著者
小森田 賢史 伊藤 学 千葉 恒彦 横田 英俊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.7, pp.878-892, 2010-07-01

近年,ALL IPネットワーク上で高品質なサービスを実現するNGNが登場し,その中核技術であるIMSが注目されている.IMSは,従来閉じていた携帯通信事業者のサービスとインターネットなどのサードパーティとの連携を可能とし,連携したオープンなサービスの登場が期待されている.一方で,端末においても従来の通信事業者に特化した端末に対して,AndroidやLiMoのように端末共通のプラットホームに基づいたオープン化が進められている.特にAndroidは既に実用化されており,また構成要素の多くがオープンソースであるため自由度の高いプラットホームとして注目されている.しかしながら,それらを実際に用いたシステムとしての検証は十分ではない.そこで本論文ではAndroid端末にIMSクライアントを実装するための方針とアーキテクチャを提案し,実機上にその機能を実装する.また,IMSに接続して動作検証を行い,その動作と現在の課題を明らかにする.
著者
Yangwoo ROH Jaesub KIM Kyu Ho PARK
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E92-D, no.10, pp.2053-2063, 2009-10-01

Applications usually have their own phases in heap memory usage. The traditional garbage collector fails to match various application phases because the same heuristic on the object behavior is used throughout the entire execution. This paper introduces a phase-adaptive garbage collector which reorganizes the heap layout and adjusts the invocation time of the garbage collection according to the phases. The proposed collector identifies phases by detecting the application methods strongly related to the phase boundaries. The experimental results show that the proposed phase-adaptive collector successfully recognizes application phases and improves the garbage collection time by as much as 41%.
著者
山口 暢彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.5, pp.632-641, 2010-05-01

近年,観測データの分布を潜在変数の非線形変換を用いて表現することにより,観測データの本質的な構造を探るGTM (Generative Topographic Mapping)が提案され,データの可視化やクラスタリング等への応用が行われている.しかしながら,GTMは独立同一分布からの標本を仮定しており,互いに相関をもつ時系列データに対してGTMを適用した場合,誤った結果を導きかねない.そこで本論文では,時系列データの生成モデルとして制約付きARHMM (Auto-Regressive Hidden Markov Model)を仮定するGTM-ARHMMの提案を行い,GTM-ARHMMを用いた時系列データの可視化手法について提案を行う.
著者
船越 孝太郎 木村 法幸 中野 幹生 岩橋 直人
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.5, pp.610-620, 2010-05-01

本論文では,少数の教示発話から,ユーザが任意に決めた物体や場所の名称をロボットが学習し識別するための手法を提案する.高齢者や児童も含めたユーザの使いやすさを高めるためには,語彙や言い回しに関する制限を課さないことが重要である.また,背景雑音などによって生じる誤認識に対して頑健でなければならない.そこで提案手法では,大語彙連続音声認識を用いて入力音声を認識し,複数の認識候補(N-best)に対しbag-of-wordsモデルに基づくトピック分類を適用することで,語彙や言い回しの制限を無くし,音声の誤認識に対して頑健な名称識別を可能にする.評価実験では,10の名称と六つの異なる言い回しを用いて16人分の音声発話を収集した.これらの音声発話を,雑音なし,雑音あり,雑音があり名称がすべて辞書に未登録,という三つの条件で音声認識し,その認識結果を用いて名称の学習と識別を行った.実験により,提案手法が言い回しの多様性や誤認識に対して頑健に名称を識別できることを確認した.分類手法としては,EMM,SVMV,LSAの3手法を比較し,LSAで最も良い結果を得た.また,N-bestからの頻度情報の抽出に関して,トークン計数法とタイプ計数法の二つの手法を比較し,我々の問題設定においてはタイプ計数法が適当であることを確認した.
著者
木本 晴夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J74-D1, no.8, pp.556-566, 1991-08-25

言語処理・知識処理・統計処理を用いる新しいキーワード自動抽出法として語特徴評価法を提案する.また,語特徴評価法に基づくキーワード自動抽出システム(INDEXERシステム)を作成し,評価を行ったのでその結果を報告する.本論文でのキーワード抽出の対象は日本語で書かれた新聞記事である.従来のキーワード自動抽出はフリーターム方式か統制キーワード方式を用いて行われていた.これらの方法では必要キーワードと共に,その3~5倍もの不必要キーワードが抽出されていた.語特徴評価法は,これらの不必要キーワードを大幅に削除して精度の高いキーワード自動抽出を実現することを目的としている.本方法はシステムが抽出したキーワード候補語について,個々の語の,文章中やシソーラスにおける特徴を抽出して,その特徴によって,キーワード候補語が文献の内容をよく代表していて,文献を検索するためのキーワード(以下では必要キーワードと呼ぶ,またシステムが自動抽出したキーワードで必要キーワードでないものを不必要キーワードと呼ぶ)として必要か否かを評価する方法である.ここで,語の特徴として次に掲げるものを採用している.それらは,並立に表現された語,連体修飾語,強調表現された語,シソーラスにおける上位語,シソーラスにおいて上位・下位の関係にある語,語の文章中における出現位置,出現頻度等である.語特徴評価法を用いることにより,抽出される不必要キーワードの数を従来の方法と比較して1/4にできることを実験によって確認した.更に,処理対象とする文書の分野特性を利用することによって,よりいっそうの精度向上が可能なことを述べる.またシステムが自動抽出したキーワードの相対的重要度を語の特徴を利用して評価した結果,上位の10語の中に専門家が付与したキーワードの95%を入れることができた.
著者
横山 正太朗 江口 浩二 大川 剛直
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.3, pp.180-188, 2010-03-01

近年ブログの利用が爆発的に増加しており,重要な情報源の一つになりつつある.ブログは,ハイパリンクを利用することで,参考にした情報を明示的に参照することが可能であり,このネットワークを対象にした研究が最近注目されつつある.しかし,こういった研究のほとんどが,リンク情報のみを対象にしており,本文の情報を参照していない.そこで本研究では,リンク構造だけでなく,本文のトピックを推定し,適切に情報伝搬をとらえる手段を確立することを目的とする.文書集合の潜在的なトピックを統計的に推定するのに用いられる確率的トピックモデルの代表的なものに,潜在的ディリクレ配分法(Latent Dirichlet Allocation:LDA)が挙げられ,広く用いられている.本研究では,このLDAを用いてポストのトピックを推定し,リンク間のトピック分布を比較することで,情報伝搬の単位(カスケード)を的確に抽出する枠組みを提案する.日本語ブログデータを用いた実験において,提案手法の有効性を示す.
著者
江口 浩二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.3, pp.157-169, 2010-03-01

情報検索のための確率的言語モデルは1998年にPonteとCroftによって提案されてから,情報検索やそれに関連する課題に対する新たなアプローチとして注目を浴びてきた.その特徴の一つに,それまでに研究されてきたベクトル空間モデルや古典的確率型検索モデルで導入された発見的方法を極力用いず,数理的に説明可能な枠組みである点が挙げられる.その表現能力と柔軟性の高さにより,適用範囲は非構造なテキストデータに対する種々のタスクだけでなく,構造化文書検索やクロスメディア検索にも及ぶ.そこで,本論文では,情報検索のための確率的言語モデルの研究動向と将来課題について調査する.
著者
渡辺 賢 岩井 儀雄 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.10, pp.2713-2722, 1997-10-25

本論文では,単眼カメラから手を撮像し,得られた画像特徴量から指文字を認識するシステムの構築を目的とする.手のような関節物体は自由度が多く多彩な変形をするため,その形状を認識する際には,対応付け問題,オクルージョン問題などのさまざまな問題が発生する.そこで,本研究では撮像の際にカラーグローブを装着することにより,手の特定領域の検出を正確かつ容易にし,オクルージョンにも対処できる方法を提案する.また,実画像データをもとに計算機で生成したCAD理想モデルを用いた決定木の学習結果と,実画像を用いた学習結果の検証についても併せて紹介する.
著者
Hideharu AMANO Akiya JOURAKU Kenichiro ANJO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Communications (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.E86-B, no.12, pp.3385-3391, 2003-12-01

A framework of dynamically adaptive hardware mechanism on multicontext reconfigurable devices is proposed, and as an example, an adaptive switching fabric is implemented on NEC's novel reconfigurable device DRP (Dynamically Reconfigurable Processor). In this switch, contexts for the full crossbar and alternative hadware modules, which provide larger bandwidth but can treat only a limited pattern of packet inputs, are prepared. Using the quick context switching functionality, a context for the full crossbar is replaced by alternative contexts according to the packet inputs pattern. If the context corresponding to requested alternative hadware modules is not inside the chip, it is loaded from outside chip to currently unused context memory, then replaced with the full size crossbar. If the traffic includes a lot of packets for specific destinations, a set of contexts frequently used in the traffic is gathered inside the chip like a working set stored in a cache. 4 4 mesh network connected with the proposed adaptive switches is simulated, and it appears that the latency between nodes is improved three times when the traffic between neighboring four nodes is dominant.
著者
合田 和生 喜連川 優
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.3, pp.211-221, 2010-03-01

本論文では,グリーンレプリケーションと称し,業務継続を目的としたレプリケーションシステムにおける二次系ディスクストレージの省電力化方式を提案する.提案手法は,サービス復旧にかかる時間を意識した制御系のもとで,二次系に転送された更新情報をコンパクト化し,更新の反映操作を集中化することによって,ディスクドライブを長時間アイドル化する.商用データベースシステムを用いた実験により,30秒から100秒程度のサービス停止時間のオーバヘッドのもとで,二次系ディスクストレージの消費電力のうち80~85%を削減可能であることを示す.
著者
Ryoichi TERAMURA Yasuo ASAKURA Toshihiro OHIGASHI Hidenori KUWAKADO Masakatu MORII
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E93-A, no.1, pp.164-171, 2010-01-01

Conventional efficient key recovery attacks against Wired Equivalent Privacy (WEP) require specific initialization vectors or specific packets. Since it takes much time to collect the packets sufficiently, any active attack should be performed. An Intrusion Detection System (IDS), however, will be able to prevent the attack. Since the attack logs are stored at the servers, it is possible to prevent such an attack. This paper proposes an algorithm for recovering a 104-bit WEP key from any IP packets in a realistic environment. This attack needs about 36,500 packets with a success probability 0.5, and the complexity of our attack is equivalent to about 220 computations of the RC4 key setups. Since our attack is passive, it is difficult for both WEP users and administrators to detect our attack.
著者
長嶋 秀世 土方 洋一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J74-D2, no.3, pp.311-320, 1991-03-25

本論文では,人間の平均的主観をシステムに導入し,多種類の商標図形を対象とした類似商標の検索を行う方法を提案する.類似図形の検索は,文字認識などとは異なり,画像間の物理的な類似性だけでは不十分で,人間の主観を考慮することが重要である.ここでは,多数の被験者を対象とした商標図形に関するアンケートを実施し,その結果を各特徴量の重み係数に反映させ,人間の主観に適合した特徴空間を構成する方法について述べる.これは,図形間の物理的な特徴量による類似性とアンケートから得られる主観的類似性とを合理的に対応させ,図形に対する人間の感覚を重み係数として定量化するものである.本手法の有効性を検証するため,本手法を用いた類似商標の検索実験を行い,重みなし特徴空間との比較検討を行う.実験結果によると,本手法の検索は,アンケートとの一致度が高く,アンケートで最も支持のあった商標図形を第8位までにすべて出力し,また,アンケートに使用していない商標を加えた1,000個の商標集合に対する検索結果も,アンケートに準じるものであった.このことから,人間の主観に対応した検索結果を得ることができ,本手法の有効性を確認した.
著者
中西 良太 村上 和人 成瀬 正
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.1, pp.20-28, 2010-01-01

集団行動の特徴を解析するための指標として導入された優勢領域は,サッカーなどのチームスポーツにおける「勢力範囲」や「チームワークの良さ」などの解析に有効であることが示されている.また,優勢領域はパスの成否判定などにも有用であり,対象の行動計画の指標としての活用が期待されている.そのためには,優勢領域の実時間計算が要求されるが,既存の手法ではこの要求を満たすことは困難であった.そこで本論文では,優勢領域の実時間計算手法について述べる.本手法は優勢領域の近似計算を行うものであるが,基本的な考え方は,現時刻からt秒後における対象の到達多角領域を作成し,それをインクリメンタルに合成することである.実験の結果,既存手法と比較して,計算時間が約1000分の1,近似精度が90%強で優勢領域を計算できることが示された.なお,本手法は並列計算を用いることで,更に計算時間を短縮することが可能である.
著者
大窪 義博 上保 徹志
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J89-B, no.7, pp.1141-1150, 2006-07-01

一般に,レーダは近距離の測距が難しく,その最小探知距離は数m以上である.我々が提案した定在波レーダは,周波数帯域幅が76 MHzの場合,最小探知距離は2 m程度となる.最小探知距離を短くするための一解決法は周波数帯域幅を広くすることであるが,電波法による制限があり現実的ではない.我々はこれまでに,定在波レーダにおいて,周波数帯域幅を広げることなく,0 mから測距可能な手法を提案し,その構成と測定原理を示した.また,数値計算によるシミュレーションで測定原理の検証を行った.本論文では,0 mから測距可能な定在波レーダの実現性を確認するため,実際に定在波レーダを用いて,その測定原理を実験的に検証する.その結果,24 GHz帯で周波数帯域幅76 MHzの条件において,最小探知距離2 mよりも近い位置(0.14 m,0.3 m,0.5 m,1 m)にあるターゲットの距離を誤差数cmの精度で測定できることが確認された.0.14 m以下の距離については,今回の実験環境では,ターゲットとアンテナとの位置的な干渉のため,ターゲットを0.14 mより近くに置くことができず,実際に確認することはできなかった.しかし,確認した距離において,理論どおりの距離スペクトルが得られていることから,特別な制限なく測定可能であると考えている.
著者
Hisashi KASHIMA Tsuyoshi IDE Tsuyoshi KATO Masashi SUGIYAMA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E92-D, no.7, pp.1338-1353, 2009-07-01
被引用文献数
16

Kernel methods such as the support vector machine are one of the most successful algorithms in modern machine learning. Their advantage is that linear algorithms are extended to non-linear scenarios in a straightforward way by the use of the kernel trick. However, naive use of kernel methods is computationally expensive since the computational complexity typically scales cubically with respect to the number of training samples. In this article, we review recent advances in the kernel methods, with emphasis on scalability for massive problems.
著者
小林 巌 岩本 正敏 柴田 千陽 鎌田 貴之 布川 博士 宮崎 正俊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J81-D2, no.5, pp.954-961, 1998-05-25

肢体不自由ユーザを含んだ操作場面での利用を目的として,Table-Top型コンピュータについて検討した.Table-Topとは,複数のデバイスを用いて,複数のユーザが1台のコンピュータの操作をそれぞれが同時に行うことができるコンピュータ操作環境である.このTable-Topの実現モデルを考察し,モデルに基づきTable-Top型コンピュータのプロトタイプを試作した.このプロトタイプは,Windows95をOSとし,Table-Top用のアプリケーションを装備するコンピュータを本体としている.入力デバイスが2個のマウスであり,これらはI/O Device Network(I/O-DN)に接続されている.I/O-DNの管理や調整を行うために,プログラム可能なマイクロコントローラ(Microchip社製PIC16F84)を用いて作製されたI/O-DN ManagerがI/O-DNに接続される.コンピュータ本体とI/O-DN Managerの間はRS-232Cで接続し,通信制御によりI/O-DN Managerからデバイスの認識情報がコンピュータ本体に伝達される.簡単なアプリケーションを用いて,このプロトタイプを試用した結果,Table-Topの基礎的な機能が実現できることを確認した.考察では,このTable-Topの波及効果や課題について展望した.
著者
森野 比佐夫 後藤 敏行 田村 直良
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J85-D1, no.5, pp.402-410, 2002-05-01

点字楽譜は一般には五線譜として2次元的に表記される音楽情報を,点字を用いて表現するものである.本研究では,点字楽譜から五線譜を生成するための機能実現の第1段階として,点字楽譜の自動解析手法について検討を行った.点字楽譜を言語として見る場合,音符や曲想記号他の楽譜上の音楽情報を単語とする文と見ることができる.点字楽譜を計算機で解析するにあたって,単語(終端記号)が区切り記号のない不定長であり,単語に多義性があること,複数の修飾状態が交差することなど言語的な煩雑さを含むという問題がある.本論文では,点字楽譜のもつ問題や特殊性について議論するとともに,点字楽譜を文脈自由文法に基づく人工言語としてとらえ,言語処理の枠組みを用いた解析手法を提案する.更に,実際の点字楽譜を用いた評価実験の結果について報告する.
著者
石黒 勝彦 山田 武士 上田 修功
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.3, pp.371-381, 2009-03-01

従来の複数対象トラッキング手法は,すべての追跡対象について一つのダイナミックスモデルを適用することが多い.しかし,シーン内に存在するすべての対象が常に同一のダイナミックスに従うとは考えにくい.この問題に対処するためには複数のダイナミックスパターンが必要となるが,シーンの解析前に適切な数のダイナミックスパターンをすべて人手で決定することは困難であり,自動的に学習できることが望ましい.複数のダイナミックスパターンを学習する問題は,時系列データを複数のパターンにクラスタリングし,各クラスタごとに適切なパラメータを推定する問題ととらえることができる.本論文では,複数の移動対象をトラッキングするとともに,同時にそれらをクラスタリングしてダイナミックスモデルを学習する確率的な生成モデルを提案する.人工データ,及び実動画データを用いた実験を通じて,提案モデルがトラッキングとダイナミックスのクラスタリングを同時に実現可能であること,またトラッキング自体の性能も向上することを示した.
著者
櫻井 保志 Christos Faloutsos 山室 雅司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.3, pp.338-350, 2009-03-01

近年,データストリーム処理に関する研究が盛んに行われている.本論文は,ダイナミックタイムワーピング(DTW:Dynamic Time Warping)に基づいて,与えられた問合せシーケンスと類似した部分シーケンスをデータストリームから検出することを目的とする.DTWは時間軸上でのスケーリングを考慮した距離尺度であり,様々な分野で広く使われているが,主として有限長の蓄積データに用いられてきた.しかし,ネットワーク分析,センサ監視など,データ量が多く,緊急性が要求されるような最近のアプリケーションでは,すべてのデータを蓄積してから処理することが困難である.本論文では,このような問題を解決する手法であるSPRINGを提案する.更に理論的な分析を行い,精度を犠牲にしないにもかかわらず計算コストがデータストリームの長さに依存せず一定であることを証明する.様々な実データと人工データを用いた実験を行い,SPRINGがデータストリームから正確に部分シーケンスを検出し,そしてナイーブな手法と比較して大幅な性能向上を達成していることを明らかにした.