著者
澤田 まゆみ 山下 智子 鷹野 恵 Yamashita Tomoko 鷹野 恵 Takano Megumi
出版者
新島学園短期大学
雑誌
新島学園短期大学紀要 (ISSN:18802141)
巻号頁・発行日
no.39, pp.93-105, 2018

新島学園短期大学における賛美歌をとおした諸活動を概観し、その中でも2013年度から学内外、地域との連携によって始まった「桜ヴォーチェ」の活動を振り返る。大学と地域・国際交流の試みとして行ってきた約5年間のとりくみについて、その目的や課題を整理し、今後の活動体制や方法について方向性を探った。
著者
高畠 貴志 柿沼 志津子 廣内 篤久 中村 正子 藤川 勝義 西村 まゆみ 小木曽 洋一 島田 義也 田中 公夫
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第50回大会
巻号頁・発行日
pp.153, 2007 (Released:2007-10-20)

放射線誘発胸腺リンパ腫は、放射線発がんメカニズムの解析だけでなく、発がん感受性に影響する遺伝的要因についての研究にも有用なモデル実験系である。我々は、放射線誘発胸腺リンパ腫を誘発しやすいC57BL/6系統、誘発しにくいC3H系統、およびこれらを親とし比較的誘発しやすいC3B6F1系統とB6C3F1系統で放射線誘発した胸腺リンパ腫を対象として、DNAコピー数の異常をゲノム網羅的にアレイCGH法で解析した。胸腺リンパ腫発症に関与することが知られているIkarosやBcl11bなどの遺伝子座での変異や15番染色体のトリソミー以外に、5番染色体、10番染色体、16番染色体での異常が系統依存的に高頻度であること、および、14番染色体のトリソミーが系統によらず高頻度であることを見出した。さらに、T細胞受容体ベーター遺伝子領域の2つの対立遺伝子で共に遺伝子再構成が生じている頻度は、C3H系統でのリンパ腫より、C57BL/6系統でのリンパ腫で高頻度に検出された。このことから、C57BL/6系統では異常なV(D)J組換えを起こしやすいためにリンパ腫を誘発しやすい、という可能性が示唆された。また、C3B6F1系統やB6C3F1系統でのリンパ腫における、これら各種異常の頻度や染色体上での異常頻発領域の分布は、C57BL/6系統で誘発されたリンパ腫についての結果と似ていた。さらに、F1系統での腫瘍についてのヘテロ接合性消失の解析と合わせると、IkarosやBcl11b遺伝子座でのヘテロ接合性消失は主として欠失型異常により生じ、他方Cdkn2やPten遺伝子座では主として片親性ダイソミーにより生じると示唆された。これらの結果は、放射線によりリンパ腫が誘発される際に変異が蓄積される機構や、放射線により胸腺リンパ腫を誘発しやすい系統と誘発し難い系統が存在することの原因を知る上で重要な知見となる。本研究は青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。
著者
甘崎 佳子 柿沼 志津子 古渡 礼恵 山内 一己 西村 まゆみ 今岡 達彦 有吉 健太郎 渡邊 正己 島田 義也
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第50回大会
巻号頁・発行日
pp.167, 2007 (Released:2007-10-20)

【目的】放射線照射によって生じる長寿命ラジカルは、培養細胞の系において遅延型の点突然変異を誘発し細胞をがん化させるが、放射線照射後にビタミンC(VC)を添加すると突然変異頻度が低下し、がん化が抑制されることが報告されている。しかし、放射線発がんにおける長寿命ラジカルの関与について、動物を用いて検証した報告は少ない。そこで本研究では、マウスの放射線誘発胸腺リンパ腫(TL)の系を用いて、放射線照射後にVCを投与した場合のTL発生率とがん関連遺伝子の変異パターンを解析し、放射線誘発TL発生における長寿命ラジカルの関与について明らかにすることを目的とした。 【材料と方法】4週齢B6C3F1マウス(雌)に、X線1.4 Gyを1週間間隔で4回照射しTLを誘発した。VCは生体内半減期の長い誘導体Sodium-L-ascorbyl-2 phosphate(共立薬科大学小林静子先生より供与)を100mg/kg腹空投与した。実験群は、1) X線単独(X線)、2) X線照射直後に毎回VC投与(X+VC)、3) X線照射直後に毎回VCを投与しさらに継続して毎週1回(3ヶ月間)VC投与(X+VC継続)の3群を設定し、各群における照射後生存日数とTLの発生率を調べた。また、放射線誘発TLにおいて変異パターンが明らかとなっているがん抑制遺伝子Ikarosの遺伝子発現、点突然変異およびタンパクの発現を解析した。 【結果】照射後の生存日数は、X線群と比較してX+ VC群ではやや短くなる傾向を示したが、X+VC継続群では長くなった。また生後400日におけるTLの発生率もX+VC継続群で若干低下した。さらに、Ikarosの変異解析の結果、X+VC継続群ではIkaros遺伝子の点突然変異が認められなかった。以上の結果から、マウスの放射線誘発TL発生に長寿命ラジカルが関与している可能性があることが示唆された。
著者
阿部 真由子 中島 まゆみ 木村 郁美 中野 はる代
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第58回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.96, 2009 (Released:2010-03-19)

〈はじめに〉年間平均10件の頸部郭清術が行われている。 今回,頸部リンパ節郭清を受けた患者から,退院間近に頸 部から肩,上肢にかけての疼痛と上肢の挙上困難の訴えが 聞かれ,また,家族より退院後の生活についての不安が聞 かれた。このことから,早期からの退院指導が必要である と感じ,頸部リンパ節郭清術後の退院後の患者の精神的・ 身体的・社会的苦痛について調査し明らかにした。 〈研究方法〉頸部リンパ節郭清を受け,現在腫瘍外来に通 院中の20名に対し,半構成質問紙法で調査を行った。 倫理的配慮では研究の主旨説明,プライバシーの保護, データを研究以外に用いないことを書面で説明し,署名で の同意を得た。 〈結果〉予測されていた肩,上肢の疼痛,可動域制限から 手に力が入りにくく,フライパンを握りづらい,運転時な ど後方確認などの振り向き動作が難しかったなどの日常生 活の苦痛が聞かれた。 〈考察〉患者の生活背景や性別により,個別の苦痛などが ある。入院中には気付かなかったことが退院後に明らかに なることがあり,早期から患者のライフスタイルに合わせ た指導,助言が重要である。退院の方向性がみえ医師と相 談した上で試験外泊を行ってもらい,患者・家族が不安を 軽減し退院できる援助が必要である。 〈おわりに〉今回インタビュー調査した事で退院後の患者 の現状を知る事ができた。スタッフ各々が患者の状態を把 握し,個別性を考えた指導が出来ることが重要である。そ のためにはアンケート結果を基にしたパンフレットを検討 していく必要がある。
著者
塩入 とも子 中野 和美 塩原 まゆみ 横山 俊樹
出版者
信州大学医学部附属病院看護部
雑誌
信州大学医学部附属病院看護研究集録 (ISSN:13433059)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.46-49, 2008-03

今回、特発性肺線維症(IPF)の急性増悪をきたした患者に対し、陽・陰圧体外式人工呼吸器(RTX[○!R])が有効であった症例を経験した。本人の主訴として呼吸困難と排痰困難の自覚症状があったが、RTX[○!R]の排痰モードおよびコントロールモードの使用により呼吸筋疲労の軽減や排痰の介助に効果が認められた。また、医師・看護師・理学療法士などがチームとなって積極的に関わることができ、患者の満足感もえられた。
著者
李 樹華 林 まゆみ
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.385-390, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9

唐代は中国文化・芸術が大発展を遂げた時代であったが, 同時に庭園事業も全盛の時期でもあった。唐の時代は中国庭園史上に極めて重要な位置を占めている。本研究では,「唐詩類苑」,「古今図書集成」草木典など8文献資料を調べ, 唐代における庭園植物や植栽形式について考察を試みたものである。成果としては、当時の庭園に植えられた針葉樹類, 広葉樹類, 花木類, 竹・ヤシ類, 草花類及び果樹類, 薬草類の種類を明らかにした上で, それらの庭園植物の植栽形式と植栽場所も同時に検討し, 更に唐代における中国庭園の伝統的な植栽法の「松竹梅」,「桃紅柳緑」,「玉堂春富貴」及び「梅蘭竹菊」に関しても考察を行った。
著者
関沢 まゆみ
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.513-542, 2003-10

本論は信仰と宗教の関係論への一つの試みである。フランスのブルターニュ地方にはパルドン(pardon)祭りと呼ばれるキリスト教的色彩の強い伝統行事が伝えられている。それらの中には聖泉信仰や聖石信仰など多様な民俗信仰(croyances populaires)との結びつきをその特徴とするいくつかのタイプが存在するが,なかでもtantadと呼ばれる火を焚く行事を含むタイプが注目される。フィニステール北部に位置するSaint-Jean-du-Doigtのパルドン祭りはその典型例であるが,聖なる十字架がtantadの紅炎の中で焼かれる光景は衝撃的である。ブルターニュ各地のパルドン祭りにおけるtantadの火の由来を考える上で参考になるのは,夏至の夜の「サン・ジャンの火」(feu de la saint Jean)の習俗である。この両者の比較により,以下のことが明らかとなった。伝統的な習俗としては夏至の火の伝承が基盤的であり,そこにパルドン祭りという教会の儀礼が季節的にも重なってきて,パルドン祭りの中にtantadの火として位置づけられたものと考えられる。伝統的な「夏至の火」には,先祖の霊が暖まる,眼病を治す,病気や悪いことを焼却する,という信仰的な側面が確認されるが,それは火の有する暖熱,光明,焼却という3つの基本的属性に対応するものである。また,tantadの火を含まない諸事例をも含めての各地のパルドン祭りの調査分析の結果,明らかになったのは以下の点である。パルドン祭りの構成要素として不可欠なのは,シャペルの存在と聖人信仰(reliques信仰),そしてプロセシオン(procession)である。パルドン祭りはカトリックの教義にのみ基づく宗教行事ではなく,ブルターニュの伝統的な民俗信仰の存在を前提としながら,それらの諸要素を取り込みつつ,カトリック教会中心の宗教行事として構成され伝承されてきた。したがって,パルドン祭りの伝承の多様性の中にこそ伝統的な民俗信仰の主要な要素を抽出することができる。火をめぐる信仰もその一つであり,キリスト教カトリックの宗教行事が逆に伝統的な民俗信仰の保存伝承装置としての機能をも果してきているということができるのである。
著者
大塩 まゆみ 平岡 公一
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.5-15, 2018

<p> 本号の特集「福祉の市場化を問う」は,本学会第134回(2017年度春季)大会の共通論題での報告をもとにして執筆された4本の論文を中心に構成される。本稿は,この共通論題の企画の趣旨・背景と報告の概要を紹介するとともに,そこで提起された政策展開および研究に関わる課題と展望について座長の立場からの考察を行ったものである。政策上の課題については,市場化に伴う公的責任の後退のなかで,サービス利用機会の格差,消費者被害等の利用者側に生じた問題,および,福祉・介護分野の雇用の不安定化や低賃金,人手不足等の事業所・労働者側に生じた問題を指摘し,賃金引き上げ・労働条件の改善,介護職等の専門性の向上等の課題を提起した。研究上の課題と展望については,市場化改革の多様性と文脈の理解,サードセクター・非営利セクターの多様性と変化の検討,新たな福祉文化への着目,福祉の市場化のなかでの労働の変化の検討等の論点について検討した。</p>
著者
甘崎 佳子 平野 しのぶ 中田 章史 高畠 貴志 山内 一己 西村 まゆみ 吉田 光明 島田 義也 柿沼 志津子
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.274, 2010

【目的】CTやPETなど放射線技術の進歩は子どもの医療に大きく貢献してきた。その一方で、子どもは放射線の感受性が高く被ばく後の人生も長いなど、将来の発がんリスクが心配されている。しかし、胎児・子ども期における放射線被ばくと発がんリスクに関する詳細な情報は少ない。本研究では、子ども期被ばくによる発がんメカニズムの特徴を明らかにするため、異なる年齢でX線照射して誘発したマウス胸腺リンパ腫において、がん抑制遺伝子<i>Ikaros</i>の変異解析を中心に発がんメカニズムの相違を解析した。<br>【材料と方法】1週齢、4週齢、8週齢のB6C3F1雌マウス(各群50匹)に、X線(0.4, 0.8, 1.0, 1.2Gy)を1週間間隔で4回照射して胸腺リンパ腫を誘発した。さらに、得られた胸腺リンパ腫について染色体異常解析、がん関連遺伝子の変異解析を行った。<br>【結果】(1) 胸腺リンパ腫の発生率は1週齢照射群で高頻度に増加すると予想したが、1.2Gy4回照射で 1週齢は28%、4週齢は36%、8週齢は24%で有意差は認められなかった。(2)染色体異常は、1週齢照射群では12番染色体の介在欠失と不均衡型転座による欠失型異常(<i>Bcl11b</i>領域を含む)が、一方4週齢照射群では11番染色体の介在欠失と12番染色体の不均衡型による欠失型異常がそれぞれ認められた。また、15番染色体のトリソミーは両群に観察された。 (3) 1週齢照射群における11番染色体のLOH頻度(25%)は、4週齢(43%)・8週齢(36%)と比べて低く、逆に19番染色体では高かった(1週齢52%、4週齢17%、8週齢11%)。また、11番染色体にマップされている<i>Ikaros</i>の変異頻度は、1週齢照射群(25%)では4週齢(33%)・8週齢照射群(57%)と比較して低かった。<br>【考察】1週齢照射群では11番染色体の染色体異常やLOH、<i>Ikaros</i>変異は少なく、逆に19番染色体のLOHは高頻度に観察され、4週齢・8週齢照射群とは異なる特徴を示した。すなわち、被ばく時年齢によって胸腺リンパ腫の発がんメカニズムが異なる可能性が示唆された。
著者
坂井 謙介 林 まゆみ 平田 富士男
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.217-222, 2003

Recently the tourism for the purpose of exchange and experience has gained attention, However this tourism is not so popular. It is because of the negative hospitality and the shortage of tour information of tour hosts, the feeling of comparatively high hotel charges, and a tour program that does not fit a tourist's needs, The aim of this study is to clarify the difference the consciousness of tourist and tour hosts to the tour program and to suggest the way this tourism should be in the future. The method of study is by interview, questionnaire, and monitor tour. As the result, the difference between the consciousness of tourist and tour hosts became clear. In order to improve it, We suggest the necessity of the system to coordinate between tourist and tour hosts.
著者
小松 真一 土本 まゆみ 松井 元 真木 一茂 松本 峰男
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S5-3, 2014 (Released:2014-08-26)

治療用ペプチドワクチンを含む「治療用がんワクチン」は、がんの治療法として、外科的療法、放射線療法、化学療法に次ぐ「第4の治療法」として期待されているが、未だ臨床試験において主要評価項目を達成した能動免疫療法に該当する「治療用がんワクチン」は承認されていない。治療用ペプチドワクチンを対象とした非臨床安全性評価に関するガイドラインは、いまだ国内外を問わず存在しない。また、WHOのGuidelines on the nonclinical evaluation of vaccine adjuvants and adjuvanted vaccines(2013)では、原則のいくつかが、がんなどに対するアジュバント添加治療ワクチンの非臨床試験にも当てはまるかもしれないとされているに過ぎない。厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)「ワクチンの非臨床研究ガイドライン策定に関する調査研究」の活動として、治療用ペプチドワクチンのための非臨床安全性試験について検討した。今回、研究成果として投稿した“Considerations for non-clinical safety studies of therapeutic peptide vaccines”(治療用ペプチドワクチンのための非臨床安全性試験に関するコンシダレーションペーパー)を基に、調査研究班が考えた治療用ペプチドワクチンのための非臨床安全性試験について解説する。
著者
関沢 まゆみ
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.178, pp.203-236, 2013-03

本稿は,近年の戦後民俗学の認識論批判を受けて,柳田國男が構想していた民俗学の基本であっ た民俗の変遷論への再注目から,柳田の提唱した比較研究法の活用の実践例を提出するものであ る。第一に,戦後の民俗学が民俗の変遷論を無視した点で柳田が構想した民俗学とは別の硬直化し たものとなったという岩本通弥の指摘の要点を再確認するとともに,第二に,岩本と福田アジオと の論争点の一つでもあった両墓制の分布をめぐる問題を明確化した。第三に,岩本が柳田の民俗の 変遷論への論及にとどまり,肝心の比較研究法の実践例を示すまでには至っていなかったのに対し て,本稿ではその柳田の比較研究法の実践例を,盆行事を例として具体的に提示し柳田の視点と方 法の有効性について論じた。その要点は以下のとおりである。(1)日本列島の広がりの上からみる と,先祖・新仏・餓鬼仏の三種類の霊魂の性格とそれらをまつる場所とを屋内外に明確に区別して まつるタイプ(第3 類型)が列島中央部の近畿地方に顕著にみられる,それらを区別しないで屋外 の棚などでまつるタイプ(第2 類型)が中国,四国,それに東海,関東などの中間地帯に多い,また, 区別せずにしかも墓地に行ってそこに棚を設けたり飲食するなどして死者や先祖の霊魂との交流を 行なうことを特徴とするタイプ(第1 類型)が東北,九州などの外縁部にみられる,という傾向性 を指摘できる。(2)第1 類型の習俗は,現代の民俗の分布の上からも古代の文献記録の情報からも, 古代の8 世紀から9 世紀の日本では各地に広くみられたことが推定できる。(3)第3 類型の習俗は, その後の京都を中心とする摂関貴族の觸穢思想の影響など霊魂観念の変遷と展開の結果生まれてき た新たな習俗と考えられる。(4)第3 類型と第2 類型の分布上の事実から,第3 類型の習俗に先行 して生じていたのが第2 類型の習俗であったと推定できる。(5)このように民俗情報を歴史情報と して読み解くための方法論の研磨によって,文献だけでは明らかにできない微細な生活文化の立体 的な変遷史を明らかにしていける可能性がある。
著者
林 まゆみ
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.17-20, 1995-03-31
参考文献数
31
被引用文献数
3

世民衆社会における被差別民であった「散所」, 「河原者」等の民は, 一方で造園土木や作庭の分野でその職域を広げ, 技術を確立していった。あいまいな点の多い彼等の社会的背景について事例を挙げて分析することによって, 何故「河原者」等がすぐれた作庭家として輩出しえたかを考察した。そのために, 賃金体系の変遷や彼等の集団としての行動や主張に眼を向けた。さらに, 中世社会における特殊な価値体系一触積思想にも言及することにより, 「河原者」の果たした清めの職能が土木, 築地, 作庭技術とどのように結び付き得たかを検討した。また彼等の触穢思想の中での役割や, 呪術との関わりを考証した。
著者
藤山 友紀 立花 詠子 塚原 丘美 草間 実 今峰 ルイ 溝口 麻子 間瀬 創 佐藤 愛 関口 まゆみ 渡会 敦子 中島 英太郎
出版者
名古屋学芸大学管理栄養学部
雑誌
名古屋栄養科学雑誌 = Nagoya Journal of Nutritional Sciences (ISSN:21892121)
巻号頁・発行日
no.4, pp.9-16, 0208-12-25

糖尿病治療では、良好な血糖コントロールを行う上でエネルギー摂取量の遵守は重要である。しかし、糖尿病治療薬によっては安静時エネルギー消費量(REE)に影響を及ぼすことが報告されている。そこで、sodium glucose cotransporter 2(SGLT 2)阻害薬のREEに及ぼす影響を検討した。外来受診中の2 型糖尿病患者20名を対象に、SGLT 2 阻害薬服用前と3か月後でREE 測定、体組成測定、血液検査、食物摂取頻度調査を行い比較した。結果、REE は服用前後で1554±257kcal/ 日から1491±313kcal/日と低下傾向を示したものの有意差は認められなかった。また、体重当たりのREEも有意差は見られなかった。体重や体脂肪量が有意に低下したが、骨格筋量は有意な変化は見られなかった。以上の結果より、3ヶ月間のSGLT 2阻害薬服用ではREEに影響を及ぼさない可能性が示唆された。今後は症例数を増やした検討が必要である。