した編年研究の成果が再掲されるとともに、かつて禁欲したはずの「日本人種論」についての議論が記されている。ここには、大東亜共栄圏構想下、戦争協力を行った考古学者として知られる後藤守一の影響がうかがえる。 戦後、かつての甲野の同志である山内清男は「縄文研究の父」として高い評価を受け、戦争協力者の代表格である後藤守一も復権を果たし、戦後考古学を率いていくことになる。だが、甲野勇は、戦後考古学の主流から距離を置き、博物館建設への尽力など独自な活動を進めていった。ここには甲野なりの戦争への反省の姿勢がみてとれる。
著者
渡戸 一郎
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.25-36, 2007-07-31 (Released:2010-04-21)
参考文献数
44

Recently the public policy to promote voluntary civic action has been more and more criticized. The rapid and dramatic growth of voluntary action after the Hanshin-Awaji Earthquake resulted in the institutionalization of non-profit organizations, but, publicly promoted and supported, some civic groups have come to make a close connection with the neo-liberal wing of the government. The public promotion of NPO groups has been originally developed through the structural reform of municipalities based on the new public management. But under the new system many groups, especially ones related to social welfare, have been gradually forced to lose their identity as non-profit organizations. In this article, I will analyze the process of the deterioration of voluntary civic action in the government policy precisely to insist on the necessity that it should be “voluntary” again in the true sense of the word.
著者
岡崎 昌子 藤川 茂昭 松元 信也
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.395-401, 1990-12-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
24
被引用文献数
47 61

キシロオリゴ糖の腸内フローラに及ぼす影響について検討を行うために健康な成人男子を対象に, 毎日1gもしくは2gずつ3週間にわたって摂取させ, 摂取前, 摂取中, 摂取後に採便し, 腸内フローラ, 水分の測定を行った。その結果, 摂取前に比べ, 摂取中は腸内菌叢に占めるビフィズス菌の割合が有意に増加し, 摂取を中止すると低下することが示された。また, 便の水分含量は80%へと収斂し, 軟便, 固い便がちょうどよい固さになる傾向を示した。キシロオリゴ糖摂取量の増加に伴い, 腸内のビフィズス菌も増加したことから, ビフィズス菌の増加は確かにキシロオリゴ糖摂取によるものと考えられた。

3 0 0 0 OA 太政官布達

出版者
巻号頁・発行日
vol.明治17年, 1900
著者
三代 純平 佐藤 正則
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.169-189, 2019-12-31 (Released:2020-03-10)

本稿は,日本語教育振興協会が1997年に開催した第1回日本語教育セミナー,通称「箱根会議」に関するインタビュー調査である。当時箱根会議に参加した11名の調査協力者の語りから,日本語学校にとって「箱根会議」がいかなる意味をもっていたのかを論じる。調査協力者に対するライフストーリー・インタビューから明らかになった箱根会議の意義は「日本語学校の連携」が生まれ,日本語学校の「社会的アイデンティティの確立」を共に目指すことが確認されたことである。そして,そのために手を取り合い「日本語教育の質の向上」に努めていく素地が整ったことである。箱根会議は,日振協と日本語学校の「管理する側・管理される側」という関係を乗り越え,管理される側であった日本語学校が主体的に自分たちを定位し,社会に働きかけるための象徴的な出来事であった。箱根会議の経験を一つの契機に,日本語学校は,国際交流の最前線を担う教育機関としての社会的アイデンティティを構築すべく歩みを進めるようになったのである。
著者
中島 悦子 塩田 純一 河村 満
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.209-216, 1999-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1

左被殻出血で失語と右片麻痺を呈した多言語併用例を報告した (55歳, 右利き, 男性) .本例は, 言語の習得時期, 習得環境, 言語体系が異なり, 琉球方言―日本語標準語スペイン語併用者と考えられた.血腫除去術後, 習得したすべての言語で重度の運動性失語が認められた.言語間の重症度は, 従来の言語の習得・使用状況説に加えて脳の損傷部位や失語の病型が関与すると考えられた.本例の発話の回復は, 言語治療に用いかつ学校で学んだ標準語で良好であり, 妻が使用した母国語の琉球方言や親しんだスペイン語は不良であった.本例は, 琉球方言とスペイン語を聴覚的に習得したのに対し, 標準語は聴覚とともに日本語の文字として視覚的にも習得している.すなわち本例の言語間の回復の相違は, 従来の言語の習得条件, 使用状況, 心理的要因説に加えて, 脳の損傷部位や失語の病型, 習得方法が影響を及ぼし, さらに言語治療の有無でも回復に差が生じたと考えられた.
著者
守田 了 本田 雄斗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.493, pp.223-228, 2014-03-13

テレビ中継や競技技術の向上や審判の補助のために,競技映像を映す複数台のカメラを設置し,その映像を解析することが行われている.本論文ではフィギュアスケートのテレビ中継映像からの技術要素の推定を行う.フィギュアスケートの技術要素の採点方法はより透明性のある採点を目指して刻々と変化している.ここでは2014年における国際フィギュアスケート連盟ISUが用いている得点方法を用いる.特にフィギュアスケートの得点を左右する6種類のジャンプの識別と技術要素の得点における基礎点を識別することを目標とする.まずリンクサイドを復元し,さらに人間の頭部の位置を推定し,リンクにおける人間が滑った位置の軌跡を視覚化する.またフィギュアスケートの中継映像における競技者の映像から頭部,胴体,右上腕,右下腕,左上腕,左下腕,右手,左手,右足,左足を識別する.これらから首,右肩,左肩,右股関節,左股関節,左ひじ,右ひじ,右ひざ,左ひざ,左手首,右手首,左足首,右足首を識別する.各関節2自由度の13箇所,26自由度の各関節の姿勢を推定する.各関節の姿勢は人間の動作範囲に基づいて180度に制限する.テレビ中継映像は視聴者が競技をテレビ中継から演技中の競技者を見やすいように複数のカメラを切り替え,カメラを自由に動かす中で競技者の演技を推定する.実際にフィギュアスケートの得点を左右する6種類のジャンプの識別と技術要素の得点における基礎点を識別することで有効性を示す.