著者
西村 まゆみ 島田 義也 今岡 達彦 柿沼 志津子 臺野 和広
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

原爆被爆者や放射線治療患者の疫学調査は、乳腺は放射線による発がんリスクが高い臓器であることを示している。国際宇宙ステーションでは生物学的効果比が高い中性子線の被ばく線量が高く、女性宇宙飛行士の放射線防護には中性子線の影響を考慮する必要がある。また、乳がんリスクは出産経験に大きく左右されるが、放射線による乳がんリスクの情報は少ない。本研究では、ラットを用いてγ線や中性子線による乳がんリスクが妊娠経験によって低減するかを検討した。その結果、出産経験は乳がんの自然発生率を変えなかったが、γ線(4Gy)および中性子線(0.05-0.5Gy)で誘発される乳がんを、ほぼ完璧に抑制することが明らかとなった。
著者
井上 史雄 宇佐美 まゆみ 武田 拓 半沢 康 日高 水穂 加藤 和夫 今村 かほる
出版者
明海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、日本海側に分布する諸方言の地理的年齢的動態に着目して、総合的な実態調査を行った。線状の地域で年齢別にことばを調べて図化する「グロットグラム」(地理×年齢図)の手法は、日本方言学が独自に開発した、世界に誇るべき新技法である。本研究では、共同の現地調査により、日本海側のことばの動きを明らかにし得た。第1年度は、異なった機関に属していた研究者が、多様な研究手法を統一する手法について打合せを行った。また、各自がこれまで実施してきた調査との連続性を図るために、各地で継続調査を行なった。また全体調査の項目選定のための準備調査を行った。各分担者の調査地域を調整し、調査時期・調査技法の統合も行った。第2年度には、日本海ぞいの多数地点でグロットグラム(地理×年齢図)のための実地調査を行った。調査員としては、分担者および方言研究の経験のある協力者(小中高の教師)や大学院生・ゼミ生が参加した。データは調査終了後すぐにコード化した。各分担者のデータを統合し、配布した。第3年度には、グロットグラムのための実地調査を継続し、計画地点のデータを得た。分担を決めて、グロットグラムの図を作成した。集計に各分担者のもとのパーソナルコンピュータを利用することにより、グロットグラムも迅速に作製できた。日本海側各県で新方言・気づかない方言の使用状況に顕著な地域差がみられた。以前の調査の結果と対比することにより、太平洋側との様相の違い、東京からの影響の違いなどを確認できた。関連テーマの資料を合わせて年末に報告書を作成し、国内の方言研究者、言語変化の研究者に配布した。これにより、今後の関連調査の解説に役立つことと期待される。また成果の一部は夏の方言学国際会議(カナダ)で発表した。
著者
今井 小の実 寺本 尚美 陳 礼美 大塩 まゆみ アンベッケン エルスマリー 孫 良 サンド アンブリット
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本における”ケア”労働に関するジェンダー公平な政策を展望するために、ジェンダー平等な国と評価されるスウェーデンを指標に研究を進めてきた。具体的には高齢者介護、育児政策に焦点をあて、その現状と課題を現地調査、スウェーデン在住の研究協力者との共同研究により明らかにした。そのうえで、日本の現在の制度・政策との比較を試み、両国の相違をもたらす要因について考察を深めた。その一つとして、スウェーデンのケアに関わる政策、つまり家族政策形成の歴史を検証し、日本との比較を行った。これらの研究は、今後日本がジェンダー平等な政策を展開していく上での貴重な材料となるはずで一定の成果が得られたと考える。
著者
宮崎 まゆみ
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

奈良時代に中国より箏およびその音楽が伝来し、その後、平安時代に隆盛した宮廷箏曲、安土桃山時代に誕生した筑紫箏曲、江戸時代初期に誕生した当道箏曲、明治時代に一部の宮廷箏曲を改変整備した雅楽箏曲、大正時代に当道箏曲から発展誕生した近代箏曲、近代箏曲の延長線上にある現代箏曲の、各奏法の相違点、特徴等を抽出し、それらが各箏曲の音楽的特徴を決定づけた要因の重要な要素となっていることを立証した。
著者
畑江 敬子 飛松 聡子 竹山 まゆみ 松本 重一郎
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.2001-2007, 1986
被引用文献数
30 134

Contribution of the connective tissue content on the meat texture of fish species was studied. Firmness of texturometer tests and collagen content of the raw and cooked dorsal muscles of five fish species were determined. Five species selected were skipjack, flying fish, common horse mackerel, plaice and channel rock fish. The firmness value of raw meat varied in a decreasing order: plaice, channel rock fish, flying fish, skipjack, and common horse mackerel. That of cooked meat varied in a decreasing order: skipjack, flying fish, common horse mackerel, plaiceand channel rock fish. The order of the above series was in reverse between raw meat and cooked meat. The species with softer raw meat textures, on cooking gave a firmer texture.<br> The amount of connective tissues as expressed by collagen content was determined on the muscle portion as the same with the texture measurements. Higher the collagen content, firmer the raw meat. There was a significant correlation (r: 0.697) between the collagen content and the firmness. The species with firmer raw meat texture contained higher collagen content than the species with softer texture. The amount of water soluble collagen at 20°C pH 7.0, assumed as an index of the exuding collagen during mustication, increased with the decrease of the firmness of raw meat (r: 0.650). The amount of water insoluble collagen gave higher correlation coe-fficient(r: 0.744) with the firmness. These results suggest that the properties and/or composition of collagen is varied by spies.<br> However, between the cooked meat and the collagen content, such relationships was hardly recognized, and this was attributed to the collagen which is solubilized during cooking. There was no appreciable correlation between the amount of water soluble collagen at 70°C and the fumness of cooked meat, though cooked beef muscle has been reported to give such correlation.<br> The connective tissue proteins must contribute to the raw meat texture, while the cooked meat texture does not depend upon the connective tissue proteins, but, probably on the other factors, like the muscle fiber characteristics as reported before.
著者
赤星 まゆみ
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.218-230, 2012-12-25

1880年代からフランスの保育学校は,2〜6歳の子どもを受け入れる初等教育制度の一環にある。今日,ほとんどすべての3歳児が保育学校に通っている。また2歳児の割合は,1990年代には,ほぼ35%であったが,最近は低下し,2010年には13.6%になった。保育学校はフランスの教育制度に独自なものであるとともに,幼児期の保育サービスとしても重要な役割を果たしている。しかし,近年,2歳児の保育学校就学が,教育的にも経済的にも大きな政治的論争点になっている。本稿は,フランスにおける最近の保育学校の政策的な論議がいかなるものであるか,その本質的な問題点を,その歴史的側面と現状を踏まえて考察することを目的とする。
著者
宇佐美 まゆみ 林 俊成 西郡 仁朗 鎌田 修 由井 紀久子 木林 理恵 黄 美花 品川 覚
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

『BTSJによる日本語会話コーパス(トランスクリプト・音声)2015年版』(333会話、約78時間)、話者同士の関係等の会話の社会的要因、及び「自然会話教材作成支援システム」機能を組み込んで、自然会話コーパスと自然会話教材のリソースとなりうる自然会話データの保存の一元化を行い、「共同構築型データベース」として「自然会話リソースバンク(Natural Conversation Resource Bank: NCRB)」の基盤を構築した。また、『BTSJ文字化入力支援・自動集計・複数ファイル自動集計システムセット(2015年版)』を完成し、語用論、対人コミュニケーション研究の効率化を実現した.
著者
大塩 まゆみ
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.91-102, 2012-01-20

本稿は,子どものウェルビーイングに関する先行研究のレビューとして,保育政策の動向に関する著作を取り上げ,最近の保育制度改革の問題点と課題を明らかにするものである。まず保育制度改革を批判する2点の著作を紹介する。これらは,昨今の保育政策の規制緩和・民営化等の問題点を指摘し,ナショナルミニマムの重要性を説いている。次に,児童福祉専門の二人の研究者の著作を検討する。これらに共通する特徴は,地域分権や地域福祉を強調していること,公的保育所に内発的改善を求めていることである。しかし,後者の研究には,いくつかの疑問が生じる。これらの文献の考察から,最近の保育制度改革には不安材料が多いと,結論づける。今後の課題は,人生のスタート時点の保育を社会発農の投資と考え公費を捻出・投入すること,経済優先からHuman Life(生命・生活・人生)重視の政策へと重点を変えることである。
著者
東海林 まゆみ
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

水の波の分岐問題に関し、従来の研究でやり残したいくつかの間題を再度取り上げてみた。その結果本研究では、渦あり流れの数値シミュレーションにおいて下記のような成果を得た。渦度分布を種々に変化させて分岐解を数値計算し、以前の研究結果と合わせて極限波形状を調査・分類することが目的である。自由境界領域における渦あり問題を数値計算するのにはZeidlerの方法を用いた。しかし数値実験を進める過程で、この方法では計算できない(closed eddyが生じる)場合があることがわかった。現在までに渦度一定の場合にclosed eddyが存在することはわかっているが、一般の渦度分布でも発生し得るのか、またその場合にはどのような解決策があるか、は今後の課題である。ここでは計算可能な場合について差分法で数値シミュレーションを行い、いくつかの結果を得た。深さは有限の場合のみを扱った。無限深さの場合にはプログラミング上の問題が解決できていない。これも今後の課題である。本研究で得た計算結果は、下記の通りである。以下、渦度関数は常に正または負で、定数あるいは水深とともに減衰するような関数を考えた。たとえ僅かでも表面張力が働く場合には、渦度分布をどのように与えても極限波はすべてoverhanging typeあるいはoverlapped typeになった。一方重力波で渦度が水深とともに減衰する場合には、cornerあるいはcuspを持つ極限波となる。また重力波で渦度一定の場合には、極限波に至る途中でoverhanging typeの波形が現れ、その後cornerを持つ極限波に至る。これまでの数値実験によると、重力波においてこのようなoverhanging typeの波形が現れるのはこの渦度一定の場合のみであった。これは注目すべき現象であり、今後更に検討していきたいと考えている。以上の研究成果は、2004年11月台北の科学院数学研究所で開催された研究集会において発表した。更に2,3のデータを揃えた上で論文としてまとめる予定である。
著者
伊藤 まゆみ
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (カウンセリング科学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6551号)
著者
林 まゆみ
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.829-834, 2009
被引用文献数
3

国内では、成熟社会を迎える中、地域の活性化を目指した公園の利活用や地方自治法の改正による指定管理者制度の導入を踏まえた管理運営のあり方等について、各地で模索が続いている。公園の管理運営を目的とした管理運営計画(以下PMPとする)は、現在では一元化した制度による位置づけはまだなされていない。PMPに関しての先進的事例として、筆者はニュージーランド(以下NZとする)に着目した。NZは日本の約3分の2(270,500平方km)の広さの国土に、2008年9月21日現在、人口が約427万87百人と我が国と比べると少なく、緑豊かな国である。人口密度は15.8人/平方kmであるが、オークランド、ウエリントン、クライストチャーチの3都市を合わせると約197万人になる。国全体としての入口密度は低いが、大都市に集中している。本論ではNZ独自の風土や背景のもと、多層的な法制度上に成り立つ『参画と協働』の仕組みによるPMPの策定を有用な情報として示し、今後我が国でもPMPの策定がより進展するための指針となることが重要な目的の一つである。
著者
Hwang Jin Yeon 北川 隆司 鈴木 盛久 林 武広 山崎 博史 地下 まゆみ 鳥居 赳志
出版者
日本粘土学会
雑誌
粘土科学 (ISSN:04706455)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.197-205, 2004-05-26
参考文献数
25
被引用文献数
2

Typhoon "Rusa" (No.0215) attacked the Republic of Korea from August 31 to September 1, 2002. Depended on this typhoon, the heavy rainfall was brought through the Korean Peninsula. In Particularly, 100mm of hourly precipitation and 870mm of one day precipitation were recorded on August 31 in Kangnung where is located in the north-east of Korea. The accumulated precipitation at Kangnung amounted to 898mm from August 30 to September 1. During heavy rainfall, many slope failures occurred. The one failured slope was investigated in this study to make clear the mechanism of slope failure with special attention to clay veins developed on it by means of X-ray diffraction, optical microscope, scanning electron microscope, transmission electron microscope and computer simulation.
著者
原田 康也 前坊香菜子 河村 まゆみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.69, pp.1-8, 2007-07-07
参考文献数
12
被引用文献数
5

本発表においては2007年2月17日コンピュータと教育研究会CE-88 (24)『学習者プロファイルに基づく学習者音声コーパス構築を目指して』において報告した研究プロジェクトのその後の進捗状況を報告する。本研究プロジェクトでは、2003年5月16日コンピュータと教育研究会CE-69 (3)『エーワンのマルチカードを用いた英語応答練習』にて報告した応答練習を中心とする授業中の学習活動を2005年6月18日コンピュータと教育研究会CE-80 (4)『対面での応答を重視した英語学習活動と発話収録装置の試作と試用』にて報告したマルチトラック・ハードディスク・レコーダにて音声収録するとともにならびにCE-88 (24)『VALIS:学習者プロファイルに基づく学習者音声コーパス構築を目指して』において報告したブルートゥース・ワイヤレス・マイクとハードディスク・ビデオカメラを用いて音声画像の収録を進めている。本プロジェクトで収録している音声データはきわめて多量であるため、その大部分を対象とすることは本プロジェクトの期間と予算から不可能であるが、将来的な作業の見通しを付けるために、発話データの書き起こしを試行している。本稿では、これに際して検討すべき事項の整理と現在進めている試行的な書き起こしの途中経過を報告する。The first author has implemented college English classes emphasizing face-to-face oral interactions within small groups of students in class, presupposing and expecting further cultivation of learners' ability to learn for themselves, by themselves and among themselves. Previous experiences confirm such expectations, and the authors are currently working on compiling spoken corpora of learners' interactions with relatively high-quality audio and video recordings of those interactions. In this second installment of interim reports, we touch on our transcription procedures and possible tools, further detailing our recording procedures and project goals. It is interesting to notice, in passing, how introduction of digital audio recorder with cabled microphones and digital hard-disk video cameras with Bluetooth wireless microphones positively affect students' motivations and performances in those practices.