著者
友寄 英基 久保 四郎 村橋 護 小谷 勝 加藤 洋一 石川 信広 中條 英俊 高橋 孝二 山本 悦秀 小浜 源郁
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.2290-2296, 1985-10-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
17

From 1976 to 1984, 126 cases with angular fractures of the mandible were treated in Department of Oral Surgery, Sapporo Medical College Hospital. These were analysed clinicostatistically and the following results were obtained:1) Age of patients distributed widely with peak of second and first (74.6%).2) Fight injuries were the most frequent (32.5%) followed by traffic accidents (27.8%), athletic injuries (18.3%), work accidents (11.9%), and falls (9.5%).3) Wisdom teeth were 88.3% of the line of angular fractures of the mandible and the extraction of wisdom teeth in the line of angular fractures of the mandible were carried out in 46.0%.4) The procedure of wisdom teeth in the line of angular fractures of the mandible must be decided for each individual case, i. e., vitality, periodontal disease, luxation and positions of these teeth and degree of displacement of the bone fragment.
著者
中野 明德
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学大学院紀要 = Bulletin of Beppu University Graduate School (ISSN:13450530)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-61, 2019-03

D・W・ウィニコットは小児科医と精神分析医の2つの立場を堅持した臨床家である。彼は子どもと母親とを一つの単位として捉え、幼児期早期の「依存」を情緒発達理論の中心に据え、精神障害は幼児期の「環境の失敗」に関連するという立場を取った。幼児が全面的に依存している「絶対依存期」では、発達促進的環境は母親自身であり、抱え環境の失敗は「偽りの自己」が組織化させて「本当の自己」は隠蔽されるとした。彼は「相対的依存期」にみられる、クラインのいう「抑うつポジション」が、「思いやり」という重要な情緒発達にいたる正常な過程であり、罪悪感をもつ能力の起源とした。ウィニコットは独自の情緒発達理論に沿って、退行が必要な患者や反社会的傾向をもつ治療困難な患者の治療論を展開した。
著者
武田 将季
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.196-210, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
61
被引用文献数
1

本研究では,情報過多による探索行動の困難を回避するための手段として,キュレーションによる情報提示に着目し,ユーザの思考状態や精神的負荷,情報行動に対して,どのような変化をもたらすかを明らかにすることを目的とした。実験参加者30人を,キュレーションにより情報提示を受ける群とサーチエンジンで検索されたWeb ページから情報提示を受ける群に15 人ずつ無作為に割り付け,性質の異なる2 つのタスクを用いて実験を行い,脳波解析を行った。その結果,キュレーションされた情報提示を受けることで,特に,ページ閲覧時の集中状態が高くなる,精神的負荷が低くなる等の変化が観察された。加えて,ページ内のナビゲーションに従って多くの情報を入手するタイプのタスクでは,キュレーションされたWeb ページから情報を受ける群の,クエリ投入時における精神的負荷も低減されていることが分かった。
著者
入山 義久 飯塚 修 高山 光男
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.169-172, 2002 (Released:2004-08-27)
参考文献数
5
被引用文献数
3 4

国内に自生する草本性の在来種4種について, 収集した種子から育苗定植した株及び収集した母株を供試し, 開花期間及び採種性の調査を行った。種子採種が可能となる所要年数は, 種子から育苗定植した場合は, カワミドリ及びエゾミソハギで育苗定植当年, オミナエシ及びオトコエシで翌年, 一方, 収集母株を移植した場合は, 4種ともに移植当年であった。採種量は, オミナエシ及びオトコエシは年次経過に伴い増加したが, カワミドリは減少し, エゾミソハギは年次により変動した。10 a当りの期待採種量は, 最大でカワミドリ25 kg以上, エゾミソハギ40 kg前後, オミナエシ30 kg以上, オトコエシ30 kg前後と試算された。供試した在来種4種は, 圃場での種子の大量生産が可能であることが示唆され, また緑化に利用可能な有望草種と判断された。
著者
下ノ村 和弘
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.100-107, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
16

マルチロータ型ドローンの技術的側面について解説する。まず現在、広く用いられているマルチロータ機に共通するメカニズムやハードウェア構成、GPSを用いた自動飛行について述べる。次に、今後の応用展開において研究開発が必要と思われる技術的課題と展望について整理する。さらに、高所作業への応用やより自由度の多いマルチロータ機の開発、環境認識や制御への機械学習の導入といったドローンの応用範囲をさらに広げ得る研究開発についても述べる。
著者
安梅 勅江
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-6, 2017 (Released:2017-08-09)
参考文献数
6

【要旨】エンパワメント(湧活)とは、人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させることである。 人は誰もが、すばらしい力を持って生まれてくる。そして生涯、すばらしい力を発揮し続けることができる。そのすばらしい力を引きだすことがエンパワメント、ちょうど清水が泉からこんこんと湧き出るように、一人ひとりに潜んでいる活力や可能性を湧き出させることが湧活である。 保健医療福祉などの実践では、一人ひとりが本来持っているすばらしい潜在力を湧きあがらせ、顕在化させて、活動を通して人々の生活、社会の発展のために生かしていく。また、企業などの集団では、社員一人ひとりに潜んでいる活力や能力を上手に引き出し、この力を社員の成長や会社の発展に結び付けるエネルギーとする。これが組織、集団そして人に求められるエンパワメント(湧活)である。
著者
糸谷 哲郎
出版者
公益産業研究調査会
雑誌
公研
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.90-97, 2017-07
著者
丹野 義彦 浅井 智久
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.43-46, 2010-09-30 (Released:2016-12-01)

With the development of Cognitive Behavioral Therapies and Evidence-Based Practice, the American Psychological Association and the British Psychological Society are large umbrella organization under which clinical psychologists cooperated with the researchers of psychonomic science. The benefits of cooperation between clinical psychology and psychonomic science in Japan are discussed, taking an example of the study of schizotypal personality traits (schizotypy). A perspective that situates schizophrenia on a continuum implies that a cognitive psychological approach to the schizotypal personality in the general population could be useful to understand schizophrenia. The establishment of abnormal psychology in Japan is proposed, which will interface clinical psychology practice with academic psychology.
著者
弘中 満太郎 針山 孝彦
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.93-109, 2014
被引用文献数
12

"飛んで火に入る夏の虫"という諺は,灯火の魅力に抗えずに身を滅ぼしてしまう昆虫の光に対する行動の定型性に事寄せている。この諺は,7世紀の中国で書かれた梁書の到漑伝のなかの「如飛蛾之赴火(飛蛾の火に赴くが如くして)」が由来とされており(後藤ら,1963),今から1400年前には既に,昆虫の走光性を顕著な生物現象として人々が捉えていたことがわかる。昆虫の走光性は,さまざまな芸術的表現においてモチーフともされてきた。自然科学者でもあったゲーテ(J. W. von Goethe)は,西東詩集のなかの詩文「昇天のあこがれ Selige Sehnsucht」で,「おまえはどんな距りにもさまたげられず 呪われたように飛んでゆく ついに光をもとめて蛾よおまえは 火にとびこんで身を焼いてしまう」と,蛾の走光性を詠んだ(井上,1966)。速水御舟は,炎に身を焦がす蛾を幻想的に描いた「炎舞」を残した。走光性の特徴は,昆虫の和名にも表されている。ヒトリガ科のガ類の名の由来は,江戸時代にさかのぼる。行灯の灯明を消す蛾を,火を盗みに来た虫に人々は見立て,火取蛾,火盗蛾と名付けた。テントウムシ科のコウチュウ類は,太陽に向かうような定位行動を由来として天道虫と名付けられたとされる。このように古くから人々は,昆虫の光に引き寄せられる性質を,他の動物にはない強い定型性を示す不思議な現象として興味をかき立てられてきたのである。そして現代でも,「蛾の火に赴くが如し」という言い回しが使われるほどに,昆虫の走光性は我々の身近にある。しかし,これほど身近な現象であるにもかかわらず,昆虫がいったいどのような行動メカニズムで光に集まるのか,それがどのような適応的意義をもつのか,については,実は,いまだ十分に明らかになっていない。昆虫の走光性が謎の行動であることは,あまり知られていないといえる。