著者
伊藤 由紀子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.985-995, 1983-09-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

スギ花粉症患者治療群23例, 未治療群8例, 健常な林業従事者7例, 市街地在住の正常者7例を対象とし, 血清および鼻汁中のIgG, IgE抗体をそれぞれ protein A-Sepharose CL-4B を用いた radioimmunoassay とRAST法による測定した.血清IgG抗体は, 治療群>未治療群および林業従事者>正常者の順に高値を示した.減感作治療により血清IgG抗体は上昇したが, 鼻汁中IgG抗体/albumim が上昇する傾向はなかった.季節中の花粉暴露の多い林業従事者では, 季節前に比べ季節中に血清IgG抗体, 鼻汁中IgG抗体/albumin の上昇傾向を認めた.血清IgE抗体, 鼻汁中IgE抗体/albuminは治療開始後上昇する傾向はなく, 季節中には治療群, 未治療群ともに血清IgE抗体の上昇を認めた.スギ花粉に対する局所でのIgG抗体産生の可能性, 減感作治療の方法などについて考察し, 症状との相関性についても検討した.
著者
松下 真史 川崎 芳英 岡田 康弘
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.817-819, 2004-11-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
10

77歳男性. 2001年9月19日初診, 右尿管膀胱癌の診断で術前化学療法としてMVAC療法を3コース施行し同年12月12日に右腎尿管膀胱全摘除術 (ileal-neobladder) を施行した. 病理診断はTCC, G3, pT3N0M0であった. 外来 follow 中食欲不振を訴え2003年4月30日に入院. 胸腹部CT, 骨シンチで明らかな転移は認めなかった. その後, 全身筋力低下, 頚部硬直が出現, 頭部CT, MRIで水頭症を認めたため癌性髄膜炎が疑われ髄液検査を施行した. 髄液検査では髄液圧の上昇, 糖の低下, 蛋白の上昇, 細胞診で class V (urothelial carcinoma) が認められた. 癌性髄膜炎の診断6日後に死亡した. 尿路上皮癌 (移行上皮癌) の癌性髄膜炎は本邦8例目であった.
著者
吉野 浩司 梅村 麦生 吉田 耕平 磯 直樹
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

〈善く生きる〉のための社会学とは、人間が生きる上で必要な生きがい、愛、喜びといった人間のポジティブな側面を対象とし、その発生メカニズムの解明と社会への実装とを目的とする科学である。この社会学を、亡命知識人論というグローバルな社会学史の観点から、その源流にまでさかのぼって捉え直そうとするものである。わけても〈善く生きる〉ための思索の片鱗は、20世紀初頭のロシア社会学にも組み込まれており、後に欧米の社会学にまで浸透していった。世界各地のアーカイブに残された亡命知識人の資料を掘り起こし、かつてのロシアや中東欧の思想から現代の欧米の社会学にいたる様々な試みを総合的に把握する。
著者
浅井 武 洪 性賛 小池 関也
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では,回転,及び無回転(低回転)で自由飛翔するスポーツボール(サッカー,バレー,ラグビー)の飛翔軌跡,非定常流体力,及び非定常渦構造を,3次元モーションキャプチャシステム,ボールインパクトロボット,表面流れ計測用特製ボール(タフトボール),高速カメラ,ステレオ流体可視化システム(Particle Image Velocimetry)を用いて高精度に同時計測し,ボール飛翔軌跡と,流体力,渦構造の関係を検討すると共に,ボールリリース時(インパクトを含む)の初期条件(直線運動と回転運動)やボール変形,打突形状が,ボール飛翔軌跡や非定常流体力に与える影響を明らかにする.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1543, pp.92-94, 2010-05-31

桜の花が東京を彩り始めた4月2日。渋谷にあるセルリアンタワー東急ホテルでは、映画祭さながらの華やかな授賞式が開催されていた。 正面の大型スクリーンに映像が映し出され、会場のボルテージが上がったところで、タキシードを着た司会者が受賞者を発表。歓声が上がった後、ややあって、受賞者は全身にスポットライトを浴び、仲間とハイタッチをしながら誇らしげに登壇していく。
著者
高橋 亜紀子 小山 恒男
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.247-249, 2020-03-25

疾患の概念 食道顆粒細胞腫(granular cell tumor ; GCT)は1931年にAbrikossoff1)により報告された疾患で,2.7〜8.1%は消化管に発生し,食道,大腸,胃の順に多い2).単発が多いが,多発する場合もある3)〜5). 食道GCTは食道良性粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)のうち平滑筋腫に次ぎ2番目に多く,約5%を占める.好発部位は中下部食道であり,約90%を占める.多くは良性腫瘍であるが,1〜3%で悪性の報告6)7)もある.
著者
氏家 弘裕 渡邊 洋
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.39 情報ディスプレイ/映像表現&コンピュータグラフィックス/立体映像技術 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.21-22, 2016 (Released:2019-09-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

映像技術の発展とともに、超高解像( UHD)映像や 3D映像が身近なものになるとともに、バーチャルリアリティ( VR)型のヘッドマウントディスプレイ( HMD)が一般市場に流通し始めるなど、これまでに無く臨場感の高い映像を利用することができるようになってきた。ただし、こうした新たな技術に基づく製品を安心して快適に利用できるためには、場合によって生じ得る好ましくない生体影響に対しての配慮を欠くことはできない。本稿ではこの生体影響として、 3D視覚疲労及び映像酔いに焦点を当てるとともに、さらに VR型の HMDにおける VR酔いにも触れた上で、これらを軽減するための対策として進められている人間工学的指針の国際標準化動向について概説する。