- 著者
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春山 成子
大矢 雅彦
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.10, pp.571-588, 1986-10-01 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 32
- 被引用文献数
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隣り合って流れる庄内川,矢作川の河成平野の地形分類図を作成した.地形要素の組合わせは庄内川は小型自然堤防+高位デルタ+低位デルタ,矢作川は扇状地的自然堤防+高位扇状地的デルタ+低位扇状地的デルタとなっており,著しい地域差が見られた. この原因を次のように考えた. (a) 矢作川は高度分布,高度分散量,起伏量平均値共に大きく,かつ風化しやすい花崩岩からなるため,山地崩壊が庄内川より大である. (b) 庄内川は河川縦断勾配が緩でかつ盆地,峡谷の繰り返しとなっており,下流平野へ流下する砂礫量は矢作川より少ない. (c) 縄文海進時に堆積した海成層上の河成沖積層の厚さは庄内川平野の方が薄い. (d) 氾濫原の幅は庄内川平野では上,中流は狭く,下流は広い.このため,上,中流では河道変遷は少なく,洪水は集中型となるが,下流は変遷が大きく,溢流型となる.矢作川は氾濫原の幅の変化は少なく,洪水は平野上流側はショートカット型,下流側は盗流型となっている.