著者
多田 由美 杉本 真理子 泉 政文 綱島 夢美 萩原 こまき Yumi TADA Mariko SUGIMOTO Masafumi IZUMI Yumi TSUNASHIMA Komaki HAGIWARA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

まんが表現における作画技術教育の前提として必要なのは、まんが表現史的な視点である。手塚治虫系のキャラクター表現に関しては、田河水泡とディズニーの作画方法を構成主義的に解釈した「ミッキーの書式」に基づくことが指摘されているが、本報告では少女まんが領域における「ミュシャの書式」(すなわちヨーロッパの19世紀末から、アール・ヌーヴォー、アール・デコなどの挿絵や広告画の援用・解釈に基づく「書式」)の所在について仮説的に述べる。1901年、与謝野晶子『みだれ髪』の表紙に藤島武二がミュシャふうの意匠を採用し、近代女性文学における「私」と「ミュシャ」的表象が結びつく。そして1970年代に少女まんが領域で「内面の発見」がなされた時、それを主導したいわゆる「24年組」によって再度「ミュシャの書式」が再受容された。「ミュシャの書式」は一見、キャラクター的、非歴史的に見えながら、日本近代の少女まんがを含む女性表現では近代的自我や身体性、政治性を包摂しうる表象として出発し、「24年組」の背後にある近代史的文脈を理解することはまんが教育として重要である。Perspectives based on knowledge of the history of manga expressions are essential for learning manga drawing techniques. It has been pointed out, for instance, that manga characters in the Osamu Tezuka vein are based on the "Mickey's format" which was a Constructivist reinterpretation of the drawing methods of Suiho Tagawa and Walt Disney. This report discusses the hypothesis that an "Alphonse Mucha format" (based on the influences and reinterpretations of Art Nouveau, Art Deco and other late-19th century illustrations and advertising art) exists within the shojo manga genre. In 1901, Takeji Fujishima adopted a Mucha-esque design for the cover of Midaregami (Tangled Hair) by Akiko Yosano, bringing together for the first time the Mucha-like image and the "notion of self" in modern Japanese women's literature. In the 1970s the Alphonse Mucha format was adopted again, this time by the Year 24 Group of shojo manga artists, who spearheaded the "exploration of the inner self" in shojo manga stories. At first glance the Alphonse Mucha format seems ahistorical and to concern only the external appearance of manga characters. However, within modern Japanese female expressions including shojo manga, the Alphonse Mucha format originated as imagery capable of suggesting the modern ego, physicality, and political nature, and as such, understanding the modern historical context of the Year 24 Group bears significance to manga education.
著者
山内 加奈子 田中 美紗 加藤 匡宏 大西 美智恵
出版者
香川大学
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.65-75, 2008-03

とし子(仮名)は,早産(24週)で出生した超早産児である.とし子は,脳性麻痺や知的障害がないにも関わらず,2歳2ヶ月(修正月齢23ヶ月)になっても母親をふくめて誰に対しても発語がなく,主治医は彼女が言葉の遅れがある可能性を示唆した.主治医は,とし子に母親からばかりではなく社会からの言語刺激を与える必要があるとして,筆者らのプレイルームを紹介した.高等教育を受けた母親は,とし子をバイリンガル児に育てようとしていた.遊戯療法の第1期において,筆者らは,とし子が赤ちゃん人形でままごとをして遊んでいることを認めた.しかし,とし子は,運動技能を要求されるような,例えば跳びはねたりバランスを維持したりするトランポリンやラージセラピーボールの上ではねるなど体全体を使う遊具を嫌った.筆者らは,アニメーションキャラクターの声が聞こえるおもちゃの電話を用意した.そのころから,とし子はトランポリンや大きなセラピーボールの上で遊び始め,家庭では「パパ,ママ,じじ」とか「ブーブ」などの1音節の擬態単語を声に出せるようになった.遊戯療法の第II期において,とし子はトランポリンや大きなセラピーボールの上でのダイナミックな動きに伴って,1音ずつの単語が出てくるようになった.とし子は,家庭で両親など周りの人々が言った言葉やTVで聞いた言葉を真似するようになった.第III期に入ると,とし子は,買い物ごっこ遊びに興味があると言い始めた.第III期のおわりには,買い物ごっこ遊びを通じて,筆者らは,とし子と相互的な言語コミュニケーションが可能となった.つまり,筆者らは,遊戯療法において,色々な身体的刺激を与えることによってとし子の表出性言語障害を治療することに成功した.遊戯療法による日本語教育がとし子の表出性言語障害に治療的効果があったことから,日本人の両親が幼児期において子どもをバイリンガル児に育てるという試みは,子どもの言語発達に害を与える可能性があることを示唆する.
著者
平井 美津子
出版者
大阪府立看護大学医療技術短期大学部
雑誌
大阪府立看護大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:13416421)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.73-76, 2001

An original meaning of the verb "compromise" was to be to adjust or settle an argument or difference between parties. The Japanese translation dakyou suru 「妥協する」is generally applied. However, because "compromise" tends to be used as a derivative of the original meaning in the medical field it is often said among health and medical professionals and medical translators that the Japanese translation of "compromise" is not adequate. In this study, examples of "compromise" used in medical papers and bopks were collected, analyzed and translated. As a result, it was found that the meaning of "compromise" came to imply the sense "to cause the decline in the physical function or condition." Therefore, the proper Japanese translation for the English word "compromise" would be teika saseru 「低下させる」 (or yokusei suru 「抑制する」), and it is suggested that these terms be used.
著者
福江 佑子 岸元 良輔
出版者
長野県環境保全研究所
雑誌
長野県環境保全研究所研究報告 (ISSN:1880179X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.35-43, 2010-03

「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が2005年に施行されて以降、現在96種類が特定外来生物に指定されている。アメリカミンクについては、2006年2月に第二次指定され、長野県内に生息する特定外来哺乳類は、アライグマに次いで2種類目となった。20世紀初頭、多くの国々でゲームハンティングのために、膨大な数のミンクが野外に放獣された。さらに毛皮養殖場からの逸出が、野生化とその後の分布拡大を引き起こしてきた。アメリカミンクは国際自然保護連合(IUCN)が指定する外来種ワースト100にリストされており、世界的にみても影響の大きな侵略的外来種である。その外来種としての問題は、(1)野生化している食肉目の中で、在来種との競争によるインパクトが最も大きいこと、(2)捕食による在来種への影響が大きいこと、(3)感染症(ミンクアリューシャン病等)の媒介者であること、(4)養殖魚や家禽への被害があること、などである。長野県では、1983-1991年の川上村でのアメリカミンク(以下、ミンク)の毛皮養殖場が野生化の原因となった。現在、千曲川に沿って分布の拡大が進行し、放流魚や養殖魚の食害をはじめ、在来種への影響が懸念され、2004年度より捕獲が開始された。2004-2008年度にかけて捕獲されたミンクの外部計測を行ったので、本報告では、その計測値について報告する。哺乳類における外部計測値等の個体情報の集積は、繁殖状況、成長、栄養状態、性判別、地理的変異など様々な指標に用いることができる。特に今回の報告では、主に雌雄間での差について検討する。
著者
佐高 信
出版者
K&Kプレス
雑誌
月刊日本
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.72-75, 2017-11
著者
菱沼 一憲
出版者
地方史研究協議会
雑誌
地方史研究 (ISSN:05777542)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-20, 2016-02
著者
田中 優子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.63-70, 2009
被引用文献数
3

本研究では,批判的思考に影響を及ぼす要因について検討することを目的とし,大学生138名を対象に,複数の論理的に正しいとは言えない論法のタイプを含む文章を3題提示した.参加者は,自由に感想を書いてよいフェーズ,任意で批判を要求されるフェーズ,強制的に批判を要求されるフェーズにおいて文章に対する記述を求められた.その際,参加者の半数には専門家が,残りの半数には匿名の大学生が書いたと説明することによって情報ソースの信憑性を操作した.論理的に正しいとは言えない論法を指摘できているかといった観点から批判的思考得点を算出した結果,論法のタイプが批判的思考の抑制に影響を及ぼすこと,批判の要求が明示的になるに従い批判的思考は促進されることが明らかになった.また,情報ソースの信憑性の高さが批判的思考を抑制する傾向があるものの,その影響は外的要求の程度や論法のタイプによって異なることが示された.
著者
岩橋 成寿 國井 啓子
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.143-149, 2005-02-01

対麻痺を繰り返し神経内科で多発性硬化症が疑われた症例に二次的疾病利得を認め, 直面化技法を行い, これが奏効したので報告する. 患者は38歳, 大学工学部卒の男性. 突然の両下肢の知覚消失と麻痺が生じ, 多発性硬化症を疑われて神経内科に入院, ステロイド療法を施行された. 過去に2度, 7年前と8年前に対麻痩のため, それぞれ前脊髄動脈症候群, 横断性脊髄炎の診断で6カ付き間の神経内科入院歴があった. 脳と脊髄のMRI所見に異常を認めず, 症状と神経学的所見の解離を認められて第18病日に心療内科に紹介された. 家族面接により, 患者は職場での使い込みと借金を繰り返し, その度に親が責任を問わずに返済していたこと, 今回の発症も使い込みの露見直後である事実が判明し, 使い込みの責任を疾病によって回避するという二次的疾病利得の存在が明らかになった. 診断は転換性障害と詐病の判別が極めて困難であった. 生育歴上, 両親に溺愛され, 父性原理が欠如した養育を受けており, 超自我が未発達と思われた. 父親から「借金の後始末は今回が最後で, 次回は刑事責任も自分でとれ」と通告された後に対麻痺は消失し, 3日後に退院した.
著者
奥田 稔 宇佐神 篤 伊藤 博隆 荻野 敏
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.1181-1188, 2002-12-20
被引用文献数
4 7

アレルギー性鼻炎患者(AR)における昆虫アレルゲンの症状への関与を調べるため,560例のARを対象にしてガ,ユスリカ,ゴキブリを含む13アレルゲンに対するIgE抗体を測定した.また,65例の患者でこれら3種の昆虫の鼻誘発試験を実施した.<br>ガ,ユスリカおよびゴキブリに対するIgE抗体保有率はそれぞれ32.5%,16.1%,13.4%であった.これらIgE抗体保有率には,地域,年齢,治療および合併症による差は認められなかった.<br>鼻誘発試験で陽性と判定される割合は,RASTクラスが高いほど多くなる傾向があった.とくにゴキブリ,ガにおいて,RASTクラス3以上では,各々55.6%および61.5%が鼻誘発試験に陽性を示した.<br>昆虫間のIgE抗体価の相関を検討したところ,ガ,ユスリカ間には強い相関が認められ共通抗原性を示唆したが,ゴキブリ,ガ間およびゴキブリ,ユスリカ間では強い相関は認められなかった.また,いずれの昆虫もヤケヒョウヒダニおよび室内塵に対するIgE抗体価との相関は認めなかった.<br>以上の結果,日本においてガ,ユスリカ,ゴキブリは,アレルギー性鼻炎を起こす原因となっていることが示された.
著者
実積 麻美 大谷 愛佳 山崎 愛沙 山下 恵 和田 亜弓 谷脇 文子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.542-550, 2008-01

本研究は実母からの出産体験の伝承(実母が経験した妊娠・出産・育児の体験や,その体験によって感じた思いを実母自身の言葉で表現し,娘に語り伝えること)に対する妊婦の意味づけを明らかにすることを目的とした。妊娠中期・後期の初産婦6名に半構成的面接法によりデータを収集し,質的帰納的に分析を行った。その結果,実母からの出産体験の伝承に対する妊婦の意味づけとして,次の5つの特徴,『母への親密性を強める』『親になる偉大さを感じる』『親準備性に向かう』『次世代への伝承の必要性を感じる』『自己成長のきっかけとなる』が見出された。そして,実母の出産体験の伝承が妊婦の自律性の育成を培い,母性意識の発達を促し,主体的な親になる準備性を支えていることが明らかとなった。本研究における看護への示唆として,伝承により意味づけられた妊婦の主体性をより促進する援助の重要性が見出された。伝承を看護の中に位置づけることで,妊婦の主体性を促進し,妊婦が目指す出産体験を尊重するような援助につなげていく必要がある。