著者
林 まゆみ
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.435-438, 1999-03-30
参考文献数
26

中世末期から織豊期にみられる寺院や城郭の石垣普請には技術水準の高い土木,造園的職能の形成が示唆されている。本研究では,これら石垣普請の職能形成に関して,当時の日記や史料などからの検討や,土木作業にあたっていた散所といわれる階層を含む民や寺社の座の分析,また,現存する石垣の遺構を考察することなどを通じて,石垣普請に携わった職能の発展過程を検討した。その結果,石垣普請に関わる職能は大工や河原者などの職能形成には遅れるものの,権門寺社の石垣構築や佐々木六角氏や浅井氏などの戦国大名の居城建設等を契機として,散所の民や権門寺社お控えの職人層が各地で石垣を積み,技術力を高めそれらが安土城で集大成された後,秀吉の時代に棟梁化して石垣積みの穴太としての地位を高めていく過程が考察された。
著者
齊藤 まゆみ
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.7, pp.43-47, 2000

ステップ系の運動は、聴覚‐ 運動連合を発達させるものであり、聴覚のサポートにより音楽と動作を同期させ、運動をコントロールしている。しかし、聴覚に障害がある学生は、視覚情報に頼って運動をコントロールしなければならず、リズミカルな動きを苦手とする者が多いことが指摘されている1) 聴覚部では、エアロビクスダンスを教材とした保健体育授業を展開し、音楽をスポーツ感覚で取り入れ、踊ることの楽しさとリズミカルな動きやボディバランスの向上を図ることを目指してきた。そこで、基本のステップa をもとに5 種類の基本のステップを段階的に展開するエアロビクスダンスプログラムの教材としての検討を行った。その結果、技術的な面に着目すると、基本のステップa による技能レベル差は、その後のパフォーマンスレベルに大きく関与していることが示唆された。しかし、運動技能の低い者でも、持久力の面から十分効果が期待できる教材になることも示唆された。これらのことより、大学体育におけるエアロビクスダンスは、新しいステップの獲得、複雑な動きの獲得による達成感・楽しさだけでなく、体力・持久力の維持、向上という面でも達成感・楽しさを得ることができると考えられた。
著者
福武 まゆみ 岡田 初恵 太湯 好子
雑誌
川崎医療福祉学会誌 = Kawasaki medical welfare journal
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.174-184, 2013

本研究は,在宅で生活している高齢者夫婦の自身とその配偶者の死に対する意識および準備状況を明らかにすることを目的とした. 調査には70歳以上の在宅で生活している夫婦10組が参加した.調査内容は,(1)基本属性,(2)自分自身の死についての考え,(3)配偶者の死についての考え,(4)自分自身の死を想定しての準備についての考え,(5)配偶者の死を想定しての準備についての考えについて半構造化面接を実施した.分析には質的分析手法であるSCATを参考に,(1)データ中の注目すべき語句,(2)それを言いかえる為のデータ外の語句,(3)それを説明するための語句,(4)そこから浮き上がるテーマ・構成概念の順にコードを付していき,(4)のテーマ構成概念を紡いでストーリーラインを記述し,そこから理論記述を行った.その理論記述を,サブカテゴリーとして位置づけ,高齢者夫婦の死に対する意識と準備状況をカテゴリー化し,それをもとにコアカテゴリーとして示した. 結果,対象者の平均年齢は77.9歳であった.健康状態は,90%の人が「よい」「まあよい」と回答していた.高齢者夫婦の死に対する意識は,『死の迎え方を考える』,『考えることの先延ばし』,『死を現実として捉える』の3つのコアカテゴリーを抽出できた.また,高齢者夫婦の死に対する準備状況は,『準備をすることの迷い』,『夫婦で整える死への準備』,『予測のできない配偶者の死 と準備』の3つに整理できた.
著者
山本 文枝 西 まゆみ 藤沢 敏幸 船津 守久 Fumie Yamamoto Mayumi Nishi Toshiyuki Fujisawa Morihisa Funatsu
出版者
安田女子大学大学院
雑誌
安田女子大学大学院紀要 = The journal of the Graduate School, Yasuda Women's University (ISSN:24323772)
巻号頁・発行日
no.23, pp.127-140, 2018-03-31

大学など高等教育機関で発達障がいの学生は増加しており,中でも自閉症スペクトラムに代表される社会性の発達障がいが問題となっている。しかし学業面で問題がない学生は,学生相談等の支援につながりにくい。よって,大学教育で自閉症スペクトラムの大学生の存在に配慮した社会性やコミュニケーション能力の育成を目的とするカリキュラムの開発を検討する。その基礎資料を得るため本研究では,大学教員を対象に配慮や支援が必要な大学生に対する意識と取り組みについて調査を行った。その結果,発達障がいの知識の中でも自閉症スペクトラムの知識をあまり持たない教員が多かった。また自閉症スペクトラムの知識の程度によって,支援が必要な学生の存在への気づきや支援の取り組み状況に違いがみられた。学生の支援を進めていく上で,大学教員の発達障がいの学生に関する知識及び支援に関する情報提供が重要であることが示唆された。
著者
藤井 建夫 松原 まゆみ 伊藤 慶明 奥積 昌世
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.265-270, 1994-03-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
15
被引用文献数
14 18

To clarify the effect of microbes on the formation of amino acids during the ripening of squid shiokara, changes in the viable cell counts in 2.5% and 10% NaCl-BPG medium, 10% NaCl-PDA medium, and 10% NaCl-LBS medium, and amino acid contents etc. during ripening at 20°C were compared to shiokara containing 10% NaCl with and without antibiotics. Though the viable cell counts in the shiokara without antibiotics markedly increased during the ripening in contrast to those with antibiotics, neither the total nor the individual amounts of amino acids significantly differed between the samples, suggesting that microbes have a slight effect on the formation of amino acids. The initial bacterial flora of the shiokara without antibiotics were dominated by Staphylococcus, irrespective of the medium used for counting. The dominant flora in the later stage of ripening, however, differed depending on the media: Staphylococcus dominated on the 2.5% NaCl-BPG medium, while Micrococcus dominated and Streptococcus appeared in the deteriorating stage on the 10% NaCl-BPG medium.
著者
名川 勝 堀江 まゆみ 於保 真理
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.135-146, 2003-03

知的障害者の地域生活において遭遇する消費生活トラブルについて、質問紙調査及び事例によって検討した。一地域の親の会を対象とした調査では、他の種類と比べて消費生活に関するトラブル報告数はかなり少なかった。そのため、トラブルの種類や被害対象者の特徴などについて示唆を得ることが出来なかった。事例調査では、支援者からの聞き取りにより27例を収集した。トラブルは生活形態、被害内容(額)、経緯、事態確認と本人の意識、行われた対処、他相談機関の有無などによって整理され、それぞれの項目に添って事例を検討した。また被害意識の持たれ方について、若干の事例を検討した。最後に今後の研究課題として、基礎資料の整備、セイフティネットの在り方、支援方法の検討などを指摘した。
著者
今岡 達彦 勝部 孝則 川口 勇生 臺野 和広 土居 主尚 中島 徹夫 森岡 孝満 山田 裕 王 冰 神田 玲子 西村 まゆみ 二宮 康晴 村上 正弘 吉永 信治 柿沼 志津子
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.68-76, 2017 (Released:2017-07-29)
参考文献数
3
被引用文献数
4

Strategic research will be needed to unveil the uncertainty regarding the health effect of radiation at low dose and low dose rate. Recently, the National Council on Radiation Protection and Measurements (NCRP) published Commentary No. 24 dealing with the perspective of integrating radiation biology and epidemiology to address this issue. Results of radiation biology have not been effectively used for radiation risk assessment because 1) available epidemiological studies based on direct observation of human population have been considered to be the most relevant despite their uncertainties and 2) biological studies have not been conducted with their use in risk assessment in mind. The present paper summarizes the Commentary to present perspectives on integrating biology and epidemiology for radiation risk assessment.
著者
柳澤 佳恵 澤江 幸則 齊藤 まゆみ
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.335_1, 2016 (Released:2017-02-24)

在宅の知的障害者の多くは、日中活動の場として通所施設を利用している。約7割の事業所は、健康増進活動として何らかの運動やスポーツを実施していたが、その活動目的は、体力増進や健康保持が中心であった。一方で、休日の余暇の実態を見ると、テレビやビデオを見て過ごす時間が多く、事業所内で経験した活動が日常生活で生かされているとはいえない。事業所での健康増進活動が、普段の生活の中で継続していけるよう予め利用できる社会資源を活用していないこと、体力増進や健康保持が中心で、楽しみや今後の生活の広がりにまで目を向けて実施されていない可能性がある。事業所で実施する運動やスポーツは、リハビリテーションや運動量を確保することだけを目的とするのではなく、利用者が楽しみながら意欲的にかつ継続して活動できるように支援することが大切だといわれている。そこで本研究は、通所施設での健康増進活動の在り方を考察することを目的に、どのような活動、支援体制及び社会システム等が必要なのかを、実際に活動に携わっている施設職員、家族、当事者及びその関係者から、インタビュー調査を実施したので報告することにした。
著者
宮沢 まゆみ 舛谷 敬一 吉川 晃
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.278-280, 1989-11-30 (Released:2017-02-10)

パーソナルコンピュータのシミュレーションを利用してホログラムを製作し,これを光の干渉,回折の授業に取り入れることを考えた。ゾーンプレートを点光源からの光と平行光線による干渉縞とみなすと,最も簡単なホログラムとして扱える。従って,ゾーンプレートを教材にすれば,ホログラフィの基礎をわかりやすく学ぶことができる。パソコン・シミュレーションではゾーンプレートの製作は容易である。またシミュレーションでは点光源を複数個にすることが簡単にできるので,文字や数字などのホログラムも製作できる。
著者
下平 きみ子 伊藤 まゆみ
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.31-40, 2012
被引用文献数
2

<B>【目 的】</B> 一般病院で身体的治療を受ける認知症高齢者のケアを担う看護師への教育研修実施のための教育ニーズの把握と教育プログラム内容の抽出をする. <B>【対象と方法】</B> 急性期治療を行う2病院の整形外科病棟の看護師, 各6名に, フォーカス・グループインタビューを行い, 逐語録からデータを質的帰納的に分析した. <B>【結 果】</B> 「認知症高齢者のケアの困難」から8カテゴリ,「認知症高齢者のケアで心がけていること」から5カテゴリ,「教育研修について希望すること」から4カテゴリが抽出された. <B>【結 語】</B> 教育ニーズとしては, (1)認知症高齢者の状態の理解, (2)BPSD・危険行動の理解, (3)せん妄の理解, (4)認知症高齢者の世界の理解, (5)急性期病棟での具体的事例を用いて認知症高齢者のケア方法の理解, 教育プログラム内容は, (1)認知症の疾患・治療, (2)認知症高齢者の理解とアセスメントツール, (3)BPSD・危険行動の行動分析と介入の実際, (4)せん妄とその対応, (5)認知症患者の言動の意味, (6)認知症高齢者との関わり方, (7)認知症患者とのコミュニケーション, (8)急性期病棟での事例を通した看護過程の展開, が抽出された.
著者
五十嵐 敏文 上田 貴宏 洞 秀幸 城 まゆみ 加藤 欣也 三代 雅崇 工藤 元
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2_3, pp.60-64, 2014-02-01 (Released:2015-02-01)
参考文献数
11

Horonobe Underground Research Center, located in northern Hokkaido, Japan, has been excavating shafts of underground research laboratory for R&D of radioactive waste disposal. In this site, the groundwater seepage from the shafts and leachate from the waste rock storage site contain high concentrations of total nitrogen. Ammoniumnitrogen, the major chemical species of nitrogen in the seepage and leachate, has been treated by the effluent treatment facility. However, the ammonium-nitrogen is transformed to nitrite- and nitrate-nitrogen (nitrification products) by nitrification. As a result, the concentrations of total nitrogen increase to the effluent guideline due to nitrification. Therefore, column experiments were carried out to understand the phenomena and the factors affecting the leaching behavior of nitrification products. The result showed that the nitrification was inhibited when the column layer was almost saturated, and that the nitrification occurred near the surface of waste rocks, in particular, at 25℃. These results indicate that nitrification can be mitigated by controlling the hydrological conditions in the waste rock storage site.