著者
大川 清孝 大庭 宏子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.636, 2017-05-24

定義 1977年に白壁ら1)の「大腸結核のX線診断」という論文により“潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯”という用語が初めて記載された.その後一般的な使用には冗長的であったため萎縮瘢痕帯という表現が慣用的に用いられ,現在に至る2).白壁らは手術を施行し総合的に腸結核と診断した47例の肉眼所見,X線造影所見,病理組織学的所見などを検討した.その結果,腸粘膜またはリンパ節に乾酪壊死がみられ結核と確定診断できた症例と,非乾酪性肉芽腫を認めた,あるいは肉芽腫を認めなかった症例において,共通した肉眼所見として萎縮瘢痕帯を見い出した.すなわち,乾酪壊死を認めなくても,萎縮瘢痕帯を認めた場合には腸結核と診断できる可能性が高いと述べた.また,萎縮瘢痕帯を示す結核以外の疾患はほぼないことも根拠とした.萎縮瘢痕帯とは炎症性ポリープの多発,潰瘍瘢痕の多発,萎縮した粘膜などで構成される区域性領域であり,治癒傾向の著明な腸結核病変を意味する3).
著者
諸橋 聡子 鬼島 宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.841-842, 2012-05-24

サイトケラチン(cytokeratin;CK)は,上皮細胞の細胞骨格を形成する中間フィラメントの1つで,その種類は約20種類に及ぶ1).中間フィラメントの分子構造は組織特異的であり,病理診断の免疫組織化学検査で頻用されている.vimentinは間葉由来の細胞とある種の神経外胚葉由来の細胞,desminは筋細胞,GFAPはニューログリア細胞の中間フィラメントである. サイトケラチンは,等電点によって酸性ケラチン(Type Iケラチン)と塩基性ケラチン(Type IIケラチン)に分けられ,両者はそれぞれ2本ずつのケラチン線維が4量体を形成した形で発現する.分子量による分類では,低分子ケラチン(40~64kD : CK7,8,17~20)と高分子ケラチン(48~67kD : CK1~6,9~16)に分けられる2)~4)(Table 1).皮膚の角化型扁平上皮で発現するCKの分子量が最も大きく,角膜や粘膜の非角化型扁平上皮が続き,腺上皮や重層扁平上皮の基底細胞は低分子ケラチンが主体を成す.
著者
西山 憲一 八尾 隆史 恒吉 正澄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1187-1189, 2001-08-25

非腫瘍性のリンパ組織 消化管に形成されるリンパ組織は,粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue;MALT)と呼ばれる反応性の二次リンパ濾胞である.これは,明るく見える胚中心(germinal center)と,その周囲をとりまくmantle zoneから構成される(Fig. 1a).胚中心には胚中心細胞(centrocyte)や核片貧食マクロファージ(tingible-body macrophage)など,様々な細胞が存在している(Fig. 1b).また,mantle zoneのBリンパ球は,CD5陽性であり,この細胞由来のリンパ腫がマントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma)で,しばしばMALTリンパ腫との鑑別が問題となる.mantle cell lymphomaはCD5陽性,cyclin D1陽性(MALTリンパ腫ではいずれも陰性)であることからも鑑別可能である.
著者
田中 健大 衣笠 秀明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.352-355, 2021-03-25

概念・定義 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL)は大細胞型B細胞のびまん性増殖から成る腫瘍であり,他に定義されたタイプの大細胞型B細胞リンパ腫の特徴を欠くものと定義される1).つまり,大細胞型B細胞性腫瘍のwaste basketとしての病型であり,雑多なリンパ腫の寄せ集めと考えるべきであるが,現実的には形質芽球性リンパ腫(plasmablastic lymphoma;PBL)やBurkittリンパ腫(Burkitt's lymphoma;BL)の除外が必要となる.MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫は粘膜関連リンパ組織に発生する低悪性度B細胞リンパ腫である1).
著者
田中 健大 衣笠 秀明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.356-358, 2021-03-25

概念・定義 マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma;MCL)は小型〜中型の成熟B細胞腫瘍で,多くはCD5陽性でt(11;14)によるcyclin D1の過剰発現がみられる1).濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma;FL)は濾胞中心のB細胞の腫瘍であり,典型的には濾胞状の構造を示す1).
著者
二村 聡 田邉 寛 小野 貴大 太田 敦子 久部 高司 岩下 明德
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.359-362, 2021-03-25

概念・定義 T細胞リンパ腫はT細胞(Tリンパ球)を正常対応細胞とするリンパ系腫瘍と定義される.これに基づくと,同疾患は未熟T細胞に近い性質を示す腫瘍細胞から成るTリンパ芽球性白血病/リンパ腫(T-lymphoblastic leukemia/lymphoma)と,より分化した成熟T細胞に近い性質を示す腫瘍細胞から成る末梢性T細胞リンパ腫(peripheral T-cell lymphoma;PTCL)に大別される.2016年に概要が公表され1),翌2017年に公刊された最新のWHO分類2)に掲載されているT細胞リンパ腫の病型・疾患単位の多くは,このPTCLに帰属する.なお,末梢性という用語はT細胞の分化・成熟段階において末梢に位置し,より分化・成熟しているという意味で使われており,決して腫瘍の発生部位を意味するものではない. 他稿で解説されているB細胞リンパ腫の各病型は,B細胞の生物学的な各分化段階と明確に関連づけられており,その分類はかなり整然としている.一方,胸腺以降の末梢性T細胞の細胞形態やリンパ組織における分布域はT細胞の分化段階とはあまり関連しておらず,T細胞リンパ腫では正常対応細胞が細胞形態学的にも免疫組織化学的にも容易に識別できない.このことがT細胞リンパ腫の分類をいっそう困難にしている.
著者
遠藤 宏樹 酒井 英嗣 日暮 琢磨 大久保 秀則 山田 英司 飯田 洋 野中 敬 古出 智子 稲森 正彦 高橋 宏和 中島 淳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.457-463, 2013-04-25

要旨 カプセル内視鏡によって,NSAIDs起因性小腸粘膜傷害の現状が明らかになってきた.NSAIDsは,小腸にびらん,潰瘍,絨毛欠損や出血など多彩な病変を引き起こし,原因不明の消化管出血の一因となりうる.また,NSAIDs長期服用者においては,小腸に輪状潰瘍・膜様狭窄という特徴的な所見を来すことがあり,カプセル内視鏡検査に注意を要することがある.NSAIDs起因性小腸潰瘍に対しては休薬が確実な治療であるが,治療後の評価もカプセル内視鏡ならば,簡便かつ低侵襲で行うことが可能である.カプセル内視鏡はNSAIDs起因性小腸粘膜傷害の診断や治療評価に有用であると考えられる.
著者
平井 郁仁
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.707, 2021-05-24

本稿では,主にCrohn病(Crohn's disease ; CD)の小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術(endoscopic balloon dilation ; EBD)について解説する.
著者
白壁 彦夫 碓井 芳樹 根来 孝 大橋 泰之 梁 承茂 韓 東植 松川 正明 小林 茂雄 丸山 俊秀
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.15-25, 1986-01-25

要旨 うまく二重造影すると,潰瘍性病変を変形でとらえるので,変形学が登場した.全体の変形は,胃,大腸など,それぞれに,また,局所の変形は全腸管に普遍的に使うことを,まず,述べた.そして,変形を使って検査,読影,診断するコツを全腸で比較した.更に,比較診断学の展開を虚血症候群について,X線所見の分析と総合の手法で行い,比較診断学の効果を述べた.二重造影法も,機能と二重造影のアベックの動きがある.
著者
山口 智子 松本 主之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.628, 2017-05-24

定義 cobblestone appearanceは敷石像,敷石様外観とも呼ばれ,Crohn病(Crohn's disease ; CD)の診断基準の主要所見のひとつに挙げられている.多発潰瘍の介在粘膜に玉石状の隆起が多発した状態であり,その呼称はあたかも大小の石を敷き詰めた歩道のようにみえることに由来する(Fig. 1,2)1).cobblestone appearanceは小腸・大腸の活動期CDの特徴とされるが,密在した炎症性ポリープもcobblestone appearanceと呼ばれる.しかし,この際は縦走潰瘍を伴わない.活動期CDでは,敷石像に一致して病理学的には粘膜下層の浮腫と高度の炎症細胞浸潤がみられる.通常,深部大腸にみられることが多く,小腸では典型的なcobblestone appearanceを呈する頻度は低い.しかし,他の小腸疾患でcobblestone appearanceを伴う疾患は少ないため,CDの小腸病変の診断において特異性の高い所見とも言える.高度のcobblestone appearanceは難治化の予測因子でもあり,高度もしくは広範囲のcobblestone appearanceを認める症例では,早期の抗TNFα抗体などの治療選択が必要と考えられる.

2 0 0 0 apple-core sign

著者
斉藤 裕輔 杉山 隆治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.640, 2017-05-24

定義 apple-core sign(アップルコアサイン)は小腸・大腸の2型進行癌のX線的特徴とされている(Fig. 1〜3).
著者
斉藤 裕輔 佐々木 貴弘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.647, 2017-05-24

定義 腸重積を示す注腸X線造影所見である.腸重積は腸管の一部が先進部となって腸蠕動とともに肛門側の腸管内腔に陥入し,腸管が重積状態となったもので,通過障害を来し絞扼性イレウスとなることが多い.重積の発生部位によって,①小腸─小腸型,②結腸─結腸型,③回腸─結腸型に分類されるが,頻度的には回腸─結腸型が最も多い1).
著者
河内 修司 蔵原 晃一 川崎 啓祐 大城 由美 高橋 郁雄 八板 弘樹 岡本 康治 永田 豊 澤野 美由紀 吉岡 翼 渕上 忠彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1318-1325, 2014-08-25

要旨 患者は26歳,男性.1歳時より難治性鉄欠乏性貧血,低蛋白血症を認め,18歳時に小腸型Crohn病と診断されていた.高度な貧血を認め,当センター入院となった.小腸X線造影検査では,中部小腸に非対称性の変形・狭窄が多発し,地図状のバリウム斑を認めた.小腸内視鏡検査では,ひだ集中を伴う境界明瞭な浅い類円形潰瘍,非同心円状の全周性潰瘍,斜走する潰瘍を認めた.小腸切除標本では,境界明瞭で平坦な輪走・斜走する地図状・テープ状の潰瘍が多発し,大部分がUl-IIまでの非特異的潰瘍または瘢痕であった.以上より,自験例は特徴的な臨床経過,X線造影・内視鏡所見,切除標本の肉眼・組織学的所見から非特異性多発性小腸潰瘍症と診断した.
著者
川崎 啓祐 蔵原 晃一 大城 由美 河内 修司 八板 弘樹 澤野 美由紀 森下 寿文 長末 智寛 阿部 洋文 渕上 忠彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1411-1419, 2015-10-25

要旨●患者は88歳,男性.主訴は下腹部痛.腹部造影CTにて腸閉塞と診断され入院加療となった.腸閉塞改善後の小腸X線造影検査では終末回腸に腸間膜付着対側を中心とする偏側性変形,偽憩室様変化を,小腸内視鏡検査では縦走から一部輪走する浅い潰瘍,狭小化を認めた.大腸内視鏡検査では盲腸には不整形の浅い潰瘍,回盲弁と上行結腸には輪状潰瘍を認めた.生検による病理組織学的検査,その他の培養,血液検査でも確定診断には至らなかったが,経口摂取後も腸閉塞症状を繰り返していたため回盲部切除術を施行した.病理組織学的所見は粘膜下層に存在する小型から中型の動脈周囲に,多核巨細胞を含む炎症細胞浸潤と肉芽腫様病変を認め,内弾性板の変性や断裂の所見も認められた.頭部症状がなく側頭動脈生検は施行していないが,年齢,赤沈値の亢進,巨細胞性動脈炎(GCA)に特徴的な病理組織像から,腸管に限局したnon-cranial GCAと診断した.GCAの消化管病変の報告は極めてまれであり,その特徴を明らかにするにはさらなる症例の蓄積に基づく検討を要する.

2 0 0 0 小腸 Case 1

著者
長末 智寛 蔵原 晃一 鳥巣 剛弘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1188-1194, 2021-08-25

臨床情報50歳代,男性.主訴は嘔吐.201X年8月より食後の嘔吐が出現し,徐々に増悪するため11月に近医を受診した.近医でのCTにて上部小腸に病変が疑われ,同年12月に当科に紹介され入院となった.入院時現症や血液検査所見に特記すべき異常所見はみられなかった.
著者
平田 敬 蔵原 晃一 大城 由美 八板 弘樹 浦岡 尚平 吉田 雄一朗 和智 博信 松塲 瞳 山元 英崇
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1103-1120, 2019-07-25

要旨●当科で病理組織学的に確定診断した十二指腸表在性上皮性腫瘍(NETを除く)52例54病変および腫瘍様病変18例18病変を対象として,その臨床的特徴を遡及的に検討した.上皮性腫瘍は粘液形質から腸型腫瘍17例17病変(腺腫15例,腺癌2例),胃腸混合型腫瘍8例8病変(腺腫5例,腺癌3例),胃型腫瘍27例29病変(腺腫12病変,NUMP 15病変,腺癌2病変)に分類された.腸型腫瘍および胃腸混合型腫瘍は25例中21例(84.0%)に白色化を伴っていた.胃型腫瘍の肉眼型はSMT様隆起が29病変中17病変(58.6%),0-I型が10病変(34.5%)であった.胃型腺腫およびNUMPの病変表面は過半数の症例で胃腺窩上皮様領域を面状に認めた.腫瘍様病変はBrunner腺過形成・過誤腫7例,腺窩上皮型過形成性ポリープ7例,Peutz-Jeghers型ポリープ4例が診断されていた.Brunner腺過形成・過誤腫7例中4例はSMT様の形態を呈し,5例は表層に胃腺窩上皮化生を伴っていた.十二指腸の内視鏡検査において,腸型腫瘍は白色化に着目することが病変の拾い上げに有用であるが,胃型腫瘍に関しては面状の胃腺窩上皮様領域を伴う孤在性の隆起に着目することが拾い上げ診断に有用な可能性がある.胃型腫瘍と胃型形質を呈する腫瘍様病変との内視鏡的鑑別は容易ではないが,ともに隆起の様相が目立つ病変が多いため術前生検による線維化の問題が少ないこと,加えて,術前生検の正診率も比較的高いことから,両者の鑑別には生検による病理組織学的な評価を組み合わせることが有用と考えた.
著者
辻 重継 中西 宏佳 津山 翔 片柳 和義 湊 宏 八尾 隆史 八尾 建史 土山 寿志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1121-1130, 2019-07-25

要旨●目的:表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)に関しては,内視鏡診断のみならず,病理組織学的診断についても明確な診断基準がない.今回は,低異型度高分化型上皮性腫瘍の細胞形質発現に基づく新たな病理組織学的診断アルゴリズムをgold standardとしてNBI併用拡大内視鏡(M-NBI)の診断能について検討した.方法:2008年10月〜2017年11月までに,生検未施行でM-NBIが実施され,内視鏡的切除が施行された34病変を対象とし,VSCSを用いたM-NBI診断能を後方視的に検討した.病理診断は低異型度高分化型上皮性腫瘍の細胞形質発現に基づく診断アルゴリズムに基づき,revised Vienna classificationでCategory 3(C3),Category 4(C4)に分類した.成績:C3 12病変vs C4 22病変であり,C4に対するM-NBIの診断能は,感度95.5%,特異度58.3%,正診率82.4%であった.しかし,M-NBIにてC3を癌と診断した限界病変が存在し,特に有茎性のC3 2病変においてはいずれもM-NBIにて癌と誤診した.有茎性病変を除いたM-NBIの診断能は,感度95.5%,特異度70.0%,正診率87.5%であった.結論:VSCSを用いたM-NBIは,SNADETの質的診断におけるoptical biopsyとして有用である可能性がある.しかし,内視鏡診断と病理組織学的診断の乖離例が存在し,今後より多数の症例を集積したうえでのさらなる検討が必要である.
著者
廣畑 俊成
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.568-575, 2021-05-01

慢性進行型神経ベーチェット病では,認知症様の精神神経症状や小脳性運動失調が徐々に進行し,寝たきりになる。脳脊髄液インターロイキン6(IL-6)が持続的に異常高値を示すとともにMRIで脳幹部の萎縮を認める。診断上は,不全型以上のベーチェット病の診断基準を満たすことが必須である。治療ではステロイドやアザチオプリン/シクロホスファミドは無効で,まずメトトレキサートによる治療を行い,効果不十分な場合はインフリキシマブを追加併用する。
著者
藤代 健太郎 吉川 浩一 宮坂 匠
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.976-980, 2008-09-15

検査の原理 超音波は水と同じ密度の物質で良好に伝播するが,骨に当たるとインピーダンスの違いからほとんどの信号が反射してしまう.しかし,2MHz程度の低い周波数の超音波を用いて,出力を上げると薄い骨を通して超音波が伝播することがわかり,その応用で頭蓋内の血流計測が行われている. 頭蓋骨の薄い部分は側頭骨にあり,目的とする中大脳動脈の血管走行と超音波ビームのなす角度が,ほぼ60°より小さな角度になるので,強い超音波ドプラ信号を得ることができる. 経頭蓋超音波法には経頭蓋超音波ドプラ法(transcranial Doppler ultrasonography,TCD),経頭蓋カラードプラ法(transcranial color flow imaging,TC-CFI)などがある.TCDでは2MHzの直径10mmの振動子を有するシングルプローブを用い頭蓋内動脈の血流速度を計測できる(図1).TC-CFIでは2~2.5MHzのセクタプローブを用い頭蓋内の血管の走行を確認できる(図2).
著者
木村 朗
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.333, 1992-05-15

那覇の黄昏は紫色に暮れ,美しい.沖縄で暮らし始めて1年,興味深い理学療法の状況をみている.研究の合間を縫っての,つかの間の臨床で,一面からしかとらえていないが.“ちゃんぷる”である. ちゃんぷるとは,素材を混ぜ合わせて炒めた料理を指すほかに,「混ぜる」の意味がある.困り事は「何でもリハ」,すなわち適応の有無が判断されないままのベルトコンベアー式指示と,治療方針の不明確な,「その他に丸」式処方が療法士部門に出され,「理学療法士の行なう理学療法」と「誰でもいいから理学療法らしいもの」がちゃんぷるされて,この両者に何の「差」も生じない構図である.