著者
粕川 正充 角田 博保 森 裕子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.1198-1205, 1993-05-15
参考文献数
3
被引用文献数
10

R.JoyceとG.Guptaは個人認証を行う場合に、個人ごとの特徴をあるキーが打たれてから次のキーを打つまでの時間(以下、これを打鍵間時間と呼ぷ)に求め、その個人差を判定の基準とした個人認証手法を提案した。また筆者らはこの手法を改良し、新JG手法と呼ぷ別方式を提案した。さらに解析を進めて打鍵間時間の分布を調べるうちに、筆者らは連続多打鍵間の打鍵間時間の変動が、それを構成する個々の打鍵間時間の変動よりも小さくなる場合があることを見いだした。以下、この現象をアルペジオ打鍵と名付ける。このアルペジオ打鍵を利用することによって、JoyceとGuptaの提案した方法よりも効率的な個人認証手法を考案することができた。本論文では考案した手法について、JG手法、新JG手法との比較のもとに説明し、実験を通じて新手法の優位性を検証する。
著者
結城 俊也
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.21-38, 2011

本研究の目的は脳卒中者における身体経験の内側から職人技の回復プロセスをみつめ、その意味を現象学的に解釈することにある。さらにそこから脳卒中後のリハビリテーションプログラムにおける視点の再考を促すことを試みる。職人歴30年以上の3名の脳卒中者(すし職人、和菓子職人、建具職人)に対して、発症時、5日目、2週間目、1、2、3、4、5、6ヶ月目、1年目の計10回にわたり半構造化インタビューを実施した。得られたデータは解釈学的現象学的分析を用いて身体経験の意味を解釈した。結果として全13テーマが析出され、それらが6つの上位カテゴリーにまとめられた。本研究の主たる知見は、時間経過における身体経験は三つの局面に類型化できることを示したことにある。すなわち、(1)麻痺したことによって自分の身体を「物」としか感じられないという身体経験から、麻痺の改善によりいきいきと外界を感じられる身体へと移行する局面、(2)手という部分的な改善への固執という身体経験から、手仕事を円滑に行うためには全身機能の改善が重要であることを認識する経験へと移行する局面、(3)個人としての身体経験から、同病者や健常者との関係性を通じての身体経験へと移行する局面、という三つの局面である。これらの局面は過去から未来という時間軸のなかで相互に絡み合いながら身体経験の意味づけがなされていた。リハビリテーション支援においては、単に「できる-できない」といった表層部分にのみ拘泥するのではなく、世界を媒介するものとしての身体、その身体が多様なチャンネルをもって世界と切り結んでいける経験の多様性を支援することこそが肝要であることが示唆された。
著者
祖父江 沙矢加 ソブエ サヤカ Sobue Sayaka 市原 正智 イチハラ マサトシ Ichihara Masatoshi
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.38-41, 2016-03

分子状水素(以下、水素)は、酸化ストレスのうちヒドロキシルラジカルを選択的に消去することが報告されており、酸化ストレスや炎症に起因するさまざまな疾患の予防や治療への有効性が期待されている。2007年から現在に至るまでに、水素は全身の多岐にわたる組織で発症する疾患において、その効果が示されており、水素の生体作用に関する論文数はこれまでに300報以上にものぼる。このように水素の効果については多数の論文で示されているが、どのような分子メカニズムでその効果を発揮しているかは未だ十分に明らかにされていない。水素の投与法としては、空気に水素を加えたもの(以下、水素ガス)を吸入させるか、水素水を飲ませるかのどちらかを採用しているものが多いが、他にもさまざまな投与法が検討されている。しかし複数の投与法間での生体作用を比較検討している報告は極めて少なく、最適な水素の投与法についても依然不明なままである。私たちは水素投与を、水素ガスの吸入、水素水の飲用の2種類から、単独、または併用投与をマウスに行い、組織内の遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。こうした検討により水素の生体作用の分子機構の一端を明らかにすることが出来た。