著者
佐治 晴夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.247-253, 1991-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
23

1/ƒ揺らぎは,自然現象や音楽に代表されるような芸術作品,あるいは人体の生理信号などの基本リズムのなかに広く存在し,人の快適感と深いかかわりをもつことがわかっている.本解説論文では, 1/ƒ揺らぎとは何かについて簡単に解説した後,快適空間を創出するにあたって, 1/ƒ揺らぎをどのように応用していけばよいのか,扇風機などへの実施例をあげながら紹介し,今後の応用展開について言及する.
著者
川島 茂人 藤田 敏男 松尾 和人 芝池 博幸
出版者
日本花粉学会
雑誌
日本花粉学会会誌 (ISSN:03871851)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.5-14, 2004-06-30

遺伝子組み換え体作物が生態系に与える環境影響を評価する研究に関連して,遺伝子組み換え体作物の花粉が標的外の昆虫を殺傷してしまうことや,近縁種への遺伝子のフローが問題となっている.このような問題に適切に対応するためには,問題となる作物に適した空中花粉自動測定手法の開発が必要である.そこで我々は,代表的な組み換え体作物であるトウモロコシを対象として,簡易かつ連続的に自動計測が可能な花粉モニターを開発するとともに,野外において,トウモロコシ群落の開花期間を通して,気象要素とともに花粉飛数量の計測を行った.その結果,トウモロコシ花粉モニターによる花粉飛散量は,空中花粉測定法として広く用いられているダーラム法による花粉飛散数との相関が極めて高く,相関係数は0.95となった.花粉モニターで計測されたトウモロコシ花粉飛数量の経時変化と気象要素の変化から,花粉飛散量の日変動パターンは,気象要素の日変動パターンとは異なった形状を示していること,午前中にピークがあり,正午にはピーク濃度の半分以下に減少していること,日の出後の濃度増加は急であるが,ピーク後から夜にかけての濃度減少は緩やかであることなどがわかった.また,花粉飛数量は気温の時間的変化率と関係しており,気温上昇量が大きいときに,大量の花粉が放出され,群落外に拡散することが明らかになった.

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著者
文部省 編
出版者
文部省
巻号頁・発行日
vol.第1, 1944
著者
酒見 龍裕 野田 常雄 江藤 徹二郎 中村 文彦 巨海 玄道
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.24-28, 2018-03-15 (Released:2018-04-15)
参考文献数
7

1.はじめに現在多くの大学で,新入生の基礎学力の養成のため多彩な試みがなされている.中でもいわゆる全入大学では,十分な学力をもたない学生が入学してくるため,その対策にはどこも頭を痛めてい
著者
高橋 幸一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.19-30, 2011
被引用文献数
2

In recent decades, much evidence for women's sports in the ancient world has been uncovered. In ancient Greece, men concentrated on politics, wars, athletics, and the like, whereas desirable womanly qualities were considered to be beauty, modesty and obedience. Accordingly, no women's events were included in the ancient Olympic Games. It is said that married women were not allowed to be present at Olympia during the games, although unmarried women were permitted to watch the games. Except in militaristic Sparta, athletics were usually for male citizens.<br> However, in the festivals of Hera, only girls could compete in foot-races. Like the boys, Spartan girls paraded naked in the presence of the men and participated in foot-races, wrestling, discus and javelin. Tryphosa, but also her two sisters, competed in and won foot-races in several major athletic festivals, but not at Olympia. Although married women could not compete in the Olympics, they could win Olympic victories in the equestrian events. Thus it is certain that women did participate in athletics. This paper examines the participation of women in sports at the Olympic Games and the festivals of Hera.<br> Except for the priestess of Demeter Chamyne, married women were forbidden to attend the Olympics as spectators. Unmarried women and girls were also excluded from watching the games. In order to prevent bribery, trainers had to present themselves naked and undergo physical examinations. Unmarried women competed every four years in foot-races at the festivals of Hera held at Olympia. Some have suggested that the Heraian games became Panhellenic, but there is no historic evidence for this. The local festivals in which only women and girls were able to participate took place separately from the Olympics.<br> Kyniska of Sparta was the first women's Olympic victor in the four-horse chariot race. Agesilaus persuaded his sister Kyniska to enter a chariot race at Olympia and showed that Olympic chariot victories could be won by wealth and not by manly courage. However, it is certain that Kyniska was exceedingly ambitious to enter the Olympic Games, winning twice in all. However Kyniska's victories did not lead to the spreading of women's sports or to improvement of women's rights.<br>
著者
山崎 晶
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.915-930, 2006-03-31 (Released:2010-04-23)
参考文献数
23

明冶維新期に路上でのふるまいを規制した風俗統制令, 違式?違条例への民衆の反応を通して, 当時における「公共」の捉え方を考察する.維新期の政策は, 日本社会の近代化の骨格となった.従来の維新期研究は, 当時の民衆の政策への反応形式として順応/反抗のいずれかに重きを置いて論じる傾向にある.しかし, 新政への不満が反抗という形に結実することは極めてまれであり, 民衆の日常的な反応を照射しきれているとは言いがたい.本稿は順応ても反抗でもない反応を「やり過ごし」と称し, 明冶初年にどのように現れていたかを明確にすることを目的とする.それに際し, 当時の庶民の生活慣習を禁じた違式?違条例に関する新聞記事の分析を行う.分析の結果, (2) 取締りの様子を茶化して報じる記事が多数存在し, その記事が (2) 取り締まる側のみならず, 取り締まられる側も笑いの対象としていることから, 「やり過ごし」の形式としてのおどけが確認された.おどけとは, 何がおもしろおかしいのかを客観的にとらえている状態である.ゆえに取り締まりをおどけてやり過ごした民衆は, ただ無意識のうちに〈迷蒙〉状態にあったのではなく, 政府と自らの思惑のズレを自覚していたといえる.この後, おどけが新聞に現れなくなることから, おどけは維新期に特徴的な「やり過ごし」のスタイルであり, 政府と民衆の「公共」の捉え方の違いから生したものと考えられる.
著者
畠山 真一
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
no.6, pp.63-77, 2012-03-31

本論文は,スル形で発話時が指示可能であり,人称制限が観察される,「困る」,「照れる」,「イライラする」といった感情を表現する動詞(以後,感情表出動詞) を分析し,その局面構造と人称制限のメカニズムを明らかにすることを目的としている。分析の結果,(1)感情表出動詞は,感情出現,感情表出動作,感情状態の3の局面からなる局面構造を持つこと,(2)シテイル形に見られる人称制限解除が,感情表出動作によるものであり,証拠性の概念にうったえる必要はないこと,(3)スル形・シタ形に観察される人称制限は,それぞれの形が見せる一般的な使用制限から説明可能であること,の3点が明らかになった。
著者
石橋 忠良 大迫 勝彦 深尾 康三
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.39-45, 2004-07-01
参考文献数
3
被引用文献数
1

JR東日本では, 列車通過時等の騒音ならびに振動が大きな課題となっている高架下において, 高品質の居住環境を実現できる「吊り免振工法」を (株) 竹中工務店と共同開発した。この吊り免振工法は, 高架橋の柱際に鉄骨造の支柱と梁でフレームを構成し, そのフレームから上下に防振ゴムを備えた吊り材で建物を懸架する構造である。この吊られた建物は, 地震や強風の時にはブランコのように横方向にゆっくりと動き, 建物や高架橋への水平力を大幅に低減することができる。実物大試験体による実験と詳細な解析により, その防振防音効果と地震時に荷重増による高架橋への影響がほとんどないことを確認した。列車による室内での振動は, 列車通過時に日本建築学会の居住性能評価指針による寝室 (住居) として望ましいレベル (V-0.75) を達成でき, 騒音は日本建築学会の遮音性能基準におけるホテル・住宅レベル (3級) として適切な環境を達成した。今回, この工法を採用したホテルを京葉線舞浜駅高架下に建設した。
著者
鈴木 広隆 藤本 佳則 辻 剛史
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.139-144, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5

龍安寺石庭の配石パターンについては、これまで専ら作庭者の意図や配石原理について研究が行われてきた。本研究では、人間の感覚量である趣と配石パターンとの関係について明らかにするため、平面図、透視投影図で表現した様々な配石パターンを被験者に呈示し、趣の定量化を行った。さらに、配石パターンを基にしたボロノイ図を作成し、これによって得られる様々な物理量を求め、趣との関連を考察した。