著者
諸岡 卓真
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.96-110, 2012-11-15

Although mainstream mystery writers have in the past stayed away from unscientific elements such as superhuman powers and ghosts, the most recent trend in Japan is to have detectives in stories solve cases using supernatural powers. This is a reaction to the impossibility of problem-solving by inference within the limits of information given in one story, which detective fiction fans commonly refer to as "issues related to the later works of Ellery Queen." It is important to note that this trend of incorporating supernatural powers was a way to overcome the limitations placed by the rigor of inference expected by the reader. This study closely examines one of the latest such examples, Detective Fantasy : Nanase with a Steel Bar (2011) by Shirodaira Kyo, and offers an insight into how the structures of conventional mysteries have been abandoned, and what kinds of new issues contemporary writers are facing now.
著者
浦野 茂
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.18-27, 2016

<p>本稿の目的は、北海道浦河郡の「べてるの家」で始まり、近年急速に普及している当事者研究について、これを相互行為の組織方法という観点から検討することである。最初に、精神障害や発達障害にともなう困難の経験をその障害をもつ人びと自身が共同で研究するという営為に含まれている課題について明らかにする。そのうえでこの課題に対していかなる実践的な対処方法がありうるのか、筆者の観察してきた事例にもとづいて考察をおこなう。</p>
著者
池川 佳宏 秋田 孝宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.133-139, 2014

平成22〜23年度の文化庁メディア芸術デジタルアーカイブ事業マンガ分野において,国立国会図書館,川崎市市民ミュージアム,明治大学米沢嘉博記念図書館,京都国際マンガミュージアム,大阪府立中央図書館国際児童文学館の5つの機関のマンガ所蔵をデータベース化するプロジェクトが行われた。これに際し,どのような内容のデータを集め,どのような共通のメタデータ項目を設定し,どのようにデータを整理し書誌の同定を行ったかについて,実際の作業内容をもとに報告する。また,プロジェクトの成果として,現在,所蔵元が明確なマンガについて,その数量を明らかにした。
著者
室井 康成
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
no.8, pp.65-105, 2018-03

2000年以降、いわゆる「荒れる成人式」問題が顕在化している。一般に成人式は、多くの日本人が加齢の過程で経験する重要な人生儀礼の一種として理解されているため、その荒廃ぶりは現代の若者の未熟さを示すものとして、しばしば睥睨の対象となっている。それは成人式が、近代まで日本各地において、15歳前後の若者に対して行なわれてきた成人儀礼「元服」の現代版として捉えられることも一因だと思うが、実は両者に連続性はない。これまで現行の成人式は、敗戦直後に埼玉県蕨市で行なわれたものが全国に普及したとする説が有力であったが、本稿の調査を通じて、それがすでに戦前の名古屋市で行なわれていたことが明らかとなり、その開催趣旨や運営方式から、そこに元服的要素はなく、あくまでイベントとして開催されていたことを確認した。翻って成人式定着以前の類例を、各地の民俗事象を手掛かりに見てゆくと、何歳を成人と見なすかという基準は、ほぼ集落単位で取り決められており、全国一律の基準などなく、またその認定時期も個人の成熟度に応じて、かなりの柔軟性を持っていたことが明らかになった。この場合の成熟度とは、男子は「親の仕事を手伝う能力」、女子の場合は「結婚可能性」であり、いずれも個人差を前提としていた。だが、そうした柔軟性を駆逐したのが、明治期の徴兵制に起源をもつ「成人=20歳」という新基準であったが、これも全国民の間で共有されたと政府が認めたのは、戦後10年を経た頃であった。逆説的だが、「成人=20歳」という認識も、戦後の官製成人式の普及によって国民の間に浸透したのである。しかし、現在では新成人の約半数は就学者であり、しかもその段階で既婚である者も少ないであろう。前代に比べて現代の若者が幼く見えたとしても、それは仕方のないことである。法の規定とは別に、成人と見なす基準は時代や個人の境遇によって変わるということは、近代の民俗史が語るところだが、そうした様々な差異を無化して、無作為に人を一堂に集めるから荒れるのであり、そこに官製成人式の限界がある。とはいえ、多くの人が経験し、しかも70年以上の歴史をもつ行事であれば、それは十分に民俗学の対象である。通常、民俗学はその対象を「保護・顕彰」すべきものとして捉えるが、本稿では、現行の成人式が民俗的根拠を欠いた意義なきものであることを論じ、その廃止を提言する。
著者
岡崎 正
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢短大国文 (ISSN:02866684)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.22-36, 1989-03
著者
松永 和浩
出版者
大阪大学
雑誌
待兼山論叢. 史学篇 (ISSN:03874818)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.55-81, 2007-12-25
著者
奥村 萬亀子
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.63-69, 1977-11-30

時代の変革期に際し, その先がけとして現われるものに風俗の現象がある。歴史を振り返る時, "ばさら"と"かぶき"はその顕著な例である。いずれも変革期における反逆性を精神的基調とする。本稿では"ばさら"について述べる。"ばさら"は, 主として舞や楽を評するのに使われる"ばさ"を語源とし, 正統なる調子から逸脱したところに表われるある種の美的状況を示すものである。こうした表現は当然のことながら, 正統なる世界の枠外のものによって担われているものであった。これが一時代の風俗を示す語となるには, "ばさらぶり"の担い手たちを先導とする経過がある。ここに展開される服飾の様相は伝統的な服飾美からは逸脱した, 異質の主張をもったものである。
著者
安達 一寿 中尾 茂子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.11-20, 1995

一般情報処理教育におけるプログラミング学習での学生のつまずき箇所を,その学習過程から抽象化プロセスと構造化プロセスに大別し,学生のつまずき箇所からグルーピングを行い傾向を分析した.その結果,つまずき箇所が抽象化プロセスにある学生はプログラミング以外の要因による理解不足が見られ,コンピュータ親和度も低い.つまずき箇所が構造化プロセスにある学生は,意味論的知識に関わる部分では問題のモデル化ができ,コンピュータ親和度も高いことが明らかになった.
著者
上久保 恵美子 比企 静雄 福田 友美子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.11-18, 1997-01-31
被引用文献数
1

聴覚障害者の社会活動のための言語媒体の有効性について分析する研究の一環として、各種の言語使用の場面に応じた言語媒体の使い分けと手話通訳者の有効性を検討した。この研究で使った調査資料は、東京と近県の重度聴覚障害者に1991年に質問紙を郵送して、20歳〜70歳の男女約1,700人から回答を得たものである。そのうちの、口話・手話・筆談などの使用についての諸項目の応答を、種々な場面での有効性に注目して分析した。その結果、旅行、市役所・警察・病院、子供の入学式・卒業式、子供のPTAの集まり、駅やバス・電車の放送などの日常生活での対照的な言語使用の場面に応じて、言語媒体の使用の割合や有効な程度が著しく異なること、手話通訳者や介助者の助けが場面によっては有効に役立っていることが明らかになった。
著者
加島 卓
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.61-74, 2018

<p> In this paper, I explain the research methods for handling historical data in</p><p>the context of media studies. I started by organizing the development process</p><p>of media history in Japan, followed by the characteristics of media history of</p><p>the 2000s. Finally, in the context of media history research as it relates to sociology,</p><p>I explain about the methodologies adopted in "Historical Sociology of the</p><p>Advertising Creator"( 2014) and" Olympic, Design, Marketing"( 2017).</p>