著者
Naoki KANEKO Rie YAMAMOTO Taka-Aki SATO Koichi TANAKA
出版者
日本学士院
雑誌
Proceedings of the Japan Academy, Series B (ISSN:03862208)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.104-117, 2014-03-11 (Released:2014-03-11)
参考文献数
41
被引用文献数
10 51 1

Proteolytic processing of the amyloid precursor protein (APP) by β-secretase and γ-secretase leads to the generation and deposition of amyloid β (Aβ) in Alzheimer’s disease (AD). N-terminally or C-terminally truncated Aβ variants have been found in human cerebrospinal fluid and cultured cell media using immunoprecipitation and mass spectrometry. Unfortunately, the profile of plasma Aβ variants has not been revealed due to the difficulty of isolating Aβ from plasma. We present here for the first time studies of Aβ and related peptides in human plasma. Twenty-two Aβ-related peptides including novel peptides truncated before the β-secretase site were detected in human plasma and 20 of the peptides were identified by tandem mass spectrometry. Using an internal standard, we developed a quantitative assay for the Aβ-related peptides and demonstrated plasma dilution linearity and the precision required for their quantitation. The present method should enhance the understanding of APP processing and clearance in AD progression.
著者
永崎 研宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.105, pp.17-24, 2005-10-28
参考文献数
42
被引用文献数
2

「デジタルアーカイブ」という言葉が登場し、人口に膾炙するようになったのはこの10年程のことである。文化資産をデジタル化して、記録し、発信するという営み自体はそれ以前より行なわれてきている。しかしながら、かつては、学術利用のために学術的価値のある資料を蓄積・公開したり、博物館・美術館が所蔵資料をデジタル化するといったものが主流だったのに対して、「デジタルアーカイブ」の登場以後は、文化資産の「正しい継承」や商業的利用にも重きが置かれるようになった。デジタルアーカイブはその性質上、評価や批判が容易ではないが、各々の合目的性に基づいて評価し、建設的に批判するための枠組みが必要である。Digital Archives have appeard and spread rapidly in these ten years. We have continued to digitize, store and publish intellectual properties for twenty years or more. At the beginning, scholars dealt with academic materials for their own research and museums digitized their own materials using databases. However, after "Digital Archives" appeared, new concepts such as orthodox succession of culture and commercial use have become the mainstream. It is difficult to evaluate or criticize digital archives, but we must do so for each digital archive based on its particular purpose.
著者
太田 翔護
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

議論研究の分野において, 議論は論理学と密接な関係がある. 論理学というのは一般に西洋論理学のことを指し, 議論もこの西洋論理学に則して行われているが, この他にも東洋の論理学としてインド論理学というものが知られている. 本研究では, インド論理学における典型的な「五支論証」を議論の中に取り入れることにより, 事例(比喩表現)を使った論証がより高い説得力を持つ「東洋的な議論モデル」を提案する.
著者
野村 大成 梁 治子 藤堂 剛 村上 昌雄 藤川 和男 吉留 克英 中島 裕夫 赤城 卓
出版者
独立行政法人医薬基盤研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

放射線、化学物質の人体の直接影響とそのメカニズムについて、我々のヒト臓器・組織長期維持システム(Super-SCID マウス)を用い、がん等ヒト疾患組織、正常肺組織への直接影響(増殖抑制、遺伝子発現変化)を検出し、これらヒト組織での放射線源(X/ガンマ線、粒子線、重粒子線)による放射線生物効果比を新たに求めるとともに、そのメカニズムについて、炭素線がヒト正常肺に特異的に誘発する遺伝子発現の変化は、ヒト甲状腺組織が中性子線等に特異的に反応した遺伝子群と異なることを明らかにした。極微量TCDDがヒト甲状腺ホルモン分泌を抑制することも明らかにした。

15 0 0 0 OA 目八譜

著者
武蔵石寿//著,服部雪斎//画
出版者
巻号頁・発行日
vol.第12巻,
著者
樋口 万季
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.223-233, 2014-07-01 (Released:2014-07-01)
参考文献数
10

2011年11月に開館した千代田区立日比谷図書文化館のねらいと方針をまず提示し,前身の日比谷図書館の歴史と,東京都から千代田区への移管の背景を概観する。次に現在の実践について,特に図書部門の企画サービス活動を中心に,その内容と企画主旨を紹介する。当館は,前身の日比谷図書館を基盤に,ミュージアムやカレッジを組み入れた複合施設として「知の拠点」を目指し,新しい都市型図書館像を具体化しようとしている。さらに指定管理者として民間のノウハウを活用し,積極的な事業展開により区の負担を抑制し,既存の図書館のイメージにとらわれない新しい文化施設を目指している。最後に,21世紀の都市型図書館を考える1つのきっかけとして,当館の成果と今後の課題・展望を提示する。
著者
池田 嘉郎 イケダ ヨシロウ Yoshiro Ikeda
雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.59-72, 2014-01
著者
山川 法子
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 : 日本教育方法学会紀要 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.13-24, 2007-03-31

本研究では,大人から高い評価を受ける児童について,批判的な観点から再検討する必要を示すことを試みる。そのために,小学生対象の演劇・音楽活動ワークショップにおいてどの大人からも高い評価を受けるある児童に着目し,その行動とそれに対する大人の評価を詳細に記述した。その結果,この児童の行動の特徴として,1)指導者や他の児童の話を常にきちんと聞き,きちんと聞いていることを態度で表す,2)指導者からの指導を確実に実現するための提案をし,さらに自発的に練習方法の工夫を提案する,3)他の児童の意見も尊重し自分の提案に固執しない柔軟な対応をする,を抽出した。その上で,これらの行動の特徴に対し,破綻した「よい子」に関するこれまでの研究知見を背景として,次の3点を問題として指摘した。1)楽しさの身体的な感情表出が見られない,2)経過を楽しむのではなく結果の観点からの行動が顕著である,3)周囲への配慮に伴う自己主張の抑制を行っている。そしてこれらのことから,この児童の「よい子」行動が,将来破綻する可能性を否定できないことを示した。以上の検討から,本稿では,一見何も問題がないと思われるだけでなく,むしろ大人から高い評価を受ける<いい子>の行動に対しては,これまでのように肯定的に理解するだけでなく,それが破綻に至るような「よい子」としての問題を潜在させていないかどうか,つねに否定的・批判的な側面を含めた多面的な視点からの検討をも試みる必要があると結論した。
著者
笹森 新 山口 一弘 坂本 雄児
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.31, pp.5-8, 2010-07-23
被引用文献数
1

計算機合成ホログラム(CGH)は,理想的な三次元ディスプレイとして期待される技術である.CGHによってリアリティの高い三次元ディスプレイを実現するためにはレンダリング技術の確立が必要であるが,これに関しては研究が不十分である.特に,光が透明な物体を透過する際に生じる屈折現象を表現する手法は確立されていない.そこで,本稿ではこの屈折現象を考慮した計算法を提案する.提案手法は,コンピュータグラフィックスにおいて屈折などの光学現象を表現する方法として利用されるレイトレーシング法を,CGHに適応したものである.この手法を用いてホログラムを作成,光学像再生を行い,提案手法が屈折現象を伴う物体の表示に有効であることを確認した.

15 0 0 0 OA 大日本風俗漫画

著者
渡辺イウ 画
出版者
渡辺イウ
巻号頁・発行日
1887
著者
黒川 信重
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.951-953, 1988-12-05

素粒子の弦理論の一つの特徴は, 数論の様々な性質が深く使われている点にある. 数論の大きなテーマは保型形式とゼータ関数である. ここでは弦理論で使われてきた数論の結果を保型形式を中心として概観し(§1), 弦理論から得られるゼータ関数の値に関する結果に触れる(§2). さらに, p進弦理論(Volovich)や類体論の非可換版も視野に含む一般の体上の弦理論(Wittcn)に言及する(§3). 数論を弦理論に応用することは自然であるが, 現在は既に弦理論を用いて数論を研究する段階に来ていると思われる.
著者
久保田 育子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
人間文化論叢 (ISSN:13448013)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.335-343, 2006

This paper focuses on Gallathea written by John Lyly in 1591. Gallathea was one of the first English plays to use the heroines in male disguise. On the English Renaissance stage, women's roles were played by boy actors, who were considered to be immature as their gender/sex had not yet developed fully to adulthood. I will highlight the multiple gender identities of boy actors and female characters and also the confusions of gender/sex created by Lyly's duplication of cross-gender disguise. In Gallathea, the two heroines disguised as boys fall in love with each other and their tangled sexual relationship shows aspects of the polymorphously perverse. The paper is divided into three parts. I will first illustrate the setting of the world of Gallathea and Lyly's design. The second part examines the relationship between male attire and constructions of male gender. In the third, I would like to explore the representation of women in breeches, which has been symbolized as invasion of the sexual norm. My focus is on the fabrication of the male gender/sex created by male clothing. The ambiguities of gender identity created by cross-gender casting and cross-gender disguises show the plasticity and multiplicity of gender/sex and sexuality.