著者
藤本 早苗 小椋 たみ子 渡辺 俊太郎
雑誌
大阪総合保育大学紀要 = Osaka University of Comprehensive Children Education (ISSN:18816916)
巻号頁・発行日
no.14, pp.13-28, 2020-03-20

女性の社会進出が進み、一日の多くの時間を保育施設で過ごす子どもの数も増加する中で、集団への適応の如何は子どもにとって大きな課題となり得る。本研究では、社会的スキル、実行機能及び言語能力の3者を適応に関わる領域として捉え、幼児期におけるそれら3領域の関連を検討することを目的とした。近畿圏内の保育所、幼稚園、認定こども園の担任保育士に質問紙調査を実施し、3歳後半から6歳の就学前児 652 名に対する回答を得た。それらの保育者評定の得点について因子分析した結果、社会的スキル3下位尺度(主張スキル・協調スキル・自己統制スキル)、実行機能2下位尺度(抑制力・状況対応力)、言語能力2下位尺度(外言活用力・メタ言語活用力)を抽出した。分散分析の結果、7下位尺度の全てにおいて、性別と年齢の交互作用は有意ではなく、それぞれの主効果のみが有意であった。具体的には、女児が男児よりも有意に得点が高く、また、5歳前半児がそれ以前の年齢群よりも有意に得点が高かった。パス解析の結果、言語能力から社会的スキルと実行機能への影響が大きいこと、そして、言語能力の中でも、外言やメタ言語を活用する能力の発達が、幼児期における社会的スキル及び実行機能の獲得・発達に対して、共通の重要な要件となっている可能性が示唆された。
著者
松岡 裕之 池澤 恒孝 服部 隆太 富田 博之 平井 誠
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.78, 2008

蚊は吸血に先立って皮膚に唾液を注入する。唾液中に存在する血管拡張物資により血管が拡張すると,口吻を差し込み吸血を開始する。ワクチン効果のある蛋白を蚊の唾液腺に発現させておけば,吸血のときその蛋白が被吸血動物に注入されるので,その動物(ヒト)はその蛋白に対する抗体を持つようになる。この発想はFlying syringe と呼ばれ20年前から構想はあったが実現してこなかった。昨今,蚊においても遺伝子導入が可能となってきており,唾液腺に特異的に発現する蛋白のプロモーターを使うことで,唾液腺に外来性の蛋白を発現できる可能性が出て来た。一方我々は,マラリアのワクチン候補蛋白のひとつとして,スポロゾイト表面蛋白(CSP)を提唱している。マラリア原虫におけるCSPはスポロゾイトの表面に豊富に発現している蛋白である。我々はこのCSPのほぼ全長をコードする遺伝子をハマダラカ(<I>Anopheles stephensi</I>)唾液腺特異的蛋白のプロモーター下流に組込み,トランスポーザブルエレメント<I>Piggyback</I>に挟み込んで産卵直後のハマダラカ卵に注射した。レポーター蛋白として緑色蛍光蛋白(GFP)も組込んでおき,これを指標として遺伝子組換えを起こしているハマダラカを選別し,系統化した。これまでに数系統の遺伝子導入ハマダラカを得た。これら数系統の蚊の唾液腺を抗原とし,抗CSP抗体を使ってELISAを実施したところ,CSPを発現していると思われる系統が見つかった。最も発現量の多い蚊系統では1個体の唾液腺中に10ng程度のCSPが産生されていると推定された。このCSP発現蚊群に,繰り返しマウスを吸血させたところ,マウスにおいて抗唾液腺抗体は上昇したものの,抗CSP抗体は産生されて来なかった。唾液腺細胞で産生されたCSPの,唾液への分泌が不良であることが原因であると考えている。
著者
鈴木 二正 芳賀 高洋 大川 恵子 村井 純
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.10-19, 2016-10-07

昨今,3Dプリンタの教育利活用が注目されている.数年前までは非常に高価で,工業高校や専門学校,あるいは大学でなければ購入が難しかった3Dプリンタも,いまでは,個人で手軽に購入が可能となっている.しかし,いまのところ,3Dプリンタ学習は,中学校技術科や高校,専門学校,大学が中心で,小学校低学年で実践された例は確認できていない.そこで本稿では,小学校2年生に3Dプリンタ学習を実践し,小学校低学年では,どのような学習が可能かを検討した.
著者
山口 和巳
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

幼稚園児を対象にフッ化物配合歯磨剤使用後の口腔内残留フッ素量を測定した。対象となった幼稚園は,園医が週1回歯みがき指導を行っており,園児の歯みがき技術は比較的一定している。169名の園児のうち,園児自身で歯みがきをする習慣があり,かつ歯磨剤を併用している園児で,本実験に参加を希望する園児39名を対象とした。その内訳は,3,4歳児19名,5歳児20名である。使用した歯磨剤はフッ化ナトリウム配合で,表示フッ素濃度は1000ppmの市販品である。日頃使っている量の歯磨剤をつけさせた後,十分な監督のもとで,日常行っている方法と時間で歯みがきをさせた。その後の洗口には8mlの蒸留水の入った紙コップを用意し,自由に洗口させた。ブラッシング途中と終了時の吐き出し液ならびにブラッシング後に使用した液,歯ブラシ上に残留した歯磨剤をロ-トによって回収し,微量拡散法を用いて口腔内残留フッ素量を求めた。年齢別の使用歯磨剤量および口腔内残留フッ素量とその割合は順に,3,4歳児で0.29±0.15g,48.0±35.6mug,16.4±7.7%,5歳児では0.40±0.34g,62.3±68.2mug,14.3±9.7%,全体では0.35±0.27g,55.3±54,6mug,15.3±8.7%となった。平均値の差の検定では両者にいずれも有意差はなかったが,使用歯磨剤量,口腔内残留フッ素量では5歳児にやや多い傾向が示された。しかし,残留率としては3,4歳児のほうがやや多かった。以上の結果より,1000ppmF配合歯磨剤を幼児が1日1回用いてブラッシングした場合の口腔内残留フッ素量は約0.055mg,2回では0.111mg,3回では0.166mg程度であり,フッ素症歯の発生など慢性毒性の心配はない。また,う蝕予防のために,他のフッ化物局所製剤を併用しても問題はないものと思われた。
著者
武川 正吾 角 能 小川 和孝 米澤 旦
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.129-141, 2018-10-30 (Released:2020-10-30)
参考文献数
21

社会支出に関する社会意識の4時点の反復横断調査の結果,2000年代を通じた高福祉高負担(福祉国家)への支持の上昇が確認できたが,2015年調査ではこの傾向が逆転した。各調査の回収率,サンプルサイズの差異を考慮し,性別・年齢でウェイト調整したデータによる再分析を実施したが,逆転の事実は変わらなかった。支持者の属性に関して,2000年と2015年のデータをロジスティック回帰モデルによって比較したところ,各種属性による高福祉高負担支持の構造が変化していることがわかった。年齢に関して,2000年には若年層(低い支持)から高年齢層(高い支持)への線形的関係が存在したが,2015年にはそれがなくなっていた。さらに年齢階層別分析と出生コーホート分析を行った結果,時系列に関する大きな趨勢は同様であるものの年代・コーホートごとに変化の仕方にばらつきがあることがわかった。とくに若い世代の高福祉高負担支持が相対的に上昇している傾向が確認できる。
著者
藤田 昌英 中野 陽典 太田 潤 熊西 康信 木本 安彦 大道 道大 薄金 眞雄 上田 進久 塚原 康生 藤原 彰 下妻 晃二郎 杉山 龍平 飯田 透志 梁 昌熙 稲葉 秀 奥山 也寸志 阪本 康夫 石井 泰介 田口 鐵男
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.187-192, 1986

わが国で大腸癌が急増しつつある現在,信頼性が高く,かつ検診効率のよい集団検診法の確立が急がれる.われわれは昭和52年以来試みてきた3種の検診結果に基づき,.昭和57年4月から2年間,地域団体,職域団体,個人の3グループの計12,520名に対し,グアヤックスライド(シオノギ)にて制限食下に3日間便潜血を調べる方法と問診とを併用した大腸癌集団検診を実施した。要精検は3,434名(27.4%)であり,その内訳は,便潜血が1枚以上陽性であった者2,602名,3親等以内の家族に大腸癌のみられたハイリスク者524名,大腸癌を疑う症状を訴えた者308名であった。要精検者の64.4%(2,214名)が直腸指診,直腸鏡検査をうけた.注腸X線検査は1,397名,大腸ファイバースコピ一は187名に実施した.728名は消化管に何らかの異常所見がみられ,大腸癌は18名(0.14%),カルチノイドは1名,大腸ポリープは303名にみられた.大腸癌18名中17名は便潜血陽性で,残る1名はハイリスクでスクリーニングされた.腫瘍の局在ではS状結腸が10名と多かった,Dukes Cの進行癌は3名にすぎず,Dukes Bは4名であり,早期癌は10名をかぞえた.この集検法は無症状のかなりの大集団に実施でき,大腸癌をより早期に発見しうる信頼度の高い方法であると考えられた.
著者
田中 義剛 鈴木 亮
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.311, pp.84-86, 2008-10

年間売上高50億円、最終利益率15%。手作りにこだわり、価格設定で主導権を握る。花畑牧場は閉塞(へいそく)感のある日本の農業に大きな風穴をあけた。

2 0 0 0 OA 英国風俗鏡

著者
高橋義雄 著
出版者
大倉保五郎
巻号頁・発行日
1890
著者
山本 順司 徳永 彩未
出版者
北海道大学高等教育推進機構高等教育研究部
雑誌
高等教育ジャーナル : 高等教育と生涯学習 (ISSN:13419374)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.15-23, 2022-03

We investigated the factors affecting the overall evaluation (satisfaction and learning motivation) of a special subject at Hokkaido University to develop effective measures for improving classes in university education with the aim of cultivating a proactive student attitude toward learning. The findings were subjected to factor analysis, and classified into 4 types (teacher effort, class specifications, student effort, and teacher response). Covariance structure analysis was applied to examine the latent variables affecting the overall evaluation. Satisfaction was affected by the university's attitude, and learning motivation was affected by both the university's and students' attitudes. In other words, satisfaction can be easily improved by the efforts of the university itself, but to improve the learning motivation, it is necessary to stimulate the efforts of the students as well. According to multiple regression analysis, the learning motivation was affected by the degree to which teachers responded to students expressing their motivation, in addition to the enthusiasm of teachers. Therefore, to improve learning motivation, it will be effective for the university to not only provide an environment where students can easily ask questions and express their opinions, but also to continue to respond politely to their questions and opinions.