著者
衣笠 一茂
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.107-116, 2003-03

筆者はこれまでの作業において、現在の社会福祉の実践を規定している「原理principle」と、その論理的な基盤を構成している「価値value」についての批判的な検討を行ってきている。そこでは、既存の原理や価値に基づいた実践を構想するだけではもはや解決できない事態が社会福祉という事象の中に出現している点を指摘し、問題を解決しうる新たな社会福祉の理論体系が求められていること、そのためには体系の基礎となる実践の原理と価値を論理的に再構成する研究活動が不可欠であることを主張してきた。本論はかかる主張・関心を具体化するために、どのような研究方法論が有効であるのかを検討するための作業である。具体的には近年社会福祉研究において注目されている質的研究方法論に焦点を当て、その理論的背景を先行業績から検証するとともに、研究課題の達成に向けた質的研究方法論の可能性について考察することを目的とする。This article focuses on the theoretical background and the possibility of qualitative research approach, regarding of the study for the "principle" and "value" of social work practice. Inspired from the discussion of research methodology of social science recently, the purpose of this study is to induce the approach for social work research to find out the possibility which be able to solve the conflict between "theory" and "reality" of social work practice.
著者
Simone Villa Andrea Lombardi Davide Mangioni Giorgio Bozzi Alessandra Bandera Andrea Gori Mario C. Raviglione
出版者
National Center for Global Health and Medicine
雑誌
Global Health & Medicine (ISSN:24349186)
巻号頁・発行日
pp.2020.01016, (Released:2020-04-09)
参考文献数
29
被引用文献数
40

COVID-19, that emerged in December 2019 in the city of Wuhan, China and is caused by the severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2), has rapidly evolved into a pandemic. Italy has become one of the largest epicentres outside Asia, accounting now for at least 80,539 infections (cumulative incidence of 95.9/100,000) and 8,165 deaths (case fatality rate 10.1%). It has seriously affected people above the age of 60 years. The International Health Regulations (IHR) revised in 2005 bind governments to disclose vital information regarding the identification and detection of new disease outbreaks regardless of its causative agent. In contrast to the previous SARS epidemic, China timely informed the world about the onset of a new outbreak. It also soon disclosed the clinical characteristics of patients with COVID-19. Unfortunately, despite the fast recognition of the Chinese epidemic, the application of the 2005 IHR was not followed by an effective response in every country and most health authorities failed to rapidly perceive the threat posed by COVID-19. To further complicate matters, IHR implementation, which relies primarily on self-reporting data rather than on an external review mechanism, was limited in speed and further hindered by high costs. The response in Italy suffered from several limitations within the health system and services. The action against this threat must instead be quick, firm and at the highest trans-national level. The solution lies in further strengthening countries' preparedness through a clear political commitment, mobilization of proper resources and implementation of a strict surveillance and monitoring process.
著者
戸出 一郎 三浦 一恵 深山 治久
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.153-166, 2009-09-15

鎌倉時代を代表する梶原性全は「頓医抄」並びに「万安方」の著者として有名てある.今回の目的は,両書から口腔領域に関する部分を抽出して,我が国口腔医史学における両書の位置を推察し,価値を顕彰して今後の研究資料とすることである.「頓医抄」は正安四年(1302年)から嘉元二年(1304年)に書かれた.中国の先進医術を日本の大衆に広め衆生救済が編纂目的であり,全体をわかりやすい和文で書かれている.参考文献としては,「諸病源候論」「太平聖惠方」をはじめ,中国古医書からとられている.基本的医学観は経絡を軸とし陰陽五行説を背景とした内経医学であり,仏教的慈悲の心も随所に認められる.「万安方」は正和二年(1313年)頃から書かれ嘉暦二年(1327年)に完成した.参考文献はほとんど「聖済総録」からである.編纂目的は「頓医抄」の場合と異なり,医術を自家の家学として伝え保存するためであり,全体は漢文で書かれ,他見を禁じている.
著者
松山 州徳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.409-414, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
9
著者
谷口 潤
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
no.48, pp.111-126, 2020-03-01

『古事記』・『日本書紀』に見える草薙剣は、従来三種の神器のうちの一つとして、受け継ぐことで王権の正統性を保証する神璽の剣であるとされてきた。しかし神野志隆光によってそうした草薙剣の姿は『記』・『紀』には見られないことが明らにされ、『古語拾遺』がそうした言説を生み出したことが示された。本稿ではこれを受け、『古語拾遺』を編纂した斎部広成の側から『古語拾遺』の草薙剣を読み解き、『古語拾遺』の草薙剣をめぐる言説が、九世紀における天皇即位儀礼とどのように関わっていたのかを見ることで、草薙剣と神璽の剣の同一視が斎部氏の固有の祭祀実践によるものであったことを明らかにする。また、『古語拾遺』の神武天皇即位の場面に登場する殿祭の記述から、そうした斎部氏の実践が九世紀における即位儀礼の変化に対応するものであったことを示す。草薙剣『古語拾遺』斎部氏即位儀礼神璽
著者
高田 望 佐藤 悠 吉田 翔 池淵 周一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2014年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.100040, 2014 (Released:2014-12-01)
被引用文献数
2

近年、地上雨量観測所では捕捉出来ない局地的な大雨が多発しており、面的雨量情報(以下、メッシュ雨量データという)の重要性が一層高まっている。5分遅れ程度で利用可能な日本全域を網羅するメッシュ雨量データとしては気象庁合成レーダー、国土交通省Cバンド合成レーダ雨量(以下、国交省合成レーダーという)が存在する。 著者らはダム流入量予測を目的に、地上雨量計データ及びメッシュ雨量データを活用する降雨予測手法を開発し、そのシステム化と運用を行ってきた。ここでメッシュ雨量データは雨域の移動予測を行う上で初期値となる。さらに観測及び予測雨量は分布型流出予測システムの入力値となり流量に変換される。すなわち、メッシュ雨量データの精度は降雨予測及び流出予測の精度に直結すると言える。2014年1月、気象庁合成レーダーに続いて国交省合成レーダーについても、デジタル値の民間利用が可能となった。そこで両者の精度比較を、気象庁アメダス観測値を用いて行った。評価対象地域は近畿地方(東経134度30分~137度、北緯33度30分~36度)とし、2013年の1年間を評価対象期間として以下の方法で精度評価を行った。   (1)     5分毎のメッシュ雨量データを積算し、正時毎に1時間雨量データを作成する。 (2)     毎正時のアメダス時間雨量データに対する上記(1)で作成したメッシュ雨量データの、①相関係数 ②二乗平均平方根誤差 ③総雨量比(メッシュ雨量/アメダス雨量)をアメダス観測点毎に算出する。 (3)     上記評価指標①②③の分布図を作成し、両メッシュ雨量の精度特性を面的に評価する。 (4)     全141地点の評価値の算術平均値を算出する。   検討の結果、気象庁合成レーダーと比較して国土交通省合成レーダーの精度が高いことがわかった。特に、紀伊半島南部において気象庁合成レーダーの過小評価傾向が顕著であった。今後、評価対象地域、評価期間を拡張した検証および10分間雨量等の短時間雨量を対象とした検証を行う予定である。さらに検証結果を踏まえ、国交省合成レーダーと気象庁合成レーダーの合成等、リアルタイムで利用する上での補正方法についても検討を行う予定である。
著者
山内 裕 平本 毅 泉 博子 張 承姫
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.53-65, 2015-12-20 (Released:2016-06-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1

クリーニング屋の店員によるオプション提案のように,顧客にとって想定外のものでありうる行為は組織ルーチンから外れる可能性がある.そのとき店員はいかにして,問題がなく自然なものとしてオプション提案を行い,組織ルーチンを作り上げるのか.本研究では,エスノメソドロジーに依拠して店員と顧客の会話分析を行い,ルーチンを作り上げるにあたって店員が自らの行為に説明可能性を付与する実践が重要であることを示す.

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1919年09月11日, 1919-09-11

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1921年04月19日, 1921-04-19
著者
髙山 直秀 斉加 志津子 一戸 貞人
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.519-524, 2009
被引用文献数
6

これまで臨床現場では,麻疹に対する免疫の程度を知るための簡便な方法として,赤血球凝集抑制(hemagglutination inhibition : HI)抗体価が測定されてきたが,近年酵素抗体(enzyme-immunoassay : EIA)法による麻疹EIA-IgG 抗体価が用いられている.HI 法は,麻疹ウイルスが細胞に結合するために必要なH 蛋白に対する抗体を測定しているので,感染防御能を反映すると考えられるが,麻疹EIA 法は,ゼラチン粒子凝集(particle agglutination,PA)法と同様に,感染防御に関与しない抗体も含めて測定するため,EIA-IgG 抗体価は必ずしも麻疹に対する発症防御の程度を反映しないと考えられる.同一検体につき,HI 法,PA 法,中和法により麻疹抗体価を測定し,得られた抗体価との相互関係から,デンカ生研製測定キットを用いた場合,EIA-IgG 抗体価が12.0 以上であれば,麻疹発症防御レベル以上と判断できるが,EIA-IgG 抗体陽性であっても4.0 以上8.0 未満では麻疹ワクチンの追加接種が必要であり,8.0 以上12.0 未満でも追加接種が望ましいと考えられた.