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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1914年11月11日, 1914-11-11
著者
田原 範子
出版者
四天王寺大学大学院
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集 (ISSN:18836364)
巻号頁・発行日
no.12, pp.49-66, 2018-03-20

国立ハンセン病療養所「松丘保養園」に暮らす滝田十和男さんのライフヒストリーである。滝田十和男さんは、1925(大正14)年、福島県で生まれた。10 歳の頃にハンセン病を発症し、1937(昭和12)年9月21 日、12 歳の時、同じくハンセン病を発症した父親と一緒に警察に付き添われて強制的に北部保養院に入所した。その後、療養所内の小学校を卒業し、患者の介護や療養所内のさまざまな仕事に従事した。療養所を飛び出し外で行商をしたり、精密機械工組み立ての仕事をしたりした後、手足の麻痺が進んだこともあり、東北新生園へと再入所し、戦争中の厳しい時を生き抜き、知り合いを頼って再び松丘保養園に戻った。若い頃に「生きた証として形に遺せるものは短歌くらいしかない」と始めた短歌は、その才能を認められて、北部保養院で初めて1956 年に歌集を出版することになった。歌人であり、俳人でもあった。松丘ではプロミン獲得運動の委員、盲人会の書記、カトリック教会信徒会の世話役なども務めた。 滝田さんは私たちの来訪を快く受け入れ、体調を気にする看護師や職員の心配をよそに、自身の経験や療養所のできごとを語った。その記憶の鮮明さ、語る言葉の芳醇なことに私たち聞き手は驚いた。聞き取り時間は、2015 年9 月2 日に1 時間30 分、9 月3 日に52 分であった。聞き手は、平田勝政1)、和田謙一郎2)、田原範子3)である。聞き取り時点で滝田十和男さんは90 歳であった。その後、2016 年2 月2 日に1 時間10 分、2 月3 日に4 時間15 分の聞き取りを行った。聞き手は平田勝政、田原範子であり、いずれも病棟の待合室で行った。滝田さんの語りからは常に、今、生きていることへの感謝、人間が生きることへの敬意が感じられた。それは、「療養所にいて、ほんとにかわいそうな人生送ったっていう風に思われるかもしれないけども、療養所は療養所なりに、やっぱり人間の生きる社会ですから、生きた社会ですから、それなりにね。やっぱり人間として生かしてもらってありがたいなー」という言葉に凝縮されている。聞き取りはIC レコーダーで録音し、後日、松下かおり(四天王寺大学卒業生)が音声を文字データとし、田原が最終チェックを行った。 滝田十和男さんは2016 年8 月17 日、91 歳で永眠された。松丘保養園の川西園長によれば、8 月19 日に園内の松丘カトリック教会で告別ミサが執り行われた。福島から数名の親族が来て、交流のあった人びとや入所者、職員が多数参列して滝田さんに相応しいとてもよい告別式だったという。2016 年2 月2 日、平田と田原は、納骨堂のなかの滝田さんの骨壺を拝むことができた。本稿では、2015 年9 月の聞き取り調査にもとづいてライフヒストリーを記す4)。
著者
北村 知史 キタムラ サトシ Kitamura Satoshi
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
vol.3, pp.27-38, 2014-01-10

研究ノート(Note)日米安保条約は、日本の安全保障政策の根幹であり、日本政府は、日米安全保障体制の意義について、(1)米国の軍事力による抑止力を有効に機能させることで、日本側の適切な防衛力の保持と合わせ、日本の安全を確保すること、(2)日本に駐留する米軍のプレゼンスによって日本の周辺地域の平和と安全が確保されていること、そして、(3)米国と協力して国際的な安全保障環境の改善に取り組むことが日本の平和と繁栄をさらに確かなものになることの三点を指摘している。第1章、第1節で 日米安保条約と改定の経緯で日米安保条約の制定と内容の日米安保条約の制定過程を明示した。第2章では日本の世論から見る日米安保条約として、世論は日米安保条約がどのようなものとして見られていたのかを明らかにした。第2章、第1節の世論の変動期1948年-1970年では1960年の安保改定前には世論は安保条約に対して、反対の態度を占めるなど変動を見せたが、第2節の世論の安定期 1971年-現在では世論は安保条約に安定した反応を見せた。第3章 日米安保条約に与えた世論の影響─同心円モデルによる分析では、1987年にヒルズマンが示した同心円モデルを用いて分析した。終わりにでは、これまで日米安保条約の制定経緯とその後の運用過程を概観し、日米安保体制は現在でも課題があるとはいえ、今後の様々な課題はあっても、日米の両国間を取り巻く安全保障上の課題を日米同盟が強固な関係であることによって問題を解決することこそが日本の選択であることを提言した。
著者
渡辺 理 光岡 円 角田 潤 大野敬史 奥山 敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.142-154, 2004-01-15
被引用文献数
3

携帯電話(iモード)上での文字プレゼンス情報の交換によるパーソナルネットワーク支援の可能性を探るため,携帯電話の上でインスタントメッセージのように動作するプロトタイプサービスを実装し,短期のユーザ試行評価実験を行った.このサービスは,ユーザが共通のチャネルに参加するのではなく,任意の友人と個別にお互いの情報を見せ合う関係を結んで仲間リスト(バディリスト)に登録し,そこを基点に状態情報(プレゼンス情報)を交換することを特徴としている.ある女子大学の学生の仲良しグループを主な被験者とし,発見的な使い方を観察するために自由に使わせた.グループチャットやメーリングリストなどの強い対話機能を持たないことを懸念していたが,実際には,被験者は楽しみながら積極的に使ってくれた.友人同士でバディリストに一言メモを書いて見せ合うことは,メールやチャットでメッセージを送るよりも情報発信の敷居が低く,見られることを意識した日記を綴る感覚を楽しめる.そして,独り言メモから対話的なメモに移行したり,パーソナルな対話や仲間以外の人への情報発信をしたりする際の起点としても機能していた.このように多義的な用途に使われた特性をまとめ,パーソナルネットワークを支援する携帯文字プレゼンス交換システムの望ましい条件と課題について考察した.We discuss findings from an empirical and ethnographic study of a kind of instant messaging (IM) service on mobile phones. To estimate the possibility of presence interaction service for mobile phone, we developed a prototype system, which provides users for writing text memos and showing them on their friends' ''buddy list''. We call these ''presence memos''. Using this prototype, we conducted a field trial with two groups of young Japanese female university students. They enjoyed habitually using the services and gave us invaluable feedback. Based on the results of this experiment, we describe and discuss some features and possibilities of the mobile text-based presence interaction service for personal network assistance.
出版者
BOC出版部

巻頭言 今こそ、たたかう女性学 井上輝子女性学のこれまで・これから-新自由主義にどう対峙するか-シンポジウムの趣旨 内藤和美労働世界へのジェンダー法学的アプローチ 浅倉むつ子私的問題の公共化-フェミニスト政治経済学からの問題提起 久場嬉子フェミニズム、バックラッシュ、個人主義 細谷実雇用平等論の原点に立ち返る 塩田咲子フェミニズムはすべての女性の希望になり得るか 山田昌弘レジュメ・資料ジェンダー概念をめぐる最近の動向 酒井はるみ女性学を学んで知ったこと・考えたこと-大学・大学院で女性学を学ぶ7人の手記-女性と子どもへの暴力 清田恵美乃違いを共に生きること 佐藤裕香「女性学」、私の地平 冨岡千尋男の看護学生として 中川慶展私と女性学 長田円香大学ではじめて女性学にふれて 山口真由女性学を学んで 渡辺めぐみ
著者
芳賀 高洋 大谷 卓史 佐藤 匡 高木 秀明 豊福 晋平
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.149-156, 2015-08-10

我々は,大学におけるソーシャルネットワークキングサービス(SNS)の利用ガイドラインに関して情報倫理学的観点か ら検討してきた.本稿では,この観点に加えて,教育学的観点から大学の SNS 利用ガイドラインを考察する.具体的には, まず 2015 年 4 月時点で国内の大学が公式に規定する SNS 利用ガイドラインを 93 大学(98 例)ほど収集し,質的・量的 に分析する.この分析から国内の大学が SNS に対してどのようなスタンスをとっているかを明らかにした上で,教育学 的観点から考察し, 学術研究機関であり高等教育機関でもある大学として適切なSNS利用ガイドラインとはどのよう なものかについて検討する.
著者
梅沢 章男 黒原 彰
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.29-36, 1994-07-31 (Released:2017-05-23)

Previous biofeedback studies concerning electrodermal activities have used either skin conductance (SC) or skin potential (SP). This study was designed to investigate the temporal correspondence between SC and SP and to determine the most suitable indicator for electrodermal biofeedback studies. SC and SP were recorded simultaneously in 24 subjects under the mirror drawing test. The following results were obtained : (1) Intrasubject correlation coefficients between total amplitudes per minute of skin conductance response (SCR) and of skin potential response (SPR) were significant in all subjects, whereas correlations between skin conductance level (SCL) and skin potential level (SPL) were significant in only 17 subjects (70.8%). Correlations between SCL and SPL were low or significant negative in subjects showed a positive SPL shift caused by a burst of positive SPRs. (2) Although SCR and SPR, phasic components of EDA, showed a marked increase in total amplitude in the first half of the experiment, but a gradual decreasing of responsiveness was found in the latter half. On the other hand, SCL and SPL, tonic components of EDA, showed consistent responsiveness throughout the experiment. (3) Latency of changes in SPL were significantly longer than changes in SCL. These results suggest that SCL is the most suitable indicator for electrodermal biofeedback studies.
著者
矢守 克也
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.48-59, 2016

<p>本稿は,アクションリサーチにおける時間性について理論的に検討するものである。アクションリサーチを定義づける変化,目標状態,ベターメントといった特性が共通して前提にしているものこそ,時間だからである。ここで重要なことは,2つの時間系列,すなわち,人間的な実践の外的な枠組みとしての「客観的時間」と,「主体的時間」とのちがいである。「主体的時間」とは,たとえば,「まだ試験終了まで10分以上ある」など,「今はもう」,あるいは「今はまだ」といった,自分自身の営みにおける主体的な構えとともにある時間のことである。「主体的時間」は,既定性(ポスト・フェストゥム)と未定性(アンテ・フェストゥム)という2つの対照的な特性を生み,両者は逆説的なダイナミズムをなしている。さらに,この両者と「客観的時間」における過去・現在・未来とが構成する平面上で展開される〈インストゥルメンタル〉(媒介・手段的)な時間の総体と,それとは対極にある〈コンサマトリー〉(直接・享受的)な時間とが,別の逆説的なダイナミズムをなしている。アクションリサーチでは,これら2組の時間のダイナミズムを,研究者がどのように認識し,かつ自らがその中に巻き込まれつつ,それをいかに構想し運用していくかが重要である。</p>