著者
斎藤 文恵 加藤 元一郎 村松 太郎 藤永 直美 吉野 眞理子 鹿島 晴雄
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 : 日本高次脳機能障害学会誌 = Higher brain function research (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.392-403, 2008-12-31
参考文献数
32
被引用文献数
2

  漢字に選択的な失書を呈したアルツハイマー病と思われる症例を報告した。症例は51 歳右利きの男性で,漢字が思い出せずまた書けないことが主訴であった。本症例の特徴は,軽度の記憶障害および構成障害を認めるが,全般的知的機能障害が軽度であり,また失行,失認は認められず,さらに言語症状としては失語が存在せず,文字の読みにも問題がなく,仮名書字の障害が極めて軽度であるのに対して,漢字書字の障害が重度であったことである。漢字構造の結合・分解課題や漢字の正誤弁別課題の結果から,本症例における漢字失書は,漢字の視覚的イメージ (字形) の想起困難,および書字行為の間,そのイメージを保持することの障害により生じた可能性が高いと考えられた。またこの背景には,漢字の視覚的イメージの細部の想起障害と書字運動覚の障害の存在が示唆された。MRI および脳血流画像所見から,本症例の漢字失書の出現には,両側頭頂葉および左側頭葉後下部の障害が関与していると想定された。
著者
上條 諒貴
出版者
北九州市立大学法学会
雑誌
北九州市立大学法政論集 (ISSN:13472631)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1・2合併号, pp.1-38, 2020-12

本稿では、議院内閣制において政府の政策が失敗したことから生じるコストの違いが、有権者に対する政府(首相)のアカウンタビリティにどのように影響するかを、政治家と有権者の間に首相の能力に関する情報の非対称性が存在しないと仮定する対称情報の数理モデルを用いて検討する。
著者
岡 真由美 星原 徳子 河原 正明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.13-20, 2020 (Released:2021-02-06)
参考文献数
15

超高齢社会において、加齢性斜視であるsagging eye syndrome(以下SES)が注目されている。本研究では、SESの鑑別疾患としてあげられる眼球運動神経麻痺との相違を検討し、画像診断の前に視能訓練士が行うべき病態分析と視能評価について述べた。1.年齢区分別の斜視の種類 年齢区分が高くなるほど共同性斜視が減少し、非共同性斜視(眼球運動障害を伴う斜視とする)が増加した。非共同性斜視のうち、年齢区分が高くなるにつれて増加傾向にあったのは滑車神経麻痺、SES、Parkinson 病関連疾患であった。2.SESと眼球運動神経麻痺における複視の発症様式 SESは滑車神経麻痺および外転神経麻痺よりも発症から初診までの期間が長く、複視の発症日が不明確であった。3.SESと眼球運動神経麻痺の眼位・眼球運動 内斜視を伴うSES は外転神経麻痺よりも斜視角が小さく、わずかな上斜視および回旋偏位を伴っていた。上斜視を伴うSESは下転眼に外回旋がみられた。滑車神経麻痺では健眼固視のとき外回旋が上転眼にみられたが、麻痺眼固視のとき一定の傾向がなく、両者を回旋眼で評価することは困難であることがわった。 高齢者の斜視ではSESおよびその合併例が多い。SESと眼球運動神経麻痺との区別は困難であることから、病歴聴取と患者の観察、回旋偏位の検出が有用であり、むき運動検査と合わせて総合的に評価することが重要である。
著者
三宅 晃司 相磯 良明 小宮山 真 重川 秀実
出版者
The Surface Science Society of Japan
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.541-544, 1994

Highly oriented pyrolytic graphite treated with NaOH solution was found to form a stage-8 intercalation compound. Superstructures such as 2x2, √3×√3 and noble orthorhombic lattices were observed on the surface, as previously observed on the surfaces of the stage-1 M-GIC (graphite intercalation compound, M=Li, K, Rb, Cs). On the contrary, substrate lattice structure was observed on NaOH-treated MoS<SUB>2</SUB>. In addition, new structures near the Fermi level were found to be formed by NaOH-treatment on the surface.
著者
下田 博次
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.715-723, 1988 (Released:2012-03-23)

コンピュータ, OA機器から産業用ロボットの普及に伴ってテクノストレスと呼ばれる心身の疲労, 健康障害が問題視されるようになった。このテクノストレスは, マスコミがつくり出した心理不安であるとか, コンピュータが直接のストレス発生原因ではないという人もいる。だが一方では多くの症例報告とプログラミング作業から発生するストレス調査もすすんでいる。テクノストレスはコンピュータ関連労働の種類によってその表れと原因が違い, きめ細かい対応が必要である。しかし最終的には, 個人のライフスタイルと企業風土の問題に帰するところが大である。
著者
佐久間 大介
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.425-453, 2007-05

本稿では、アルプスの南北にまたがり、多数派のドイツ語系と少数派のイタリア語系住民から構成されるティロールにおいて、ドイツ語系エリートがどのように「地域」や「境界」を認識していたかを考察した。分析対象としたのは、ティロールでは一七世紀に出現し、一八世紀に活況を呈した領邦に関する地誌、すなわち領邦誌である。 一七世紀における領邦誌の成立は、ティロールを他とは異なる一つの「祖国」とする見方を前提としていた。だが、当時の領邦誌作者は、独立した聖界領であったトリエント司教領、ブリクセン司教領とティロール伯領の国制上の栢違を無視できなかった。一八世紀には、ティロール伯領とトリエント、ブリクセン司教領の区別が重視されなくなり、かわって、新たな「境界」設定の基準が浮上する。ここで、ティロール内部の言語や「民族」性の違いへの言及があらわれたことは確かである。だが、ドイツ語系エリートは、産業・農業の正確な把握をより重視し、気候や植生におけるアルプスの南北の相違を、「地域」区分のもっとも重要な指標としていた。 ティロールが、外部から完全に切り離された空間とされていたわけではないことも重要である。一七・一八世紀の領邦誌作者は、ティロールが神聖ローマ帝国に属していることを当然視し、「ドイツ」の一部としてティロールを捉える認識も共有していた。一八世紀の領邦誌では、これに加え、ハプスブルク帝国という枠組みの存在感も高まったが、中央集権化に抵抗する諸身分の議論も反映された。地理的位置の特殊性を指摘することで、ハプスブルク帝国におけるティロールの重要性を強調するようになったのである。 一九世紀以降に強まったドイツ語系とイタリア語系住民の対立や、第一次大戦後の分割の歴史を持つティロールでは、その「一体性」が常に強調されてきた。しかし、本稿で明らかにしたように、一つの固有の空間として領邦を把握する領邦誌においても、「地域」の複合的性格や「境界」の流動性を見てとることができるのである。
著者
佐々木 学 貴島 晴彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1257-1270, 2021-11-10

Point・固定術は椎骨間に骨移植を行って癒合させる手術である.インストゥルメンテーションの役割は椎骨間の制動により骨癒合を得やすくすることである.・腰椎固定術は,骨移植を行う部位により椎体間固定術と後側方固定術に大別される.椎体間固定術には,椎弓間を経由する後方椎体間固定術と,後腹膜腔から直接椎体に到達する前方椎体間固定術がある.・後方椎体間固定術は脊柱管,椎間孔の直接的な神経除圧と椎体間固定が行いやすい.前方椎体間固定は脊柱変形の矯正が行いやすく,間接的な神経除圧が期待できる.

2 0 0 0 OA 夢二絵手本

著者
竹久夢二 著
出版者
岡村書店
巻号頁・発行日
vol.2, 1923
著者
宇都宮 千郁
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.10-18, 1997-02-10

紫式部日記に描かれた、敦良親王御五十日の儀の記事の中に、御膳の取り次ぎ役にあたった小大輔と源式部の装束について、「織物ならぬをわろし」とする同僚女房からの非難の声があがったようである。なぜ小大輔と源式部の装束が非難の対象となったのか、解釈の揺れる所であるが、所謂「禁色」などの、当時の女房装束にまつわる禁制そのものを改めて考証することにより、より無理のない解釈を試みた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.495, pp.24-26, 2015-04

予約販売ポイント1自店の特色を生かした強い商品を開発する2ライバルを研究し、予約注文の利便性を磨き上げた3チラシを近隣に配布し、店舗の売り上げも拡大した まさご(静岡県富士市)、ツープラス(同)のまさごグループは静岡県東部を中心に、とんかつ店や…

2 0 0 0 OA 遠江史蹟瑣談

著者
岩田孝友 編
出版者
亀屋書店
巻号頁・発行日
vol.巻1, 1908
著者
内田吟風著
出版者
同朋舎
巻号頁・発行日
1975

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1907年11月08日, 1907-11-08
著者
原口 尚彰
出版者
日本基督教学会
雑誌
日本の神学 (ISSN:02854848)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.76-95, 2015 (Released:2017-04-21)
参考文献数
1

The prepositional phrase dia. pi,stewj vIhsou/ Cristou/ in Rom 3:22 modifies dikaiosu,nh de. qeou/(the righteousness of God). The implied subject of pi,stij is Christ and the genitive noun vIhsou/ Cristou/ is used subjectively. The phrase does not mean “the faith in Jesus Christ” but “the faithfulness of Jesus Christ.” The faithfulness of God (Rom 3:3) consists in the fulfillment of his words of promise. The faithfulness of God was realized by the faithful action of the Son of God, namely, Christ (cf. I Cor 1:18-20). Christian Faith is defined as a belief in the fulfillment of the promise of God through Christ’s faithful act (Rom 3:28; Gal 3:2, 5, 7). It is a response to the faithfulness of God revealed by that of Christ. We can conclude that the thesis of justification by faith (Rom 3:21, 28; Gal 2:16) is not based on anthropology but on Christology.