著者
Nakano Takafumi
出版者
日本動物分類学会
雑誌
Species diversity : an international journal for taxonomy, systematics, speciation, biogeography, and life history research of animals (ISSN:13421670)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.227-233, 2012-11-25
被引用文献数
1

An octannulate Orobdella leech, Orobdella octonaria Oka, 1895, is redescribed on the basis of one syntype collected from Hakone, Kanagawa Prefecture, Japan, and two newly obtained specimens, also from Hakone. It is distinguished from the other known species of Orobdella by its octannulate mid-body somites. No holotype of this species was originally designated. The present syntype from Hakone is designated as the lectotype of O. octonaria for the purpose of clarifying its taxonomic status and type locality.
著者
岩橋 尊嗣
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 = Journal of Japan Association on Odor Environment (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, 2010-05-25

巻頭に掲載したさまざまなバラの写真,印象はいかがですか? 印刷インクにバラの香りのマイクロカプセルを使用すれば,臨場感は増したのですが,それは次の機会に取っておきます.<BR>2009年11月,「青いバラ」が満を持して市場に出され,クリスマス商戦に花を添えた.開発に着手してから,およそ20年の歳月が流れたという.2004年,青いバラが出来たというプレス発表を記憶されている方も多いのではないでしょうか.同年4月から10月に静岡県浜松市で開催された"浜名湖花博"に,この青いバラは展示された.私事で恐縮であるが「百聞は一見に如かず」生来の野次馬根性も手伝って,さっそく花博会場を訪れた.「青いバラ」はガラス製のケースに収められており,風で揺らぐこともなく,勿論香りは全く伝わってこない.言葉は悪いが,一瞬目の前に造花が現れたように感じたことを記憶している.青いバラの開発については,開発中のさまざまな苦労話も含めて,中村氏ら(サントリーホールディング(株)他)に執筆していただいた.研究開発は粘り強く,そして継続性が大切であることを思い知らされる.<BR>"花の女王(香りの女王)"とも呼ばれるバラ,古代エジプトの女王クレオパトラは,バラを浮かべた湯船につかっていたとか.当時もバラは最高級の花の一つであったに違いない.日本の有史以前,ギリシャ,エジプト,ローマ時代に,すでにバラは珍重されていたのである.上田氏(岐阜県立国際園芸アカデミー)には人類とバラとのかかわりを歴史的な背景を織り交ぜて執筆していただいた.<BR>紀元前の時代から親しまれてきたバラは,品種も膨大で,系譜図もかなり複雑である.バラの香りは花弁から発散される.しかし,バラの長い歴史の中で,香りは勿論であるが,それよりも視覚にうったえる品種の開発が優先されてきた経緯がある.蓬田氏ら((株)蓬田バラの香り研究所)は,バラの香りを詳細に解析し,香気特徴を9つのノートに分類することを試みている.執筆内容から並々ならぬ努力の結実であることがうかがえる.そして今,より芳香の優れたバラの開発に傾注されている.<BR>バラの香りの主成分として重要なフェニルエチルアルコールは,嗅覚検査に使用されるT & Tオルファクトメーターのにおい物質の一つである.臭気分野に携わっている者にとって,ある意味最も身近な香りの一つであるかもしれない.それともう一つ,バラの香りで重要な成分がダマセノンである.現在最高級の精油といわれる "ブルガリアローズ油",その主成分の一つがダマセノンで,バラ様の強い芳香を有している.小林氏ら(メルシャン(株)他)は,このバラ様香気であるダマセノン成分量を促進させた甲州ワインの醸造法を確立した.本論では,醸造の実用化に至る研究過程の詳細について執筆していただいた.<BR>前述したとおり,バラの花は香りよりも視覚にうったえる華やかさが優先されてきた.事実,市場に出回るバラの内,香りの良いバラは2割程度に過ぎないという.理由は,長時間の流通に耐え,花持ち・花色が良いこと,生産性が良いことなどを必須条件に,数多くの品種が作り出された結果であるといわれる.花き業界で活躍されている宍戸氏((株)大田花き)は,バラを含めて花の香りの重要性を主張されている.本論では,それらの活動の一端を紹介していただいた.<BR>以上,5編の組み立てで"バラの香り"を特集した.是非,本論をご熟読願いたい.ご多忙中にもかかわらず,ご執筆を快諾していただいた著者の方々には,本紙面を借りて厚く御礼申し上げる次第です.最後に一提案です.次の休日に一度バラ園(植物園)などに足を運んでみてはいかがでしょうか.にわか知識になるかもしれませんが,本誌からの若干のバラ情報を詰め込み,華やかさを観るだけではなく,鼻を近づけて香りのするバラ,しないバラ,そしてさまざまなバラの香りと歴史にふれてみて下さい.
著者
熊谷 良雄 三好 幹夫
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.6, pp.307-318, 1996-11
被引用文献数
1

1.研究の背景・目的・概要 1995年1月17日の未明に発生した「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」は、高架道路・鉄道,建築物等の物的施設に甚大な被害をもたらすとともに、戦後最大の人的被害と百万人以上の被災者を生み出した。発災直後から被災地での食料や生活必需品等の不足が伝えられたが、被災者にとっては必要な情報の入手困難や不足も大きな社会的問題となった。そして、情報の不足は多くの混乱をもたらし、この混乱は発災から1週間以上を経過した震災復旧期においても見られた。情報伝達手段が地震によって途絶もしくは制約された中で、大量に発生した被災者に正確かつ迅速に十分な情報を伝達するかが大きな課題となった。そこで、本研究では、これまでの災害情報の研究ではあまり取り上げられなかった災害復旧期の情報需給バランス-伝達された情報と必要とされる情報との整合と不足-に焦点をあて、神戸市を対象として、情報の受信側[被災者]と情報の発信側[神戸市,新聞]とのギャップを明らかにし、今後の災害情報のあり方を検討するための基礎的な示唆を得ることを目的とした。研究の概要は以下のごとくである。情報受信側については、住民アンケート調査と神戸市における市民電話相談の受付内容を用いて、復旧に関わる様々な情報を被災者がいつ,どのように利用したかについて、被災者の属性との関連で整理・分析した。一方、情報発信側としては、被災地で発行されている新聞と神戸市の広報紙に着目し、これらと神戸市のプレス発表の内容とその時期について比較分析をおこなった。そして、両者の情報需給バランスを分析した上で、災害復旧期における情報発信側の効率的な伝達手段について提言をおこなった。 2.研究の結論 本研究の結論は以下の3項目にまとめることができる。 (1)阪神・淡路大震災のような激甚な災害の場合、自宅崩壊等の激烈な被害を受けた世帯と直接的な被害がほとんど無い世帯との情報ニーズの乖離は大きく、肌理細かい情報発信が必要とされる。 (2)行政広報紙は、被災者への情報を網羅しようとする姿勢はあったものの、発行間隔や紙面量等の課題を抱えており、新聞社と非常時の紙面提供等の協定を事前に結び、短い時間間隔で十分な紙面量を確保することが望まれる。 (3)地元紙の情報発信は、様々な被災状況を持った多様な被災者のニーズにも応えることが望まれる。
著者
土田 辰郎 木村 浩
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.30-40, 2012
被引用文献数
1 1

原子力事業者の広報担当はマスメディアとの接点となり,記者へ原子力に関わる様々な情報を伝えている.広報担当とマスメディアとの日常的なコミュニケーションを中心とする平常時広報に注目し,広報担当の認知を23名へインタビューすることにより明らかにした.その結果を既に調査報告のあるマスメディアの原子力や原子力事業者に対する認知と比較した.広報担当者はプレス発表の機会も含め記者と継続的にコンタクトを図ることで記者の意識を理解するようになり,マスメディアへの情報伝達は改善がみられてきたことが分かった.平時におけるリスク認知の観点から,事業者がマスメディアに対して行う平常時広報での活動成果や課題の提示は,他の産業へも展開できる知見となろう.
著者
前中 久行
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.205-210, 1985-03-30

摘要 草地に加わるレクリエーション利用圧は延へ滞在時間・人て表現するのか最も良いか,これは最大滞在者数と「平均利用時間」の積として求めることもでき,この関係を用いると調査の能率を上けることかてきる。各地の公園利用調査をもとに検討した結果,平均利用時間は近郊地の園地ては42〜50時間,都市基幹公園内ては54〜64時間,住区基幹公園内では70〜89時間の値か得られた。
著者
福武 久史 許 亮 高木 智彦 八重樫 理人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.420, pp.25-30, 2015-01-26

本稿では,ユーザの利用確率に加え,合計利用時間(秒),平均利用時間(秒),利用回数(回)をマッピングした新たな運用プロファイルを提案する.さらに,状態の組み合わせテストのための運用プロファイル用いたテストスイート生成手法を例題システムを用いて述べるとともに,実運用システムへの適応例から考察する.
著者
小林 香 片山 勁
出版者
富山県立大学
雑誌
富山県立大学紀要 (ISSN:09167633)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.42-49, 2008-03

限られた資源を,任意のタイミングでやってくる複数の利用者が利用するシステム-銀行のATMやスーパーマーケットのレジなどが誰にでも分かりやすい例である-を考える.利用者がやってきたときに直ちに利用できる(空いている)資源の数がゼロであれば,当然のことであるが利用できない利用者が出てくる.待ち行列(バッファ)があり,資源に空きが出るまで利用者が待つことが可能であれば,このシステム全体を,資源が利用できるまでの平均待ち時間で定量的に評価することができる.バッファが空になると,休暇(バケーション)で総称される副次的作業に資源を使う場合,利用者の平均到着間隔が資源1つの平均利用時間に近づくに従って,システム内に滞留する利用者数が増え,副次的作業が後回しにされる.必要なタイミングで副次作業を行うことができるように,今回は,本来の待ち行列の前にもう一つ待ち行列を準備し,2つの待ち行列の間にゲートを設ける.このようなゲートを導入したM/G/1+vacationシステムについての諸量を,Level-Crossing法を用いて解析をする.
著者
干場 弓子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.7, no.23, pp.48-50, 2008-11-04

──干場弓子さんは女性誌「家庭画報」で編集者を務め、1985年に出版社のディスカヴァー・トゥエンティワンを現会長の伊藤守さんとともに立ち上げました。編集者時代から現在まで仕事のスタイルは大きく変わったと思いますが、手帳の種類や使い方にも変化がありましたか。 手帳はいろんなタイプのものを使ってきました。
著者
三宅 雄大 寺田 和憲 吉川 雅博 松本 吉央 高橋 英之 伊藤 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.73-78, 2013-11-02

本研究では,人がアンドロイドを人のようなインタラクション対象とみなすかどうかを繰り返し非ゼロ和ゲームを用いて検証した.実験タスクには協調も搾取も可能な繰り返し非ゼロ和ゲームである1,2,5じゃんけんを用いた.対戦相手としてアンドロイド,PC,人を比較した.実験の結果,実験参加者は対人条件の場合は相手との協調を優先したが,対アンドロイドの場合には対PCと同様に自己利益を追求し搾取を行った.実験結果の解釈を定めるために,追加実験を行い,対人であっても,その人が実験者である場合には自己利益を追求することが確認された.以上の結果から,金銭に関して価値を共有しないことがアンドロイドの人らしさを減退させていると結論づけた.
著者
森 茂太郎
出版者
九州大学
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.65-80, 1998
著者
笠原 祥平 岩本 俊彦
出版者
東京情報大学
雑誌
東京情報大学研究論集 (ISSN:13432001)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-58, 2015-09-30

社会資本整備審議会で論議されてきたわが国の都市政策が、成熟した都市型社会という社会認識に至り、転換点を迎えている。国民の大半が都市に居住する都市化時代から、都市の拡大への対応ではなく、都市機能の質の向上を図りつつ、国土の均衡ある発展、多様性の確保、連携性の促進、災害対応力の向上を目指す基本戦略へと、政策の転身が図られている。国土交通省を中心に描かれた都市政策のビジョンをもとに、持続可能性を重んじ、コンパクトで効率的な都市構造に転換する方策や課題について考察する。