著者
成瀬 宇平 角田 文 加藤 真理 秋田 正治 村松 啓義 Uhei NARUSE Aya TSUNODA Mari KATO Masaharu AKITA Takayoshi MURAMATSU
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.10, pp.141-145, 2003-03-31

京料理の手法を参考に昆布だし汁のグルタミン酸量とだしの調製条件との関連について検討し,さらに昆布だしにかつお節を加えた「一番だし」の香気成分についてガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(GC-MS)を用いて検討し,次の結果を得た。1)だし汁を調製する水の温度は60℃,昆布の浸漬時間が60分間のだし汁のグルタミン酸量は他の条件に比べて多かったため,京料理のだしを調製する方法は本実験と一致した。2)京料理では昆布に利尻昆布を使用するのは,濃度の薄いだしをとるためと考えられる。3)一番だしの主な香気成分はかつお節由来の成分であった。
著者
藤井 雅子
出版者
日本女子大学
雑誌
日本女子大学紀要 文学部 (ISSN:02883031)
巻号頁・発行日
no.66, pp.71-84, 2017-03-20
著者
若狭 徹
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.211, pp.307-350, 2018-03-30

東国の上毛野地域を軸に据えて,古墳時代の地域開発と社会変容の諸段階について考察した。前期前半は東海西部からの大規模な集団移動によって,東国の低湿地開発が大規模に推し進められるとともに,畿内から関東内陸部まで連続する水上交通ネットワークが構築された。在来弥生集団は再編され,農業生産力の向上を達成した首長層が,大型前方後方墳・前方後円墳を築造した。前期後半から中期初頭は,最大首長墓にヤマトの佐紀古墳群の規格が採用され,佐紀王権との連携が考えられる。一河川水利を超えた広域水利網の構築,広域交通拠点の掌握という2点の理由によって,上毛野半分程度の範囲で首長の共立が推し進められた。また,集団合意形成のための象徴施設である大規模な首長居館が成立している。中期前半には東国最大の前方後円墳の太田天神山古墳が成立したが,河内の古市古墳群を造営した王権との連合の所産とみられる。この頃から東国に朝鮮半島文物が移入されることから,倭王権に呼応して対外進出・対外交流を行うために外交・軍事指揮者を選任したことが巨大前方後円墳の成立背景と考えた。中期後半には渡来人や外来技術が獲得されたため,共立の必要性は解消し,各水系の首長がそれぞれ渡来人を編成して地域経済を活性化させている。後期の継体期には,東国最大の七輿山古墳が成立したが,その成立母体が解消すると,複数の中型前方後円墳が多数併存するようになる。こうした考古学的な遺跡動態や,古代碑・『日本書紀』『万葉集』などの文献の検討を合わせて,屯倉の成立と地域開発の在り方を考えた。武蔵国造の乱にも触れ,緑野屯倉・佐野屯倉の実態ならびに上毛野国造との関係性についても論及した。
著者
遠藤 圭晟 飯塚 泰樹
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.153-154, 2016-03-10

グリコゲームはじゃんけんの勝った手により,階段を3段,あるいは6段進むゲームである.一般にグリコゲームは,グー:チョキ:パーが2:2:1という単純な比率の混合戦略が最適戦略とされてきた.本研究では有限な階段におけるゲームをコンピュータ上でシミュレーションし,最適とされた混合戦略を検証した.その結果,既知の混合戦略には誤差があることが実験的,理論的に確認された.
著者
坂西 友秀
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 = Journal of Saitama University. Faculty of Education (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.331-354, 2017

This study is the first half of a series of studies. One of the purposes of this paper is to overview the historical transition process of discrimination and prejudice about race / ethnicity. The second objective is to show that the essential cause of discrimination and prejudice is not being in biological differences and features but social and cultural creation. Therefore, the contents and aspects of discrimination and prejudiceare changing dramatically according to the times. The first part (I) briefly traced the realities of race and ethnic discrimination and prejudice based on the slavery system and historical facts of black liberation. The abolition of slavery in the United States was attained at the end of the hardship as a result of overcoming the “racial conflict” and social movement. Nonetheless, even in the 1950s, the actual state of black discrimination was prevalent in society. The development of the civil rights movement clearly showed that race, ethnic discrimination, prejudice exists strictly in society. Even now at the time of the 21st century, discrimination and prejudice remain in front of us as a serious problem. In the discussion, first, in Chapter 1, we clarified the history of overseas racial / ethnic discrimination and prejudice according to the following contents. 1 Ethnic discrimination and prejudice in the world, (1) Introduction, (2) Slavery and racial discrimination, (3) Modern race discrimination and apartheid, (4) Racial discrimination education under apartheid, (5) Black image, (6) Classification of race, (7) Race ninth actuality, (8) The origin of race is the same, (9) Differences in physical characteristics by race, (10) Symbolized “Black man” Sambo. “In the second chapter, we examined historically the problems of racial / ethnic discrimination and prejudice in Japan, in relation to the Pacific War / Defeat. The contents of the discussion are as follows. 2 Ethnic discrimination and prejudice in Japan, (1) Discrimination and prejudice as “inaccessible people”, (2) Forced entrainment of Koreans and discrimination and prejudice, (3) Opening and “Caucasian” and “Black” stereotype, (4) Social background of the birth of a “mixed-blooded child”, (5)Survey on actual condition of ‘Mixed child’, (6) Schooling and racial discrimination and prejudice of ‘mixed-blooded child’.
著者
春山 純一 橋爪 光 鹿山 雅裕 長岡 央 仲内 悠祐 Haruyama Junichi Hashizume Ko Kayama Masahiro Nagaoka Hiroshi Nakauchi Yusuke
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 = JAXA Research and Development Report (ISSN:24332216)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-18-001, pp.1-8, 2018-06-20

将来の有人月面活動を目指した探査の重要課題の一つとして, 「月の極の水氷」の存否, その量の調査が挙げられる. 月の極に水氷が期待されるのは, 月に対して, いくつかの水の供給源が存在する可能性があり, 月面に供給された水が, 濃集し, かつまたは安定的に存在できる可能性が, 極低温域となる永久陰にあるからである. しかし, 隕石や彗星の落下衝突した際の衝撃加熱で失われることもあるだろう. 更に, 現在の永久陰は過去においては永久陰でなかった可能性が指摘されており, 地質学的に長期間永久陰となっていて水氷を集積できる場所は無いとも言われる. 実際, これまでの探査機による観測では, 水氷発見を報告するものがあるが, 月の極の水氷の存在について決定的証拠を出したといえるものがない. データや解釈を整理してみると, 数%もの「水氷」の存在というデータの解釈には多くの難点があるともいえる. 一方で, 太陽風起源の水素が月極域に打ち込まれ留まっている可能性もある. 最新の中性子分光計による計測結果だと, 最も濃集しているところ(40K以下の永久陰など)で470ppm程度と報告されているが, この水素濃集見積もりは(水の形を取るにしても)妥当なところではないかと思われる. 月は, 人類が宇宙へと活動の場を拡げていくときの橋頭堡で有り, その探査は重要不可欠である. だからこそ, 今後, 有人月面活動を目指した探査について議論, 企画していくうえで, 最新の科学的知見を十分に加味, 考慮した上で進めていくことが必要である.
著者
野口 芳子 Yoshiko Noguchi
雑誌
武庫川女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09163115)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.1-11, 2011-03-31

‘Cinderella’, one of the most popular fairy tales in Japan, is known as the version of written text by Walt Disney. However,‘ Cinderella’ is not a literary work, but folklore, which has been orally handed by European folks from generation to generation, and collected by Charles Perrault and the Brothers Grimm in their books of fairy tales. In this paper, I take up the text of‘ Cinderella’ from Grimms’ Fairy Tales and try to interpret the meanings of metaphors in this folklore. Through the research for this paper, the image of the heroine changes dramatically. No fairies and no glass slippers appeared in the text, but only a hazel twig and golden slippers appeared there. These differences give the heroine quite a different image. Being passive and obedient, the heroine changes into a proactive and powerful woman. Despite the word‘ Cinderella-Syndrome’, which represents women who remain passive and just wait patiently, the European folklore depicts Cinderella as a clever, nasty and athletic woman. This paper offers a challenge to conventional ideas about Cinderella from the perspective of history, ethnology and Gender-Studies.
著者
由谷 裕哉
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.199-222, 2022-03-31

本稿は、柳田國男(1875-1962)が主に戦時下で主張していた氏神合同論(本稿での仮称)を、彼の戦時言説として考察する。ここでの氏神合同論とは、柳田が『日本の祭』(1942年)や『神道と民俗学』(1943年)をはじめ、敗戦後しばらくまで主張していた氏神に関する議論で、異姓の家が共同して一つの氏神を祀ることを意味づけようとする理論である。柳田は氏神を氏の神と考え、それらが合同した(合併した、統合された)ことを複数の理由から説明したが、合同したとされる氏神の例は参照されず、各々の理由も帰納的に導かれたものではなかった。また、柳田のテキストを具体的な民俗事象との対応を気にせずに思想として読もうとする、いわゆる柳田研究においては、柳田のこの議論はほぼ等閑視されてきた。こうした柳田研究は柳田の戦争への関わりについても、彼が積極的に戦争協力をしなかったと捉えようとしていた。 それに対して本稿は、柳田の氏神合同論が提唱されるのを彼の戦時体制への協力姿勢が明確になる1942年と捉え、それ以前の彼の氏神論の検討から始める。柳田が氏神を祖霊と解釈しようとした始まりを1932年の「食物と心臓」であると捉え、2年後の1934年から3年間にわたり柳田の門下生を主な調査者として全国的に行われた通称・山村調査が、この仮説の検証を課題の一つとしたと考えられるとする。しかし、この検証は成功せず、さらに1936年頃から宗教学者の原田敏明が実証的な調査に基づき、氏神は地域的な性格を持ち、土地に即した存在であると主張した。 本稿は以上の1930年代における動向を踏まえ、1942年の『日本の祭』を端緒としたと考えられる氏神合同論を、個々のテキストの文脈に即して抽出し、柳田の戦時体制への対応とどう関わるかと併せて考察する。とくに氏神合同論と戦時体制への対応とが密接に結びつけられた言説として、『神道と民俗学』および長野県東筑摩郡での氏神調査に関わる1943年7月の講演に注目する。この講演以降の柳田の言説をも考慮し、氏神は戦時に軍神に続いて死ぬ人々の信仰を支える存在であるので、それが氏の神ではなく合同して産土(うぶすな)のようにローカルな神となったところに意味がある、と柳田が考えていたと導くことを結論とする。
著者
横川 卓矢 渡邊 恵太
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.184-188, 2022-08-25

衣服のメーカーや衣料品店は,衣服は着る目的以上にブランドのアイデンティティや世界観を伝えるため,衣服を表現メディアとして利用することがあり,さまざまなディスプレイ方法が試されている.本研究では,衣服を表現メディアとして捉え,衣服という人型の形状の特徴を利用し,衣服を操り人形のように制御する衣服展示フレームPuppetClothを提案する.本論文ではPuppetClothの試作について紹介,PuppetClothを用いた表現を例示する.