著者
内田 陽子 新井 明子 小泉 美佐子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.81-87, 2006-03

本研究の目的は,老年実習における学生のヒアリハットの場面と内容を明らかにし,教育方法を検討することである。対象は協力の得られた本学6期生75人であり,実習中にヒアリハット体験を調査票に記載してもらった。結果,以下のことが明らかになった。1.関連するリスクは転倒・転落が一番多く,ついで誤嚥,外傷,利用者取り違え等であった。2.ヒアリハット体験場面は,入浴,食事,排准などの日常生活援助場面が多く占めた。3.ヒアリハットの件数に比べ教員や職員に対する報告件数は少なかった。対策として学生の確認や技術練習を重ねるとともに,事前に予測されるリスク表を手渡し,実習中に確認させる。実習中にいつでも教員や職員に相談,確認できる体制を整えることが必要と考えた。
著者
芥川 敏子
出版者
文学教育研究者集団
雑誌
文学と教育 (ISSN:02876205)
巻号頁・発行日
no.153, pp.6-23, 1990-07-25
著者
樋口 真理可 古屋野 太一 伊藤 篤 和田 哲
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.251-258, 2004-09-20
参考文献数
28
被引用文献数
2

高知県浦ノ内湾及び沖ノ島周辺で採集されたマガキガイの捕食者防御行動について室内実験をおこなった。本種は成長に伴い貝殻外唇部が肥厚するので、外唇部が厚さと防御行動の関係に着目した。ほぼ同一サイズの個体を用いた室内実験の結果、捕食者であるソメンヤドカリは外唇部の薄い個体を選択的に捕食したが、外唇部の肥厚によって捕食者防御行動に対する明瞭な影響は認められなかった。また、本種の行動に対する同一水槽内のソメンヤドカリの影響は認められなかった。ソメンヤドカリに捕らえられたマガキガイは多量の粘液を分泌したが、粘液の有無による本種の行動においても有意な違いは認められなかった。一方、つぶしたマガキガイが入った水槽では、コントロール条件に比べて本種が有意に早く完全埋没(自分の貝殻が底質表面から見えなくなるまで潜砂した状態)に至った。
著者
Iglesias Fernando 進士 五十八 Fernando Iglesias Shinji Isoya 東京農業大学農学研究科農学 東京農業大学地域環境科学部造園科学科 Tokyo University of Agriculture Graduate School of Agriculture Department of Agricultural Science Tokyo University of Agriculture Faculty of Regional Environment Science Department of Landscape Architecture Science
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.250-264,

西新宿は高層ビルとオープンスペースを特徴とする街区により新宿副都心を構成している。これは,東京の都心構造の再編戦略として1960年代前半に超高層ビルのビジネスセンター建設として構想されたものである。その内容は従来の丸の内を中心とした単一都心の都市構造を変えて,池袋,渋谷と共に3つの副都心として位置づけられた。本論は,そのような新宿副都心を対象に,その中核をなす西新宿・高層ビル街区とオープンスペースの形成過程を,その創出から現在までの展開として歴史的観点から分析し,都市構造上の特徴や問題点を導き,今後の都市計画の知見を得ることを主眼としている。 分析の結果,新宿副都心計画の焦点は,東京及び日本,広くはアジアにおける経済拠点の構築にあり,そのため様々なオフィスビル機能と共に都市交通ネットワークの利便性を高めることが重要課題であったこと。また高層ビル街区の公共オープンスペースとして計画された新宿中央公園は,この地区の顔となり,都市民の憩いの場として建設された。しかし,中心街区とこの公園との相互関係が十分でない。また従来の日本型都市空間には見られないセミパブリックなオープンスペースが多数計画されたものの,建物階数に見合った公開空地が十分に確保されておらず,そのデザインも街区毎に相違があるため,全体的な統一感が希薄であり,確保した量の効果が十分発揮されていないこと。更に街路空間の一部である歩行者空間とこれらセミパブリックな空間との「係わりの計画」に重要な課題が残されていることを指摘した。In the early 1960's a new concept in Japanese urban planning appeared, the fukutoshin (sub center). This concept aimed to change the single centered structure of the city that was located in the Marunouchi area. Due to this three sub-centers were proposed ; Ikebukuro, Shibuya and Shinjuku. The intention of this paper is to understand the conception and composition of the public open space in Nishi Shinjuku, and its final results. To achieve this understanding an analysis from a historical point of view of the creation and evolution of the fukutoshin in West Shinjuku is conducted as well as a study of the environmental particularities of the urban traffic network changing process, which is associated with the development of the area. The main idea of the structure for the plan of the fukutoshin was focused on creating an economical and administrative capital for Tokyo, Japan and Asia, based on the total restructure of the Nishi Shinjuku area. One of the key points of the plan was the separation between cars and pedestrians as well as the increase of the percentage of open space in the area, with the intention of expanding the access of such areas to the general population. For this reason it is important to understand the function and plan of the different open spaces of each block, which were created surrounding the construction of the buildings. This was possible under the process of transference of volume in a way to allow, in exchange for the extension in the height limits of the buildings, a higher percentage of open space areas in each block. Besides the advance planning of the general project, this study finds that the original proposal of the plan for the management of the fukutoshin was not totally fulfilled in its conception of the open spaces, since there exists a considerable variation between the percentage ratios of the open space areas at each one of the eleven central blocks as well as an absence of agreement in the design and the network connection of the areas. Through a detailed analysis of the area and the contraposition of the data, it is possible to achieve an understanding of the reasons that influenced in obtaining that result.
著者
岸谷 孝一 鈴木 健夫 渡辺 暉生 三原 晃一 石井 貴和 桑原 隆司
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.51-61, 1991

東京の自治と文化の新しいシンボルを目指して, 新宿新都心で1988年から建設工事が進められていた東京都新庁舎が, 今春完成した。新都庁舎は, 新宿中央公園に面する第一, 第二本庁舎と, 都民広場を囲む議会棟からなる複合建築群であるが, その中でも地上243mと日本一の高さを誇る第一本庁舎はひときわ目立つ存在となっている。この第一本庁舎では, 超高層・大スパンを実現するために, 丹下健三・都市・建築設計研究所の設計によるスーパーストラクチャー構造が用いられ, 2階以上の骨組みはS造で, 床はデッキプレート上に軽量コンクリートを施工する設計になっている。このコンクリートの施工に際して, 従来の常識では, ポンプ車を用いて地上から直接コンクリートを圧送できる垂直高さの限界は150~160m程度が目安とされていたが, 第一本庁舎工事では工程・工期等の関係から工事関係者の総意によりこの限界への挑戦が行われることになった。その結果, 各分野工事関係者の努力と近年のコンクリート圧送用機器・制御技術等のめざましい進歩により, 日本最高所, 地上243mに至るまでのすべてのコンクリートの施工がポンプ車を用いて地上から直接行われ, 工事を順調に終了させることができた。
著者
広田 知良 山﨑 太地 安井 美裕 古川 準三 丹羽 勝久 根本 学 濱嵜 孝弘 下田 星児 菅野 洋光 西尾 善太
出版者
日本農業気象学会
雑誌
生物と気象
巻号頁・発行日
vol.17, pp.34-45, 2017
被引用文献数
10

Although climatic conditions had hindered the introduction of Pinot Noir, a cultivar of wine grape (<i>Vitis vinifera</i>), to areas such as Yoichi and Sorachi, Hokkaido, northernmost Japan, the growing region of the cultivar has recently extended. We analyzed meteorological data to obtain the rationale for the successful cultivation of Pinot Noir in Hokkaido; climate shift since 1998 pointed by Kanno (2013), i.e., rise in summer temperature, facilitated cultivation of the variety. Today, Yoich and Sorachi have become the right locations for growing the cultivar, and it has also been grown in other areas. Indeed, the vintage chart in Tokachi indicated the consistent, good harvest of grape since 1998. There is negative correlation in the average monthly temperature between April and August, and positive correlation between August and September ever since the climate shift. We hypothesize the benefits of the climate shift in terms of wine production as follows: 1) in years with low April temperature and high summer temperature, the growth rate in early stage delays, but the temperature required for grape maturation is secured by high temperature in August and September; and 2) in years with warm April and subsequent cool summer, early growth start keeps the growing season long enough, which may have compensated the risk of poor grape maturation in cool summer. Thus, climate change is considered to have favored the cultivation of Pinot Noir in Hokkaido.
著者
髙橋 あい
出版者
法政大学大学院
雑誌
法政大学大学院紀要 (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.21-33, 2017-03-31

近年,保育士が保護者対応や同僚との連携において困難を抱えているとする報告が多くされており、それら対人場面の困難を軽減する具体的な支援が必要とされている。そこで本研究では,保育士への支援の具体的な方策に関する示唆を得ることを目的として,保育士のソーシャルスキルの経験年数による違いと,保護者対応や職員同士の連携におけるソーシャルスキルの教育ニーズについて明らかにした。現職の保育士83名を対象に質問紙調査を行い,その結果、経験の浅い保育土はベテランの保育士と比較して【解決行動スキル】,【会話スキル】,【感情処理スキル】が未熟であることが明らかとなった。また,経験年数5年未満の保育士は,ソーシャルスキルについての研修を受けたいというニーズが特に高いが,保護者対応や同僚との連携に必要なスキルについては,経験年数の長さにかかわらず,学びたいとする一定のニーズがあることが確認された。
著者
安田 幸司 大藤 武彦 秋山 孝正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.893-900, 1996
被引用文献数
1

都市高速道路の一般道路との適正分担を配慮した混雑緩和策として「乗り継ぎ制」の工学的利用が提案された。本研究では、まず従来の研究成果を踏まえ「乗り継ぎ制」のモデル分析方法について整理した。つぎに自然渋滞時 (平常時) の環状線の混雑緩和を目指した「乗り継ぎ制」について検討した。この結果・自律的な迂回現象が促進され、全道路網の効率的利用が可能となり有効性が検証された。つぎに緊急時の強制流出を踏まえて、環状線に閉塞が生じる場合の「乗り継ぎ制」実施効果を検討した。この場合には、乗り継ぎ交通を許容することによって、非常時の道路網の効率低下を緩和できることがわかった。
著者
鈴村 源太郎
出版者
農林水産省農林水産政策研究所
雑誌
農林水産政策研究 (ISSN:1346700X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.41-59, 2009-06
被引用文献数
2

わが国の農村の中には、修学旅行などを通じた小中学生等の受け入れにより、地域活性化に役立てている地域がある。関連して、国では、小学生の農林漁業宿泊体験を進める「子ども農山漁村交流プロジェクト」事業が進められている。近年の修学旅行では「体験学習」の位置づけが高まっており、中でも関心の高い民泊を伴う「農林漁業体験」は、教育的配慮から「ホンモノ」を求める動きが強い。長野県飯田市と福島県喜多方市における事例分析によれば、受入農家や地域への波及効果として、様々な効果が確認されている。経済効果は、宿泊を含む体験料金収入が最大で年約50万円程度になっているほか、作業効率が向上した例もある。非経済効果としては、子供との共感から生まれる感動や手紙のやりとりから元気を得た農家が多く、地域の連帯感や活気などの副次的効果も確認されている。とはいえ、体験教育旅行は、時期的な集中や家族の協力、コストの見直しなど課題も多い。受入は小規模複合経営が中心であるが、現状では農業生産をしっかり行った上で、労働力の空き時間の範囲での実施を前提に取り組むのが望ましいと考えられる。「ホンモノ」の体験を提供するためにも、受入農家の農業生産を継統的に支える仕組みづくりが同時に必要とされる。本稿は、小中学生を対象とした体験教育旅行が、農業経営あるいは地域コーディネート組織に与える影響側面を実態的に明らかにするとともに、農村地域への経済的・社会的波及効果や今後の展望等について検討することを目的としている。
著者
大地 純平
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

ニホンジカの捕獲法は様々な方法が考案されており、それぞれに一長一短がある。本研究では、①誰でも容易に設置・運用が可能な事、②資材の確保が容易な事、③効率的な捕獲が可能な事の三点に注目し、「市販資材を用いた簡易囲い罠によるニホンジカ誘引捕獲」について研究を行った。囲い罠資材はホームセンターや建築資材店等で購入可能な単管パイプ、落下防止ネットなどを用いて、10万円以下の資金で構築できるように設計した。また、オプションとして150m程度離れた場所から監視、ゲート閉鎖を行うことのできる遠隔監視装置を用意した。<br> 囲い罠を用いた誘引・捕獲試験は山梨県南アルプス市高尾の牧場採草地を利用して実施した。ニホンジカ誘引試験では、毎日~週二回(火曜日、金曜日)囲い罠内外にアルファルファを給餌し、採食の様子を自動撮影カメラで記録した。捕獲については、誘引個体数、馴致の様子を確認して適宜実施した。試験結果から、市販資材を用いた簡易囲い罠であっても、ニホンジカ捕獲に耐える十分な性能を確保できること、週二回程度の給餌であっても十分な誘引効果がある事を確認することが出来た。