著者
松本 望希
出版者
近畿大学全学共通教育機構教養・外国語教育センター
雑誌
近畿大学教養・外国語教育センター紀要. 外国語編 = Kindai university center for liberal arts and foreign language education journal. Foreign Language edition (ISSN:2432454X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.33-46, 2020-07-31

[抄録]本論は、バーナード・ショー『医師のジレンマ』(1906)における医師たちの表象に注目し、ショーが医療において生じるジレンマ、すなわち「命の価値を医師が恣意的に決めてしまうこと」に対して、そうしたジレンマを感じてしまうこと自体が誤りであると考えていることを明らかにするものである。さらにショーは、当時英国社会において、賛否両論を巻き起こしていた動物の生体解剖論争を通して、舞台空間と現実社会の問題を接合することを試みた。「悲劇」という副題をもつ本作品は、従来その皮肉めいたプロットから、ショー流の諷刺が利いた「喜劇」的なもの、すなわち悲喜劇として解釈されてきた。一方で本論では、作中で取り上げられる医療倫理の問題そのものは「悲劇」的なものであることについて検討する。
著者
菊池武徳 著
出版者
日本木材界人物伝編纂部
巻号頁・発行日
vol.第2巻 (東海版), 1928

2 0 0 0 OA 法令全書

出版者
内閣官報局
巻号頁・発行日
vol.明治44年, 1912
著者
井川 純一
出版者
大分大学経済学会
雑誌
大分大学経済論集 (ISSN:04740157)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.1-21, 2020-07

本研究では,InstagramにおけるSNSストレスの要因について,いいね!が気分に及ぼす影響に着目して検討した。大学生114名を対象とし,SNSの使用状況を確認したところ,多くの大学生がInstagramやTwitterなどのSNSを現実の人間関係を拡張するためのツールとして利用していること,InstagramとTwitterではSNS利用動機が異なっていることなどが示された。また,いいね!の数を操作した投稿画像を提示した場面想定法実験の結果,いいね!の数に応じてポジティブ・ネガティブ気分が惹起されること,承認欲求はいいね!の数とは独立にネガティブ気分に影響していることなどが明らかとなった。SNSを通じて幸福な自己を演出し,それに対するポジティブなフィードバックを受けることで,承認欲求は満たされるが,いいね!数が少ない時には,他者からの排斥を感じネガティブな気分になると考えられる。
著者
桶田 洋明
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.379-385, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
7

油彩画における表現技法は,油絵具の性質との関わりが深く,特に媒材である乾性油,揮発性油等の特徴を生かしたものが多い。それらはテンペラ絵具やアクリル絵具には見られない,透明度の高さと可塑性の高さによる技法であり,それぞれ「透層技法」と「アラプリマ」が該当する。今後も油彩画は,油絵具と他の描画材との混合などにより,独創的な表現が可能となることで,さらなる発展が期待できる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経食品マーケット
巻号頁・発行日
no.2, pp.46-52, 2003-08

広い店舗を生かした品揃えで高い評価を受けたマイカル・サティが消費者満足度はトップ。それに対し、万代は価格の安さ、ニッショーは生鮮食品の鮮度、ライフは売り場作りが支持を集め、僅差の接戦になった。今月の舞台大阪・茨木駅周辺大阪府の北東部に位置する茨木市。JR茨木駅は市役所や警察署に近い中心街にあり、新大阪駅からはJR京都線でわずか約15分。
著者
小山 秀紀 鈴木 一弥 茂木 伸之 斉藤 進 酒井 一博
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.56-67, 2019

<p>本研究では昼寝を想定した椅子での短時間仮眠が睡眠の質,パフォーマンス,眠気に及ぼす影響を調べた。仮眠は昼食後の20分間とし,ベッドでの仮眠を比較対照とした。測定項目は睡眠ポリグラフ,パフォーマンス(選択反応課題,論理課題),精神的作業負担とした。分析対象は夜間睡眠統制に成功した6名(20.8 ± 1.6歳)であった。ベッド条件に比べ,椅子条件では中途覚醒数が有意に多く(p < 0.05),徐波睡眠が少ない傾向にあった。両条件で仮眠後に眠気スコアは有意に低下した(p < 0.001)。パフォーマンスは条件間で有意差はなかった。昼寝椅子における短時間仮眠は睡眠が深くなりにくく,ベッドとほぼ同様の眠気の軽減効果が得られることが示された。(図5,表8)</p>
著者
井上 真由美
出版者
社団法人 腐食防食協会
雑誌
防蝕技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.453-462, 1967-11-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
22
著者
鈴木 惟司 前田 尚子
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.77-91, 2014-03-20 (Released:2016-03-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 4

テンナンショウ属Arisaema(サトイモ科Araceae)は良く目立つ鮮紅色の集合果(果実序)を生産する。本属の果実は鳥によって摂食され,その種子は鳥によって散布されると考えられている。しかしテンナンショウ属の種が多数知られている日本でも,その果実食者(種子散布者)についての詳しい調査は未だ行われていない。著者らは,南関東低地で生育するミミガタテンナンショウA. limbatumとカントウマムシグサA. serratumを対象にして,自動撮影カメラを利用してその主要な果実食者を調査した。ミミガタとカントウは植物本体や果実の形状・サイズなど似通っているが,前者では夏季の7–8月に,後者では秋10月以降に鮮紅色の成熟果実が出現するという違いがある。調査は2008–2013年の期間に東京都八王子市内(多摩丘陵)と神奈川県秦野市内(丹沢山麓)の二次林で行われた。なお結果的に資料は概ね後者で得られている。ミミガタの果実を採取した鳥はヒヨドリHypsipetes amaurotis 1種であった。ヒヨドリは本種にとって最重要な果実食者と見なせた。このほかアカネズミApodemus speciosusも果実を採取するのを確認した。本種は果実というより種子を摂食していた。一方,カントウでは8種の鳥が果実食者として記録された。そのうち主要と思われるのはヒヨドリ,ルリビタキTarsiger cyanurus,シロハラTurdus pallidusおよびヤマドリSyrmaticus soemmerringiiの4種であった。他の4種はソウシチョウLeiothrix lutea(外来種),トラツグミZoothera dauma,アカハラT. chrysolaus,ジョウビタキPhoenicurus auroreusである。またそれ以外にアカネズミ属の個体による採食も記録された。
著者
加瀬 友喜 前田 晴良
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.118, pp.291-324_1, 1980-06-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
44

千葉県銚子地方の前期白亜紀層より得られた保存良好な軟体動物化石を検討した結果, 10新種を含む11属12種の腹足類化石(Calliostoma? ojii KASE, sp. nov., Ataphrus (s. str.) nipponicus KASE, sp. nov., Hayamia rex KASE, sp. nov., Hayamia choshiensis KASE, sp. nov., Amberleya (Eucyclus) japonica KASE, sp. nov., Oolitica sp., Metriomphalus nagasakiensis KASE, sp. nov., Perissoptera elegans KASE, sp. nov., Pietteia cretacea KASE, sp. nov., Ceratosiphon densestriatus KASE, sp. nov., Vanikoropsis decussata (DESHAYES) and Eriptycha japonica KASE, sp. nov.を識別・鑑定したので記載する。これらの中には, 腹足類の系統分類学上, 注目すべきいくつかの種が含まれている。Hayamia属は殻の外形, 表面装飾, 楕円形のフタを持つこと, および内唇の中央部に凹みを持たない点でNeritopsinae亜科の他の属から区別され, さらにHayamia属のフタはNaticopsis属のそれに類似する。以上の事実は, Hayamia属とNaticopsis属の親密な類縁関係が暗示され, Hayamia属がNeritopsis属とは異なった系列に沿って進化したことを暗示する。Pietteia cretaceaは翼状に伸びた外唇に直交する棘を持つ特異なモミジソデの一種類で, 従来本属はジュラ紀にのみ知られていたが, 今回の報告により, 前期白亜紀にも存在することが明らかになった。Ceratosiphon属はCOSSMANN (1907)以来Tessarolax属のシノニムと見なされてきたが, 両属が独立の属であることを示した。銚子層群産腹足類群の中には, フランスやイギリスのバレミアン, アプチアンあるいはアルビアンのものと共通, あるいは近縁な種が多く含まれている。