著者
梶原 真樹子
出版者
信州大学
雑誌
信州大学経済学論集 (ISSN:02880466)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.87-92, 2006-02-28

本稿では日英バイリンガル児童が各言語のナラティヴでどのようにトピックを導入・維持するかに焦点を当てる。日英バイリンガル児童が日英両語で物語った「カエルくん,どこにいるの?(Frog, where are you?)」(Mayer, 1969)の比較を通し,ナラティヴでトピックが(1)初登場,(2)2番目の登場,(3)再登場,(4)継続的登場する際,トピックを表現する名詞句の使用について,日英両語間に相関が見られるかを検証している。使用したデータに(1)トピックとなる主語は何か,(2)それがどの名詞句で表現されているか(完全な形の名詞句,代名詞句,主語省略),(3)その登場順序(初登場,2番目の登場,再登場,継続的登場)の三観点からコードを付加し,統計的分析を行った結果,各登場順序においてトピックを表現する名詞句使用について日英両語間に正の相関が確認された。本稿で得られた結果は,ナラティヴでのトピック導入・維持に関する普遍的な法則の存在を示唆している。
著者
北村 泰佑 後藤 聖司 髙木 勇人 喜友名 扶弥 吉村 壮平 藤井 健一郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
2016
被引用文献数
4

患者は86歳女性である.入院1年前より認知機能低下を指摘され,入院2週間前より食思不振,幻視が出現し,意識障害をきたしたため入院した.四肢に舞踏病様の不随意運動を生じ,頭部MRI拡散強調画像で両側基底核は左右対称性に高信号を呈していた.血液検査ではビタミンB12値は測定下限(50 pg/ml)以下,総ホモシステイン値は著明に上昇,抗内因子抗体と抗胃壁細胞抗体はともに陽性であった.上部消化管内視鏡検査で萎縮性胃炎を認めたため,吸収障害によるビタミンB12欠乏性脳症と診断した.ビタミンB12欠乏症の成人例で,両側基底核病変をきたし,不随意運動を呈することはまれであり,貴重な症例と考え報告する.
著者
島津 忠承
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.285, pp.50-57, 2017-01

ITインフラ(システム基盤)に今、大きな変革の波が訪れている。 ダイナミックさを取り込むことで、「限界」を打ち破りつつある。 動的な基盤によって創出されるシステムの青写真を示す。
著者
柳川 堯 九大数理
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.708-712, 1996-07-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
横溝 大
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 = Journal of social science (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.47-64, 2017-04-10

特集 家族・財産・法本稿は、個人の死亡時における相続以外の財産移転制度(「相続代替制度」)の国際的側面に関する抵触法上の問題を検討することにある。近時では、とりわけ情報通信手段の発達により、個人が複数国に資産を保有したり、外国の相続代替制度を利用したりする事例が増加しており、今後、我が国も含め、これらの制度の受益者と相続人との間で国際民事紛争の益々の増加が予想される。相続代替制度の利用を巡る国際的紛争を予防・解決するためには、当該制度の有効性や第三者に対する効力等、関連する法的諸問題に関する準拠法選択が適切且つ明確になされる必要がある。そこで、本稿では、この点について検討する。相続代替制度のために新たな準拠法選択規則を構想する必要はなく、現状では従来の準拠法選択規則の何れかに法的問題を性質決定すれば足りる、但し、例外的処理を行う可能性については、今後さらに検討が必要である、というのが本稿の結論である。This paper examines conflict-of-laws issues with regard to international aspects of succession substitutes (institutions for the transfer of properties at the death of an individual other than succession). Particularly through the development of telecommunication means, people can more easily hold their properties in different countries and make use of succession substitutes in a foreign country. Thus, it is expected that disputes will increase between a beneficiary of these institutions and a successor worldwide, including in Japan. A proper and predictable choice of law relating to relevant issues such as the validity of a succession substitute and its effect against the third party is important in order to prevent or resolve international disputes with regard to the use of succession substitutes. Thus, this article deals with this choice-of-law issues.
著者
遠藤 正造 鶴町 昌市
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.82-86, 2001
被引用文献数
49

1989~1992年に東南アジアと日本で採集したトビイロウンカとセジロウンカの感受性を比較した. トビイロウンカ: 1989, 1990年に採集したマレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/7と低く, ダイアジノン, カルボスルファン感受性も若干低い傾向が認められた. また1992年の検定結果では, ベトナム南部及びタイ個体群のマラソン感受性は, 日本及びベトナム北部のそれより若干低かった. しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間で大きな差はなかった. セジロウンカ: 1989~1990年個体群の薬剤感受性を比較した結果, マレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/6と低かった. しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間でほとんど差はなかった. また, 熱帯地域においてもこれら2種のウンカは1977~1992年の間に各種薬剤に抵抗性が発達したことが確認された.
著者
伊藤 一雄
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.126-140, 1940

(1) ベツコウタケ (<i>Polyporus rhodophaeus</i> LEV.) はニセアカシア,サクラ,ハンテンボク,ケヤキその他の濶葉樹の傷痍部から侵入し根株,根材部の主として心材を腐朽せしめ尚徐々に生活力ある邊材及び形成層をも侵し,遂に之を枯死せしめる。而根株部並に根部の心材を甚しく腐朽せしめるため樹體の外力に對する抵抗力著しく弱くなり風倒の大なる原因となるものである。<br> (2) 本菌は東洋に於て相當廣範圍に亙り分布するもので,我國では北海道以南本州,九州,臺灣に及んでゐる。<br> (3) 風倒によつて現れた腐朽部には極めて短期間に多敷の子實體が形成せられるのを認めた。<br> (4) 本菌の擔子胞子は29°C附近に於て最もよく發芽するものゝやうである。<br> (5) 本菌の菌絲は5~40°Cに於て發育し,最適温は33°C附近である。<br> (6) 分離系統を異にする本菌の對待培養に於て,嫌觸現象を認めた。<br> (7) 實驗室内に於て,本菌の各樹種に對する腐朽力をみるにハンテンボク,ソメイヨシノ.オニグルミ,アカマツ等は甚しく腐朽せられるが,ニセアカシア,スギは比較的輕微である。<br> (8) 本菌はKorrosionspilzに屬し,その腐朽型はHUBERTのWhite rotである。<br> (9) 本菌に於ては厚膜胞子は非常に多くの場合に見出される。
著者
井手 久登
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.18-24, 1965-08-30

(1) 初年度においては樹種別にみて生育状況のよかつたものは、改良ポプラ、クロマツ、スズカケノキであつたが、2年目に入りスズカケノキの成績が悪くなり生長のよかつたものは改良ポプラ、クロマツのみであつた。3年日になると各樹種とも樹勢を盛り返し、ハルニレを除いて生長率は急界しはじめた。<BR>(2) 改良ボブラ、ハルニレを除いて客土効果が認められるが、客土量による差は3年日の段階ではまだ明らかでない。<BR>(3) 施肥効果は各樹種、各区ともにおいて認められない<BR>(4) ヘドロ区では最も枯損率が高い。<BR>(5) ヘドロ区で生育のよいものは改良ポプラ、クロマツニセアカシアの順である。<BR>(6) 総台的にみて、干拓上壌で生育状況のよかつたのは改良ボブラ、クロマツであるが、ウロマツはまだ試験樹が小きいので今後検討の余地がある。ケヤキ、スズカケノキ、ニセアカシア、スギも30cm以上の客土を行えば生育は良好である。