著者
畑 正人 田邉 正人 吉岡 克成 大石 和臣 松本 勉
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.624-629, 2011-10-12

現代の自動車は,CAN(Controller Area Network)に代表される車載ネットワークを導入している.しかし,CANプロトコルには暗号化や認証などのセキュリティ機能がなく,盗聴やなりすましなどが容易にできてしまう可能性がある.本論文では,不正にCAN-IDが使用されることを検知し,挿入されたメッセージがバス上に流れきる前に破棄する“不正送信阻止方式”を提案する.この方式の特徴は,攻撃者からのメッセージの挿入を検知するだけでなく,送信自体を防ぐことができる点である.また,受信側ECUに変更を加える必要がなく,十分な即時応答性が見込まれるため,車載ネットワークへの導入が期待できる.
著者
大島 真 山田 孝治 遠藤 聡志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.84-87, 2011-10-28

本研究では囲碁のヒューリスティックとして碁石をポテンシャルと見なした静的解析手法の実験を行っている.囲碁の解法に物理モデルを用いた研究は幾つか成されているが、従来研究では群や領域や石の影響度といった局所を構成する要素の評価を目的としているのに対し,本研究では対局序盤での勝敗に関わる碁盤の重要な領域の直接的な抽出を目標としている.実験では計算機同士の対局に提案手法を適用した場合の勝率の変化傾向や,モンテカルロ碁による評価と提案手法が抽出する領域との一致率などを求め,碁盤上の石の配置と勝敗に関わる重要な領域との間に幾何学的な規則性がある事を例証した.
著者
古居 敬大 三輪 誠 近山 隆
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.46-53, 2011-10-28

ナッシュ均衡的な戦略は多人数ゲームでは有効な戦略であるが,非合理的なプレイヤが存在する場合には必ずしも最適な行動であるとは言えない.本稿では多人数ポーカーゲームにおいて,より搾取が可能であると予想されるナッシュ均衡戦略を取っていないプレイヤを判別し,そのプレイヤのみに応じた戦略を取るプレイヤについての提案する.実験を行ったところ,特定の単純な行動を取るプレイヤに対しては大きく搾取することができ,結果としてナッシュ均衡的な戦略をとったプレイヤより報酬が大きくなる場合があることを確認した.
著者
岩村 誠 川古谷 裕平 針生 剛男
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.12-17, 2011-10-12

本論文では,アンパッキング後のマルウェアにおけるインポート・アドレス・テーブル(IAT)のエントリ格納場所を特定する手法を提案する.従来の手法は,マルウェアの逆アセンブル結果からIATを利用する機械語命令を探し出すことでIAT格納場所を推定していた.しかしWindows用コンパイラは可変長の機械語命令とデータが混在するバイナリを出力する傾向にあるため,正確な逆アセンブル結果を得ることは難しい.こうした問題に対し提案手法は,マルウェア内の各アドレスがIATエントリ格納場所である確率を算出し,当該確率が十分に高いアドレスを探し出すことで,精度よくIATエントリの格納場所を特定することを可能にした.
著者
淡誠一郎
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.359-361, 2011-03-02

カーネギメロン大学開発による,教育用プログラミング環境Aliceは,プログラミング初心者の学習意欲低下をまねく要因を極力そぎ落とし,アニメーションという魅力的で理解しやすい題材により学習者のモチベーションを持続させる,というコンセプトで開発されている.Aliceは世界中の学校で広く利用されているが,日本の学習現場での利用は少ない。現バージョンのAliceは,英語のみにしか対応していない,という事実がその大きな要因であると推察できる.幸いAliceはオープンソースであるので,その日本語化を試み,中学生と大学生を対象とした授業で利用して,良好な反応が得られたので,ここに報告する.
著者
中安 恒樹 山本 知典 上原 雄貴 武田 圭史
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.42-47, 2011-10-12

Webアプリケーションにおける脆弱性発生の防止には開発プログラムに既知の脆弱性が存在しないかを検査することが有効であるが,コスト等の制約で広く脆弱性検査が行われているとは言えない.本論文では,Webアプリケーションの脆弱性検査をWebアプリケーションで行い,開発者が容易に利用可能な脆弱性検査システムを提案する.今回実装したMusketは,検査対象の入力欄に文字列を自動入力,エスケープ処理の有無を確認することでクロスサイトスクリプティング脆弱性を検査する.Webアプリケーションから検査が可能となる為,セキュアなシステム開発に関し知識を持たない開発者であっても容易に検査を行うことが可能となる.
著者
宮本 久仁男 田中 英彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.2602-2612, 2011-09-15

完全仮想化方式による仮想マシンモニタは,実ハードウェアを対象にしたオペレーティングシステムおよびアプリケーションを,修正を施すことなく実行させることが可能であるが,仮想マシン上でのソフトウェア動作を行わせたくないという要求もある.仮想マシン環境の検出を行う試みは,これまでも行われているが,それらは仮想マシンの機能上現れるデータや判定のための性能値を集めた特徴データベースを利用することが前提であったり,仮想マシンモニタ側の実装上の工夫で回避できたり,また判定が可能になるまでかなりの時間を要したりするなどの欠点を有する.本論文では,そのような特徴データベースを用いることなく,CPUによる命令実行時に現れる性能値の変動をとらえ,アプリケーションプログラムのレベルで利用可能な,効率的な完全仮想化環境の判別方法を提案し,その評価結果について述べる.
著者
山村 あずさ 芳鐘 冬樹
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2011-CH-91, no.3, pp.1-6, 2011-07-23

本研究では,日本語版 Wikipedia において,図書館情報学と結晶成長学の専門用語の釈義を観察し,分野による違いを探る.そのために,Wikipedia 記事の文字,画像,表,数式,出典,リンク,見出しを計量し,分野ごとに因子分析を行い比較した.その結果,図書館情報学は,文章による説明の多い傾向と,数式による説明の多い傾向が分かれていることなどが明らかになった.これは,分野の特色が Wikipedia の記事にも表れていることを示唆している.
著者
佐藤 仁 小西 史一 山本 泰智 高木 利久 松岡 聡
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2009-HPC-123, no.6, pp.1-7, 2009-11-23

TSUBAME 上で Hadoop を実行するためのツール 「Tsudoop」 を開発した.Tsudoop は,既存システムの構成や運用方針の変更をすることなく,TSUBAME 上のジョブスケジューラである n1ge や Lustre ファイルシステムなどと協調して動作して Hadoop 実行環境を構築し,ユーザの MapReduce アプリケーションを実行する.予備実験として,このツールを用いて,生物医学系の学術論文を対象にした書籍情報データベースである MEDLINE に対してテキストの全文検索を行うアプリケーションを実行した.その結果,1 ノード (16 コア) での実行と 32 ノード (512 コア) での実行とを比較して 14 倍の性能向上を示し,TSUBAME のような高速な共有ファイルシステムやジョブスケジューラが存在するような計算環境でも,MapReduce アプリケーションの実行が可能なことを確認した.
著者
上田 和志 富永 浩之
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2010-CE-107, no.9, pp.1-8, 2010-11-13

類似性に基づくレポート剽窃の検出ツールを開発し,各種の教育支援システムにおいて,オンライン提出モジュールのプラグインとして提供する.類似性の判定には,編集距離および情報距離に基づく 2 つの手法を併用する.特に,プログラミング課題への応用を目指し,効率性と精密性の両立を目指して,適切な事前処理を導入する.ソースコードだけでなくアセンブルコードの組に対しても類似度を算出する.実際の学生の答案として,ポーカーの戦略プログラムの課題に対して適用した結果を報告する.また,軽微なコード変更による隠蔽行為についても,対策を検討する.
著者
松木保浩 稲垣 嘉信 坂本 久 喜田弘司 垂水 浩幸
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.108(2006-CE-086), pp.59-66, 2006-10-21

近年,学生がレポート作成時にwebで手軽に調査できるようになって来たが,ただ写しているだけという弊害も指摘されている.そのような中,まじめにレポートを作成した学生には努力を正当に評価されたいという要求がある.本稿では,レポート作成中のコピー操作やキーボード操作など,学生のレポート作成過程を記録し,教師にレポート作成時間や文字の入力頻度などの様々な解析結果を閲覧させることにより,まじめな学生が正当な評価を受けられるよう支援するシステムについて,基本設計と予備調査実験について述べる.
著者
三井所 健太郎 藤村 直美
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2009-GN-73, no.17, pp.1-6, 2009-11-19

就職活動の早期化・長期化による、学生の講義及び研究への参加意欲の低下は深刻な問題である。しかし、この問題について大学・学生・企業間で議論されることは少なく、具体的な解決策は講じられていない。本研究では、このような状況を改善するため,学生に大きな負担となっている 「就職情報管理」 及び 「エントリーシート作成」 を支援するシステムを開発した。学生の就職活動への負担を減らし、学業への意識低下を防ぐことを本研究の目的とする。
著者
秋山 翔 加藤 拓貴 山口 拓也 平岡 隆晴 豊嶋 久道
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.297-298, 2016-03-10

金融市場における取引システムには、パラメータを含む多くのテクニカル指標が利用されている。取引システムを最適化する場合、最適解が評価期間でしか有効でないオーバーフィッティングという問題がある。この問題の理由の一つとして、テクニカル指標の各パラメータが評価期間を通して固定されてしまうことが挙げられる。 本研究では、テクニカル指標のパラメータが時間により可変な取引システムを提案する。提案する取引システムを最適化することによって、パラメータが特定の値に過度に依存しない解を求めることが可能となる。この特性がオーバーフィッティングの問題の解決に役立つと期待される。
著者
日下 隆平
出版者
桃山学院大学
雑誌
人間文化研究 = Journal of humanities research St. Andrew's University (ISSN:21889031)
巻号頁・発行日
no.2, pp.245-276, 2015-03-23

The Victorian-era Scottish poet James Thomson (1834-1882), who wrote under the pseudonym "B.V.", is best known for his long poem The City of Dreadful Night. Although the poem had the power to attract readers, it was full of pessimistic and uncanny elements. When the first half of the poem was published in the National Reformer in 1874, such dominant literary figures as William Michael Rossetti and George Eliot expressed their admiration, but the remainder of the poem failed to appear because of its being "so alien from common thought and feeling" (Thomson). The evaluation of a poet might be said to depend on how much space is devoted to his/ her poems by The Oxford Book of English Verse. While Sir Arthur Quiller-Couch selected only four of Thomson's short poems for the 1900 edition, in 1972 Helen Gardner chose to include every line of "Proem", along with parts of "Section 1" of The City of Dreadful Night. Such editorial decisions indicate that the poem had come to be esteemed much more highly than before. T. S. Eliot played an important role in this change of evaluation. This paper deals primarily with the echoes of Thomson's work in The Waste Land and "Rhapsody on a Windy Night." Eliot read Thomson's poems during his formative years between the ages of 16 and 20, along with the works of another Scottish poet, John Davidson. Thomson drew parallels between Dante's Inferno and The City of Dreadful Night by quoting the inscription over the gate of Dante's Hell as the poem's Epigraph. In addition, the city as image which Thomson used in the poem inspired Eliot to write both The Waste Land and "Rhapsody on a Windy Night." In part 1, the changing evaluation of The City of Dreadful Night is discussed, followed by the Epigraph and "Proem" (part 2), the image of the City in "Section 1" (part 3), and the synopsis of The City of Dreadful Night (part 4), and Surreal City and Unreal City (part 5).
著者
池谷 駿弥 佐藤 正章 井村 誠孝
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2020-EC-56, no.6, pp.1-8, 2020-05-25

AR (Augmented Reality,拡張現実感) においてバーチャル物体を写実的に表現するには,光学的整合性の問題を解決する必要がある.本研究では実物体から光源情報等の推定を行わず,ディープラーニングを用いた生成モデルである GAN (Generative Adversarial Networks,敵対的生成ネットワーク) により,光学的整合性が保たれていない AR 画像を,光学的整合性が保たれた AR 画像に変換する End-to-End な手法を提案する.GAN による画像生成結果から,ドロップシャドウやバーチャル物体への周辺現実物体の映り込みなどの表現が付加され,GAN による実世界と整合した光学的整合性の表現を行うことが可能であると分かった.