著者
倉田 将希 高道 慎之介 佐伯 高明 荒川 陸 齋藤 佑樹 樋口 啓太 猿渡 洋
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2021-SLP-136, no.31, pp.1-6, 2021-02-24

本稿では,音声変換ユーザに目標話者のキャラクタ性を獲得して発話させるためのシステムを提案する.深層学習に基づくリアルタイム音声変換は,人間の発声器官の物理制約を超えて,ユーザの音声から所望のキャタクタ性を持つ音声への高精度な変換を可能にしつつある.しかしながら,音声のパラ言語情報(抑揚・強勢など)の変換は未だ困難であり,ユーザの音声のパラ言語情報が変換音声に直接的に反映されてしまう.また,通常の発話において,人間は自己聴取音の聴取との相互作用により自らの言語情報・パラ言語情報を制御するが,リアルタイム音声変換を用いた発話において,そのような相互作用をもたらす機構は存在しない.そこで本稿では,変換音声をユーザにリアルタイムにフィードバックする自己聴取音制御システムにより,変換音声に所望のキャラクタ性を付与するようユーザを発話変容させるシステムを提案する.実験的評価では,一人称視点(音声変換ユーザ視点)と三人称視点においてシステムおよび変換音声を評価し,(1) 演技経験の少ないユーザに対してシステムの有用性が高いこと,(2) F0 を目標キャラクタに近づけるだけで十分な発話変容効果がみられることを示す.
著者
江角 弘道 Hiromichi EZUMI
雑誌
島根県立看護短期大学紀要 (ISSN:13419420)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.69-74, 2004-03-31

遠赤外線は、人体の血流や皮膚細胞の活性化などに対して効果を持つことが確認されており、トルマリンは、他の誘電体に比べて遠赤外線放射率が高い。ここではそれを利用した健康商品のトルン・リングやトルン・シーツの使用前後の遠赤外線放出特性を分析した。その結果、トルン・リングでは、リング中のトルマリンとゼオライト混合粉末からの遠赤外線放出が確認され、使用後に効果の無くなっていたトルン・リングは、トルマリンとゼオライト混合粉末の粒塊同士がタール状のものでおおわれて単独で動けなくなっている様子が走査電子顕微鏡による観察より判明した。このタール状のものが遠赤外線放射効率を減少させていると考えられた。また、トルン・シーツは、トルマリンの分布密度が低く、その遠赤外線放射率は、トルン・ループに比べ低くなっていた。
著者
江角 弘道 木村 幸弘 Hiromichi EZUMI Yukihiro KIMURA
雑誌
島根県立看護短期大学紀要 (ISSN:13419420)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.63-67, 2004-03-31

トルマリン利用健康商品からの遠赤外線放出が生体に与える効果について調べた。健常な男女20名を対象として常温遠赤外線放出シーツ及びループ利用寝具使用時に、心拍変動の測定を行い、通常の寝具使用時と比較検討した。心拍変動スペクトル解析から、通常寝具使用時よりも常温遠赤外線放出シーツ及びループ利用寝具使用時において、実験開始から60分後の実験終了まで、副交感神経優位であり、自律神経系に影響を及ぼしていることが明らかになった。
著者
王 鉄橋
出版者
文教大学
雑誌
言語と文化 = Language and Culture (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-48, 1989-06-01

The honorific expression term is not peculiar to Japanese only, but also exists in Chinese. But the forms of this expression are stressed differently in these two languages. The Chinese honorific expression is mainly shown in presonal expression terms and the roundabout expressions which have greatly increased recently. The honorific expression term of Japanese, however, exists in prefixes, suffixes, vocabulary, grammar etc., and personal expression terms tend to be reduced while the roundabout expressions tend to increase. That the difference between the honorific expression term of Chinese and that of Japanese has some influence in Chinese and Japanese lauguage teaching should be paid great attention to.
著者
五反田 正太郎 品川 高廣
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2021-OS-151, no.10, pp.1-7, 2021-02-22

実行環境の多様化や DevOps 等の近年の開発手法の普及により,アプリケーションの開発・管理・運用を統一的かつ迅速に行う手法として,コンテナの活用が進んでいる.コンテナイメージは,そうしたコンテナのニーズを満たす要である一方,レジストリからイメージを取得する際に発生する時間がアプリのデプロイ・起動の遅延を増大させる最大のボトルネックともなっている.これに対し,コンテナイメージの遅延取得と呼ばれる手法はイメージの機能や汎用性を損なわずに起動の高速化を達成できる手法であり研究が進んでいる.しかし既存のイメージ遅延取得手法はアプリケーションや既存レジストリ,コンテナランタイム等,既存のコンテナのエコシステムとの間に互換性の問題があり,導入や運用における障壁も大きい.本研究では,コンテナイメージの仕様及びイメージ管理のデファクトスタンダードであるオーバーレイファイルシステムを最大限活かし,高い互換性を持つイメージ遅延取得によるコンテナ起動高速化手法を提案する.
著者
小澤 洋介 品川 高廣
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2021-OS-151, no.9, pp.1-11, 2021-02-22

ライブマイグレーションでは,仮想マシンを動作させたままメモリの内容を移行元から移行先へと同期させるため,移行元で仮想マシンが書き込んだメモリ領域を動的に検知して再転送する必要がある.従来の書き込み検知はページ単位でおこなわれているが,Intel はまもなくサブページ書き込み保護と呼ばれるページより細かい粒度でのメモリ保護が出来る機構を導入予定であり,これをライブマイグレーションに応用することでメモリ転送量の削減やマイグレーション時間の短縮が期待できる.一方,この機構は書き込み時にダーティビットをセットする代わりにページフォルトを発生させるため,実行時の CPU オーバーヘッドの増加が予想される.本研究では,様々なワークロードにおける書き込み操作のトレースからメモリ転送量の削減効果や CPU オーバーヘッドの大きさを分析し,ライブマイグレーションにおけるサブページ書き込み保護機構の有効性を評価した.エミュレータを用いた評価の結果,メモリ転送量の削減によりマイグレーション時間は多くのワークロードにおいて従来方式よりも短縮できることや,あるワークロードではサブページ書き込み保護のみがマイグレーションを完了させられることが分かった.また,CPU オーバーヘッドは,ページのゼロクリア命令を検出して書き込み検知の最適化をおこなうことにより 8.3%~54.5% 程度に抑えられることが分かった.
著者
関 喜史
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, 2021-03-01
著者
永井 貴博 吉田 仁 黒田 久泰 金田 康正
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG13(ACS19), pp.214-222, 2007-08-15

並列計算機の性能向上や数値計算法の進展は,大規模科学技術計算における大きな鍵となっている。特に浮動小数点数における演算においては、計算規模が増すに従ってより多くの計算量を必要とし、計算誤差も増大する。そのために、倍精度演算より有効桁数が多い 4 倍精度演算の必要性が高まってきており注目されている。4 倍精度数の表現には、倍精度浮動小数点数を 2 つ用いて表される 128 ビットデータ型があるが、SR11000 モデル J2 上の Hitachi 最適化コンパイラにおいて、4 倍精度演算は 2 つの倍精度データ型を用いてソフトウェアによって実現されており、倍精度演算に比べより多くの計算回数を必要とする。そこで本研究では、SR11000 モデル J2 上の Hitachi 最適化コンパイラを用いて 4 倍精度演算を定量的に解析し、FMA 命令 (Fused Multiply-Add) を用いて演算回数を削減することによって高速化を行い、最大で約 1.5 倍の高速な 4 倍精度積和演算を実現した。
著者
渡辺 守邦
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.14, pp.63-123, 1988-03-30

泉州信田の葛の葉狐の子が、母と生き別れて、天文博士に出世する安倍の童子の物語は、源を『簠簋抄』に発する。この話は、むしろ浄瑠璃、歌舞伎に入って以降おもしろみを倍増するのであるが、本稿は、反対に、この話を育んだ、暦数書の仮名注の世界を俳徊してみようとするものである。本題に入る前に、断っておかなければならないことがある。それは書名の読み。「簠簋」と書いて、〈ホキ〉と読む。『論語』公冶長篇に「瑚璉」の語があって、朱子の注に、宗廟に供える黍稷を盛る器、夏に〈瑚〉、商に〈璉〉、周に〈簠簋〉と称した、とする。本来は祭器である。が、貴重品を運んだり、納めておく器具とも考えられたらしく、次のような言い伝えもある。すなわち、釈迦如来像が百済から海を渡って本朝に運ばれたとき、簠簋に入れられて来た、それゆえ、釈迦をホトケと呼ぶ、ホトケはホキの転である―と。『法華経直談鈔』に載る名義譚。早くも話が中世説話の世界に入ってしまったようだ。 A story of Abe no doji who is a child of Kuzunoha (a name of white fox in legend) in Shinoda of Senshu, succeeded as a master of astrology after separating from mother came from “Hokisho”(簠簋抄). This story rather became twice as much as interesting after being taken up as a theme of Joruri and Kabuki, this article tries to wonder around the world of the kanchu (written in kana) of the Rekisusho (the number of years book) that created this story. Before getting to the main point, it is enough for me to say about the reading of the title of a book. “簠簋”is pronounced as “Hoki”. There is a word “Koren”(瑚璉)in “The Analects of Confucius” edited by Koyacho, and it was explained: a container to pile millet to offer in the ancestral mausoleum, “Ko” for Hsia, “Ren” for Shang, “Hoki” for Zhou in a note of Shushi. It is originally ceremonial implement. However it seemed to be thought as an appliance which carry and put the valuables, there is the following legend, that is to say, when statue of Shaka Nyorai was put in “Hoki” and carried to our country across the sea from Kudara,that is why we refer to “Shaka” as “Hotoke”. “Hotoke” is derivative of “Hoki”. This is a “Myogitan” (名義譚)appears in “Hokkekyojikidansho” (法華経直談鈔). The story seems to have already entered the world of the narration in the Middle Ages.
著者
岩出 和也 山口 翔
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.197-210, 2017-10-31

日本のアニメーション産業は,2015年には,市場規模が1兆2,542億円に達するなど,年々拡大を続けている。しかし,市場構造の変化などにより,制作現場には疲弊しており,今後の健全な成長を考える上では課題も多い。 この先,日本的なアニメーション表現の多様性を確保しつつ,世界市場に向けてコンテンツを制作・発信可能な形で制作現場の業務フローを改善していく上では,基本的な制作フローの情報化を業界全体として推し進める必要がある。その上で,課題や改善点についての知見を個別に蓄積するのではなく,業界全体として共有する枠組みも重要になると考えられる。本論文では,アニメーション産業全体の市場構成と整理,制作現場がかかえる課題と情報化による事業効率化の可能性を検討する。
著者
加藤 彰彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.68, pp.123-154, 2019-09-25

ジル・ドゥルーズの『シネマ』において示されている映画に対する姿勢とは、何かの理論によってそれを解釈・分析するのではなく、それをそのまま鑑賞するというものであるが、対象に向かうあり方が果たしてそれで可能かをアンドレ・ブルトンのシュルレアリスムの研究のあり方において検証したのが本論考である。我々の基本的態度は、何ものにも依らずに分析・解釈できるとするとそこに俗流心理学が入り込んでくることをロラン・バルトによって示した上で、ジャック・ラカンの精神分析によりシュルレアリスムの分析・解釈が可能となると考えることにある。まず第一部においてドゥルーズとラカンを対比させ、シュルレアリスム的手法、シュルレアリスム的時間、シュルレアリスム的存在、シュルレアリスム的精神の一点、シュルレアリスムの非順応主義、シュルレアリスムが目指すところ、シュルレアリスムの小説について検討し、ドゥルーズの有効性を認めつつも、最後にどうしても残ってしまう欲望の問題をラカンの精神分析によって捉えていくしかないことを明らかにした。次に第二部において、ラカンのみを取り上げ、シュルレアリスムにおける自由、ブルトンの自己同一性、シュルレアリスム的倫理、シュルレアリスム的言語、芸術としてのシュルレアリスムについて検討し、現実変革というブルトンの欲望を維持し続けるものはラカンの言う対象a であると考えられることから、シュルレアリスムの分析・解釈手段としてのラカンの精神分析の有効性を示した。
著者
栗林 健太郎 山崎 進 力武 健次 丹 康雄
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2021-SE-207, no.32, pp.1-8, 2021-02-22

IoT デバイスは多様な用途において増え続け,2030 年にはその数が 1250 億に達すると見込む調査報告がある.増え続ける多様な需要を満たすためには,IoT デバイスの開発効率の向上が必要であり,そのための開発プラットフォームが多数現れている.IoT デバイス内アプリケーションの開発において,開発者によるコードの変更を適用することで生じる動作の変更が意図した通りであるかどうかを確認するためには,変更内容をターゲットとなるデバイスへ適用し実際に動作させる必要がある.既存方式では,更新内容の生成および適用に加えて,デバイスの再起動に時間を要するため,迅速な開発サイクルの実現が困難である.本研究では,先行研究に基づきコードの変更をデバイスへ適用する方式について(1)ファームウェアイメージの全体を適用する方式,(2)ファームウェアイメージの差分を適用する方式,(3)アプリケーションコードを動的に適用する方式の 3 つに分類した.その上で,開発効率の向上を目的として(3)を動的な性質を持つ言語によって実装し得る方式として位置づけ直して提案するとともに実装し,各方式について更新に要する時間を比較検討した.その結果,提案方式は既存方式に比べて更新に要する時間が 95% 短くなった.