著者
松尾 直博
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.165-182, 2016 (Released:2016-08-12)
参考文献数
51

日本の道徳教育は大きな転換点を迎えようとしている。小中学校において, 今まで領域とされていた道徳の授業が, 「特別の教科 道徳」として教科として位置付けられ小学校では平成30年度(2018年度), 中学校では平成31年度(2019年度)から実施されることとなった。道徳教育, 道徳科の授業の目標が明確化され, 効果的な授業についてもより開発の必要性が高まっている。近年日本で行われた道徳性や道徳教育に関わる研究を概観しつつ, その知見が道徳教育にどのように貢献できるかについて考察を行った。その結果, 道徳的判断, 子どもの道徳性の経年比較, 感情が道徳的認知に及ぼす影響, 共感, 海外の道徳教育, 道徳の授業実践に関する研究などが行われており, そのような研究の道徳教育への応用可能性について考察した。今後の展望として, さらなる基礎, 授業に関する実践研究などの必要性が述べられた。
著者
杉本 健
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

炎症性腸疾患において粘膜のバリア機構はその病勢に大きく関与する。我々は、過去に腸管バリア機構を増強すると報告されてきた腸管アルカリフォスファターゼ(IAP)に着目した。遺伝子操作により IAP をマウスの腸管粘膜局所で増減させる実験系の確立を探索した。炎症性腸疾患のモデルマウスとしては、過去の報告では安定した病気の作成が困難とされたクローン病類似モデルであるマウス TNBS 腸炎を腹腔麻酔の代りに吸入麻酔を使用することにより安定したモデルにすることに成功した。これらの系を用いて、今後 IAP の粘膜防御におけるメカニズムをさらに検討していく予定である。
著者
渡邊 修
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1067-1070, 2013-11-01 (Released:2013-11-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1 4

Isaacs症候群では,血液神経関門が脆弱な神経終末や神経根で自己抗体によりVGKCの機能異常が惹起され,過剰興奮がおこる.有痛性筋けいれん,ミオキミア,ニューロミオトニアなどの運動症状に加え,complex regional pain syndrome様の激しい痛みで発症する例もある.Morvan症候群は,Isaacs症候群の症状に,大脳辺縁系の異常(不眠,記銘力障害など)と自律神経障害(不整脈,便秘など)をともなう.圧倒的に男性に多く,「足が焼けつくような」疼痛をみとめる.VGKC複合体の構成分子であるLGI-1抗体陽性例は,近時記憶障害やてんかんなど辺縁系症状を呈し,高頻度にSIADHを合併する.
著者
河出書房 [編]
出版者
河出書房
巻号頁・発行日
1957
著者
立花 久大
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.105-112, 2014 (Released:2014-03-25)
参考文献数
39
被引用文献数
1

要旨:糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子であり,脳梗塞発症が2~3 倍高くなる.糖尿病はアテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞のみではなく心原性脳塞栓症に対しても危険因子として関与している.糖尿病患者では脳幹部,椎骨脳底動脈系の脳梗塞が多く,穿通枝領域に多発する中小脳梗塞が多い.脳出血についても糖尿病患者では発症が増加する可能性がある.脳卒中の一次予防についてはメトホルミン,リナグリプチンの脳卒中発症抑制効果が示唆されている.また,二次予防としてはインスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾンによる治療が脳梗塞発症予防に有効であると報告されている.しかし脳卒中予防には血糖のコントロールのみでは不十分で,血圧,脂質代謝などを含めた複合的な治療が必要と考えられる.さらに脳梗塞再発予防には血管危険因子の管理とともに抗血栓療法が必要と考えられる.
著者
宇野 文重
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.95-108, 2018 (Released:2018-07-11)

本稿では, 明治前期下級審における女性の「雇人」に関する判決44件を素材に, 明治初期の「雇用契約」に対する司法判断について以下のように分析した。訴訟の多くが, 勤務先から逃げ出した被用者の女性に対して使用者側から身柄の取り戻しを求めるものであるが, 裁判所は「人身ノ自由」を奪うことは許されないとして強制的に取り戻すことはできないとし た。女性たちの父や夫の締結した契約は無効とされたが, 債権者に対して金銭賠償の責任は負うとする法理が明治前期下級審ですでに形成されつつあった。
著者
小谷 信行
出版者
金原出版
雑誌
小児科 (ISSN:00374121)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.375-382, 2012-03
被引用文献数
2