著者
渡辺 勇士 Takeshi WATANABE
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.662-666, 2021-12

2020年度から小学校におけるプログラミング教育が必修化された.また,民間の学習塾や,幼稚園,保育園の現場では未就学児を対象にしたプログラミング教育を行っている場所も出始めている.本稿では,実際にプログラミング教育が行われている幼稚園の事例を挙げ,未就学児とプログラミング教育について解説する.
出版者
家族史研究会

特集 日本女性史資料(近代篇)クララ・ツェトキン・コロッキウムとバッハオーフェン展と 伊藤セツ女子教育 薄妙子明治民法 緒方和子治安警察法 石原通子君死にたまふこと勿れ 光永洋子堕胎罪 林葉子「青鞜」誌 高木富代子米騒動 立山ちづ子新婦人協会 犬童美子『女工哀史』 中山そみ「女工芸術」誌 林葉子「婦人戦線」誌 寺本千里国民優生法 光永洋子婦人参政権 伴栄子現行民法 卯野木盈二優生保護法 小玉稜子母子健康手帳 小柴雅子中絶・避妊 川上秀子国際婦人年・国連婦人の10年 石原通子一冊の女性史と私の読み方 富田佐保子瀬上さんの思い出 小柴雅子原始社会・女性・家族 田畑稔訳バッハオーフェンの『古代書簡』と『母権論』第二回編集III 石塚正英訳文学研究から見た「バッハオーフェン」 臼井隆一郎日本近代女性史論・第一 布村一夫
著者
林 浩一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-160, no.9, pp.1-10, 2021-05-29

戦略コンサルティング会社に由来するロジカルシンキングの手法は,説得力のある提案や報告の作成に効果的なことから広く普及している.この手法では,主張や結論を根拠が支える論理の基本構造 (以降,論証関係と呼ぶ) を適切に扱えることが重要であるが,筆者らはこれまでに,大学での授業と社会人向け研修において,論証関係の読取り誤りが高い頻度で生じることを見出した.本論文では調査対象を広げることで,この読取り誤りの割合が年齢による差異がない一方で,職業・学歴による差異が大きいことを示し,学生に論理思考力を指導する上での課題を提起し解決手段について議論する.
著者
イボット アリジャン 大山 恵弘
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1329-1335, 2019-10-14

近年,IoTや組み込みデバイスの普及によりUnix系OSを狙うELF形式のマルウェアが増加している.一方でELFファイルは対象となるアーキテクチャの多さなどターゲットの多様性が高く,解析が難しいという側面がある.本研究ではアーキテクチャに依存しない解析手法として動的リンク情報,とりわけ再配置されるシンボルの名前を使用したLinuxマルウェアの検知を試みる.先行研究としてimport APIのfuzzy hashを使用するWindowsマルウェアの分類手法に注目し,ELFファイルから得られたシンボル名にfuzzy hash関数を適用する.さらに得られたハッシュ値をベクトル化することで,機械学習を用いたマルウェア検知手法を提案する.
著者
山田 康枝
出版者
近畿大学リエゾンセンター
雑誌
近畿大学研究成果シーズ = Seeds Kinki University
巻号頁・発行日
pp.1,

[概要]血管性認知症、アルツハイマー型認知症などは神経細胞が減少し、神経伝達物質も減少している。また、うつ病や統合失調症のような神経疾患は脳内受容体の不全が原因と考えられている。ヒトの記憶や学習に重要な働きを示し、認知症や精神疾患の発症にも関係しているNMDA 型グルタミン酸受容体に対しアンタゴニスト(拮抗作用)を与えることで認知症への効果、アゴニスト(作動作用)を与えることで神経疾患への効果が期待できる。天然に多く存在するジペプチドの中から新たにNMDA 型グルタミン酸受容体に対して生理活性のあるものを見つけ出し、医薬品として、あるいは保健機能性食品として食生活に応用することで、副作用のない穏やかな効果が期待できる。
著者
岡 美穂子
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.223, pp.387-406, 2021-03-15

本稿では,16世紀に記された日本で活動するイエズス会士達の記録を手掛かりに,16世紀後半の九州=畿内間の航路の詳細を検証する。基本的には既刊の翻訳書である松田毅一監訳『イエズス会日本報告集』を情報源とするが,原文の綴りや翻訳内容に疑義のある箇所については原文に遡って,手を加えた。これらの情報の検討の結果,イエズス会士達は主に瀬戸内航路で諸所の港に乗合船で立ち寄りながら移動していたこと,これらの港の一部にはイエズス会士が定宿とするような日本人の家があり,布教の拠点ともなったことが明らかとなる。また,頻繁ではないものの,南海路で移動することもあり,それは主に瀬戸内海の状況が戦争で不安定な時に用いられた。瀬戸内航路,南海路共に海賊は多数おり,海賊との折衝や遭遇の様子も詳細に記される。また彼等を運ぶ船乗り達,船のスペックなどについても詳細な情報がある。特筆すべきは,大友宗麟が大坂出身で塩飽を拠点とする大型船の船頭と直接契約して,宣教師を畿内へと運ばせたという情報である。この情報からも,瀬戸内海の商業航路の関係者が,相当に超領域的な活動を行っていたことが考えられよう。従来のイエズス会史料を用いた南蛮貿易研究では,マカオ=九州間の交易についてのものが多かったが,本研究では,九州より先の日本国内,主に畿内の商人たちの南蛮貿易への関わりに着目した。とりわけ第四節では,小西家のキリシタン入信前後の状況と南蛮貿易に携わる京都商人の動きに着目し,これまでの研究では言及されたことのない血縁ネットワークについても明らかにした。そこからは,京都商人の入信動機には,南蛮貿易での利益のみならず,西洋からもたらされる最先端の知識への探究心もあったことが推察可能である。
著者
南 はるつ
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.27, pp.67-94, 2003-12-20
著者
相本 資子 Motoko AIMOTO
雑誌
女性学評論 = Women's Studies Forum
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-20, 2019-03-20

これまで長い間、料理本は歴史や文学の研究対象になるジャンルだとは見なされてこなかったが、最近ではアメリカ文化の形成を明らかにするのに有用な、文化的社会的な価値をもつ「生きたドキュメント」と考えられるようになっている。本稿では南北戦争以前に最も人気のあった料理本作家だったEliza Leslie (1787-1858)とSarah Josepha Hale (1788-1879)を取り上げ、その代表的なクック・ブックを読み解くことによって、著者たちがクッキングという狭い私的な領域に留まることなく、より大きな文化や思想の世界と深く関わろうとしていたという事実に光を当てる。Directions for Cookery (1837)においてLeslieが徹底的に「質」にこだわったレシピを並べているのは、それが中産階級の裕福な女性たち向けに書かれた料理本だったからだが、新しく台頭した中産階級の人々のために理想の料理を提供しようとした彼女は、正確に食材を計量する料理法が誰でも同じ料理を作ることを可能にすると主張し、アメリカ中産階級の確立という公的な仕事に貢献したのだった。他方、Haleはこれまで保守的な男女の領域分離主義者と評されてきたが、Early American Cookery: "The Good Housekeeper" (1839) における彼女は、男性にふさわしいと考えられていた科学を料理に取り入れることを強調し、公立学校における女子教育の重要性を力説しているが、こうしたラディカルな考えは「ハウスキーパー」を育てるための料理本にすぎないという彼女のレトリックによって巧みにカムフラージュされている。これらの料理本は、いずれも家事、料理という私的な世界に関する助言書にほかならないが、著者の Leslie と Hale は19世紀アメリカの女性たちに押し付けられていた「女性の居場所は家庭」というドメスティック・イデオロギーを逆に利用することによって、家庭性に潜む政治性を女性読者に伝えようとする、きわめてポリティカルな活動家たちだった、と結論できる。