著者
大沼 一彦
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.45-51, 2008 (Released:2019-11-08)
参考文献数
13
被引用文献数
1

最終回は高次収差のトレフォイル(矢状収差)と2次の非点収差を取り上げる。トレフォイルや2次の非点収差が球面収差とともにあると,単眼視での三重視や二重視が起きることが報告されている。ここではシミュレーション光学像により,これらの収差とデフォーカスの関係を示す。更に,トレフォイルとコマ収差の特別な組み合わせは偽調節に関係していることを示す。
著者
小松 謙之 戸田 光彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.83-84, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
9

鹿児島県徳之島にて2018年7月7日にスズキゴキブリ(雄成虫1個体)を捕獲した.この記録は,標本に基づく徳之島での初めての報告となる.
著者
進藤 宗洋 西間 三馨 田中 守 田中 宏暁
出版者
福岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

運動誘発性喘息(EIB)は、喘息児の身体活動を制限する大きな障害である。このため、喘息児のEIBを軽減してやることは、発育発達途上にある児の身体的・社会的な成熟を促すと思われる。この一連の研究では、喘息児を対象にし、いくつかの有酸素性運動の強度に対する生理的反応に基づいてEIBの重症度に関係する、危険因子と運動条件とを明確にし運動療法の至適運動強度を決定した。そして、持久的トレーニングがEIBに及ぼす影響を検討した。初年度には、EIBに及ぼす運動強度の影響について観察し、喘息児の運動療法における至適運動強度の検討を行った。その結果EIBの程度は運動強度に依存して増加することが確認され、乳酸闘値の125%に相当する強度は、有酸素性作業能の向上が期待でき、尚かつ、重症なEIBを起こすことなく安全に行える運動強度として上限であると考えられた。そこで次年度には、自転車エルゴメーターを用い、125%LT強度で1回30分、週6回、4週間のトレーニングを施行したところ、有酸素性作業能の向上、トレーニング前と同一強度でのEIBの改善が認められ、EIBの改善は有酸素性作業能の向上によるものであることが示唆された。また、トレーニング期間を延長し、2ケ月間行ったところ、同一強度だけでなく、相対強度においてもEIBが改善され、何らかの病理的変化が起こったと思われた。最終年度には、3週間の脱トレーニングが、有酸素性作業能とEIBや気道過敏性などの6週間のトレーニング効果に及ぼす影響を検討した。その結果、脱トレーニングによるトレーニング効果の消失は、EIBや気道過敏性における力が有酸素性作業能におけるより遅く、トレーニングは、EIBに及ぼす何等かの病理的改善にも関与することが示唆された。以上の結果から、持久的トレーニングは、喘息児の体力を向上させるだけでなく、EIB、気道過敏性を改善させ、臨床症状の改善にも十分期待できる治療法の一つであると考えられた。
著者
竹田 聡
出版者
日本財務管理学会
雑誌
年報財務管理研究 (ISSN:09171738)
巻号頁・発行日
no.26, pp.101-107, 2015-05-01

1. 本稿では,まずMPT(現代ポートフォリオ理論)に基づくインデックス運用を実践するための株式ポートフォリオとはどのようなものかを考察し,その上でグローバル・マクロ投資戦略を巡る問題を考察する。その結果,ETF(上場型投資信託)を用いたグローバル市場ポートフォリオを提示し,この10年間の新興国の株価高騰は特異な例外的事象であったことを指摘する。2. MPTに基づくインデックス運用とは,たとえばTOPIX連動型のインデックス・ファンドを指すわけではない。株式市場とは単一の国の株式市場ではなく,世界の株式市場であり,市場ポートフォリオとはグローバル市場ポートフォリオを指す。したがって,MPTによれば,世界中の株式市場の各銘柄を,その時価総額で加重して分散投資を行うインデックス運用こそ最も優れた株式投資法ということになる。3. カン[2008]は日本においてETFによる資産運用を先駆的に提唱し,「投資とは,未来の変化にお金を託すこと」であると主張している。そうした発想から,カン[2008]はETF投資の資金配分比率を,米国25%,米国以外の先進国25%,新興国50%とすることを提唱している。具体的には,投資資金の配分比率をiシェアーズCore S & P 500(IVV)に25%,iシェアーズMSCI EAFE(EFA)に25%,iシェアーズMSCI Emerging Markets(EEM)に50%とすることによって高い投資パフォーマンスを実現しようとする。これは新興国の経済成長を背景とした新興国の株価上昇によって,2030年までには新興国の株式時価総額が先進国のそれに匹敵するものとなることを想定した投資戦略である。4. カン[2008]の提唱するグローバル市場ポートフォリオは,未来の世界経済や株式市場を予測するマクロ投資戦略を取り入れたポートフォリオである。したがって,MPTによる経済学的に最も合理的な株式投資法とは異なる。ポートフォリオの投資資金の配分比率をIVV 45%,EFA 45%,EEM 10%とするならば,それはほぼMPTに基づくインデックス運用となる。5. 2000年代は新興国経済の躍進を背景に新興国の株式市場が拡大した。すなわち,ヘッジファンドなどの海外主体が低金利で調達した円資金をドルに転換して,米国金融市場をはじめとする高金利の金融市場で運用する円キャリートレードが行われた。04年以降は巨額の経常収支黒字を稼ぐ中国がグローバル投機マネーの供給者に加わり,巨大化した投機マネーはコモディティ(一次産品)市場に流れ込み,原油をはじめとする資源価格を高騰させた。6. 1998年からの米国株高やその後の資源バブルが発生した要因として,米国の財政収支の黒字化が挙げられる。すなわち,米国の財政収支が98年度におよそ30年ぶりに黒字化したため,新規の米国国債の発行が減少したのである。このため,経常収支黒字国からや円キャリートレードによって米国に流入したグローバルマネーは,米国の国債市場では消化できなくなり,当初は米国株式市場に流れてITバブルを引き起こす。その後,コモディティ市場に流れ込み資源価格を高騰させ,さらに米国不動産市場に流入してサブプライム問題を準備し,同時に2000年代の新興国株式市場の拡大をもたらした。7. この意味で,この10年の新興国株式市場の拡大は,グローバル・インバランスの拡大や中央銀行の金融緩和がもたらしたグローバル投機マネーによるものである。FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和の段階的縮小が進み,2014年10月にはQE3(量的緩和第3弾)が終了するなかで,新興国の株価上昇を今後も持続的なものとみることは困難である。つまり,この10年の新興国の株価高騰は,特異な例外的事象であると思われる。
著者
橘旭宗 編
出版者
筑前琵琶宗家
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1913
著者
平賀 勇貴 久野 真矢 許山 勝弘 平川 善之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.178-186, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
21

本研究は,人工膝関節置換術(TKA)後患者における『活動日記』を併用した作業療法(OT)実践が,疼痛と疼痛の心理的要因および活動量に与える影響を,非ランダム化比較試験によって検討した.TKA後患者を対照群15名と日記群15名に分類した.測定指標はカナダ作業遂行測定(COPM),疼痛,破局的思考,不安と抑うつ,自己効力感,活動量を測定し,多重比較検定にて解析し,『活動日記』のコメントをKJ法にて分析した.結果,日記群はCOPM,不安,生活活動量に有意な改善を認め,KJ法ではOT開始時に「痛み」を中心としていたが,終了時は「達成感」へ変化した.TKA後患者に対する『活動日記』を併用したOT実践の有用性が示唆された.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1909年12月01日, 1909-12-01
著者
迫 俊道
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.83-93,123, 2006-03-20 (Released:2011-05-30)
参考文献数
30

これまでに生田久美子は日本の芸道の修行過程を研究してきた。日本の芸道の修行過程の特徴は「非段階性」であると生田は主張している。しかし、生田は世阿弥の稽古に関する理論などを援用している。世阿弥の理論においては、芸道の稽古の過程は段階的であると綴られている。また、生田が芸道の身体教育の意義を提示している説明文においても段階性を示唆する表現が認められる。本論文の目的は、芸道の身体教育の段階性に関する生田の議論の矛盾点を指摘し、世阿弥、ヘリゲル、西郷らが記した文献を中心として取り上げ、それらの記述の中において、芸道の身体教育に特有な段階性があることを明らかにすることにある。その上で、生田が光を当ててこなかった、芸道における身体教育の段階性の意義を提示することにある。芸道において段階が創造される際には、指導者が学習者の段階の生成過程を見極め、次の段階への橋渡しをしていくという「段階的指導」が行われている。生田が想定した「段階性」とは、現代の学校教育等に象徴的に見られるような静的なものである。だが、芸道の身体教育における「段階性」は、ダイナミックに流動するものであるだろう。芸道における身体教育の段階性の意義は、指導者と学習者の間で展開されていく、複雑な生成過程を経ることを通じて、段階が創造されていくことを示唆している点にあると思われる。
著者
兵頭 一之介
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-15, 2004 (Released:2004-04-27)
参考文献数
24
被引用文献数
4 2

世界的なインターネットの普及や予防医学,自己健康管理への関心,患者の治療選択における自己決定意識の高まりなどから,近年,補完代替医療(CAM; Complementary and Alternative Medicine)の利用者が急速に増加している.わが国のがん患者においてCAMのうち最も利用頻度の高いものは健康食品で,情報もこれに偏っているが,臨床試験で有効性を確認されたものはほとんどない.先進諸国では西洋医学的手法に則ったCAMの有効性を検証するための臨床試験を遂行しようとする機運が広がっている.米国補完代替医療センターでは,現在,多くの臨床試験が行なわれており,我が国でも厚生労働省がん研究助成金によるがんのCAMに関する研究班が設けられ,金沢大学医学部に我が国初のCAMの専門講座が開設され,この分野の本格的な研究がスタートしている.
著者
木島 幸次 潮見 泰蔵 玄葉 文雄 高木 俊治 恩田 朋子 中村 祐一 李 嵐
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0245, 2004 (Released:2004-04-23)

【目的】近年、動作における筋収縮の分析は、open kinetic chainに代表される個々の筋収縮を評価するものから、一連の筋群の収縮を分析するclosed kinetic chainの概念が通説となりつつある。本研究では、closed kinetic chainにおけるEBM(科学的根拠に基づく医療)の基礎研究として、椅子からの立ち上がり動作における筋収縮の順序性を下肢筋群の抗重力筋に限定し、その順序性について報告する。研究結果から、椅子からの立ち上がり動作における筋収縮順序性のパターン化の糸口になると思われる知見を得たのでその報告をすることとする。【方法】健常成人43名(男性29名)、女性14名、平均年齢 25.44±5.1歳、平均体重 62±12.1kg、平均身長166.62±8.8cm、立ち上がり速度平均2.54±0.26秒を対象とした。 各被検者が木製椅子で座位姿勢をとった時、膝関節を90度屈曲位、足関節を0度肢位になるように椅子の高さを設定して、足関節背屈15度肢位の条件で、自由に椅子からの立ち上がり動作を行わせた。立ち上がり動作の際に下肢の抗重力筋である前脛骨筋、腓腹筋、大腿四頭筋、大腿二頭筋の動作筋電図を日本光電社製MEB-9100にて測定し、その順序性を求めた。【結果】椅子からの立ち上がり動作における各筋の順序性について、前脛骨筋と腓腹筋、前脛骨筋と大腿四頭筋、前脛骨筋と大腿二頭筋、大腿四頭筋と大腿二頭筋において、それぞれ有意差が認められた(P<0.001)。その結果、上記各4筋の組み合わせは、椅子からの立ち上がり動作において(1)前脛骨筋→腓腹筋→大腿四頭筋→大腿二頭筋:34.9%(2)前脛骨筋→大腿四頭筋→大腿二頭筋→腓腹筋:23.2%(3)前脛骨筋→大腿四頭筋→腓腹筋→大腿二頭筋:4.6%、(1)と(2)、(2)と(3)の要素を含んだ組み合わせ:13.9%で合計76.6%となり、概ね3パターンの組み合わせに集約されることが分かった。【考察】筋収縮の順序性における組み合わせの3パターンは、いずれも前脛骨筋が最初に収縮を開始する。これは座面にある重心を体幹前傾することにより、足部支持基底面に移動するために働くためである。次に活動を開始する筋は大腿四頭筋あるいは腓腹筋である。この働きの違いについては、重心の移動の速さ、あるいは体幹傾斜角度に由来するかが示唆されるが今後の課題とする。大腿二頭筋は伸展相で働くことが明白である。 今後は、種々の条件設定の下にこれらのパターンがどのように変化するのか、あるいは臨床的にバイオフィードバックトレーニングへの応用として成果を期待してみたい。【まとめ】健常成人の自由な椅子からの立ち上がり動作において、前脛骨筋、腓腹筋、大腿四頭筋、大腿二頭筋の筋収縮の順序性は、概ね3パターンに集約されることが分かった。